外壁塗装の時期で仕上がりが変わる？最適な季節と塗り替えのタイミングとは

外壁塗装は「そろそろやった方がいいのか？」と思っても、実際にいつ・どの季節にやるべきか迷う方が多い工事だ。

時期を誤ると、工期が伸びてしまったり、仕上がりや費用面で損をしてしまうこともある。

そこで、本記事では、築年数や前回塗装からの経過年数、外壁に現れる劣化サイン、季節ごとのメリット・デメリット、希望時期に間に合わせるためのスケジュールの立て方まで、外壁塗装の「ベストなタイミング」の考え方をまとめて解説する。

読み終わる頃には、「うちの場合はいつ塗り替えるのがベストか」が自分で判断できるようになるはずだ。

外壁塗装の時期はどう決める？4つの判断軸

「そろそろ外壁塗装をするべき？」と思っても、
「今すぐやるべきなのか」「もう少し先送りできるのか」は迷いやすいポイントだ。

外壁塗装の時期は、次の4つの軸を組み合わせて判断するとイメージしやすい。

基本的には、「築10年前後」または「明らかな劣化サイン」が出てきたら、外壁塗装を検討しよう。

あとはどの季節に工事するか・いつから準備を始めるかを決めていく流れになる。

このあとの記事では、まず「10年ごとの目安」や「劣化サイン」から今やるべきかどうかを確認し、そのうえで、季節ごとの特徴や、希望時期からの逆算スケジュールを詳しく解説していく。

外壁塗装のタイミングは『10年ごと』が目安

外壁塗装の一般的なタイミングは「10年ごと」だ。ここでは、なぜ外壁塗装が必要なのか、なぜ10年ごとなのか、その理由を解説する。

そもそも外壁塗装はなぜ必要なのか？

住宅の外壁塗装を定期的に行う理由は、「美観を回復させるため」だけではない。

外壁には、紫外線や雨風から住宅を守るという役割がある。
外壁塗装は、「外壁の機能性を保ち住宅を守るため」にも欠かせない工事なのだ。

大切な資産であるマイホームの寿命を延ばし、長く安心して暮らすためにも、機能面から見た定期的なメンテナンスは避けて通れない。

外壁塗装のタイミングは『10年ごと』

日本の住宅によく使われる「窯業系サイディングボード」の耐用年数は、一般的に25〜30年と言われている。「それなら、塗り替えも25年以上しなくていいのでは？」と思うかもしれない。

しかし、外壁塗装のタイミングは「10年ごと」が目安である。

その理由は、外壁材と塗料の寿命に「ズレ」があるからだ。

実際にサイディングボード自体は丈夫だが、その表面を守っている「塗料（塗膜）」の寿命は10〜15年ほどしかない。
そして塗料の効果が切れると、外壁材は雨や紫外線のダメージを直接受けることになり、本来の寿命である25〜30年を維持できなくなってしまう。

大切な家を長持ちさせるためには、塗料の機能が失われる10年を目安に塗り替えを行い、外壁材の耐久性を維持し続けることが必要不可欠なのだ。

メンテナンスを怠った場合のリスクとは

では、外壁の定期的なメンテナンス（外壁塗装）を怠ると、どのような悪影響が及ぶのか。

最も注意しなければいけないのは、塗料の防水機能が低下し、外壁内部に水が侵入してしまうことだ。

住宅の建材は寒暖差によって伸縮を繰り返し、少しずつ負荷を蓄積していく。負荷が一定以上に蓄積されると、クラック（ひび割れ）などの症状として現れる。

このとき、塗料の防水機能が低下していると外壁内部に水の侵入を許してしまう。水の侵入を許した結果、雨漏りなどの問題を引き起こす。

しかし最も怖いのは、「凍害」である。

凍害とは、外壁内部に侵入した水が凍ることで体積が膨張し、外壁材を破壊する被害のことだ。凍害は住宅を内部から少しずつ破壊するため、見た目では症状に気づきにくい。

地震や台風など大きな衝撃を受けた時に、外壁に大きなクラックが生じたり、剥がれが起きたり、有事になって気づくことが多いのだ。

このような悪影響を受けないようにするためにも、外壁は10年ごとの定期的なメンテナンスが必要である。

この症状が出たら要注意！外壁塗装が必要な劣化サイン

外壁塗装は10年が目安とされているが、劣化症状によってはそれより早く塗装が必要になるケースもある。

以下のような症状が見られたら、早めの対応を検討しよう。
特に【劣化度：高】の項目は放置すると建物へのダメージが大きくなるため、注意が必要だ。

【劣化度：高】チョーキング現象

チョーク現象とは、外壁を手で撫でたときに手のひらに粉状の物質が付着する現象だ。

紫外線や雨風によって塗料が劣化し、成分が分離して粉状になって表面に浮き上がっている状態である。この症状が見られる場合、塗膜の防水機能が大きく低下しているため、早めの塗り替えを検討しよう。

なお、チョーキング現象が起きやすい外壁は以下のとおりだ。

レンガや樹脂系サイディングについては、チョーキング現象が発生しない。

【劣化度：高】塗膜の剥がれ・ふくれ

外壁の塗膜（塗料の膜）に剥がれやふくれが見られる場合も、早急に塗り替えを検討する必要がある。

塗膜が剥がれる原因は、紫外線や空気中の酸素・湿気によって塗料に含まれる樹脂成分が硬化・劣化することだ。

また、微細なひび割れや塗膜の剥がれから水が侵入し、熱で膨張することでふくれが生じる。ふくれを放置するといずれ剥がれに発展するため、どちらの症状も確認したら早めに対処しよう。

【劣化度：高】シーリングの剥がれ・ひび割れ

シーリング（コーキング）とは、サイディングボードの目地を埋める材料のことだ。撥水性・伸縮性の高い材質で、紫外線や雨風から外壁を守る役割を持っている。

シーリングが紫外線や雨風に長い間さらされると、弾性や柔軟性を与えている成分が徐々に失われ、剥がれやひび割れが起きやすくなる。

シーリングの劣化は外壁の防水機能を大きく低下させるため、症状を確認したら早急に塗り替えを検討しよう。

【劣化度：高】幅0.3mm・深さ5mmを超えるクラック

外壁に生じるひび割れのことを「クラック」と呼ぶ。

その中でも、幅0.3mm・深さ5mmを超えるクラックは「構造クラック」といわれ、外壁の防水機能に大きな影響を及ぼすサインである。

大きなクラックが生じると雨水が侵入しやすくなり、凍害などの被害につながる恐れがある。

補修には「カット工法」や「樹脂注入工法」が用いられ、これらの方法で補修された後に、外壁の塗り替えで防水機能を高めることが大切だ。

幅0.3mm・深さ5mm以下のクラック

幅0.3mm・深さ5mm以下のクラックを「ヘラークラック」と呼ぶ。

構造クラックのように大きな問題に発展する可能性は低いが、放置すれば構造クラックに拡大してしまったり、雨水の侵入を許したりすることもある。

そのため、外壁にヘラークラックが確認できた場合は、早い段階で外壁の塗り替えを検討してほしい。

また、ヘラークラックはシーリング材を補填するだけで補修できる比較的軽度のクラックなので、やはり早めの対処が重要だ。

外壁の色あせ・汚れ

外壁の色あせは、塗料が紫外線や雨風に長い間さらされることによって生じる、防水機能低下のサインだ。

チョーキング現象ほど深刻ではないが、放置すればいずれチョーキング現象に発展する。

また、外壁の汚れが目立つ状態で放置すると、紫外線を吸収しやすくなり、塗料の劣化進行を加速させてしまう。

したがって、外壁に汚れが蓄積しないよう、定期的に洗浄することも大切だ。

外壁にカビ・コケが発生している

湿気がこもりやすい立地にあり、日当たりの悪い外壁はカビ・コケが発生しやすい。カビ・コケが発生すると紫外線を吸収しやすくなり、塗料の劣化を加速させる原因になる。

軽度のカビ・コケなら家庭用高圧洗浄機で対処できるが、重度のカビ・コケはバイオ洗浄など特殊な洗浄方法が必要になる。

重度のカビ・コケを自分で無理に落とそうとすると、外壁を傷める原因になるので注意してほしい。

外壁にカビ・コケが発生しやすい場合はこまめに洗浄を行おう。

重度のカビ・コケが発生している場合は、外壁塗装業者に洗浄を依頼し、その上で外壁の塗り直しを行って防水機能を高めよう。

外壁塗装に最適な季節は？

「外壁塗装は季節によって仕上がりが異なるのか？」と気になっている人も多いだろう。

ここでは、シーズンごとの外壁塗装のメリット・デメリットや、季節ごとの仕上がりについて解説する。

春（3〜5月）：外壁塗装に最も適したシーズン

メリット	気温・湿度が安定しており、塗装に最適な気候 天候に左右されることが少なく、工期が安定 窓を閉め切っても過ごしやすい
デメリット	繁忙期なので費用が高くなる傾向 依頼が集中しスケジュール調整が難しい

春は気温・湿度ともに安定しており、外壁塗装に最も適したシーズンだ。塗料の乾燥も適度に進み、仕上がりの品質が安定しやすい。

ただし、人気シーズンのため予約が埋まりやすく、希望の時期に施工したい場合は早めの相談が必要だ。

夏（6〜8月）：梅雨・猛暑とどう付き合うか

メリット	湿度に注意すれば塗装工事は可能 閑散期なので費用を抑えられる
デメリット	梅雨時期は天候により工期が伸びる可能性がある 技術力の低い塗装業者だと雨・湿度の影響で品質が下がる

夏場は梅雨の影響で工期が延びるリスクがある。ただし、塗料の乾燥は早いため、天候さえ安定すれば効率よく施工できる。

費用を抑えたい人には狙い目のシーズンだが、業者の技術力が重要になる。

秋（9〜11月）：気候が安定した人気シーズン

メリット	春と同様に外壁塗装に適した気候 天候に左右されることが少ない 窓を閉め切っても過ごしやすい
デメリット	繁忙期なので費用が高くなる傾向 依頼が多くスケジュール調整が難しい 台風シーズンと重なり、工期が伸びることがある

秋も春と並んで外壁塗装に適したシーズンだ。気温が落ち着き、湿度も下がるため塗装作業がしやすい。

ただし、9月〜10月は台風の影響を受ける可能性があるため、スケジュールには余裕を持っておくと安心だ。

冬（12〜2月）：寒冷地・豪雪地帯での注意点

メリット	閑散期なので費用を抑えられる 窓を閉め切っても過ごしやすい
デメリット	日照時間が短いため工期が伸びる可能性がある 豪雪地帯では基本的に工事できない

冬場は気温5℃以下になると塗料が乾燥しにくくなるため、寒冷地や豪雪地帯では施工が難しい。

ただし、温暖な地域であれば冬でも施工可能で、費用を抑えられるメリットがある。

外壁塗装に適した気温・湿度の目安

外壁塗装は一般的に「気温5℃以上、湿度85％以下」の条件で行うことが推奨されている。

以下は、気象庁のデータからまとめた2024年における気温・湿度の平均と最大降水量だ。

	平均気温	平均湿度	最大降水量
1月	7.1℃	54%	31.5mm/日
2月	8.0℃	63%	35.0mm/日
3月	9.6℃	59%	45.0mm/日
4月	17.1℃	72%	55.5mm/日
5月	20.0℃	72%	58.5mm/日
6月	23.1℃	79%	98.0mm/日
7月	28.7℃	78%	45.0mm/日
8月	29.0℃	79%	90.0mm/日
9月	26.6℃	81%	35.5mm/日
10月	20.6℃	79%	53.5mm/日
11月	13.7℃	69%	33.5mm/日
12月	8.1℃	54%	0.5mm/日

• 出典：気象庁 東京都 2024年の観測データ

このデータからも、春（3〜5月）と秋（9〜11月）は気温・湿度が比較的安定しており、降水量も比較的少ないことがわかる。外壁塗装を行うなら春・秋の実施がおすすめだ。

希望の時期に外壁塗装をするためのスケジュール

次に、外壁塗装を検討し始める（相談する）タイミングについて解説する。希望時期に成功するためにも、これを参考に、自宅の外壁塗装について考えてみてほしい。

外壁塗装の検討から施工完了までの流れ

まずは、外壁塗装の検討から施工完了までの流れ、プロセスごとにかかる時間を整理しよう。

一般的には、上記の流れに沿って外壁塗装を進めることになる。外壁塗装業者を探し始めてから施工が完了するまで、一般的には1ヶ月半〜3ヶ月ほどかかる。

希望時期の3ヶ月前には相談を始めよう

外壁塗装業者を探し始めてから施工が完了するまで、一般的には1ヶ月半〜3ヶ月ほどかかる。

したがって、施工を希望している時期の「3ヶ月前」には外壁塗装業者への相談を始めるのがよいだろう。余裕を持ったスケジュールで動くことで、希望の業者に依頼できる可能性が高まる。

春・秋に施工したい場合の逆算スケジュール例

「この日（時期）に外壁塗装を行いたい」という明確な希望日が決まっていれば、3ヶ月前と言わず、それよりも前に相談を始めてもいいだろう。

外壁塗装の時期選び以上に重要な業者選び

外壁塗装では、季節選びよりも大切なのが「外壁塗装業者選び」だ。前章では、「外壁塗装業者によって技術力が異なるため」と業者選びの大切さを説明したが、理由はそれだけではない。

実は、外壁塗装業者の中には悪質なサービスを提供している業者もあり、じっくりと時間をかけて優良業者を見極める必要がある。

避けたい外壁塗装業者の特徴

具体的には、次のような特徴を持っている外壁塗装業者には十分注意してほしい。

こうした「あり得ない値引き」や「無料」といった甘い言葉に惑わされないためには、あらかじめ「適正価格（相場）」を把握しておくことが重要だ。

提示された金額や値引きに根拠があるのか、冷静に判断するための基準として、以下の記事で「外壁塗装の相場」や「適正価格」について確認してほしい。

まずは複数の外壁塗装業者から相見積もりを

外壁塗装業者選びでまず大切なのは、複数の外壁塗装業者から相見積もりを取ることだ。

外壁塗装業者が発行する見積もりの内容を見ることで、優良業者かどうかを見極めることができる。
また、複数の外壁塗装業者の見積もりを比較すれば、外壁塗装の費用相場を把握することも可能だ。

そのため、外壁塗装選びはやはり、希望時期の3ヶ月以上前から始めることをおすすめする。

ちなみに、外壁塗装業者から見積もりを取るのは手間と時間がかかるので、「一括見積もりサイト」を利用しよう。
外壁塗装の一括見積もりサイトを利用すれば、2社以上の外壁塗装業者から同時に見積もりを取れる。

条件を揃えて比較することも可能なので、ぜひ利用してみてほしい。

外壁塗装の時期が決まったら！業者選びにおすすめのサイト3選

それでは最後に、外壁塗装の一括見積もりサイトのおすすめを紹介する。外壁塗装の時期が決まったら、外壁塗装業者選びのためにぜひ利用してみてほしい。

おすすめサイト1. ぬりマッチ

「ぬりマッチ」は、900社以上の外壁塗装業者が加盟している、外壁塗装のマッチングプラットフォームだ。

最大4者の外壁塗装業者から一括見積もりを取得可能であり、外壁塗装の時期が決まったらまずはぬりマッチで見積もりを取ってみよう。

ぬりマッチの特徴は、厳格な審査基準によって優良業者のみ加盟していることだ。

外壁塗装業者の中には悪質なサービスを提供する業者もあるが、ぬりマッチはそうした業者が排除されているため、安心して利用できる。

また、ぬりマッチには外壁塗装の専門アドバイザーが在籍している。

アドバイザーが外壁の状態をヒアリングした上で、最適な外壁塗装業者をマッチングしてくれるため、「初めて外壁塗装をする」という人も安心して利用できるだろう。

操作画面は非常にシンプルで、質問に答えるだけで外壁塗装の相場がわかるのもメリットだ。

ぬりマッチの操作画面

おすすめサイト2. ヌリカエ

「ヌリカエ」は、全国5,000社以上の外壁塗装業者が加盟している、日本最大級の一括見積もりサイトだ。

ぬりマッチと同じく最大4社の外壁塗装業者から同時に見積もりを取れるので、ぬりマッチと併用して最大8社の相見積もりを実施しよう。

ヌリカエの大きな特徴は、LINE公式アカウントで外壁塗装に関する相談を行えることだ。

LINEのトーク画面で聞かれたことに答えていくだけで、外壁塗装の費用相場や、助成金情報まで提供してもらえる。

また、加盟している外壁塗装業者が多いからといって、審査を実施していないわけではない。

ヌリカエも独自の審査基準によって加盟する外壁塗業者を決めているため、比較的安心して利用できる一括見積もりサイトだ。

おすすめサイト3. タウンライフ 外壁塗装

タウンライフ 外壁塗装は、600社以上の外壁塗装業者が加盟している一括見積もりサイトだ。加盟業者数は少ないが、充実したサービスで人気を集めている。

たとえば、タウンライフ 外壁塗装で見積もりを依頼すると、「リフォーム補助金まるわかりBOOK」と「成功するリフォーム7つの法則」という2つのPDF冊子がもらえる。

補助金やリフォームのポイントなどが解説されているので、リフォームを検討している人におすすめだ。

また、定期的にキャンペーンも実施している。

2025年4月時点では最大10万円を獲得できるキャンペーンが実施されているので、「お得に外壁塗装を依頼したい」という人におすすめだ。

外壁塗装の時期は春・秋がおすすめ！まずは相見積もりを取ろう

本記事では、外壁塗装の時期で仕上がりが変わるのかどうかや、最適な季節と塗り替えのタイミングについて解説した。外壁塗装に最も適した季節は春（3〜5月）と秋（9〜11月）だ。

ただし、本記事で紹介した「外壁塗装が必要なサイン」が現れていたら、早めの外壁塗装を検討してほしい。

季節によって外壁塗装の仕上がりに多少の違いはあるが、それよりも重要なのは「外壁塗装業者選び」だ。

まずは一括見積もりサイトを利用して、複数の外壁塗装業者から見積もりを取ろう。受け取った見積もりを比較し、自分に合った外壁塗装業者を見つけてほしい。