「駐車場経営って届出や資格が必要なの?」
「どういった場合に届出が必要になるの?」
「駐車場経営をする際の届出の流れって?」
駐車場経営は、土地活用の中でもメジャーな方法です。
これから土地活用を始めるという方は、駐車場経営を検討している方も多いでしょう。
中には初心者でもできるのか、届出が必要なのか不安な方もいるかもしれません。
そこで本記事では、駐車場経営の届出について以下を解説していきます。
- 駐車場経営における届出について
- 駐車場経営における届出が必要なケース
- 駐車場経営で届出をする流れ
結論を先にいうと、駐車場経営に届出が必要なケースはあります。
ただし500㎡未満の広さであれば、特に気にすることはないでしょう。
500㎡以上の土地を持っている方は特に、本記事を参考にしてみてください。
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駐車場経営に届出は原則不要
コインパーキングや月極駐車場の経営には、原則として届出は必要ありません。
また特別な資格も必要なく、小規模な駐車場経営であればすぐに始められます。
ただし駐車場経営をする際に、あると良い資格は存在するといえるでしょう。
たとえば以下のような資格があれば、まったくの初心者よりは有利に働くはずです。
- 日商簿記(会計の知識)
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- 土地活用プランナー
しかし初心者であっても、管理・運営は業者に任せることができます。
駐車場経営には主に3つの経営方式があるため、以下を確認してみてください。
経営方式 | 一括借上方式 | 管理委託方式 | 自営方式 |
収入 | 毎月一定 | 収益-手数料 | 収益すべて |
管理業務 | 任せきりにできる | 任せきりにできる | 自分自身 |
管理手数料 | あり | あり | なし |
初期費用 | なし | あり | あり |
ランニングコスト | なし | あり | あり |
※ケースによっては希望する経営方式が選べない場合があります。
自営方式以外であれば、知識や経験がなくても駐車場経営ができるというわけです。
オーナーの取り分は少なくなりますが、初心者の方でも安心して経営を続けられます。
駐車場経営に届出が必要なケース
一定の条件に当てはまると、駐車場経営でも届出が必要になります。
参考として、駐車場経営の届出の根拠となる駐車場法の条文は以下の通りです。
(構造及び設備の基準)第十一条 路外駐車場で自動車の駐車の用に供する部分の面積が五百平方メートル以上であるものの構造及び設備は、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)その他の法令の規定の適用がある場合においてはそれらの法令の規定によるほか、政令で定める技術的基準によらなければならない。 (設置の届出)第十二条 都市計画法第四条第二項の都市計画区域(以下「都市計画区域」という。)内において、前条の路外駐車場でその利用について駐車料金を徴収するものを設置する者(以下「路外駐車場管理者」という。)は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、路外駐車場の位置、規模、構造、設備その他必要な事項を都道府県知事(市の区域内にあつては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)に届け出なければならない。届け出てある事項を変更しようとするときも、また同様とする。
つまり以下の要件をすべて満たす駐車場は、届出が必要になるということです。
- 駐車場の車室の合計面積が500㎡(約150坪)以上ある
- 不特定多数が営業時間内に自由に利用できる
- 駐車場の種類はコインパーキング
- 都市計画区域内にある
月極駐車場は車室の合計面積が500㎡以上でも、届出の対象ではありません。
従業員専用駐車場など、利用者が限定されている駐車場も対象外です。
つまり当てはまる駐車場を持つ方は、かなりの少数派といえるでしょう。
また都市計画区域とは、都道府県知事や国土交通大臣が指定するエリアのこと。
積極的に開発する「市街化区域」と自然環境を守る「市街化調整区域」に分けられます。
オーナーが所有している土地は、都市計画区域内にある土地である可能性が高いです。
きちんと調べたい方は、土地がある自治体のホームページから確認してみてください。
設備の技術的基準
届出が必要になる駐車場は、以下の技術的基準を満たさなければいけません。
設備 | 技術的基準 |
出入口 | ・交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、 坂の頂上付近、勾配の急な坂に設置するのはNG ・トンネルに設置するのはNG ・横断歩道または自転車横断帯の前後の側端から それぞれ前後5m以内の部分に設置するのはNG ・踏切の前後の側端からそれぞれ 前後10m以内の部分に設置するのはNG ・横断歩道橋の昇降口から5m以内の 道路の部分に設置するのはNG ・小学校、特別支援学校、幼稚園、保育所などの 出入口から20m以内の部分に設置するのはNG ・橋に設置するのはNG ・幅員が6m未満の道路に設置するのはNG ・縦断勾配が10%を超える道路に設置するのはNG ・前面道路が2以上ある場合は交通に支障を およぼすおそれの少ない道路に設置すること ・駐車場の車室の合計面積が6,000㎡以上の場合に 出口と入口を分離してその間を10m以上とすること ・自動車の回転を容易にするため必要があるときは 隅切りをして切取線と車路および切取線と道路との 角度を等しくして切取線の長さを1.5m以上とすること ・出口付近の構造は2m後退して車道の中心線1.4mの高さにおいて 道路の中心線に直角に向かって左右にそれぞれ60度以上の 範囲内において歩行者の存在を確認できるようにすること |
車路 | ・一方通行で徴収施設が設置されていて かつ歩行者の通行の用に供しない部分が2.75m以上 ・幅員5.5m以上で一方通行は3.5m以上 |
建築物の場合 | 【車路】 ・はり下の高さが2.3m以上あること ・屈曲部は内のり半径が5m以上あること ・傾斜部横断勾配が17%を超えないこと ・斜面部の路面は粗面として 滑りにくい材料で仕上げること 【駐車する部分の高さ】 はり下の高さは2.1m以上あること 【避難階段】 直接地上への出入口のある階以外の階に駐車場がある場合は 避難階段またはこれに変わる設備を設けること 【防火区画】 給油所などの火災の危険のある施設を附置する場合は 当該施設と駐車場を耐火構造の壁または 特定防火設備により区画すること 【換気装置】 内部の空気を床面積1㎡につき1時間に14㎥以上 直接外気と交換する能力のある換気装置を設けること 【照明装置】 ・車路の路面:10ルックス以上あること ・駐車部分の床面:2ルックス以上あること 【警報装置】 自動車の出入および道路交通の安全を確保するために 必要な警報装置を設置すること |
機械式駐車装置 を用いる場合 |
国土交通大臣が技術的基準に定める 構造または設備と同等以上の効力が 認められる場合は上記の基準を適用しない |
技術的基準は届出をした後に、交通管理者などによって検査されます。
なお届出の対象である駐車場の技術的な基準は、駐車場法第11条などが根拠です。
届出の必要書類
要件を満たす駐車場経営の届出には、以下のような書類が必要になります。
- 設置届出書
- 駐車施設等の概要
- 地形図(駐車場の位置を標示したもの・1/10000以上)
- 平面図(路外駐車場の区域を標示したもの・1/200以上)
- 立面図(2面以上・1/200以上)
- 断面図(2面以上・1/200以上)
- 建築確認済証の写し
- 建築完了検査済証の写し
- 管理規定届
- 大臣認証の写し(機械式駐車装置の場合)
- 業務委託契約書の写し(委託する場合)
各自治体のホームページには、届出の必要書類が記載しているはずです。
またホームページでは、設置届出書のテンプレートをダウンロードできるでしょう。
設置届出書の内容
路外駐車場設置届出書には、以下のような記載が必要になります。
- 駐車場の名称
- 駐車場の位置
- 駐車場の規模
- 駐車場の構造
- 駐車場の設備
- 付帯業務のための施設について
- 従業員概数
- 供用開始(予定)日
参考:東京都建設局ホームページ「路外駐車場設置(変更)届出書」
駐車場の規模は項目の中でも、特に詳細に記載しなければならないため注意しましょう。
駐車場管理者になる場合は管理規程の届出が必要
駐車場を委託せずに自分で経営する場合は、管理者として管理規程の届出が必要です。
(管理規程)第十三条 路外駐車場管理者は、路外駐車場の供用を開始しようとするときは、あらかじめその業務の運営の基本となるべき管理規程を定め、これを当該路外駐車場の供用開始後十日以内に都道府県知事等に届け出なければならない。2 前項の管理規程には、国土交通省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を定めなければならない。一 路外駐車場の名称二 路外駐車場管理者の氏名及び住所(法人にあつては、その名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の氏名及び住所)三 路外駐車場の供用時間に関する事項四 駐車料金に関する事項五 前号に掲げるもののほか、路外駐車場の供用契約に関する事項六 前各号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項
管理規程は経営を始めてから、10日以内に届出をしなければいけません。
10日を過ぎると、税金の控除などが受けられない可能性があるため注意しましょう。
自治体のホームページには、管理規程の例が掲載されていることがあります。
例を参考にして作成したほうが正確であるため、参考にしてみてください。
駐車場経営の届出をする流れ
届出が必要な駐車場が許可されるまでの流れは、以下の通りです。
届出から許可までの流れ | 内容 |
①自治体に書類を届出 | 届出の提出から審査済書の 交付までにおよそ50日かかる |
②書類審査 | 書類は自治体が審査する |
③収受・意見照会 | 自治体が交通管理者などに意見を求める |
④交通管理者などによる現地確認 | 意見照会の回答からおよそ 30日以内に実施される |
⑤交通管理者などによる立入検査 | 交通管理者などと日時を調整して 技術的基準に基づいた検査を受ける |
⑥審査済書の交付 | ・検査結果が「非」の場合は 路外駐車場管理者が改善する ・検査結果が「是」の場合は 検査からおよそ10日以内に 審査済書が交付される |
自治体によって流れが異なる場合があるため、まずは自治体に確認してみてください。
駐車場経営の届出についてよくある質問
駐車場経営の届出について、よくある質問をピックアップしました。
さらに知識付けをしたい方は、こちらを参考にしてみてください。
自分には届出をできそうにないんだけど…?
自営方式でなければ、運営・管理する業者が代わりに届出をしてくれます。
オーナーは経営に直接関わらないため、紹介してきた手続きをしなくてOKです。
良い管理業者と出会う方法としては、土地活用一括資料請求の利用をおすすめします。
土地活用一括資料請求とは、比較サイトから複数社に活用プランを提示してもらうこと。
WEBから1度申し込むだけで、複数の活用プランを比較・検討できるようになります。
比較サイトに登録するには、管理業者は厳しい審査を経ないといけません。
つまり比較サイトを利用するだけで、優良な管理業者と出会える確率が高まります。
土地活用一括資料請求には、他にも以下のようなメリットがあります。
- 一括資料請求に料金は発生しない
- 申し込みフォームは1分程度で入力・送信できる
- 駐車場経営のプロと相談できるようになる
- 他の土地活用についても説明してもらえる
- 土地がない状態でも資料請求・相談ができる
利用しても損することはないため、まずは気軽に一括資料請求をしてみましょう。
バリアフリー新法と届出の関係は?
バリアフリー新法とは「高齢者・障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」のこと。
駐車場関係としては、高齢者などのために「特定路外駐車場」の設備基準を定めています。
特定路外駐車場とは、以下に該当しない500㎡以上のコインパーキングです。
- 道路付属物であるもの
- 公園施設であるもの
- 建築物であるもの
- 建築物に付随しているもの
つまり500㎡以上のコインパーキングであれば、当てはまる可能性はあるでしょう。
当てはまる場合は、以下の技術的基準を満たす必要があるため注意してください。
設備 | 技術的基準 |
駐車施設 | ・車椅子用の駐車スペースを1以上設けること ・幅が3.5m以上あること ・車椅子使用者用駐車施設の表示をすること ・長さができるだけ短くなる位置に設置すること |
移動等円滑化経路 | ・道または公園などの経路のうち1以上を 移動等円滑化経路とすること ・経路上に段を設置しないこと (傾斜路を併設する場合を除く) ・出入口の幅は0.8m以上とすること ・道路幅は1.2m以上、50mごとに車椅子の転回に 支障がない場所を設置すること 【傾斜路】 ・幅は段に代わるものは1.2m以上、 段に併設するものは0.9m以上とすること ・勾配は1/12を超えないこと (高さが0.16m以下のものは1/8) ・高さが0.75mを超えるもの (勾配が1/20を超えるもの)は 高さが0.75m以内ごとに踏幅が 1.5m以上の踊り場を設置すること ・勾配が1/12超、高さが0.16m超、 勾配が1/20超の場合は手すりを設置すること |
機械式駐車装置 を用いる場合 |
国土交通大臣が技術的基準に定める 構造または設備と同等以上の効力が 認められる場合は上記の基準を適用しない |
特定路上駐車場の届出には、以下のような書類が必要になります。
- 特定路外駐車場設置届出書(施行規則第1号様式)
- 特定路外駐車場の位置を表示した地形図(1/10,000以上)
- 特定路外駐車場の区域の平面図(1/200以上)
- 車椅子使用者用駐車施設、移動等円滑化経路、その他の主要な施設を表示した平面図(1/200以上)
ただし以下の駐車場法に基づく届出を同時に行なう方もいるでしょう。
当てはまる場合は、路外駐車場設置届出書に以下を追加すればOKです。
- 路外駐車場設置届出書に添付する書面(施行規則第2号様式)
- 車椅子使用者用駐車施設、移動等円滑化経路、その他の主要な施設を表示した平面図(1/200以上)
特定路外駐車場の届出は、路外駐車場の届出と同時に提出されます。
特定路外駐車場の届出を単独で提出するということは、実務的にほとんどありません。
参考:品川区ホームページ「特定路外駐車場の構造および設備に関する基準」
廃止や休止にも届出があるの?
届出は休止・廃止の場合もしなければいけないため、把握しておきましょう。
駐車場法第14条によると、以下の場合は10日以内の届出を義務付けています。
- 路外駐車場の廃止
- 路外駐車場の全部または一部の休止
- 路外駐車場の全部または一部の再開
駐車場経営を再開する場合も、10日以内の届出が必要になるため注意してください。
自治体のホームページには、設置届出書と同様にテンプレートが用意されているはずです。
なお設置届出書や管理規程の記載事項に変更がある場合も、届け出ないといけません。
設置届出書の変更は供用開始前に、管理規程の変更は供用開始後10日以内が期限です。
駐車場経営の届出は条件に当てはまる人には必要
駐車場経営の届出について、解説してきたことをおさらいしてみましょう。
記事のまとめ
- 駐車場経営には原則として届出や資格は必要ない
- 500㎡以上のコインパーキングは届出が必要になる可能性がある
- 500㎡以上でも月極駐車場や従業員専用駐車場は届出は不要
- 要件を満たしていても管理業者がいるなら届出は任せられる
- 届出が必要な駐車場は技術的な基準を満たさないといけない
- 届出に必要な書類は自治体のホームぺージで確認できる
- 届出から許可されるまで50日はかかると思ったほうが良い
届出が必要な駐車場は、大規模のコインパーキングが前提となります。
もしかすると多くの方には、ほとんど関係がなかったかもしれません。
当てはまる方であっても、業者に管理を委託する場合は届出は任せられます。
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駐車場経営が成功するかどうかは、優良業者と出会えるかどうかがカギです。
自営方式を選択する方は、本記事を参考にして届出をスムーズに完了させてください。
ただし届出から許可までは、早くても50日ほどかかるため注意が必要です。