登記簿の住所変更とは?不動産登記に必要な手続きや費用も解説

登記簿の住所変更とは?不動産登記に必要な手続きや費用も解説

「登記簿の住所変更ってどうするの?」
「登記簿の住所変更って自分でできる?」

住宅購入や引っ越しなどで住所変更をしますが、登記簿の住所変更は忘れがちです。
自動的に変更されることはないため、自分から動かないといけません。

本記事では登記簿の住所変更について、以下を解説していきます。

  • 登記簿の住所変更について
  • 登記簿の住所変更に必要な書類
  • 登記簿の住所変更の流れ・期間
  • 登記簿の住所変更にかかる費用

住所変更登記は、自分でも手続きを済ませることが可能です。
しかし平日は忙しいという方は基本的に、司法書士への依頼をおすすめします。

本記事を参考にして、スムーズに住所変更登記を済ませましょう。

目次

登記簿の住所変更とは

登記簿の住所変更とは、登記簿上の住所を現在の住所に変更することです。

登記簿とは、不動産の権利関係を記録した帳簿のこと。
内容は「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」に大別されます。

表題部 不動産の情報について記載
権利部(甲区) 不動産の所有権について記載
権利部(乙区) 不動産の所有権以外の権利について記載

住所変更では、権利部(甲区)に記載された「所有者の住所」を変更します。
表題部に記載されている、不動産の所在地を変更することではありません。

登記簿の住所変更が必要・不要な場合

登記簿の住所変更が必要な場合、不要な場合は以下の通りです。

登記簿の住所変更が必要なケース ・登記簿上の所有者が転居した
・住居表示の実施があった
・行政区画の変更で地番が変更された
登記簿の住所変更が不要なケース ・行政区画の変更で地番が変更されない
・所有者が亡くなっている

住宅を購入した場合や引っ越した場合は、住所変更登記が必要になります。
たとえば所有権移転登記をする際に、以下が異なっていると法務局は受け付けられません。

  • 登記申請書に記載された所有者の住所
  • 登記簿に記載された所有者の住所

これらが異なっていると、同一の人物であるかどうかがわかりません。
不動産登記法第25条によって、法務局は所有権移転登記の申請を却下します。

(申請の却下)

第二十五条 登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。

七 申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十七条、第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。

出典:e-Gov法令検索「不動産登記法」

他の不動産登記を成立させるためにも、住所変更登記は必要というわけです。

住所の「町」が「市」になった場合などは、住所変更登記は不要になります。

登記簿の住所変更は義務化される

2021年4月に改正された法律により、住所変更登記の義務化が決定しました。
法案には相続登記の義務化や、所有者の連絡先把握なども含まれています。

住所変更登記の義務化の内容は、以下の通りです。

  • 2年以内に手続きをしなければならない
  • 罰則として5万円以下の過料が科される

これまでは住所変更登記しなかった場合について、罰則はありませんでした。
しかし施行後は正当な理由がなく2年を過ぎた場合は、5万円以下の過料が科されます。

正当な理由とは、DV被害者が加害者から逃げているような場合です。
仕事が忙しくて登記する暇がないという理由は、正当な理由として認められません。

施行日前の住所変更登記も義務化の対象

住所変更登記の義務化に関する法案の施行は、2024年ごろの予定です。

法律は以下のように、施行日前の住所変更登記も対象になります。

住所変更登記の必要が
施行日よりも先
施行日から2年以内に
住所変更登記をしないといけない
住所変更登記の必要が
施行日よりも後
変更日から2年以内に
住所変更登記をしないといけない

現在も住所変更等登記を先延ばしにしている方は、頭に入れておいてください。

住所変更登記の義務化の背景

法案成立背景には、所有者がわからない土地が増えていることがあります。
2016年に国土交通省が実施した調査で判明した、所有者不明の要因は以下の通りです。

  • 相続時の所有権移転の未登記:66.7%
  • 住所変更の未登記:32.4%
  • 売買・交換時の所有権の未登記:1.0%

相続登記や住所変更登記の未登記で、ほぼ占められていることがわかります。

また同じ調査では土地全体の所有不明者について、以下のような試算が出ました。

10万筆サンプルの結果では、所有者不明率は3割

■「約10万筆のサンプル調査結果」と、
「最後の登記からの経過年数と不明率による相関関係」
を用いた結果、不明率は約29%
●上記不明率は、あくまでも一つの試算である点に留意。
●より代表性の高い値を得るには、分析サンプル数を増やす等、今後も更なる分析が必要。

出典:国土交通省「所有者不明土地の実態把握の状況について」

あくまで試算ですが、土地全体の約3割が所有者不明だと考えられています。

何か手を打たなければ、年数を経るごとに所有者不明の土地が増える可能性が高いです。
住所変更登記や相続登記の義務化によって、管理体制を強化するということでしょう。

なお住所変更登記の義務化は、法人も対象となっています(商号変更登記も義務化)。

登記簿の住所変更の必要書類

登記簿の住所変更に必要な書類を確認していきましょう。
司法書士に依頼する場合と、自分で直接変更する場合で異なります。

【司法書士に依頼するケース】

住所変更の理由 必要書類
転居した 住民票
転居を繰り返している 戸籍の附票
住居表示の実施 住居表示実施証明書
町名地番変更の実施 町名地番変更証明書

司法書士に依頼する場合は、住所変更の理由によって用意する書類が異なります。

登記簿上の住所から現住所まで変更が1回であれば、住民票が必要です。
複数回変更しているのであれば、戸籍の附票を取得しておくと良いでしょう。

住居表示や町名地番変更は珍しいイベントであるため、関係ない方が多いかもしれません。

なお司法書士への委任状は、基本的に司法書士が作成してくれます。
絶対に作成してくれるわけではないため、事前に聞いておいてください。

 

【自分で直接変更するケース】

主な必要書類 入手場所
登記事項証明書 法務局ホームページ
住民票 役所
戸籍の附票 本籍地の役所
登記申請書 法務局ホームページ
収入印紙 法務局、郵便局、コンビニなど

まずは登記事項証明書をオンライン申請などで取得します。
オンライン申請の受付可能時間は、平日8時30分から21時00分までです。

登記事項証明書は自宅や出先から請求できて、郵送で受け取れます。

住民票や戸籍の附票の取得場所は役所になりますが、取得可能なコンビニもあります。
ただし以下の要件を満たさないと、コンビニ交付サービスは利用できません。

お住まいの市区町村の証明書を取得するために

コンビニエンスストア等で証明書を取得するためには、以下の2つが必要となります。

・お住まいの市区町村が、コンビニ交付サービスを提供していること
(サービスの提供状況は、「利用できる市区町村」を参照してください。)

・お利用になる方が、マイナンバーカード(又は住民基本台帳カード)を取得していること

出典:コンビニ交付「サービスご利用前の準備」

登記申請書は法務省のホームページから、テンプレートを取得できます。
登記申請書への記入が完了した後は、必要書類をまとめて法務局に提出しましょう。

  • 登記申請書
  • 収入印紙を貼った用紙
  • 住民票または戸籍の附票
  • 返信用封筒

これらの書類の提出方法は、法務局に直接足を運ぶか簡易書留のいずれかになります。

登記簿の住所変更の流れ・期間

登記簿の住所変更の流れについて、確認していきましょう。
司法書士に依頼する場合と、自分で直接変更する場合で異なります。

【司法書士に依頼するケース】

流れ 期間
①必要書類の用意 1日
司法書士への相談・依頼 1日~2日
③司法書士による登記申請~完了 1週間~2週間

司法書士に依頼する場合は、必要書類を用意して依頼した後は待つだけです。
住所変更登記が完了した後は、依頼した司法書士から連絡があるでしょう。

また登記申請から完了日までは、1週間~2週間はかかります。
法務局によってスピードは異なりますが、自分で直接変更する場合でも変わりません。

各法務局の登記完了予定日は、法務局のホームページで確認できます。

 

【自分で直接変更するケース】

流れ 期間
①登記事項証明書の取得 1日
必要書類の用意 1日~2日
登記申請の準備 1週間
登記申請開始~完了 1週間~2週間

自分で直接変更する場合は、必要書類の用意や登記申請の準備のスピードがカギです。
ここで時間がかかるのであればその分、上記の時間を超えることになります。

登記簿の住所変更にかかる費用

登記簿の住所変更にかかる費用について、確認していきましょう。
司法書士に依頼する場合と、自分で直接変更する場合で異なります。

【司法書士に依頼するケース】

司法書士への報酬 1万円~2万円
登録免許税(不動産1筆につき) 1,000円※
その他の実費 数千円

※土地と建物の両方変更した場合は2,000円です。

司法書士への報酬など、総額2万円程度はかかってしまいます。
これを高いと思うかどうかは、個人差があるでしょう。

司法書士に依頼する前には、ホームページで料金などを調べてみてください。
料金以外にも、以下のようなポイントを参考に選ぶことをおすすめします。

  • 話をきちんと聞いてくれる
  • 物腰が柔らかい
  • 経験が豊富
  • できないことは明確にする
  • 事務所が遠すぎない

これらを参考にして、親身に寄り添ってくれる司法書士を選びましょう。

 

【自分で直接変更するケース】

登記事項証明書の
発行手数料
・法務局窓口申請:600円
・オンライン請求:500円(送付)
・オンライン請求:480円(窓口交付)
住民票または戸籍の附票の
発行手数料
・住民票:200円~400円
・戸籍の附票:200円~400円
登録免許税(不動産1筆につき) 1,000円※

※土地と建物の両方変更した場合は2,000円です。

自分で必要書類などを集める際は、細かな料金を都度支払うことになります。
なお登録免許税となる収入印紙は、法務局でも購入可能です。

登記簿の住所変更についてよくある質問

登記簿の住所変更について、よくある質問を解説していきます。
さらに知識付けしたい方は、チェックしてみてください。

住所変更登記が完了したらどうなるの?

住所変更登記の完了後は、登記完了証が交付されるはずです。
登記申請の方法ごとに、以下のように交付方法も変わってきます。

  • 書面申請:郵送での交付
  • オンライン申請:電子交付(WEB上での交付)

書面交付の場合は、登記完了証に党機関の認証文と公印があります。
しかし電子交付の場合にはないため、書類としての信用力はないことに注意してください。

オンライン申請で郵送を希望する場合は、直接足を運ぶか返送用封筒の送付が必要です。
書面申請の場合も含め、返信用封筒に切手が不足していると登記完了証は送られません。

住所がつながらない場合はあるの?

戸籍の附票をもってしても、これまでの住所がつながらないケースはあります。
当てはまる方は以下の書類を提出する必要があるため、覚えておきましょう。

補完書類 証明できること
不在籍証明書
不在住証明書
住所地に住民登録がないことや
本籍地に戸籍がないこと
納税通知書 登記名義人が
固定資産税を支払っていること
登記済権利証
登記識別情報
登記名義人と同一の人物
である可能性が高いこと
上申書(印鑑証明書を添付) 自分が登記名義人であること

基本的には、上申書以外の書類を優先的に提出していくことになります。
上申書は他の書類がない場合における、最後の手段だと思ってください。

なお住所がつながらない要因として、過去の住民票や戸籍の附票の廃棄が挙げられます。

2014年6月より前に除票となった住民票や戸籍の附票は、5年経過で廃棄されていました。
現在は法改正によって、保存期間が5年間から150年間に変更されています。

登記簿の氏名変更の場合はどうするの?

氏名変更登記とは、結婚や離婚で氏名が変わった場合の登記のこと。
流れや費用は住所変更登記と同様で、自分で手続きすることもできます。

必要書類が異なるため、氏名変更登記を予定する方は注意しましょう。

  • 氏名の変更が記載された戸籍謄本
  • 現在の住民票(本籍地記載のもの)
  • 登記事項証明書など

氏名変更登記も住所変更登記と同様に、義務化の対象となっています。

登記簿の住所変更は司法書士への依頼がラク

登記簿の住所変更について、解説してきたことをおさらいしてみましょう。

記事のまとめ

  • 住所変更登記とは登記簿上の住所を現在の住所に変更すること
  • 住宅を購入した場合や引っ越した場合は住所変更登記が必要になる
  • 住所変更登記がされていないと他の不動産登記ができない
  • 住所変更登記や氏名変更登記などは義務化される予定
  • 義務化で施行日または変更日から2年以内が期限となる
  • 義務化の背景は所有者不明の土地が増えていること

住所変更登記は自分で直接変更する方法と、司法書士に依頼する方法があります。
費用は2万円程度かかりますが、司法書士に依頼したほうがラクです。

自分で手続きをする場合は、まず登記事項証明書を取得します。

しかし法務局の窓口は、平日8時30分から17時15分であるため注意が必要です。
オンラインは平日21時00分まで延長していますが、土日祝日には対応していません。

司法書士に依頼すれば時間の節約になり、手続きのストレスも軽減できます。

自分で手続きする場合はたしかに、費用の節約になるかもしれません。
ただし申請費用や手数料、交通費などはタダになるわけではないため注意しましょう。

それでも経験として自分で変更手続きしたい方は、また本記事を参考にしてみてください。

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