一戸建て住宅の売却相場とは？築5年から築50年まで徹底検証

中古住宅を売るときに気になることは、いくらで売れるかという売却相場でしょう。

築年数が古くなれば相場が下がることは、一般的に知られています。
しかし、築何年だとどのくらいの価格が相場なのかは、あまり知られていません。

この記事は、中古の一戸建て住宅の売却を検討されている方に、築年数による相場をご紹介します。
築5年から築50年までの売却相場を検証しました。

少しでも高く売るためのポイントも解説します。
一戸建て住宅の売却をお考えの方は、ぜひ当記事を参考にして、満足できる売却を行ってください。

一戸建て住宅売却の流れ

一戸建てを少しでも高く売却するためには、売却のおおまかな流れを知ることが大切です。
流れがわかれば、今はどの段階でどのように進んでいくのかを把握できます。

上記が中古住宅を売るときの流れです。

情報収集から査定まで

どの程度の価格で売却できるのか、必要な情報を集める必要があります。
特に住宅ローンがまだ残っている場合は完済が必要なので、売却価格が重要です。

査定を1社だけに依頼する人もいますが、当サイトではおすすめしておりません。
より良い不動産会社を選び、売却活動をうまく進めるためにも、複数の不動産会社に査定をしてもらいましょう。
一括査定依頼サービスを利用すれば、1社ずつ依頼しに回らなくて良いので便利です。

相場を確認して、売却価格を設定しましょう。

不動産会社を選ぶ

査定が終わると、売却を依頼する不動産会社を選びます。
何を基準に選べば良いかわからず、混乱してしまうかもしれません。
また、査定額がもっとも高い不動産会社を選ぶ人もいるでしょう。

不動産会社選びは、次の4つがポイントといえます。

適正な査定価格とは、相場よりも高すぎず低すぎない価格です。
高すぎる価格で売り出しても、買い手が見つからずに売れ残ってしまいます。

買い手探しから契約まで

仲介を依頼する不動産会社が決まると、媒介契約を結びます。
不動産会社はインターネットやチラシなど、広告を出して買い手を探します。

販売活動は不動産会社が行うので、売り主は基本的に何もしません。
しかし、購入希望者に物件を見学してもらう「内覧」の対応が必要です。

内覧の結果、購入の意思が固まれば売買契約を結びます。

決済と引き渡し

購入者の住宅ローン審査に約1ヶ月かかり、審査に通れば決済と引き渡しです。
決済と引き渡しは、基本的に同じ日に行われます。

築年数による売却相場の違い

一戸建て住宅の価格が決まる中で、特に中古住宅で重要な条件が築年数です。
立地や広さ、間取りや設備なども価格に影響しますが、築年数が大きく影響します。
築年数で価格が大きく変動するため、築年数ごとの相場について見ていきましょう。

（参考：中古住宅流通、リフォーム市場の現状|国土交通省）

築5年の一戸建て売却の相場

築5年の一戸建てを売却する相場は、新築時よりも15％から20％ほど下がります。

築5年ほどの一戸建ては、外観も内装も新築時と比べてほとんど傷んでいないことが多いです。
売り主としてはまだまだ新しい物件なので、高く売りたいと考えるでしょう。

日本では新築物件が人気です。
中古物件はどんなに良い状態でも、買い手にとっては他人が住んだ中古物件であることに変わりません。
1日でも人が住んだ物件の相場は、新築よりも10％下がるといわれています。

大幅に下がってしまう相場を知ると、ショックを受けて売却意欲が薄れてしまうかもしれません。
しかし、築5年を過ぎると相場は更に大きく下落することが考えられます。

築10年までの一戸建て売却の相場

築10年までの一戸建てを売却する相場は、新築時よりも50％ほど下がります。

多少高くても新築を購入したいと考える人が多く、新築物件の相場は高くなりがちです。
その分、築10年くらいまでの中古住宅は、相場が大きく下落する傾向にあります。

築20年までの一戸建て売却の相場

築11年から20年までは、新築時よりも50％から80％ほど下がります。

築10年までの中古住宅の売却相場は、急激に下落することが特徴的です。
しかし、築10年を超えると、下落は緩やかになります。

築20年を超える一戸建て売却の相場

築20年を超える一戸建ては、木造だと価値は限りなくゼロに近づきます。
これは木造家屋の法定耐用年数が、22年と定められていることが影響しているのです。

木造家屋の耐用年数が22年というわけではありません。
税務会計上の基準となっていて、実際の耐用年数とは異なります。

しかし、建物の価値がなくなっても、土地の価値はなくなりません。
安い中古物件を自分好みにリフォームすれば、新築物件よりも安く購入できます。
築25年くらいまでは、需要があるので売れるでしょう。

築50年の一戸建て売却の相場

築20年でほぼ価値がなくなるなら、築20年以上の一戸建ては売却できないのでしょうか。
実は築50年の一戸建てでも、売却は可能です。
建物の価値はゼロなので、土地の価値で価格が算出されます。

築50年だと中古戸建てには分類されず、「古家付き土地」として売り出されます。

しかし、築50年のすべての物件の相場が、価値ゼロと算出されるわけではないのです。
伝統的な工法を使って建てられた古民家は、高く評価される可能性があります。
また、古民家カフェの需要が高い立地の場合、評価の対象となることが考えられます。

一戸建て売却に必要な費用・税金・手数料

不動産売却には、税金や手数料などさまざまな費用がかかります。

一戸建てを売却すると、売却代金が入ります。
しかし、売却代金のすべてが手元に残るわけではありません。

次の表は、不動産売却に必要な費用です。

仲介手数料	（売却額×3％）＋ 60,000円 + 消費税
印紙税	売却金額により400円～60,000円
抵当権抹消登記	5,000円～20,000円ほど
譲渡所得税	保有期間が5年以下なら譲渡所得の39.63% 保有期間が5年超なら譲渡所得の20.315%
住宅ローン完済のための手数料	5,000円～30,000円ほど

売却にかかる費用を事前に把握しておかなければ、急な出費となり慌ててしまいます。
特に売却したお金で住宅ローンを完済する場合には、詳細な金額を算出しておいてください。

仲介手数料とは、売却を依頼した不動産会社に成功報酬として支払うものです。
印紙税は、売買契約書に貼付して納めます。

不動産を売却する場合、抵当権を抹消する必要があります。
抵当権の抹消には住宅ローンの完済が必要で、完済すれば自動的に抵当権は消滅します。
しかし消滅しても登記は別なので、売却するためには抵当権抹登記が必要です。

所有する土地や建物を売却し、得られた利益を「譲渡所得」といいます。
売却金額から、その不動産を購入した金額や売却に必要な費用を差し引いた金額です。
譲渡所得には所得税や住民税がかかり、これらの税金が譲渡所得税です。

住宅ローンを完済するには、残金を支払えば良いというわけではありません。
金融機関によって異なりますが、手数料が必要になるケースが多いです。

このほかにも、次のような費用が必要になることがあります。

一戸建て住宅の査定で見られるポイントは？

一戸建て住宅を売却する際に、査定が必要です。
査定はどこを見られるのかわからないと、不安なだけでなく落ち着かないでしょう。
査定額に納得するためにも、見られるポイントを知っておくことが大切です。

査定では、主に次のポイントを見られます。

築年数

築年数は、査定価格に大きく影響するポイントのひとつです。
古くなるほど価格が下がりますが、特に一戸建ての場合は築10年までは急激に下落します。

築年数が浅いと、高く売れると期待してしまいます。
しかし、売り出す価格が高ければ、購入者は多少高くても新築物件を選ぶでしょう。
そのような事情もあり、築浅物件は驚くほど価格が下がるのです。

立地

ひとことで「立地」といっても、さまざまな角度からチェックされます。
立地とはどのようなことをチェックされるのか、細かく見ていきましょう。

最寄り駅までの距離・環境

最寄り駅までの徒歩時間が短いほど、査定価格が高くなりやすいです。
徒歩圏内に駅がない場合は、駅に向かうバスの利便性やバス停までの距離がチェックされます。

また、駅までの環境も重要です。
交通量が多いのに歩道がなかったり、街灯がなかったりするとマイナス査定となります。

最寄り駅の利便性

複数の路線が利用できる駅、急行や特急、快速などが停車する駅はプラス査定となります。
オフィス街へのアクセスが良い場合や、学校が多い路線などもプラスになるでしょう。

接道状況

建築基準法では、敷地が2m以上道路に接していることが定められています。
救急車や消防車など、緊急車両が入れる広さがあることも重要です。

土地の形状

一戸建ての住宅では、土地と建物の両方の価値によって価格が決まります。
土地の形状は重要な査定ポイントといえるでしょう。

正方形や、正方形に近い長方形の土地はプラスに査定されます。
長細い土地や、細長い旗のような旗竿地は、使いにくいのでマイナス査定となります。
細長い土地や旗竿地は、接道状況にも問題がある場合が多いです。

建物の外観・内装

外観や内装は劣化状況はもちろんですが、形状やグレードなどもポイントとなります。

外壁や屋根

外観は外壁や屋根の状態も重要です。
ひび割れやカビなど、劣化の状態もチェックされます。

築10年以上の物件だと、外壁や屋根の塗装の塗り直しが必要になります。
劣化部分のリフォームができていると、管理状態が良くプラスになるでしょう。

間取り・広さ

個性的な間取りよりも、一般的な間取りのほうが高く評価されることが考えられます。
一般的な間取りのほうが需要が多く、買い手が見つかりやすいためです。

広さは、広ければ広いほどプラスになります。
周辺の物件と比べて明らかに広すぎる場合は、プラスになっても高すぎて売れにくいかもしれません。

水回り

水回りは、清潔感が大切です。
カビが発生していないか、劣化の度合いを見られます。
また、水回りは設備のグレードが高ければ高いほど、プラス査定になります。

外回り

売却準備をする際に、意外と見落としがちなのが外回りです。
庭や玄関周辺は、最初に目に入るのでその家の第一印象となります。
また、家の中とは違い、その家に用がない人にも見える場所です。

散らかっていたり掃除ができていなかったりする程度では、マイナス査定とはなりません。
庭木の枝や雑草が伸び放題で、業者が入って整える必要がある場合はマイナスになるでしょう。

日当たり

日当たりや風通しが良いと、プラス査定になります。
ビルやマンションが隣接している一戸建ては、日当たりや風通しが悪いとマイナス査定になります。

周辺の環境

近くにスーパーやショッピングモールなどの商業施設があると、プラス査定になります。
学校や病院などの公共施設があるかどうかも、重要なチェックポイントです。
また、高圧電線やゴミ処理場、墓地や火葬場など「嫌悪施設」があればマイナス査定です。

公園など緑があり、子供たちが遊べる場所の有無も大切です。
周辺が閑静な住宅地なのか、工場が多い場所なのかといった環境も査定に影響します。
住宅地であっても、空家や廃墟が多ければ環境が良いとは言えません。

一戸建て住宅を高く売却するためのコツを解説

この記事をご覧になっている人は、一戸建てを少しでも高く売却したいと考えている人が多いと思います。
先にご紹介した一戸建てにおける査定のポイントを見て、愕然とされたのではないでしょうか。
査定で見られるポイントには、自分の努力でプラスにできるものがほとんど無いのです。

しかし、諦めるのはまだ早いです。
コツをつかめば、売り出し価格を高くするだけでなく、値引き交渉で安くなることを防げます。
一戸建て住宅を少しでも高く売却するなら、次のことを押さえておきましょう。

物件のアピールポイントを見直す

物件のアピールポイントを見直し、書き出してみてください。
アピールポイントとは、誰が見てもわかることだけでなく、住んでいるからわかることがあります。

上記はほんの一例にすぎませんが、このような小さなことで良いのです。
査定のプラスにはならなくても、内覧で評価が高くなることもあります。
自分にとって小さいことでも、別の人にとっては重要なことかもしれません。

不動産会社の営業担当者はプロなので、良い部分も悪い部分もすべて見ていると思うかもしれません。
分譲マンションでも、お客さんに言われて初めて営業担当者がアピールポイントに気づくこともあります。
一戸建てなら尚更、プロの営業担当者でも気づかないアピールポイントがあるはずです。

また、ご近所トラブルで引っ越す人も少なくはありません。
警察沙汰になるような大きなトラブルだけでなく、小さなトラブルの積み重ねで引っ越しを考える人もいます。

さらに、ゴミ収集場所はマンションだと敷地内にありますが、一戸建ての場合には意外な盲点といえるでしょう。
都市部だと問題ないかもしれませんが、少し田舎だと物件の場所によっては驚くほど遠いことがあります。

玄関周り・水回りをキレイにする

査定や内覧の際には、特に玄関や水回りをキレイに掃除することが大切です。

最初に目に入る玄関周りは、物件の第一印象に影響します。
玄関周りがキレイに整っていると、住んでいる人への安心感や信頼感にもつながるでしょう。

水回りは汚れやすく、浴室はカビにも気をつけなければなりません。
内覧で水回りに清潔感があると、購入したいという気持ちが強まることが考えられます。
逆に清潔感がなければ、ここには住みたくないと思うかもしれません。

一戸建て売買が得意な不動産会社に依頼する

不動産会社はどこも同じだと思いますか？
不動産業務は多岐にわたるため、会社ごとに得意分野や扱う分野が異なります。
一戸建てを売却するなら、一戸建ての売買が得意な不動産会社に依頼しましょう。

一戸建ての売買が得意な不動産会社だと、どのようなメリットがあるのでしょうか。

既存の顧客を抱えている不動産会社もあります。
そこまでは期待できなくても、一戸建て売買の実績が多ければ物件を探す為に訪れる人が多いです。
多くの人の目にとまれば、早く売れる可能性が高まります。

築年数が古い中古物件の場合、リフォームや取り壊しも検討するでしょう。
しかし、リフォームや取り壊しが逆効果になるケースがあります。
地域の特徴や購入層を理解していれば、的確なアドバイスが期待できそうです。

一戸建ての売買が得意ではない不動産会社とはどのような会社なのか、疑問に思われるかもしれません。

上記の不動産会社は、一戸建ての売却には不向きです。
知名度が高くても評判が良くても、一戸建ての売却を得意としない不動産会社はおすすめできません。

一戸建ての住宅売却をスムーズにするには

住宅売却は、できるだけ早く終わらせたいと誰もが願うでしょう。
早く売却したいなら、スムーズに進めていくことが大切です。

スムーズに一戸建てを売却するなら、次のことをしてみてください。

リフォーム履歴があれば書類を準備する

これまでにリフォームした履歴がある場合には、書類を準備しておいてください。
手元にあれば良いですが、取り寄せが必要なら時間がかかります。
スムーズに売却するなら、あらかじめ準備しておくことがおすすめです。

新築で購入した自宅であれば、領収書などを保管していればまとめておきましょう。
中古で購入した場合や、相続で譲り受けた場合には、過去の履歴をたどったり取り寄せるなど、可能な限り準備してください。

雨漏りなどの劣化や不具合をチェックする

売り主には契約不適合責任があるので、劣化や不具合の確認は重要といえます。

一戸建ての場合は、建物の外壁や内装の劣化や不具合についてもチェックが必要です。
引き渡し後に発覚すると、大きなトラブルへと発展しかねません。

建物は築年数の経過によって劣化することは避けられません。
しかし、換気や結露対策などメンテナンスをすることで、建物を良い状態に保つことは可能です。
特に雨漏りやシロアリのトラブルが起きやすいので、チェックをしましょう。

天井や押入れの奥で発生することもあり、気になる場合は専門業者に相談してください。

土地の権利や境界線を確認する

一戸建ての売却では、土地についての確認が必要です。
売却する土地の範囲が明確でなければ、売却後にトラブルが起きかねません。
権利が明確になっているか、隣地との境界は確定しているか、確認しておきましょう。

一括査定を利用する

査定は複数の不動産会社に依頼することが大切です。
1社ずつ依頼するとなると、会社ごとに築年数や広さなどのデータを入力しなければなりません。

そこでおすすめなのが一括査定です。
1回の依頼で、複数の不動産会社に査定してもらえます。

一戸建て住宅の売却を成功させましょう！

一戸建て住宅の築年数ごとの売却相場について解説しました。
また、売却相場に併せて、一戸建てを高く売るためのコツもご紹介しています。
ここで再度、記事の内容をおさらいしてみましょう。

築年数ごとの売却相場

一戸建てを高く売るコツ

一般的には築年数が古くなればなるほど、売却相場は低くなります。
しかし、必ずしも相場通りの価格になるとは限りません。

少しでも高く売却するためには、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。
何度も査定の依頼をするのは時間もかかり、面倒に感じるでしょう。
売却をスムーズに進めるためにも、査定の依頼は一括査定の利用がおすすめです。