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相続した不動産を売却する方法とは?手続きの流れや税金、注意点を詳しく解説

「実家を相続したが、住む予定がない」
「固定資産税や維持費だけがかかりそうで不安だ」

このように、相続した不動産の扱いに悩む人は多い。

相続不動産の売却は、通常の不動産売却と違い、相続登記、遺産分割協議、税金の特例、確定申告などが関係する。特に、期限のある手続きや特例を見落とすと、手元に残る金額が大きく変わるため注意が必要だ。

この記事では、相続した不動産を売却する流れ、費用・税金、使える特例、必要書類、よくあるトラブルを順番に解説する。

まずは「いつまでに何をすべきか」を押さえたうえで、売却方法や税金を確認していこう。

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目次

【相続不動産の売却】最初に確認すべき3つのポイント

相続した不動産を売却する前に、まず確認したいポイントは次の3つだ。

この3つを押さえておくと、「売れると思っていたのに名義変更が終わっていない」「特例の期限を過ぎた」といった失敗を避けやすくなる。

各種手続きの期限

相続不動産には、複数の重要な期限がある。期限を過ぎると、ペナルティが発生したり、税制優遇を受けられなくなったりするため、最初に全体像を確認しておこう。

手続き期限注意点
相続放棄自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内家庭裁判所への申述が必要
相続税の申告・納付被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内遺産総額が基礎控除を超える場合に必要
相続登記不動産を取得したことを知った日から3年以内正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象
取得費加算の特例相続開始日の翌日から、相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日まで一般的には相続開始から約3年10か月以内
空き家の3,000万円特別控除相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで制度の適用期限は2027年12月31日まで
売却後の確定申告原則、売却した翌年の2月16日〜3月15日特例を使う場合も申告が必要

特に相続登記は2024年4月1日から義務化されている。2024年4月1日より前に発生した相続でも、相続登記が済んでいない場合は義務化の対象になるため注意しよう。

相続税や譲渡所得税の特例は、売却時期によって使えるかどうかが変わる。売却を急ぐ前に、期限を一覧で確認しておくことが大切だ。

相続登記(名義変更)が必要なタイミング

相続登記とは、故人名義の不動産を相続人の名義に変更する手続きのことだ。

相続登記が済んでいなくても売却の相談や査定はできるが、買主へ所有権移転登記をするには、原則として相続登記を完了させておく必要がある。登記上の所有者が故人のままでは、買主へ名義を移せないためだ。

相続登記は、対象不動産を管轄する法務局で申請する。主な必要書類は以下の通りだ。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 遺産分割協議書または遺言書
  • 固定資産評価証明書
  • 登記申請書

必要書類は、遺産分割協議による相続なのか、法定相続なのか、遺言による相続なのかで変わる。詳しくは後述の「相続した不動産の売却に必要な書類」で確認してほしい。

共有名義の場合は全員の同意が必要

相続により複数の相続人が共有名義で不動産を所有している場合、不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要だ。

一人でも反対する共有者がいると、原則として不動産全体の売却はできない。相続人が多い、連絡先がわからない、売却価格への考え方が違うといったケースでは、話し合いが長期化しやすい。

  • 不動産全体を売る
    共有者全員の同意が必要
  • 自分の共有持分だけを売る
    他の共有者の同意は不要だが、買い手が限られ価格も下がりやすい
  • 共有状態を解消する
    遺産分割協議や共有物分割の話し合いが必要になることがある

売却を検討するなら、査定を取る前後の段階で、共有者全員に売却方針を共有しておこう。

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相続した不動産の売却方法4つ

相続した不動産を現金化する方法は、大きく分けて4つある。

方法特徴向いているケース
仲介で売る市場で買主を探す。高く売れる可能性があるが、時間はかかりやすい時間をかけても高く売りたい
買取で売る不動産会社に直接売る。早く現金化しやすいが、価格は仲介より低くなりやすい早急に現金化したい
共有持分だけ売る自分の持分だけ売る。全体売却より買い手が限られる共有者の同意が得られない
貸す・保有する売却せずに活用する。維持費や管理の負担も続く将来的に使う予定がある、収益化したい

「高く売りたい」のか、「早く現金化したい」のか、「将来的に使う可能性がある」のかによって、選ぶべき方法は変わる。

仲介で売る

仲介は、高く売りたい人に向いている一般的な売却方法だ。不動産会社に買主を探してもらい、市場で売却する。

買主を探す期間が必要なため、物件の立地や価格設定によっては数か月かかることもある。一方で、需要のあるエリアや状態の良い物件なら、買取より高く売れる可能性がある。

時間に余裕があり、できるだけ高く売りたい人は、まず仲介を検討しよう。

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買取で売る

買取は、早く売りたい人に向いている方法だ。不動産会社が直接買主になるため、売却活動や内覧対応の負担を抑えやすい。

ただし、買取価格は仲介で売る場合より低くなりやすい。相続税の納付期限が迫っている、遠方で管理が難しい、建物の状態が悪いなど、スピードを優先したい場合に検討しよう。

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共有持分だけ売る

共有者の同意が得られない場合、自分の共有持分だけを売却する方法もある。

ただし、共有持分だけでは買主が自由に不動産全体を使えないため、買い手が限られ、価格も大きく下がりやすい

共有者間で話し合いが難しい場合の最終手段として考えよう。

貸す・保有する

売却せずに賃貸に出したり、そのまま保有したりする選択肢もある。

ただし、固定資産税、火災保険料、修繕費、管理の手間はかかり続ける。空き家のまま放置すると、建物の劣化や近隣トラブル、管理不全空家等・特定空家等に関する行政上のリスクもある。

長期的なコストとリターンを比較して判断しよう。

\売却方法を決める前に/

相続した不動産を売却する流れ

相続した不動産の売却は、相続人の確定、遺産分割協議、相続登記、売却活動、確定申告の順で進める。

状況によって期間は変わるが、全体の流れを先に把握しておくと、必要書類や期限の見落としを防ぎやすい。

STEP内容目安
遺言書の確認・相続人の確定数週間〜数か月
遺産分割協議・相続登記数か月
査定・売却準備1〜2か月
売却活動〜売買契約数か月
決済・引渡し・確定申告売買契約後1〜2か月が目安

【STEP①】遺言書の確認・相続人の確定

相続が発生したら、まず遺言書の有無を確認する。遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って手続きを進める。

遺言書の確認

公正証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要だ。自筆証書遺言は原則として家庭裁判所で検認を受ける必要があるが、法務局の自筆証書遺言書保管制度で保管されているものは検認不要となる。

封印のある遺言書を自宅で見つけた場合、家庭裁判所外で開封してはいけない。検認前に開封した場合、5万円以下の過料の対象になる可能性がある。

相続人の確定

遺言書の確認と並行して、誰が相続人になるのかを確定する。基本となるのは、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本等の取得だ。

戸籍を確認することで、配偶者、子ども、代襲相続人など、法定相続人の範囲を確認できる。相続人の漏れがあると、後の遺産分割協議や売却手続きがやり直しになることもあるため注意しよう。

【STEP②】遺産分割協議・相続登記

相続人が確定したら、誰がどの財産を引き継ぐかを決める。相続人が複数いて、遺言書の内容だけで分け方が決まらない場合は、遺産分割協議を行う。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議では、相続人全員で財産の分け方を話し合う。合意内容をまとめた書面が「遺産分割協議書」だ。

不動産を売却して現金で分ける場合は、後のトラブルを防ぐため、換価分割を目的として不動産を売却し、売却代金から諸費用を差し引いた残額を誰がどの割合で取得するかを明記しておくとよい。

相続登記(名義変更)

遺産分割の方針が決まったら、速やかに相続登記を行う。2024年4月1日以降、相続登記は義務化されており、正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料の対象となる。

売却を進める場合、遅くとも決済・引渡しまでには相続登記を完了させておく必要がある。

【STEP③】査定・売却準備

相続登記の準備と並行して、不動産会社に査定を依頼し、売却価格の目安を確認する。

査定は原則無料で行えるが、1社だけでは適正価格か判断しにくい。複数社に査定を依頼し、査定額だけでなく根拠も比較しよう。

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媒介契約の種類

不動産会社に仲介を依頼する場合は、媒介契約を締結する。主な違いは以下の通りだ。

契約種類依頼社数自己発見取引レインズ登録報告義務
専属専任媒介1社のみ不可5日以内1週間に1回以上
専任媒介1社のみ可能7日以内2週間に1回以上
一般媒介複数社可能義務なし義務なし

売却活動を任せる会社を1社に絞り、報告を受けながら進めたい場合は専属専任または専任媒介が向いている。複数社に広く依頼したい場合は一般媒介を検討しよう。

【STEP④】売却活動〜売買契約

媒介契約を結ぶと、不動産会社による売却活動が始まる。インターネット広告、チラシ、内覧対応などを通じて購入希望者を探す。

購入希望者が現れたら、価格、引渡し時期、残置物の扱い、契約不適合責任の範囲などをすり合わせる。条件に合意したら売買契約を締結する。

売買契約と手付金

売買契約時には、買主から売主へ手付金が支払われることが多い。金額は契約ごとに異なるが、売買価格の5〜10%程度を目安に設定されるケースがある。

  • 買主都合で手付解除する場合
    買主が手付金を放棄する
  • 売主都合で手付解除する場合
    売主が手付金の倍額を現実に提供する

契約後のキャンセルは金銭的な負担につながるため、条件をよく確認してから契約しよう。

【STEP⑤】決済・引渡し・確定申告

売買契約後、残代金の支払いと同時に鍵や書類を引き渡す。司法書士が所有権移転登記などの手続きを行い、名義が買主へ移る。

不動産の引渡しが終わっても、売主側には確定申告が残る。売却して利益が出た場合や、税金の特例を使う場合は、原則として確定申告が必要だ。

確定申告の期間は、原則として売却した翌年の2月16日から3月15日まで。ただし、年によって土日祝日の関係で期限が変わることがあるため、国税庁や税務署で確認しよう。

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相続した不動産の売却にかかる費用

相続不動産を売却するときは、売却価格だけでなく、差し引かれる費用も確認しておく必要がある。費用を見落とすと、想定より手元に残る金額が少なくなるためだ。

必ず確認したい費用

費用概要目安・注意点
仲介手数料不動産会社に支払う報酬売却価格が400万円超の場合、上限は「売却価格×3%+6万円+消費税」。800万円以下の空き家等は別上限となる場合あり
印紙税売買契約書に貼る収入印紙1,000万円超〜5,000万円以下の契約は、軽減措置中は1万円
登記費用抵当権抹消、住所変更登記など登録免許税と司法書士報酬が発生する場合がある
相続登記費用相続による名義変更登録免許税は原則「固定資産税評価額×0.4%」

たとえば3,000万円で売却した場合、通常の仲介手数料の上限は105万6,000円(税込)だ。

印紙税は売買契約書の記載金額によって変わる。軽減措置の対象期間や金額区分は変わる可能性があるため、契約時に最新情報を確認しよう。

状況によってかかる費用

相続不動産では、境界が曖昧、家財が残っている、建物が古いといった理由で追加費用が発生することがある。

費用発生しやすいケース注意点
測量費用隣地との境界が不明確な土地土地の広さ・形状・隣地所有者の数で変わる
解体費用古家を解体して更地で売る場合構造、広さ、立地、アスベスト対応の有無で大きく変わる
ハウスクリーニング内覧前に印象を整えたい場合必須ではないが、売却活動に影響することがある
残置物処分費家具・家電・遺品が残っている場合量が多いと高額になりやすい。現状渡しにできるか確認

これらの費用は物件ごとの差が大きい。売却前に不動産会社へ相談し、必要な対応だけ見積もりを取るとよい。

ローン残債・抵当権がある場合

相続した不動産に住宅ローンが残っている場合は、売却前にローン残高と団体信用生命保険(団信)の有無を確認しよう。

被相続人が団信に加入していた場合、保険金でローンが完済されることがある。ただし、契約内容や免責事項、手続きの状況によって扱いが変わるため、必ず金融機関へ確認する必要がある。

団信で完済されない場合は、相続人がローンを引き継ぐ可能性がある。売却代金でローンを完済できない場合、差額を自己資金で補う必要があるため、早めに残高を確認しておこう。

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相続した不動産の売却でかかる税金

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して税金がかかる。相続時の税金と売却時の税金は別物なので、分けて理解しておこう。

税金の全体像

税金発生時期概要
相続税相続時正味の遺産額が基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超える場合に申告・納付が必要
登録免許税相続登記時相続による所有権移転登記は原則「固定資産税評価額×0.4%」
所得税売却後譲渡所得に対して課税。長期15%、短期30%
住民税売却後譲渡所得に対して課税。長期5%、短期9%
復興特別所得税売却後所得税額に2.1%を上乗せ。2037年分まで

相続税と登録免許税は、売却するかどうかに関係なく発生する可能性がある。一方、売却後の所得税・住民税・復興特別所得税は、売却益が出た場合に発生する。

所有期間で税率が変わる

譲渡所得にかかる税率は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで変わる。

区分所有期間の判定税率
長期譲渡所得売却した年の1月1日時点で5年超20.315%
所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%
短期譲渡所得売却した年の1月1日時点で5年以下39.63%
所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%
重要

相続した不動産の所有期間は、亡くなった方(被相続人)が取得した日を引き継いで計算する。相続した日から5年を数えるわけではない。

「売却した年の1月1日」時点で判定する点に注意

たとえば、2020年4月1日に取得した物件を2025年4月2日に売却した場合、売却日では5年を超えていても、2025年1月1日時点では5年以下のため短期譲渡所得になる。長期・短期の判断に迷う場合は、税務署や税理士へ確認しよう。

譲渡所得の計算

税金は売却価格そのものではなく、売却によって得た利益にかかる。譲渡所得は以下の式で計算する。

課税譲渡所得 = 売却価格 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額

  • 取得費:購入代金や購入時の手数料など。建物は減価償却費相当額を差し引く
  • 譲渡費用:売却のために直接かかった仲介手数料、測量費、印紙税、取壊し費用など
  • 特別控除額:空き家の3,000万円特別控除、マイホーム3,000万円特別控除など

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取得費が不明な場合

相続した不動産では、購入時の売買契約書が見つからず、取得費がわからないことがある。その場合、売却価格の5%相当額を取得費として計算できる。

ただし、実際の取得費の方が高ければ税金を抑えられる可能性がある。売買契約書、領収書、住宅ローン関係書類、登記関係書類などをできるだけ探しておこう。

一定の要件を満たせば、譲渡所得を減らせる特例を使える可能性がある。次の章で確認しよう。

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相続した不動産の売却に使える特例

相続不動産の売却では、税金の特例を使えるかどうかで手元に残る金額が大きく変わる。

まずは、どの特例を確認すべきかを整理しよう。

特例主な対象効果
取得費加算の特例相続税を納めた人相続税の一部を取得費に加算できる
空き家の3,000万円特別控除被相続人が一人で住んでいた一定の家屋など譲渡所得から最大3,000万円を控除
マイホームの特例相続人自身が住んでいた家3,000万円控除や10年超所有軽減税率を検討できる

特例選びの簡易チェック

Q1. 相続税を支払いましたか?

Q2. 相続した家は、相続開始直前まで被相続人が一人で住んでいた旧耐震の一戸建てですか?

Q3. 相続した家に、あなた自身が住んでいましたか?

  • はい → マイホームの特例を確認
  • いいえ → 特例の対象外の可能性がある。必要書類や通常の税金を確認しよう

①取得費加算の特例【相続税を納めた人向け】

  • 期限:相続開始日の翌日から、相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日まで

取得費加算の特例は、相続税を納めた人が相続財産を一定期間内に売却した場合に、納めた相続税の一部を取得費に加算できる制度だ。

取得費が増えると譲渡所得が減るため、結果として譲渡所得税・住民税の負担を軽くできる。

適用条件

対象者相続または遺贈により財産を取得し、相続税が課税された人
期限相続開始日の翌日から、相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡すること
手続き確定申告で必要書類を添付すること

取得費に加算できる金額

取得費に加算できる相続税額は、譲渡した財産ごとに計算する。基本的な考え方は以下の通りだ。

取得費に加算する相続税額 = その人の相続税額 × 売却した財産の相続税評価額 ÷ その人の相続税の課税価格の計算基礎となった財産額等

計算はやや複雑なため、相続税を納めていて不動産売却益が出そうな場合は、税理士に試算してもらうと安心だ。

利用時の注意点

  • 空き家の3,000万円特別控除とは併用できない
    同じ不動産について両方の要件を満たす場合は、有利な方を選ぶ必要がある。
  • 期限を過ぎると適用できない
    遺産分割協議が長引く場合は、売却スケジュールに注意する。

②空き家の3,000万円特別控除【相続した実家が空き家の場合】

  • 期限:相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ2027年12月31日まで

空き家の3,000万円特別控除は、被相続人が住んでいた一定の家屋や敷地を相続し、要件を満たして売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度だ。

ただし、対象となる家屋や売却方法には細かい条件がある。

主な適用条件

建物昭和56年5月31日以前に建築された家屋
区分所有区分所有建物登記がされていないこと(マンションは原則対象外)
居住要件相続開始直前に被相続人以外の居住者がいなかったこと
利用状況相続後、事業・貸付・居住の用に供されていないこと
売却期限相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
売却価格1億円以下
耐震・取壊し耐震基準を満たす、または取壊し等の要件を満たすこと
  1. 被相続人が要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所していた場合でも、一定条件を満たせば対象になることがある。
  2. 令和6年1月1日以後の譲渡では、買主が譲渡日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修または取壊し等を行った場合も対象になることがある。

節税効果のシミュレーション

たとえば、長期譲渡所得に該当し、売却益が2,800万円出た場合を見てみよう。

特例なし特例あり
課税される利益2,800万円0円
(全額控除)
税額の目安約569万円
(20.315%で計算)
0円

要件を満たせば、税負担を大きく抑えられる可能性がある。ただし、相続人が3人以上の場合、令和6年1月1日以後の譲渡では控除額の上限が1人あたり2,000万円になる点に注意しよう。

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利用時の注意点

  • 確定申告が必須
    税額が0円になる場合でも、特例を使うには確定申告が必要。
  • 市区町村の確認書が必要
    「被相続人居住用家屋等確認書」の取得に時間がかかることがある。
  • 取得費加算の特例との併用不可
    両方に該当する場合は、どちらが有利か試算する。

③【該当者のみ】居住用財産(マイホーム)として売る場合の特例

相続した実家に相続人自身が住んでいた場合は、空き家特例ではなく、マイホームを売ったときの特例を検討できる場合がある。

3,000万円特別控除(マイホーム特例)

自分が住んでいた家を売る場合、要件を満たせば所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる。

対象自分が住んでいる家、または住まなくなってから一定期間内の家など
控除額最高3,000万円
手続き確定申告が必要

10年超所有軽減税率

売却した年の1月1日時点で、家屋や敷地の所有期間が10年を超える居住用財産を売却する場合、一定の要件を満たせば軽減税率を使える。

対象売却年の1月1日時点で所有期間が10年超の居住用財産
税率課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分:14.21%
併用マイホーム3,000万円特別控除と併用できる

相続した家に自分が住んでいた場合は、空き家特例ではなくマイホーム特例の方が該当する可能性がある。判断に迷う場合は、税理士や税務署に確認しよう。

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相続した不動産の売却に必要な書類

相続不動産の売却は、相続登記売却手続きの2段階で進む。必要書類は段階ごとに異なるため、早めに準備しよう。

相続登記に必要な書類

相続登記では、被相続人と相続人の関係を証明する書類が中心となる。代表的な書類は以下の通りだ。

書類主な目的
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等相続人を確定する
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票登記簿上の住所とのつながりを確認する
相続人の戸籍謄本相続人が現在も存在することを確認する
不動産を取得する相続人の住民票新しい名義人の住所を確認する
遺産分割協議書協議で不動産の取得者を決めたことを証明する
相続人全員の印鑑証明書遺産分割協議書の押印を確認する
遺言書遺言に基づいて相続登記する場合に必要
固定資産評価証明書登録免許税を計算する
登記申請書法務局へ提出する申請書

法定相続分で登記する場合、遺産分割協議書や印鑑証明書が不要になることもある。遺言書による登記では必要書類が変わるため、管轄の法務局や司法書士に確認しよう。

なお、法務局で保管されていない自筆証書遺言は、原則として家庭裁判所の検認が必要だ。

売却手続きに必要な書類

売却手続きでは、不動産の権利関係、物件情報、本人確認に関する書類が必要になる。

書類必要になる場面
登記事項証明書権利関係や物件情報の確認
登記済権利証または登記識別情報決済・所有権移転時
本人確認書類売主本人の確認
実印・印鑑証明書売買契約・登記手続き
固定資産税納税通知書固定資産税の精算や評価額の確認
購入時の売買契約書・重要事項説明書取得費の確認、物件情報の確認
土地測量図・境界確認書土地・戸建ての売却時
建築確認済証・検査済証戸建て売却時
管理規約・使用細則マンション売却時
ローン残高証明書ローンが残っている場合

ケース別に追加になる書類

  • 空き家の3,000万円特別控除を使う場合
    被相続人居住用家屋等確認書、耐震基準適合証明書、売買契約書の写し、登記事項証明書など
  • 成年後見人が売却する場合
    本人の居住用不動産を売却するケースなどでは、家庭裁判所の許可が必要になる場合がある
  • 共有者に連絡がつかない場合
    不在者財産管理人など家庭裁判所の手続きが必要になることがある

必要書類は物件や相続の状況によって変わる。査定依頼の段階で、不動産会社に不足書類を確認しておこう。

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相続不動産の売却でよくあるトラブル5選と回避策

相続した不動産の売却では、通常の不動産売却よりも相続人間の合意や書類準備でトラブルが起きやすい。

①共有名義|一人の反対で売却できないことがある

共有名義の不動産全体を売却するには、共有者全員の同意が必要だ。一人でも反対する共有者がいると、原則として全体売却はできない。

自分の共有持分だけを売ることはできるが、買主が限られ、価格も下がりやすい。まずは共有者全員で売却方針、売却価格、費用負担、分配方法を話し合おう。

②換価分割|代金を分ける方法を明記していない

換価分割とは、相続した不動産を売却して現金化し、相続人で分ける方法だ。

特定の相続人が単独で不動産を相続登記し、売却後に代金を分配する場合、遺産分割協議書に内容を明記していないと、分配が贈与とみなされるリスクがある。

  • 換価分割を目的として、特定の相続人が不動産を取得すること
  • 売却代金から諸費用を差し引いた残金を、決められた割合で各相続人が取得すること

換価分割を選ぶ場合は、司法書士や税理士に協議書の内容を確認してもらうと安心だ。

③契約不適合責任|売却後の欠陥でトラブルになる

相続物件は、売主である相続人が建物の状態を把握しきれていないことが多い。

売却後に雨漏り、シロアリ被害、設備故障などが見つかると、契約不適合責任を問われる可能性がある。

  • 知っている範囲で建物の状態を正直に告知する
  • 必要に応じてインスペクション(建物状況調査)を行う
  • 契約書で責任の範囲や期間を明確にする

「知らなかったから大丈夫」と考えず、不動産会社と相談しながらリスクを整理しておこう。

④残置物|大量の荷物で売却が進みにくい

実家を相続した場合、家具、家電、衣類、書類、仏壇などが残っていることが多い。

残置物が多いと内覧時の印象が悪くなり、買主から撤去を求められることもある。売却活動を始める前に、以下のどちらで進めるか決めておこう。

  • 売却活動前に撤去・整理する
  • 現状渡し(残置物あり)で対応できる買主や買取業者を探す

遺品整理は相続人間の感情的なトラブルにもつながりやすいため、処分前に共有者全員で方針を確認しておくことが大切だ。

⑤境界|隣地との境界が曖昧だと売却条件に影響する

古い戸建てや土地では、境界標が見当たらない、ブロック塀の位置がずれている、隣地所有者と認識が違うといった問題が起こることがある。

境界が未確定の土地は、買主が不安を感じやすい。売買契約の条件として、引渡しまでに測量や境界確認を求められることもある。

測量には時間がかかる場合があるため、土地や戸建てを売る場合は早めに不動産会社へ相談しよう。

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相続した不動産を高く売却するためのポイント

相続不動産をできるだけ有利に売るには、価格だけでなく、不動産会社の対応力や売却戦略を比較することが重要だ。

複数社査定で「価格と根拠」を比較する

相続不動産を高く売却するためには、複数の不動産会社に査定を依頼しよう。

査定額だけを見て選ぶと、売り出し後に値下げが続いたり、売却が長期化したりすることがある。比較すべきポイントは以下の通りだ。

  • 査定額の根拠が具体的か
  • 周辺の成約事例を示してくれるか
  • 相続不動産や空き家の売却経験があるか
  • 売却前に必要な測量・残置物処分・解体の判断を相談できるか
  • 担当者の連絡や説明がわかりやすいか

一括査定サイトの使いどころ

複数社に査定依頼する際に便利なのが、不動産一括査定サイトだ。一度入力するだけで、複数の不動産会社へ査定依頼できる。

一括査定サイトのメリット

  • 複数社の査定額を比較しやすい
  • 地域に対応する不動産会社を探しやすい
  • 無料で利用できる
  • 忙しい人でも査定依頼の手間を減らせる

向いている人
相場がわからない人、複数社の意見を聞きたい人、遠方の相続不動産を売りたい人

向いていない人
すでに信頼できる不動産会社がある人、複数社からの連絡を避けたい人

おすすめの不動産一括査定サイト

不動産一括査定サイトは各種ある。ここでは代表的な3サイトを紹介する。

リビンマッチ

リビンマッチは、2006年にサービスを開始した不動産一括査定サイトだ。全国の不動産会社が参加しており、売却査定のほか、土地活用や賃貸管理など幅広いサービスを扱っている。

リビンマッチの強み
  • 大手から地域密着型まで幅広い不動産会社に査定依頼しやすい
  • マンション、土地、戸建てなど様々な物件種別に対応
  • 入力フォームがシンプルで依頼しやすい

相続不動産の売却で、地域に対応する会社を比較したい方に適したサービスである。

\全国認知度・今後利用したい不動産査定サイト 6年連続No.1/

※2025年9月19日-23日 「サイト評価に関する調査」より

HOME4U

HOME4Uは、NTTデータ・ウィズが運営する不動産売却一括査定サイトだ。2001年に開始されたサービスで、全国約2,500社の不動産会社から最大6社に一括査定を依頼できる。

HOME4Uの強み
  • NTTデータグループ会社が運営
  • 全国約2,500社から最大6社に査定依頼可能
  • 不動産売却が初めての人にも利用しやすい

大手運営会社の安心感を重視したい方に向いている。

不動産売却一括査定「イエウール」

イエウールは、マンション、戸建て、土地などの不動産売却を検討する人向けの一括査定サイトだ。物件情報を入力すると、条件に合う不動産会社へ査定依頼できる。

イエウールの強み
  • 最大6社に査定依頼できる
  • 戸建て、マンション、土地などに対応
  • スマホやPCから申し込みやすい

複数の不動産会社を比較したい方に適したサービスだ。

\月間利用者数33突破!最大6社と比較できる/

※2025年1月現在「不動産の一括査定サイトに関するランキング調査」より
(株)東京商工リサーチ調べ

まとめ

相続不動産の売却では、通常の不動産売却よりも、名義変更、相続人間の合意、税金の特例、確定申告が重要になる。

  • 期限を把握する
    相続放棄、相続税申告、相続登記、税制特例の期限を最初に確認する
  • 相続登記を進める
    買主へ所有権移転するには、原則として相続登記が必要
  • 共有者の同意を得る
    共有名義の場合、不動産全体の売却には全員の同意が必要
  • 特例を確認する
    取得費加算、空き家3,000万円控除、マイホーム特例で税負担を軽減できる可能性がある
  • 複数社に査定を依頼する
    査定額と根拠を比較し、相続不動産の売却に強い会社を選ぶ

まずは相続人や名義の状況を整理し、期限を確認したうえで、売却価格の目安を把握しよう。早めに動くほど、税金やトラブルを避けながら売却を進めやすくなる。

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相続物件の売却を検討しているなら、まず相場を確認してみよう。

相続した不動産の売却に関するよくある質問

相続人が複数人の場合、相続した不動産はどのように分割する?

相続人が複数いる場合、不動産の分割方法には主に以下の4つがある。

  1. 共有
    不動産を複数人で共有し、持分割合を設定する。売却には原則として全員の同意が必要
  2. 現物分割
    不動産を物件ごとに分けて単独所有する。不動産が複数ある場合に検討しやすい
  3. 代償分割
    特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人へ代償金を支払う。代償金を用意できる資力が必要
  4. 換価分割
    不動産を売却して現金化し、相続人で分配する。公平に分けやすいが、売却まで時間がかかることがある

不動産は、相続前と相続後のどちらで売却すべき?

多くのケースでは、相続後に売却する流れが一般的だ。相続後であれば、相続財産として評価し、相続登記や遺産分割協議を経て売却できる。

ただし、相続前の売却が向いているケースもある。たとえば、所有者本人が元気なうちに現金化しておきたい場合や、相続人間の争いを避けたい場合などだ。

税金や家族関係によって有利不利が変わるため、迷う場合は税理士や司法書士、不動産会社に相談しよう。

相続登記が終わっていないと売れない?

査定依頼や売却相談はできるが、買主へ所有権移転登記をするには、原則として相続登記を完了させておく必要がある。

登記上の所有者が故人のままでは、買主へ名義を移せないためだ。売却を検討しているなら、早めに相続登記の準備を進めよう。

共有者の1人が反対・連絡がつかない場合は?

共有者全員の同意が得られない場合、不動産全体の売却は原則としてできない。

選択肢としては、粘り強く交渉する、家庭裁判所の調停を利用する、自分の共有持分のみを売却する、不在者財産管理人の選任を検討するなどがある。

共有者との対立や所在不明者がいる場合は、弁護士や司法書士に相談しよう。

空き家3,000万円特例に必要な証明書類は?

主な書類は、被相続人居住用家屋等確認書、売買契約書の写し、登記事項証明書、耐震基準適合証明書または取壊しを確認できる書類などだ。

必要書類は売却方法や耐震改修・取壊しの有無によって変わる。確認書の発行には時間がかかることがあるため、早めに市区町村へ相談しよう。

取得費が分からないときはどうする?

取得費が不明な場合は、売却価格の5%相当額を取得費として計算できる。

ただし、実際の取得費の方が高ければ税金を抑えられる可能性がある。売買契約書、領収書、住宅ローン契約書、不動産取得税の通知書などを探してみよう。

資料が見つからない場合でも、判断に迷うときは税理士に相談することをおすすめする。

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相続物件の売却を検討しているなら、まず相場を確認してみよう。

出典

法務省「相続登記の申請義務化について」
裁判所「相続の放棄の申述」
裁判所「遺言書の検認」
法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」
国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」(更新日:2025年4月1日)
国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」
国土交通省「『空家法』と『2023改正空家法』」
東日本不動産流通機構「媒介契約制度」
国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の改正」(施行日:2024年7月1日)
e-Gov法令検索「民法」
リビンマッチ「不動産一括査定・売却はリビンマッチ」
リビン・テクノロジーズ「『リビンマッチ』が全国認知度・今後利用したい不動産査定サイト6年連続No.1に輝きました!」(公開日:2025年10月9日)
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