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土砂災害特別警戒区域の家は売却できる?売れないと言われる理由とレッドゾーンの3つの売り方

この記事でわかること
  • レッドゾーンでも売却できる理由
  • 区域と建物の重なりの調べ方
  • 3つの売り方と手取りの比べ方
  • 告知義務と住宅ローンの扱い

土砂災害特別警戒区域、いわゆる「レッドゾーン」にある家や土地も売却できます。

区域に指定されたことだけを理由に、既存の家や土地の通常売買が禁止されるわけではありません。ただし、一定の開発や建築には規制があるため、一般的な物件と同じ価格や期間で売れるとは限りません。

値下げや解体を考える前に、次の3点を確認してください。

  1. 区域
    • 敷地と建物のどこまでイエローゾーン・レッドゾーンが重なるか
  2. 建物
    • 建築時期と区域指定時期、確認済証・検査済証などの資料が残っているか
  3. 買主の使い方
    • 今の家に住むのか、建て替え・増改築・開発を考えているのか

この3点をそろえてから、現況のまま仲介で売る、必要な対策をしてから仲介で売る、不動産会社へ直接売る、という3つの方法を比べます。そうすれば、「レッドゾーンだから何割引」という根拠のない査定も見分けやすくなります。

斜面や擁壁に異常がある場合は、査定より安全確認を優先してください。

新しい亀裂・膨らみ・傾きがある、水がにじんでいる、行政から指導を受けている場合は、査定を急がないでください。大雨や地震の直後は斜面や擁壁に近づかず、自治体の避難情報に従って安全な場所へ移動し、土砂災害・建築の担当部署へ連絡します。

この記事では、レッドゾーンとイエローゾーンの違い、区域の調べ方、価格の考え方、3つの売り方、告知義務と住宅ローンの扱いを順に説明します。

\6年連続 不動産査定サイト認知度No.1/

※2025年9月19日-23日 株式会社マーケティング アンド アソシェイツ「サイト評価に関する調査」より

目次

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)でも、家と土地の売買は禁止されていない

土砂災害防止法には、2種類の区域があります。土砂災害警戒区域(イエローゾーン)と、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)です。レッドゾーンは、イエローゾーンのうち、土砂災害が起きたときに建物が壊れ、住民の生命や身体に著しい危害が生じるおそれがある区域を指します(同法第7条・第9条)。

レッドゾーンは、一部の地域だけに限られた区域ではありません。2026年6月30日時点で、全国の土砂災害警戒区域721,014区域のうち、621,287区域が土砂災害特別警戒区域に指定されています。

この法律がレッドゾーンで規制しているのは、主に一定の開発行為と、居室を有する建物の構造です。すでに建っている家や土地を通常売買する行為そのものではありません。

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)の家も売却できる?レッドゾーンとの違い

項目土砂災害警戒区域
イエローゾーン
土砂災害特別警戒区域
レッドゾーン
区域の意味土砂災害により、住民の生命・身体に危害が生じるおそれがある区域イエローゾーンのうち、建物が壊れて著しい危害が生じるおそれがある区域
主な制度避難体制の整備、ハザードマップによる周知など左記に加え、一定の開発行為の許可、建物の構造規制、移転などの勧告
売買そのもの禁止されていない禁止されていない
建築・開発への影響区域指定だけを理由に、レッドゾーンと同じ構造規制がかかることはない。ほかの法令は別に確認する用途や工事内容により、特定開発行為の許可や、居室を有する建物の構造基準への適合が必要
売却時の説明宅地建物取引業者が、区域内であることを重要事項として説明する区域内であることに加え、取引に関係する開発・建築上の制限も確認する

「イエローゾーンなら普通に売れる」「レッドゾーンなら売れない」という二択ではありません。

区域の色は、調べ始める手がかりです。実際の売りやすさは、区域が建物に重なるか、今の建物を説明できる資料があるか、買主が将来どう使いたいかで変わります。

レッドゾーンの規制は「売買」ではなく、特定開発行為と建築にかかる

レッドゾーンにある既存の住宅や土地をそのまま売るだけなら、土砂災害防止法第10条の許可は要りません。

同条が許可の対象にしているのは、分譲住宅や賃貸住宅、社会福祉施設・学校・医療施設などを建てるための一定の造成・開発です。法律ではこれを「特定開発行為」と呼び、開発する人が自分で住むための住宅は、許可が必要な用途(制限用途)から除かれています。

ただし、土地を開発して分譲する事業になると、扱いが変わります。必要な開発許可を受ける前は、宅建業者による広告や売買契約に制限がかかる場合があります(宅地建物取引業法第33条・第36条)。「売買できる」という結論は、開発事業に必要な許可の時期まで省略できるという意味ではありません。

「自宅なら何を建てても自由」でもありません。レッドゾーン内で居室を有する建物を新築・増改築するときは、建築基準法施行令第80条の3などに適合する構造が必要です。建築確認の対象となる工事では、その適合も審査されます。

同条では、外壁などで建物自体を強くする方法のほか、一定の耐力をもつ門や塀を配置して建物を守る方法も定めています。すべての建物を一律に鉄筋コンクリート造にするという規定ではありません。区域図に示された土石などの力や高さ、建物の配置に応じて設計します。

売却時に調べるのは、「今の建物を使えるか」と「買主が希望する建物を将来建てられるか」の2つです。同じ土地でも、買主の用途や工事内容が変われば、必要な許可や構造の条件も変わります。

\ 売却の見通しと価格を、査定で確認 /

レッドゾーンの家が売れるかどうかは、区域と建物の重なり方と資料で変わる

区域に入っているという事実だけでは、売却の難しさは決まりません。敷地の隅だけが区域に入る物件と、建物全体が重なる物件では、買主が確認する内容が変わります。

スクロールできます
物件の状態売却の見通し次に確認すること
イエローゾーンのみ通常の仲介を検討しやすい
ただし、災害リスクの説明は必要
正式な区域図
避難場所・経路
被災・修繕歴
ほかの法令による区域
レッドゾーンが敷地の一部だけで、建物には重ならない仲介で売れる余地がある
敷地利用への影響は買主の計画で変わる
レッド部分の面積と位置
建て替え時の配置
造成や擁壁の条件
レッドゾーンが建物に重なり、建築・構造の資料がある買主や金融機関へ判断材料を示しやすい指定時期
確認済証・検査済証
設計図・構造計算書
改修履歴
レッドゾーンが建物に重なるが、指定前の建物、または資料が足りない直ちに違法・売却不可とはいえないが、買主が判断しにくい指定前に建てられた建物の扱い
増改築歴と安全性
再建築の条件
被災、行政対応、安全上の異常がある価格査定より、安全確認と事実の整理が先応急対応と行政文書
被災・修繕の記録
斜面・擁壁の所有者と管理範囲

区域指定より前に建てた家は「既存不適格」として扱われることがある

区域指定より前から適法に建っていた家は、指定後の構造基準に合わない部分があっても、それだけで直ちに違反建築物になるわけではありません。

建てたときは適法だったのに、その後の法改正や区域指定で現在の基準に合わなくなった建物を「既存不適格」と呼びます。ただし、既存不適格は現在の安全性を保証する言葉ではありません。要件を満たせば、土砂災害対策改修事業や、がけ地近接等危険住宅移転事業などの支援対象になる場合があります。制度の実施、補助内容、申請時期は自治体や年度によって異なります。

また、指定後に無断で増築した場合や、建てたときから別の違反があった場合は話が変わります。「古い家だから既存不適格だろう」と自分で決めず、建築時期、指定時期、増改築の履歴を並べて確認してください。

土砂災害警戒区域・特別警戒区域の調べ方

インターネットの地図は、区域を調べる入口です。境界の近くにある物件では、画面の縮尺や表示のずれで判断が変わるため、最後は都道府県が公示した最新の区域図で確かめます。

ハザードマップポータルサイトで、土砂災害警戒区域のおおよその位置をつかむ

国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」では、土砂災害警戒区域などを地図に重ねて見られます。

最初の把握には便利ですが、データの反映に時間がかかることがあります。同サイトも、最新・詳細な情報は各機関へ確認するよう案内しています。色が付いていない場所の安全を保証する地図でもありません。

都道府県の告示図書で、正式な区域指定と指定日を確認する

正式な指定の有無と範囲は、都道府県が公示する最新の区域図で確認します。住所だけでなく、地番(登記上、土地ごとに付けられた番号)も用意してください。

名称は自治体によって「告示図書」「法定図書」「区域調書」などと異なりますが、いずれも区域指定の根拠を確認するための公的な図書です。担当窓口は、国土交通省の「土砂災害警戒区域等の指定状況等」から探せます。

基礎調査結果の公表、指定予定の案内、正式な区域指定は、それぞれ別の状態です。資料名、公表日、告示番号、指定日を控え、現在どの段階にあるのかを確かめます。

区域図に敷地境界と建物の位置を重ね、レッドゾーンとの重なりを見る

確認するのは「住所が区域に入っているか」だけではありません。

  • 敷地全体のうち、どの部分が区域に入るか
  • 建物の外周に区域が重なるか
  • 道路に接する部分や、将来建物を置きたい場所に重なるか
  • 土砂災害の種類は、急傾斜地の崩壊・土石流・地すべりのどれか
  • レッドゾーンの場合、区域図に示された土石などの力や高さはどのくらいか

公図(法務局にある土地の位置関係図)、測量図、建物配置図を区域図と照らし合わせます。

境界線が近い、区域図の縮尺が粗い、敷地境界が決まっていないときは、資料を持って自治体の窓口へ相談し、必要に応じて土地家屋調査士や建築士へ重ね図の作成を依頼します。

砂防指定地・急傾斜地崩壊危険区域など、重なるほかの規制も確認する

土砂災害警戒区域だけを見ても、建築や土地利用の条件はわかりません。

砂防指定地、急傾斜地崩壊危険区域、地すべり防止区域、災害危険区域、宅地造成等工事規制区域などが重なることがあります。道路に接する条件、都市計画、擁壁の扱いも、別に確認する項目です。

自治体へそのまま伝えられる質問例

「この地番の敷地と建物は、現在の公示資料上、イエローゾーン・レッドゾーンのどこまで重なりますか。指定日と土砂災害の種類も教えてください。

あわせて、今の住宅をそのまま使う場合と、同じ用途で建て替え・増改築する場合に分けて、手続きや構造の条件を教えてください。根拠となる法令(土砂災害防止法、建築基準法、条例、ほかの区域指定)と、担当部署もお願いします」

回答した部署名・担当者名・確認日と、質問時に伝えた条件を記録します。口頭の回答だけで売却条件を決めず、根拠になる図書や制度のページも保存してください。

\ 区域を調べたら、次は価格の確認 /

土砂災害特別警戒区域の売却価格に、全国共通の相場や減額率はない

「レッドゾーンなら一律10%下落」「必ず30%安い」と決められる公的な相場表はありません。価格への影響は、区域の重なり方、建物が基準に合っているか、必要な対策費、融資の見通し、地域の需要、比較できる成約事例によって変わります。

買主が価格に織り込むのは、災害のリスクだけではありません。「建て替えの条件がわからない」「融資を受けられるか判断しにくい」といった不確かさも、値引きを求める理由になります。売却前の調査は、わからないことを理由に余計な値引きを受けないためにも必要です。

不動産鑑定評価への災害リスクと災害対策の反映方法については国土交通省の検討調査(2023年3月)がありますが、全国共通の固定減額率は示されていません。

砂防学会誌の2021年発行の研究では、主に2020年の都道府県地価調査データを使い、区域指定前後3年分の標準価格がそろう904地点を分析しています。そのうち828地点、約92%では、区域指定前から続いていた価格下落が指定後も続いていました。

一方、904地点のうちレッドゾーンに当たる地点は11地点で、レッドゾーン固有の影響を分析するには少ないとされています。区域指定と価格変動の因果関係も切り分けられていないため、この研究から個別物件の値下がり率を計算することはできません。

相続税評価(財産評価基本通達20-6)の補正率を、そのまま売却価格へ使わない

国税庁の財産評価基本通達20-6には、相続税・贈与税を計算するための評価方法があります。

道路ごとに定めた価格をもとに計算する「路線価方式」の一定の宅地では、敷地全体に占めるレッドゾーン部分の割合に応じて、次の補正率を使います。

敷地全体に占めるレッドゾーン部分相続税・贈与税評価の補正率
10%以上40%未満0.90
40%以上70%未満0.80
70%以上0.70
出典:国税庁「財産評価基本通達20-6」
この補正率は、売値を下げるための表ではありません

実際の売値を10%・20%・30%下げるための表ではなく、相続税・贈与税を計算するための評価ルールです。また、固定資産税評価額に地域ごとの倍率を掛ける「倍率方式」の地域は、国税庁の説明上、財産評価基本通達20-6の補正対象外です。

売却価格は、成約事例、建物の状態、対策費、融資の見通し、地域の需要などをもとに査定します。

レッドゾーン物件の査定は「何割下がるか」ではなく内訳で確認する

査定額を次の3つに分けると、金額の理由が見えます。

査定額の考え方

近い条件の成約事例をもとにした価格
− 確認できた追加費用(構造対策、擁壁、測量、解体など)
− 実際の売れやすさや融資条件を反映する調整
= 査定額の目安

追加費用と売れやすさの調整を分けるのは、同じリスクを二重に差し引かないためです。比べた成約事例の価格にレッドゾーンの影響がすでに含まれているのに、そこへさらに一律の減額率を重ねると、査定額が必要以上に低くなるおそれがあります。

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、取引価格の情報と災害リスクの情報を重ねて確認できます。

ただし、公開される取引の位置は個人情報保護のために加工されていて、建物の構造資料や区域との細かな重なりまではわかりません。相場を知る入口として使い、最後は区域の内と外で似た成約事例を、不動産会社や不動産鑑定士に確認します。

査定書で確認する7項目
  • 比べた成約事例と、その物件がイエロー・レッドのどちらにあるか
  • 対象地のうち区域に入る範囲と、建物への重なり
  • 今の建物を使う場合と、建て替える場合をそれぞれどう評価したか
  • 構造対策、擁壁、測量、解体など、価格から見込んだ費用
  • 住宅ローンを使う買主を想定しているか
  • 想定する販売期間と、値下げを検討する条件
  • 査定後の調査で減額する可能性がある項目

根拠が「レッドゾーンなので何割減」だけなら、その割合を使った資料と計算の内訳を求めましょう。

\ 一律の減額率を、うのみにしない /

土砂災害特別警戒区域の家の売り方は?現況仲介・対策後の仲介・買取の3つ

売り方は、レッドゾーンだからといって自動的に決まるものではありません。区域と建物の調査結果をそろえてから、次の3つを比べます。

【現況仲介】区域と建物を説明できる場合

区域の範囲と建物の状態を説明でき、今の家をそのまま使う買主を探せるなら、最初に検討する方法です。市場で広く買主を探せるため、不動産会社へ直接売るより高い価格で成約する可能性があります。

一方で、買主の住宅ローン審査や建築計画の確認に時間がかかることがあります。広告を出す前に資料をそろえ、買主が購入を申し込む前から重要な事実を確認できる状態にしておきます。

【対策後の仲介】工事や資料整備をしてから売る場合

安全のために必要な工事を行い、構造資料や行政への照会記録を示せれば、買主は判断しやすくなります。とはいえ、工事費をそのまま売却価格へ上乗せできるとは限りません。

工事の前に、建築士による対策案、必要な行政手続き、複数の工事見積もり、工事後の査定をそろえます。そのうえで、現況のまま売る案と工事後に売る案について、決済後に手元へ残る額をそれぞれ計算し、その差で判断してください。

工事後に売る場合の税引前概算手取り

工事後の成約予想価格
− 工事費
− 設計・申請・測量費
− 仲介手数料などの売却費用
− 工事中・販売中の保有費
− 決済時に返済する住宅ローン残高
= 決済後に手元へ残る額の目安

区域の解除を前提に工事するなら、さらに慎重な確認が必要です。土砂災害防止法第9条は、対策工事などで指定の理由がなくなったとき、都道府県知事が区域の全部または一部の指定を解除することを定めています。

私有地で工事をすれば自動的に解除されるわけではありません。設計前に都道府県へ相談し、解除の要件・手続き・見込みを確認します。解除は公示によって効力が生じるため、公示前に「区域外」として売り出すことはできません。

【直接買取】売却の期限を優先する場合

不動産会社が買主になる直接買取は、売却の期限を優先したいとき、住宅ローンを使う個人の買主が見つかりにくいとき、調べても不明点が残るときに検討します。

不動産会社が再販売や工事のリスクを引き受けるため、仲介より早く条件を固めやすい反面、再販売の費用と事業者の利益が価格に反映され、一般に仲介より価格は低くなります。

「専門の買取業者なら必ず買う」「仲介手数料がないから必ず手取りが多い」とは限りません。契約前に比べるのは、次の項目です。

最終価格、調査後に減額される条件、契約を解除できる条件、残置物・測量・登記の費用負担、契約不適合責任、代金を受け取る日です。契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約で約束した状態に合わないときの売主の責任です。

3つの売り方は、査定額ではなく税引前概算手取りと成立条件で比べる

スクロールできます
比較項目現況仲介対策後の仲介直接買取
価格の根拠区域の内と外で似た成約事例、今の家を使える買主の需要工事後の査定と、工事で減らせる不確かさ再販売価格、工事・保有・再販売の費用
売主の主な負担仲介手数料、測量・調査など左記に加え、設計・申請・工事・工事中の保有費測量・残置物・登記などの負担を契約で確認
成立の前提買主が現況を理解し、融資・保険・契約条件を確認できること工事が完了し、工事後の需要と融資の見通しがあること買取会社の調査、資金、社内決裁が終わること
時間の見通し買主が見つかるまで変わる工事期間と販売期間の両方が必要予定を固めやすいが、会社ごとに異なる
契約後の確認説明内容、特約、売主責任の範囲工事保証と既存部分の責任を分ける免責、告知、契約後の減額・解除条件
比べる数字は、査定額ではなく決済後に手元へ残る額

売却代金
− 仲介手数料(仲介の場合)
− 調査・測量・工事などの費用
− 印紙税・登記・司法書士報酬など
− 売れるまでの保有費
− 決済時に返済する住宅ローン残高
= 税引前の概算手取り

住宅ローン残高は売却費用ではありませんが、決済後に手元へ残る現金を比べるため、ここでは差し引きます。

譲渡所得税などの税金は、買ったときの価格や費用、所有期間、特例が使えるかどうかで変わります。この比較とは分けて、税理士か税務署へ確認してください。

\ 3つの売り方を、同じ条件で比べる /

レッドゾーン・イエローゾーンの売却前にそろえる資料

資料は、買主への説明のためだけではありません。査定額のばらつきを減らすためにも役立ちます。見つからないものは「なし」と決めつけず、「未取得」「不明」と記録してください。

区域と土地に関する資料
  • 最新の告示図書・法定図書、告示番号、指定日
  • 公図、地積測量図(法務局にある土地の測量図)、確定測量図、境界確認書
  • 区域図と敷地・建物の位置を重ねた図
  • 土地・建物の登記事項証明書、建物配置図
  • 砂防指定地など、重なる法令・条例の確認資料
  • 公共の対策工事や補助制度について自治体から受け取った文書

建物側は、いつ・どのような基準で建てられ、その後どのような工事をしたかがわかる資料をそろえます。

建物と安全性に関する資料
  • 建築確認の申請書、確認済証、検査済証、建築計画概要書
  • 設計図、構造図、構造計算書、地盤調査の資料
  • 増改築、耐震・土砂対策、擁壁工事の図面と完了記録
  • 被災、雨漏り、亀裂、修繕、保険金請求の履歴
  • 行政からの指導・勧告、相談の記録
  • 斜面・擁壁・排水施設の所有者、管理者、点検記録

各社へ同じ資料一式を渡して査定を依頼します。ある会社には災害の履歴を伝え、別の会社には伝えない状態では、査定額を公平に比べられません。

\ 同じ資料で、査定額を公平に比べる /

土砂災害警戒区域の告知義務は誰にある?宅建業者の重要事項説明と売主の情報提供

「レッドゾーンは売主に告知義務がある」と一文でまとめると、誰が何をするのかが見えなくなります。法律で定められた宅建業者の重要事項説明と、売主が知っている事実を伝えることは、別のものです。

宅地建物取引業法第35条と同法施行規則第16条の4の3第2号により、宅地建物取引業者は、物件が土砂災害警戒区域内にあるとき、その事実を契約前の重要事項として説明します。

レッドゾーンはイエローゾーンの中に指定されるため、レッドゾーンの物件も対象です。取引に関係する場合は、特定開発行為の許可制など、レッドゾーン特有の法令上の制限も説明事項になります。

この法律上の説明をするのは宅地建物取引業者です。とはいえ、売主が何も伝えなくてよいわけではありません。区域指定のほかに、知っている被災・修繕の履歴、斜面や擁壁の異常、行政からの指導、建築・構造資料の不足を、仲介会社へ正確に伝えます。

宅建業者を介さない個人間の売買では、第35条に基づく宅建業者の説明手続きはありません。それでも、区域や既知の不具合が契約の前提になることは変わらず、売主の契約上の責任がなくなるわけでもありません。区域と建築の条件が複雑な物件では、宅地建物取引士や弁護士の確認を省かないでください。

基礎調査結果や指定予定が公表されている場合も、正式な指定と混同せず、わかっている情報を仲介会社へ渡してください。法律上の説明項目に当たるかだけでなく、買主の判断にとって重要な事実かという観点で、説明する内容と時期を決めます。

説明を、契約直前の重要事項説明だけに詰め込まないでください。事実を確認したうえで、広告、販売図面、内見時の資料、重要事項説明書、物件状況報告書(売主が物件の状態を記す書類)、売買契約書の内容をそろえます。以前に買ったときの重要事項説明書をそのまま流用せず、購入申込みの時点と契約前に、最新の指定状況を確認してください。

契約書で具体的にすること
  • 区域の種類、根拠資料、指定日、敷地・建物への重なり
  • 今の建物について確認できたこと、確認できなかったこと
  • 被災・修繕・擁壁・排水・行政対応の履歴
  • 将来の建て替え、開発許可、区域解除を保証しないこと
  • 買主へ渡した図面、報告書、見積書
  • 契約不適合責任の範囲と期間
  • 住宅ローンが承認されなければ契約を解除できる条件(ローン特約)、申込先、期限
  • 契約から引渡しまでに災害が起きた場合の対応
「現況有姿」と書いても、説明しなくてよいわけではありません

「現況有姿(今の状態のまま引き渡すこと)」「契約不適合責任を負わない」と書いても、説明しなくてよいわけではありません。民法第572条は、売主責任を負わない特約があっても、売主が知りながら買主へ伝えなかった契約不適合については免責されない旨を定めています。

区域指定そのものが常に契約不適合になるわけではありません。責任の有無は、契約内容と個別の事情によって変わります。

被災や行政対応がある、売主と買主の認識が食い違っている、責任の範囲で争いがあるときは、契約の前に弁護士へ確認してください。

レッドゾーンでも、住宅ローンと火災保険が一律に使えないわけではない

区域内にあることだけで、すべての融資や保険を使えるかどうかが決まるわけではありません。一方で、商品ごとの条件によって対象外になる場合はあります。売主側で決めつけず、買主が金融機関と保険会社へ物件単位で確認できる状態を作ります。

住宅ローンを使えるかどうかは、金融機関と商品ごとの基準で決まる

土砂災害防止法には、レッドゾーンにあるという理由だけで、住宅ローンを一律に利用できなくする規定はありません。実際の審査では、金融機関と商品ごとの基準、物件の担保評価、建物の法令適合性、再建築の条件、構造資料、買主の返済能力などが確認されます。

ただし、区域に関する明確な制限がある商品もあります。たとえば、レッドゾーン内で新築住宅を建設または購入する場合、【フラット35】S、【フラット35】子育てプラス、【フラット35】維持保全型の金利引下げメニューは利用できません。これは、【フラット35】本体や中古住宅を含む、すべての住宅ローンが一律に利用できないという意味ではありません。

また、住宅金融支援機構の子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資と、サービス付き高齢者向け賃貸住宅建設融資は、建設予定の建物の一部または全部がレッドゾーン内に含まれる場合、原則として利用できません。これも賃貸住宅建設向けの商品条件であり、一般の持ち家向け住宅ローンすべてに共通する基準ではありません。

売主側で融資を使えるかどうかを決めつけず、買主が利用予定の金融機関へ、区域図と建築資料を出して事前審査と物件確認を依頼します。先に売買契約を結ぶ場合は、ローンが承認されなかったときに契約を解除できる「ローン特約」の対象、申込先、期限を契約書で具体的に定めます。

土砂崩れの損害は、火災保険の水災補償と地震保険で扱いが分かれる

豪雨や台風による土砂崩れの損害は、火災保険に水災補償が付いていて、契約上の支払条件を満たす場合に補償対象となることがあります。

水災補償の対象例には、土砂崩れも含まれます。一方、地震・噴火・津波が原因の損害は、通常の火災保険では補償されないため、地震保険の契約内容を確認してください。

加入可否、保険料、水災補償の有無、支払条件は、保険会社、商品、所在地、建物の条件によって異なります。売主が現在の保険を利用できていても、買主が同じ条件で加入できる保証にはなりません。買主自身が保険会社や代理店へ見積もりを依頼し、補償範囲と免責条件を確認します。

【4ステップ】土砂災害警戒区域の家を売却する流れ

売却は、区域の確認だけでは終わりません。安全、建物、売り方、契約を次の順にそろえると、調査漏れと手戻りを減らせます。

STEP
安全を確保し、正式な区域を確認する

大雨や地震の直後、異常があるときは、斜面や擁壁に近づかず、避難情報に従います。安全を確認できたら、最新の告示図書と地番で正式な区域を調べ、公図・測量図・配置図を使って建物に重なるかを確かめます。

STEP
建物と将来の使い方を調べる

区域の指定時期、建築時期、確認済証・検査済証、構造資料、増改築の履歴を整理します。今の建物を使う場合、同じ用途で建て替える場合、買主が希望する用途に変える場合を分けて、行政と建築士へ確認します。

構造確認、測量、擁壁、排水、解体などは、必要性が確認できた項目だけ見積もります。補助制度を使う場合は、対象、申請時期、予算、売却時の扱いを、契約と着工の前に自治体へ確認してください。

STEP
同じ資料で3つの売り方を査定する

区域内の物件を扱った経験がある不動産会社へ同じ資料を渡し、現況仲介、対策後の仲介、直接買取を比べます。価格だけでなく、査定の根拠、費用、期間、成立条件、売却後に残る責任を書面でもらいます。

STEP
融資・説明・契約の条件をそろえる

買主が確認できる区域図、建築資料、調査結果を整理します。融資や保険は「使える」と決めつけず、買主が商品ごとの条件を確認できる状態にします。契約前に区域指定や行政対応の更新を調べ、重要事項説明書、物件状況報告書、契約書の内容を一致させます。

買主へ渡した資料は一覧にし、引渡し後も、いつ何を説明したか確認できる形で保管してください。

\ 資料がそろったら、査定に進みましょう /

レッドゾーン物件の売却を任せる不動産会社へ確認する質問

「レッドゾーンに詳しい」という言葉だけで選ばず、どのように調べ、どのように査定するのかを確認します。

  • この自治体で、同じ種類の区域内の物件を扱った事例はあるか
  • 区域の内と外で、どの成約事例を査定に使ったか
  • 敷地と建物への重なりを、どの図面で確認したか
  • 建築士、土地家屋調査士、行政と連携できるか
  • 住宅ローンを使う買主へ、いつ、どの資料を案内するか
  • 売り出したあと、どの条件になったら価格や売り方を見直すか
  • 買取の場合、契約後の調査・減額・解除の条件は何か
  • 買取会社自身が買主か。代金の準備と支払日は決まっているか

一律の値下がり率を示す会社、区域の範囲を調べずに「絶対に仲介では売れない」と断定する会社だけで決めないでください。最終価格や減額条件を書面にしない会社も同じです。別の会社にも同じ資料を渡して、査定を比べます。

\ 1社だけの査定では、比べようがありません /

土砂災害警戒区域・特別警戒区域の売却でよくある質問

区域図の食い違い、売却中の区域指定、勧告、補償、解体の判断について、相談で多い5つをまとめます。

ハザードマップと都道府県の区域図が違うときは、どちらを使いますか?

法的な指定の有無と境界は、都道府県の最新の告示図書で確認します。ハザードマップはおおよその状況を見るための地図で、更新時期や縮尺が異なることがあります。

両方の取得日を残し、表示が食い違うときは、都道府県の担当部署へ地番と図面を示して確認してください。

売却活動中に新しくレッドゾーンへ指定されたら、契約はどうなりますか?

まず広告、販売図面、重要事項説明書、査定の前提を更新し、建物への重なりと建築の条件を調べ直します。

すでに売買契約を結んでいる場合、指定によって契約が自動的に解除されるとは限りません。説明内容、契約条項、買主の目的、融資への影響を、仲介会社と、必要に応じて弁護士へ確認します。

移転などの勧告を受けた家でも売却できますか?

勧告を受けたことだけで、売買が自動的に禁止されるわけではありません。ただし、安全性と行政対応を曖昧にしたまま売り出さないでください。勧告書、対象範囲、必要な対応、移転・改修支援の条件を確認し、売却する場合はその内容を買主へ明示します。

区域に指定されたら、行政が買い取るか、値下がり分を補償してくれますか?

土砂災害防止法には、区域指定だけを理由に行政が土地を買い取ったり、売却価格の下落分を補償したりする一般的な制度はありません。

移転・改修への補助や融資は別にありますが、勧告の有無、建物の状態、自治体の制度・予算などの条件があります。自治体から対象と金額を書面で確認できるまでは、売却の収支に含めないでください。

売る前に古家を解体したほうがよいですか?

安全上の緊急対応や行政上の必要がない限り、再建築の条件と建物付きの査定を確認する前に解体しないでください。

今の建物を使いたい買主を失いますし、解体したあとに希望する建物を建てられないとわかっても、元には戻せません。現況のまま仲介、解体後の土地売却、直接買取を、同じ時点で比べてから決めます。

レッドゾーンの家は、値下げより先に区域と建物を確認する

土砂災害防止法上、レッドゾーンに指定されたことだけを理由に、既存の家や土地の通常売買が禁止されることはありません。

売却の難しさを分けるのは、区域の色だけではありません。敷地と建物にどこまで重なるか、区域指定と建築の時期、構造資料、買主の使い方、融資の商品条件が重要です。

最初にするのは値下げではありません。都道府県の最新の告示図書を取り、公図・測量図・配置図と照らし合わせて、建物にどこまで区域が重なるかを確認します。そのうえで、建築士と行政に、今の建物を使う場合と建て替える場合の条件を尋ね、同じ資料を使って現況仲介・対策後の仲介・直接買取を比べてください。

区域の境界、建物の安全性、行政対応がわからないまま売り出したり、先に解体したりしないことが大切です。

全国一律の減額率で判断せず、査定の根拠と費用の内訳を確認しましょう。この順番で進めれば、根拠のない値下げや説明漏れによるトラブルを抑えられます。

\6年連続 不動産査定サイト認知度No.1/

※2025年9月19日-23日 株式会社マーケティング アンド アソシェイツ「サイト評価に関する調査」より

出典

e-Gov法令検索「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」
e-Gov法令検索「建築基準法施行令」
国土交通省「土砂災害警戒区域等の指定状況等」
国土交通省「全国における土砂災害警戒区域等の指定状況(2026年6月30日時点)」
国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
国土地理院「ハザードマップポータルサイト FAQ」
国土交通省「災害危険区域制度」
e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」
国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(令和8年4月1日施行版)」
e-Gov法令検索「民法」
国土交通省「不動産情報ライブラリ」
国土交通省「法令・不動産鑑定評価基準等」
国税庁「財産評価基本通達20-6 土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価」
国税庁「「財産評価基本通達の一部改正について」通達のあらましについて(情報)」
公益社団法人砂防学会「土砂災害警戒区域等指定後の地価変動傾向に関する考察」
住宅金融支援機構「【フラット35】金利引下げメニューの立地要件」
住宅金融支援機構「賃貸住宅を建設する場合の立地要件」
一般社団法人日本損害保険協会「水災への備え、本当に大丈夫ですか?」
一般社団法人日本損害保険協会「地震保険」

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