狭小地や10坪の土地でも、売却できます。
ただし、売りやすさと価格を決めるのは、面積そのものではありません。その土地だけで建物を建てられるか。隣の土地と合わせると価値が上がるか。誰が買主になり得るか。この3点で、選ぶべき売り方が変わります。
10坪は約33.06㎡です。都市部なら、住宅用地として検討されることもあります。反対に、10坪より広くても、道路への接し方や地域のルール、土地の形によっては、単独では使いにくい土地になります。
狭小地を売却するときの判断フロー
① 単独で使えるか調べる
接道・最低敷地面積・有効面積・建てられる規模を確認
② 買主候補を分ける
一般の買主・建売会社・隣地所有者・買取会社を検討
③ 4つの売り方を比べる
一般仲介・隣地への売却・共同売却・直接買取を比較
④ 手取りと条件で決める
費用・ローン返済・期限・減額条件・売主責任を確認
- 登記事項証明書
- 公図・測量図
- 購入時の売買契約書と重要事項説明書
- 固定資産税の納税通知書・課税明細
- 私道や上下水道に関する資料
すべてそろわなくても、査定は始められます。まずは「あるもの」と「見当たらないもの」を分けておきましょう。
調査の前に、解体や価格交渉を急がない
建築の条件を確かめる前に古家を壊す。一般市場での価格を知らないまま隣地所有者と金額の話を始める。どちらも、あとから選べる売り方を減らしてしまうことがあります。
狭小地の売却可否は「面積」より「単独で使えるか」で決まる
そもそも、何坪から狭小地なのでしょうか。売買や建築に共通する、全国一律の面積基準はありません。国土交通省も、地域ごとに定義する必要があるとしています。そこでこの記事では、周辺の一般的な宅地より小さく、建築や売却に工夫が必要になりやすい土地を、便宜上「狭小地」と呼びます。
まずは、ご自身の土地がどれに近いかを次の表で確かめてください。
| 土地の状態 | 優先して検討する方法 | 最初にすること |
|---|---|---|
| 単独で建築でき、現実的な建物プランも考えられる | 一般の買主や建売会社への仲介 | 建築の条件を確認し、狭小地の成約経験がある会社へ査定を頼む |
| 建築できる可能性はあるが、接道や許可の扱いが不明 | 調査後に仲介か買取を選ぶ | 自治体の建築担当窓口や建築士に確認し、建築できると決めつけた査定を避ける |
| 隣地と合わせると形状・接道・使い道が改善する | 隣地所有者への売却、または共同売却 | 一般市場での価格も調べたうえで、不動産会社を通じて打診する |
| 単独建築が難しく、建物を建てない使い道も限られる | 狭小地を扱う事業者への買取 | 複数の買取条件と、隣地への売却可能性を並べて比べる |
| 売却の期限を優先したい | 仲介の成約見込額と直接買取の提示額を同時に比べる | 同じ資料を各社へ渡し、価格・期限・売主負担を書面でそろえる |
10坪という数字そのものは、売り方の結論になりません。単独で使えるかどうかが分かって初めて、その土地を誰が欲しがるのかが見えてきます。「10坪だから仲介は無理」「狭いから買取しかない」と決めるのは、そのあとです。
10坪の土地を売る前に確認したい5項目
査定を集める前に、土地の使い道を左右する条件を確認します。売主自身が建築の可否を判断する必要はありません。目的は、分からない点を洗い出し、各社の説明を同じ土俵で比べられるようにしておくことです。
10坪という面積が「買主にとっての価値」へ変わる4段階
① 登記上の面積
10坪なら約33.06㎡。建築に使える面積とは限らない
② 有効な敷地面積
セットバックなど、建築に使えない部分を差し引く
③ 建てられる規模
建ぺい率・容積率に、高さ制限・土地の形・工事のしやすさを重ねる
④ 買主にとっての使い道
住宅・小規模事業・隣地との統合・建物を建てない用途に分ける
1.道路の種類と接道の長さ
建物を建てるには、敷地が道路に接している必要があります。建築基準法が適用される都市計画区域・準都市計画区域などでは、原則として同法上の道路に2m以上接していなければなりません。
ここで注意したいのが、見た目と法律上の扱いが一致するとは限らない点です。舗装された通路でも同法上の道路に当たらないことがあり、逆に接道が2m未満でも、建築の道が必ず閉ざされるわけではありません。建築基準法43条2項には、一定の基準を満たす土地について個別に認定・許可を受けられる制度があるためです。判断には、建築基準法42条・43条と自治体の道路資料を照合します。
- 前面道路が建築基準法上のどの道路に当たるか
- 敷地が道路に接する長さは何mか
- 私道の場合、持分や通行・掘削の権利はどうなっているか
- 43条2項の認定・許可など、個別の手続きが必要か
道路の扱いは、自治体ごとに確認先も必要な資料も異なります。登記上の地目や公図だけで判断せず、土地がある自治体の建築担当窓口で調べましょう。
2.セットバック後に残る有効面積
幅員4m未満の道路でも、建築基準法42条2項の道路として扱われる場合があります。この場合、建て替えなどのときに道路境界線を後退させるセットバックが必要です。後退した部分には建物も塀も置けません。つまり、登記上は10坪でも、建築に使える面積はそれより小さくなります。国土交通省の接道規制資料も参照し、道路種別と後退線をセットで確かめましょう。
そのため査定では、「登記面積」と「セットバック後に建築へ使える面積」を分けて示してもらいます。各社の価格差の理由も、この2つを分けたほうが見えてきます。
3.地域の最低敷地面積と既存敷地の扱い
都市計画では、地域ごとに建築物の敷地面積の最低限度を定めることがあります。たとえば最低限度が100㎡の地域なら、33.06㎡の土地を新たに分割して建築用の敷地にすることは難しくなります。
ただし、ここで結論を急がないでください。建築基準法53条の2は、最低限度が定められた時点ですでに小さかった土地を、その全部を一つの敷地として使う場合などに適用除外を設けています。使えるかどうかは、土地ができた経緯、その後の分割、条例によって変わります。最低面積を下回るというだけでは、再建築不可とは決まりません。 建築基準法53条の2と、自治体の都市計画・条例を確認しましょう。
4.実際に建てられる建物の規模
買主が知りたいのは、土地の坪数ではなく「ここに何を建てられるか」です。
その規模は、建ぺい率と容積率だけでは決まりません。建ぺい率は、敷地に対する建築面積(真上から見た建物の広さ)の割合です。容積率は、敷地に対する延床面積(各階の床面積の合計)の割合を指します。この2つに加えて、前面道路の幅による容積率の制限、斜線・高さ・日影の制限、防火規制、セットバック、土地の形、階段や設備に必要な面積、そして工事車両を入れられるかどうかも効いてきます。
次の数値は、建築可能性を示す設計案ではありません
セットバックがなく、33.06㎡すべてを建築上の敷地に使えると仮定した、計算方法の説明例です。
| 仮定する条件 | 計算 | 理論上の上限 |
|---|---|---|
| 土地面積 | 10坪×3.3058㎡ | 約33.06㎡ |
| 建ぺい率 | 33.06㎡×60% | 建築面積 約19.84㎡ |
| 容積率 | 33.06㎡×200% | 延床面積 約66.12㎡ |
| 同じ床面積の3階建て | 19.84㎡×3階 | 延床面積 約59.52㎡ |
数字の上では3階建てを検討できても、階段や壁、設備が入れば、居室に使える面積は減ります。前面道路や高さの制限で、表の上限まで使えないこともあります。販売時に建物プランを付けるなら、「参考プラン」「建築を保証するものではない」と明記し、建築士などが確認した前提条件も添えます。
買主の住宅ローンにも、面積の条件があります。2026年4月以降のフラット35では、一戸建て・連続建て・重ね建て住宅の床面積要件が70㎡以上から50㎡以上へ変更され、敷地面積の要件はありません。ただし、床面積さえ満たせば借りられるという意味ではありません。住宅の技術基準や申込者の審査は別にあります。現行の基準は、住宅金融支援機構の利用条件で確認できます。
5.境界・権利・インフラの状態
建築できそうな土地でも、境界や越境、私道、上下水道の条件が分からなければ、買主は「あとで追加費用がかかるかもしれない」と考えます。その分は、提示される価格に響きます。次の資料を探しておきましょう。
- 登記事項証明書、公図、地積測量図
- 境界確認書、確定測量図、境界標の写真
- 購入時の売買契約書、重要事項説明書
- 固定資産税の納税通知書や課税明細
- 私道の持分、通行・掘削承諾に関する書面
- 上下水道・ガスの管や引込状況が分かる資料
- 古家の図面、確認済証、検査済証
- 越境物、擁壁、井戸、地中埋設物などの記録
登記事項証明書や地図証明書の取り方は、法務局の案内で確認できます。境界標が見つからない、登記面積と現況が大きく違うといった場合は、土地家屋調査士へ相談しましょう。
狭小地の価格は周辺の坪単価だけでは決まらない
近隣の坪単価は、出発点にはなります。ただし、それに面積を掛けた金額が、そのまま売却価格になるわけではありません。国土交通省の不動産鑑定評価基準でも、間口・奥行・面積・形状、道路、交通、上下水道などの供給処理施設、法的制限が、土地ごとの価格を動かす要因として挙げられています。
もう一つ、混同しやすいものがあります。同じ「価格」という言葉でも、示している段階が違うのです。
| 価格の種類 | 何を表すか | 比較時の注意 |
|---|---|---|
| 近隣取引から見た参考価格 | 周辺の成約事例を、個別の条件で補正した目安 | 面積や道路条件が違う1件だけを相場にしない |
| 仲介会社の査定額 | 売出価格、または成約見込額の提案 | どちらの価格か、根拠にした成約事例は何かを聞く |
| 隣地所有者にとっての価格 | 一体化で生まれる接道・形状・使い道の改善を反映した価格 | 隣地だから必ず高値になるわけではない |
| 買取会社の提示額 | 再販売の費用、保有リスク、事業利益などを織り込んだ購入条件 | 調査後の減額、解除、測量、残置物、責任条項も比べる |
このうち、判断がいちばん難しいのが隣地所有者にとっての価格です。一体化で価値が上がる場合、隣地所有者が合理的に払える上限は、考え方としては次のように整理できます。
一体化後の土地価値 − 隣地所有者が現在持つ土地の価値 − 一体化と取引にかかる費用
ただし、この差額がそのまま売主の取り分になるわけではありません。隣地側に買う意思や資金がなければ取引は成立しませんし、増えた価値をどう分けるかは交渉次第です。
つまり、「隣地なら高く売れる」が先にあるのではありません。まず単独で売った場合の価格を押さえ、そのうえで一体化による上乗せ分を別に考えます。
近隣の成約価格を調べる3ステップ
- 国土交通省の不動産情報ライブラリで、近隣の「宅地(土地)」を探す
- 取引時期、用途地域、面積、形状、前面道路が近い事例を選ぶ
- 査定会社に、狭さ・接道・建築可能性をどう補正したか説明してもらう
この数字の読み方には、注意点があります。不動産情報ライブラリの取引価格情報は、取引当事者へのアンケートを基にしたもので、個別事情を補正した鑑定価格ではありません。200㎡未満の土地面積は5㎡刻みで表示され、10㎡未満は公表されないといった処理もあります。価格情報の説明と注意事項を確認し、少数の事例を全国共通の値下がり率のように扱わないようにしましょう。
狭小地を売却する4つの方法
土地の条件が見えてくると、買主の候補も見えてきます。ここで一つに決め打ちせず、一般市場での成約見込額、隣地にとっての価値、買取条件を同じ時期に集めておくと、比べたうえで選べます。
1.一般の買主や事業者へ仲介で売る
単独で建築できる土地なら、まず検討したい方法です。買主は一般の住宅購入者だけではありません。狭小住宅を手がける工務店や建売会社、小規模な賃貸住宅・店舗を考える事業者も候補になります。
販売図面では、土地面積を強調するより、次の情報をそろえたほうが使い道を伝えられます。
- 道路種別、接道の長さ、セットバックの有無
- 用途地域、建ぺい率、容積率、主な高さ・防火規制
- 上下水道、ガス、私道の条件
- 現況と、境界資料の有無
- 建築士などが確認した、参考となる建築可能規模
仲介は買主を広く探せます。その代わり、いつ、いくらで売れるかは確定していません。だからこそ、反響が少ないときにいつ価格を見直し、いつ隣地への打診や買取へ切り替えるかを、媒介契約の前に決めておきます。
2.隣地所有者へ売る
隣地所有者にとっては、土地をつなげることで間口が広がる、庭や駐車場を増やせる、将来の建て替え条件がよくなる、といった利益が生まれることがあります。単独では使いにくい狭小地でも、隣の人にとっては価値がある。この差が、売却先を考えるときの手がかりになります。
ただし、一般市場での価格を知らないまま、ただ一人の買い手候補に話を持ちかけると、価格交渉の物差しがありません。近所付き合いへの配慮も必要です。先に第三者の査定を取り、打診の順番や伝える情報は不動産会社と決めてから動くほうが安全です。
3.隣地とまとめて共同売却する
隣地所有者も売却を考えているなら、土地をまとめて一人の買主へ売る方法があります。一体化で土地の形や接道、建てられる規模が改善すれば、それぞれ単独で売るより買主の選択肢は増えます。
一方で、売却時期、最低価格、測量・分筆・登記費用の負担、代金の配分がまとまらなければ進みません。話し合いを始める前に、単独売却と共同売却の査定をそれぞれ用意し、合意した内容は書面に残しましょう。
なお、隣の土地を買って一体で使う人に、費用の一部を補助する自治体もあります。たとえば横浜市には、対象区域内で隣接する狭小地を取得・統合する人に対し、測量費や登記費用などの一部を補助する隣接地統合の制度があります。ただし、補助を受けるのは買う側で、共同売却や売主が対象ではありません。契約前の申請といった要件もあり、全国共通の制度でもありません。買主候補と、土地がある自治体に確認しましょう。
4.狭小地を扱う会社に買い取ってもらう
買取会社が買主になる方法です。一般市場で買主を探す工程を省けるため、売却の期限を優先したい場合や、単独では使いにくい土地では選択肢になります。
提示額には、再販売や区画調整の費用、保有中の負担、事業者の利益やリスクが織り込まれています。そのため、「市場価格の何割」と全国一律には示せません。2社以上から最終条件を出してもらい、仲介の成約見込額とも比べましょう。
もう一つ、買取なら売主の契約不適合責任(引き渡した土地が契約の内容と違っていたときに売主が負う責任)が自動的になくなる、というわけでもありません。責任の範囲、通知期間、すでに分かっている越境・埋設物・擁壁などの扱いは、すべて契約条項で決まります。民法562条以下を踏まえ、重要な条件は宅地建物取引士や弁護士などへ確認しましょう。
10坪の土地を売るときの査定比較シート
複数の査定書がそろっても、金額だけを横に並べると判断を誤ります。売出価格、成約見込額、買取額では、実現する確実性も、売主が負う費用も違うからです。そこで比べるのは、費用とローン返済を引いたあとに手元へ残るおおよその金額、つまり「税引前概算手取り」です。
以下は、比較方法を示すための仮想例です
実際の相場や値引率、売却実績ではなく、各ルートの優劣を示すものでもありません。共同売却の金額は土地全体の売却額ではなく、この土地の所有者へ配分されると仮定した額です。ローン返済額は、全ルートで0円としています。
| 比較項目 | 一般仲介 | 隣地へ仲介売却 | 共同売却 | 直接買取 |
|---|---|---|---|---|
| 仮の成約・提示額 | 1,430万円 | 1,520万円 | 1,390万円 | 1,180万円 |
| 仲介手数料 | 53万7,900円 | 56万7,600円 | 52万4,700円 | 0円と仮定 |
| その他の売主負担 | 60万円 | 30万円 | 60万円 | 10万円 |
| 売却費用差引後額 | 1,316万2,100円 | 1,433万2,400円 | 1,277万5,300円 | 1,170万円 |
| ローン返済額 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 税引前概算手取り | 1,316万2,100円 | 1,433万2,400円 | 1,277万5,300円 | 1,170万円 |
この例では、隣地への売却が最も高く見えます。ただし、これはまだ交渉前の仮定です。価格が高くても、未確定の条件が多ければ、そのまま手取りにはなりません。金額と、残っている条件を同時に見て、ようやく比較になります。
金額をそろえる計算式は、次の2本です。
売却費用差引後額 = 成約価格 − 仲介手数料 − 測量・解体などの売主負担 − その他の直接費用
税引前概算手取り = 売却費用差引後額 − ローン返済額
表の仲介手数料は、成約価格400万円超で使われる簡便式「成約価格×3%+6万円」に消費税を加えた上限額で計算しています。手数料は上限の範囲内で合意するもので、必ず上限額になるわけではありません。直接買取でも、別の仲介会社が入れば手数料がかかる場合があります。仕組みは、国土交通省の仲介手数料案内で確認できます。
また、ローン返済は手元に残る現金を減らしますが、譲渡所得を計算するときの譲渡費用になるとは限りません。「税引前概算手取り」と「課税譲渡所得」は、別の計算だと考えてください。
コピーして使える4ルート共通の比較シート
次のシートを4つ複製し、それぞれ「一般仲介」「隣地への売却」「共同売却」「直接買取」と名前を付けてください。確認できない金額は0円にせず、「不明」と書きます。金額とあわせて、価格が変わる条件と売主責任も比べてください。
| 記入項目 | 査定・提案内容 |
|---|---|
| 売却ルート | [ ] |
| 想定買主 | [ ] |
| 価格の種類 | 売出価格・成約見込額・確定提示・その他[ ] |
| 提示額・本人への配分額 | [ ]円 |
| 仲介手数料 | [ ]円 |
| 測量・解体・登記などの売主負担 | [ ]円 |
| ローン返済額 | [ ]円 |
| 税引前概算手取り | [ ]円 |
| 契約・決済の見込時期 | [ ] |
| 調査後の減額条件 | [ ] |
| 解除条件 | [ ] |
| 境界・越境・地中物などの売主責任 | [ ] |
狭小地の査定で不動産会社へ聞きたい8つの質問
査定額の高さだけで会社を決めず、狭小地の使い道と価格の関係を説明できるかを見ます。次の質問への回答は、できれば査定書やメールに残してもらいましょう。
- この金額は、売出価格・成約見込額・買取価格のどれですか
- 比較した成約事例は、時期・面積・道路・用途地域がどの程度似ていますか
- 接道、セットバック、最低敷地面積は、どの資料と窓口で確認しましたか
- 単独で建築できるという判断には、どのような前提がありますか
- 想定する買主は、個人、建売会社、投資家、隣地所有者の誰ですか
- 参考の建物プランを使う場合、誰が、どの条件まで確認しますか
- 境界、測量、解体、残置物、登記の費用は誰が負担しますか
- 反響が少ないとき、いつ、何を基準に価格変更や買取への切替を判断しますか
「狭小地に強い」という言葉だけでは比べられません。面積・地域・接道条件が近い成約経験があるか、その案件では誰が買い、どんな資料を示したのか。そこまで聞くと、経験の中身が見えてきます。
狭小地の売却にかかる主な費用と税金
売却価格から差し引かれる費用は、物件ごとに違います。自分の土地でどれが発生しそうかを、次の表で確かめてください。
| 項目 | 発生する主な場面 | 確認すること |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社の仲介で成約したとき | 上限、税込額、支払時期 |
| 測量・境界確認費 | 境界や面積の確定を契約条件にするとき | 確定測量まで必要か、買主負担にできるか |
| 解体・残置物処分費 | 更地渡しや撤去を約束するとき | 解体前の建築調査、見積範囲、地中物の扱い |
| 登記費用 | 抵当権抹消、相続・住所変更、分筆など | 決済までに必要な登記と担当者 |
| 印紙税 | 紙の売買契約書を作るとき | 契約金額と、適用時点の税額 |
| 所得税・復興特別所得税・住民税 | 譲渡益が生じたとき | 所有期間、取得費、譲渡費用、使える特例 |
価格が低い土地では、仲介手数料の考え方が変わることがあります。800万円以下の土地・建物を仲介する場合、一定の条件を満たし、事前に合意していれば、依頼者の一方から受け取れる上限は税込33万円です。通常の式で計算した額より高くなることもあるため、媒介契約を結ぶ前に、金額と算定の根拠を確認しましょう。制度の対象は、国土交通省の案内で確認できます。
税金のほうは、譲渡所得を出すところから始まります。計算は原則として次のとおりです。
譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
税率は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかなどで変わります。国税庁「土地や建物を売ったとき」で基本を確認し、取得時の契約書や仲介手数料の領収書を探しておきましょう。
一定の低未利用土地等(使われていない、または十分に活用されていない土地)を売却した場合、長期譲渡所得から最大100万円を控除できる特例があります。2026年4月2日改正の国土交通省通知によると、適用期限は2028年12月31日までです。ただし、所有期間、売却額、土地の利用状況、買主との関係、売却後の利用、市区町村の確認など、要件は複数あります。価格上限は、対象区域により500万円または800万円です。土地が狭いというだけで使える特例ではありません。国土交通省の改正通知を確認し、所在地の自治体、税務署または税理士へ契約前に相談してください。
元自宅の敷地なら居住用財産の3,000万円特別控除、相続した古家の敷地なら被相続人の居住用財産に関する特例を使える可能性があります。建物の利用状況、取り壊しの時期、売却期限、他の特例との併用などで結論が変わります。土地と建物の来歴が分かる資料は残しておき、解体や契約の前に適用条件を確認しましょう。
狭小地を売却する6つの手順
次の段階へ進む前に、各ステップの「完了状態」まで確認します。分からない項目は、分からないまま契約へ進めず、未確認事項として書面に残してください。
所有者と一筆の範囲が分かり、足りない資料を書き出せたら完了です。そのうえで、自治体や専門家へ何を聞くかを決めます。
道路種別、接道、最低敷地面積、有効面積について、判明した事項と未確認事項を分けます。そのうえで、単独建築、隣地との統合、建物を建てない用途の候補を整理します。
各社の価格種別、想定買主、売主負担、査定根拠をそろえます。比較シートを使い、ローン返済後の税引前概算手取りまで計算します。
仲介、隣地への売却、共同売却、買取の優先順を決めます。仲介を選ぶ場合は、反響数や問い合わせ内容を見直す日も先に決めておきます。
境界、越境、解体、残置物、減額・解除条件、売主責任を、契約書と告知書(物件の状態を売主が伝える書面)へ反映します。口頭の「そのままで大丈夫」で終わらせません。
代金の受領、所有権移転、必要な抵当権抹消を終えます。売買契約書、取得費・譲渡費用の資料、各種証明書は、売却した翌年の確定申告に備えて保管します。
狭小地の売却で避けたい4つの失敗
建築の可否を調べる前に古家を壊す
更地にすれば売りやすい、とは限りません。再建築の扱い、解体費、固定資産税の住宅用地特例への影響、古家をそのまま使いたい買主がいる可能性。この4点を確認してから判断します。
一般市場での価格を知らずに隣地へ直接打診する
隣地所有者にとって価値がある土地でも、売主側に相場観がなければ、交渉の基準を持てません。第三者の査定を取り、近隣関係に配慮した連絡方法を決めてから進めます。
一番高い査定額を、そのまま成約価格だと思う
査定額は購入の保証ではありません。根拠にした成約事例、想定買主、販売方法、価格を見直す条件まで並べて比べます。
参考の建物プランを、建築の保証のように見せる
建物プランは、土地の使い方を伝える助けになります。ただし、法規制、構造、地盤、設備、施工条件をすべて確定したものではありません。どこまで確認済みかと、免責事項を明記します。
狭小地の売却に関するよくある質問
まとめ|10坪の土地は建築条件と買主候補を整理して売り方を選ぶ
狭小地や10坪の土地も、面積だけで売れないと決まるわけではありません。先に確かめたいのは、その土地だけで建物を建てられるか、隣地と合わせたときに価値が増すか、どの買主なら活用できるかです。
- 接道、最低敷地面積、有効面積、建てられる規模を調べる
- 仲介、隣地への売却、共同売却、買取を、土地の条件に応じて比べる
- 査定額ではなく、費用を引いた手取りと契約条件で決める
まずは、同じ資料を複数社へ渡して査定を依頼しましょう。そのうえで、この記事の8つの質問を各社へ同じように投げかけ、価格差の理由と、狭小地の使い道まで説明できるかを比べてください。
参考資料
- e-Gov法令検索「建築基準法」
- 国土交通省「居住環境水準の指標」活用マニュアル
- 国土交通省「接道規制のあり方」
- 国土交通省「不動産鑑定評価基準」
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
- 国土交通省「不動産取引価格情報の説明と注意事項」
- 国土交通省「不動産取引の仲介手数料」
- 国土交通省「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の100万円特別控除」2026年4月2日改正通知
- 国税庁「土地や建物を売ったとき」
- 国税庁「マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 法務局「登記事項証明書等の請求」
- 法務省「筆界特定制度」
- e-Gov法令検索「民法」
- 住宅金融支援機構「フラット35 ご利用条件」
- 横浜市「隣接地統合促進事業補助」
