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旧耐震マンションは売却できる?価格の調べ方と仲介・買取の選び方

旧耐震マンションでも売却できます。築年が古いことを理由に、売買が禁止されるわけではありません。

売りにくくなるとしたら、原因は「古いこと」そのものではありません。買主が知りたいのは、この建物が地震にどれだけ耐えるのか、住宅ローンを使えるのか、修繕費が今後いくらかかるのか、の3点です。ここに答えられないと、買主は悪いほうを想定して値段を考えます。

ですから、先に手をつけるべきなのは値下げやリフォームではありません。資料を集め、「確認できたこと」と「まだわからないこと」を仕分けることです。

まず集める4種類の資料
  • 確認済証など、建築確認を受けた時期がわかる資料
  • 耐震診断・耐震改修の記録
  • 長期修繕計画、修繕履歴、総会議事録、管理組合の収支
  • 修繕積立金の残高、値上げや一時金の予定

資料がそろったら、同じ情報を各社へ渡し、仲介と買取を並べて比べます。判断材料をそろえてから比べれば、「旧耐震だからこのくらい安く」とまとめて割り引かれずに済みます。

目次

まず結論|現在の状況から売り方の候補を絞る

売り方の候補は、期限と手元の資料でおおよそ絞れます。時間に余裕があり、耐震や管理の資料を出せるなら仲介から。期限が近い、修繕や片付けの負担を減らしたいなら、買取も同時に比べます。

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現在の状況最初に検討する売り方売出し前の確認事項
耐震基準への適合を示す資料があり、管理状態も良好個人の買主に向けた仲介買主が使える住宅ローンと必要書類
耐震診断は受けていないが、管理・修繕の資料はそろう仲介を試しつつ、買取価格も取っておく「診断していない」のか「資料が見つからない」のかを分けて伝える
耐震性が足りないという診断結果や、大きな一時金の予定がある専門会社の仲介と直接買取を比較わかっている事実、売主の費用負担、引渡し条件
売却期限が近い、室内の片付けや修繕が難しい直接買取を中心に比較最終価格、減額される条件、残置物の扱い
賃貸中の1室を所有している投資家向けの仲介、または直接買取賃貸借契約、賃料、敷金、滞納の有無
建物全体を1人・1社で所有している一棟の収益物件として売却収益、修繕費、土地の価値、入居者の情報
旧耐震マンションの状況別に、最初の売却方法と確認事項を整理した表

販売前に不動産会社へ伝えること

耐震性が足りないという診断結果、行政からの指摘、雨漏りなどの重い劣化、修繕の一時金や建替え・一括売却の検討。こうした事実を知っているなら、先に伝えます。契約に「現状有姿(今の状態のまま引き渡す)」や責任を限る特約があっても、知っている事実を黙っていてよいことにはなりません。

なお、仲介なら必ず高く売れる、買取なら必ず早く決まる、とは限りません。比べるのは査定額の大きさではなく、実際に売れそうな価格、税引前の手取り、引渡しの時期、契約条件です。

旧耐震の境目は「竣工日」ではなく建築確認日

旧耐震かどうかは、建物が完成した日ではなく、建築確認を受けた日で決まります。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物が、新耐震基準の対象です。国土交通省も、マンションの耐震基準を調べるときは建築確認の時期を見るよう案内しています。

ここがずれやすいところです。「1981年築」と書かれていても、それだけでは判定できません。1982年に完成した建物でも、建築確認が1981年5月31日以前なら旧耐震に当たることがあります。

確認済証が見つからないときの調べ方

  1. 購入時の売買契約書・重要事項説明書を見る
  2. 管理会社または管理組合に、確認済証や検査済証を保管していないか尋ねる
  3. 自治体の建築担当窓口で、建築計画概要書や台帳記載事項証明書を取れるか確認する

古い建物では、自治体にも記録が残っていないことがあります。その場合は、登記に書かれた新築年月日を代わりの目安として使う制度もあります。ただし、どの日付を基準にするかは制度ごとに違います。

旧耐震だけでは判断できない
  • 旧耐震=違法建築ではありません。建てた当時は適法で、あとから法律が変わって今の規定に合わなくなった建物を「既存不適格」といいます。最初から違法だった建物とは扱いが違います。
  • 旧耐震=耐震性不足とも限りません。実際にどれだけ耐えるかは、耐震診断や改修の記録で確認します。

逆に、旧耐震という分類だけで建築当時の適法性を証明できるわけでもありません。確認済証・検査済証、増改築の履歴、現在の法令上の扱いは、それぞれ分けて調べます。

日付が複数出てくるのは、制度の目的が違うから

調べていくと、1981年、1982年、1983年と、いくつもの年が出てきます。どれかが間違っているのではありません。制度ごとに、何のために線を引いたかが違うだけです。

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確認する目的主な日付・取扱い売主が注意すること
旧耐震・新耐震の分類1981年6月1日以降の建築確認は新耐震竣工年だけで決めない
不動産会社が耐震診断の記録を調べるとき確認済証等がない区分所有建物では、登記上の新築年月日が1983年5月31日以前かどうかを、記録を調べる対象かの目安にすることがある旧耐震の定義そのものではない
フラット35の中古住宅技術基準建築確認日が1981年5月31日以前なら、所定の耐震評価基準を満たす必要がある。確認日が不明なら、登記上の新築年月日が1983年3月31日以前かで扱いが分かれる物件の種別ごとに技術基準と必要書類が違う
買主の住宅ローン減税1982年1月1日より前に建築された既存住宅では、耐震基準への適合を示す書類などが論点になる融資の審査とは別に、買主側で要件と手続の時期を確認する
旧耐震の分類、重要事項説明の調査、フラット35、住宅ローン減税で異なる基準日

売れやすさを左右する「耐震・融資・管理」の3つの確認

同じ旧耐震でも、売れ方は建物によってかなり違います。差を生むのは、耐震性・融資・管理の3点をどこまで説明できるかです。逆にいえば、説明できない部分がそのまま値引きの理由になります。

図解|旧耐震マンション売却の3つの確認

1.耐震

診断の有無と結果、改修の履歴、適合を示す証明を、それぞれ分けて確認

2.融資・税制

候補になるローンと、買主側で必要な書類・手続の時期を確認

3.管理

修繕計画、積立金、値上げ・一時金、総会での検討事項を確認

1.耐震性をどこまで説明できるか

まず、耐震診断を受けたか、結果はどうだったか、耐震改修をしたか、基準への適合を示す証明書があるかを調べます。

ここで混ぜてはいけないのが、「診断していない」と「診断したら耐震性が足りなかった」です。前者はまだわからないこと、後者はわかっている事実。広告でも重要事項説明でも売買契約でも扱いが変わるので、不動産会社にはそのまま正確に伝えます。

もっとも、この確認は1人では完結しません。耐震診断や構造部分の改修は、建物全体や共用部分が対象だからです。1室の所有者が単独で発注できるとは限らないので、まず管理会社や管理組合に資料が残っていないか尋ねてください。これから診断や改修を進める場合も、管理組合での合意が必要になります。

2.買主が使える融資と税制を説明できるか

「旧耐震マンションは住宅ローンを使えない」と説明されることがありますが、これは正確ではありません。民間の金融機関は審査基準がそれぞれ違い、築年、担保としての評価、耐震性、管理状態、借りる人の返済能力などを見て個別に判断します。

フラット35も、旧耐震だから一律に対象外というわけではありません。建築確認日が1981年5月31日以前の中古住宅は、住宅金融支援機構が定める耐震評価基準を満たす必要があります。マンションの場合は、管理規約や長期修繕計画など、耐震性以外の技術基準も確認の対象です。

もう一つ、混同されやすい点があります。融資を受けられるかどうかと、買主が住宅ローン減税を使えるかどうかは、別の話です。

古い住宅では、耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書などが必要になる場合があります。買ったあとに耐震改修をして要件を満たす方法もありますが、取得日までに申請や仮申請を済ませる、取得から6か月以内の入居までに改修と証明を終える、といった段取りが必要です。住宅ローン減税そのものは2026年度改正で2030年入居分まで延長されましたが、入居年や住宅性能によって要件は変わります。

売主が「減税を使えます」と約束する必要はありません。候補になる金融機関、必要な書類、証明書を用意できる時期を不動産会社に確認しておけば十分です。制度も手続の時期も変わるため、最終的な確認は買主本人に金融機関や税務署でしてもらいましょう。

3.管理と将来負担を数字で示せるか

買主が気にするのは築年数だけではありません。手入れが続いているか、これからいくらかかるのかが見えるかどうかも見ています。

  • 長期修繕計画は現状に合わせて見直されているか
  • 大規模修繕をいつ、どの範囲で行ったか
  • 修繕積立金はいくらあり、滞納はあるか
  • 管理費・修繕積立金の値上げや一時金の予定はあるか
  • 総会で耐震改修、建替え、建物と敷地の売却を検討しているか

室内をきれいにしても、共用部分の大きな工事や一時金が控えていれば、買主はその負担を価格から差し引きます。逆に、旧耐震でも修繕計画、修繕履歴、収支、積立金、総会の様子まで資料で示せれば、「何かありそう」という漠然とした警戒は薄れます。

3つの確認を売り方へつなげる

3つの確認結果は、そのまま「買主が判断できる状態かどうか」に直結します。

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確認結果買主から見た状態売却方針
耐震・融資・管理の資料を説明できる判断材料がそろっている仲介を軸に、同じ建物の成約事例から価格を決める
耐震診断はないが、その事実と管理状況を説明できる耐震性はわからないが、隠している情報はない使える融資を確かめ、仲介と買取を並行して比べる
耐震性の不足や、大きな将来負担がわかっている費用とリスクを見積もれる事実を伝えたうえで、専門の買主も含めて比べる
書類が食い違う、重い劣化や行政からの指摘がある通常の販売説明では判断しにくい売出しを急がず、建築士・管理組合・弁護士などに確認
耐震・融資・管理の確認結果から売却方針を決める表

旧耐震マンションの売却価格は何割下がる?

「旧耐震なら新耐震より何%安い」という全国共通の目安はありません。立地、専有面積、階数、方角、管理状態、土地の持分、室内の状態、賃貸中かどうかで結果が変わるからです。耐震診断や融資関係の資料がそろっているかどうかも、買える人の範囲と値段の交渉に効いてきます。

相場は、条件の近いものから順に見ていくと精度が上がります。

  1. 同じマンション内で実際に売れた事例
  2. 近隣で、築年・駅からの距離・面積・管理状態が近いマンションの成約事例
  3. 今まさに売り出されている競合物件

注意したいのは、売出価格が売主の希望額にすぎない点です。実際にいくらで売れたかは、公的な取引価格情報で地域や時期から調べられます。ただし、どの物件かを特定できない形で公開されるため、同じ建物や細かい条件での比較は不動産会社にも出してもらいましょう。

査定額・売出価格・成約価格・買取価格を分ける

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価格の名前意味注意点
査定額不動産会社が予想した「売れそうな価格」その額での売却を保証するものではない
売出価格市場に出すときの希望価格値下げ前提で高めに置かれていることもある
成約価格売主と買主が合意した実際の取引価格相場を比べるときの中心になる
買取価格買取会社が自ら買主になるときの提示価格現地や書類の調査後に減額される条件を確認する
査定額、売出価格、成約価格、買取価格の違い

査定を頼むときは、「いくらですか」で終わらせないでください。どの成約事例を使い、なぜその金額に補正したのかまで聞きます。旧耐震の影響を一つの率でまとめて引かれるより、要素ごとに分けてもらったほうが、各社の差を比べられます。

査定根拠を確認するための整理方法

参考になる同じ建物・近隣の成約価格
+/- 専有面積、階数、方角、室内の状態、取引時期の差
- 買主が見込む調査費、将来の負担、融資や再販の不確実さ

これは公式の査定式ではありません。各社がその金額を出した理由を、同じ土俵で比べるための整理です。

手取りで比べると、判断が変わる

価格の大小だけを見ていると、判断を誤ります。仲介と買取は、引渡し時期などの条件をそろえたうえで、税引前の手取りで比べます。

税引前の手取り概算

売買価格 - 仲介手数料 - その他の売主負担 - 引渡しまでの保有費 - 住宅ローン返済額

次の表は、計算のしかたを示すための仮の例です。相場や、標準的な買取の差額を示すものではありません。

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仮の条件仲介買取会社との直接契約
売買価格3,000万円2,500万円
仲介手数料105万6,000円0円
その他の売主負担30万円30万円
引渡しまでの想定期間6か月1か月
月額の保有費5万円5万円
引渡しまでの保有費30万円5万円
住宅ローン返済額1,200万円1,200万円
税引前の手取り概算1,634万4,000円1,265万円
仲介と直接買取の税引前手取りを、同じ条件で比べた仮例

この仮例の仲介手数料は、上限の式「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えたものです。直接買取は仲介会社が入らない前提にしています。実際には、印紙、抵当権の抹消、繰上返済、測量・調査、片付け、引渡しまでの管理費・修繕積立金などが物件ごとに変わります。売却益にかかる税金も、この表には入れていません。

数字の上では仲介の手取りが多く見えます。ただし、この差は「6か月で予定どおり売れたら」という前提つきです。売却が長引くこともあれば、買主の融資が通らないこともあります。買取なら、提示額がそのまま契約価格になるのか、追加調査のあとにどんな条件で減額されるのかまで確かめてから比べてください。

売却前にそろえる「旧耐震マンション売却ファイル」

集めた資料は、名前・入手先・そこからわかることをセットにして1か所にまとめます。同じ資料を各社に渡せば、査定額の差が「渡した情報の差」ではなく「各社の評価の差」だと判断できます。

1.建築時期・権利の資料

  • 登記事項証明書、購入時の売買契約書・重要事項説明書
    手元と法務局で集め、所有関係、取得費、購入当時の物件情報がわかる
  • 確認済証、検査済証、建築計画概要書、台帳記載事項証明書
    手元・管理組合・自治体で集め、建築確認日や検査の記録がわかる

2.耐震・管理の資料

  • 耐震診断報告書、改修記録、各種証明書
    管理会社・管理組合へ、診断の有無、結果、改修内容を確認
  • 管理規約、長期修繕計画、収支報告、修繕積立金残高
    使い方の制限、今後の工事、管理組合のお金の状態がわかる
  • 大規模修繕の履歴、直近の総会議事録
    値上げ、一時金、建替え、一括売却などの検討状況がわかる

3.住戸・お金の資料

  • 物件状況報告書、付帯設備表、修繕記録
    室内の不具合や修理の履歴を整理できる
  • 住宅ローン残高、購入費・改修費の領収書
    いくら以上で売る必要があるか、手取りと税金の計算材料になる

4.賃貸中の場合の資料

  • 賃貸借契約書、敷金、賃料、滞納の有無
  • 管理委託・サブリースの契約内容
  • 更新、解約、契約の引き継ぎに関する条件

投資家が、収益と契約の引き継ぎを判断できる状態にします。

なお、建物状況調査(インスペクション)を耐震診断と同じものと考えないでください。前者は決められた基準で建物の劣化や不具合を調べる制度、後者は地震に対する構造の性能を評価するものです。目的が違うため、代わりにはなりません。実施するなら、何を判断するための調査かを先に決めてください。

仲介・直接買取・いったん保留の選び方

同じ物件でも、優先するものが違えば選ぶ方法は変わります。

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方法向いている状況先に確かめること
仲介期限に余裕があり、立地や管理状態を評価してくれる個人・投資家を広く探したい売れそうな価格、販売期間、使える融資、価格を見直す時期
直接買取期限を優先したい、室内や書類に課題がある、内覧の対応を減らしたい最終価格、決済日、減額の条件、残置物、契約不適合責任
いったん保留近いうちに重要な資料や管理組合の方針が固まり、判断材料が増える待つ間にかかる管理費・税金・ローンと、待って得られる情報
仲介、直接買取、いったん保留を選ぶ基準

賃貸中の区分マンションは、空室の住まい用マンションとは買主層が違います。投資家が見るのは、実際の賃料から管理費や修繕積立金などを引いた収益と、賃貸借契約の条件です。無理に退去を求める前に、入居者が入ったまま売る場合と、適法に空室にできる場合とで、価格・時間・費用を比べてください。

査定会社・買取会社へ同じ5問をする

  • 査定に使った成約事例は何か。この物件向けにどう補正したか
  • この物件で買主が検討できる住宅ローンと、必要な書類は何か
  • 仲介なら、売れそうな価格、販売期間、価格を見直す日はいつか
  • 買取なら、最終的な買主は誰か。再調査後に減額される条件と決済日は
  • 残置物、修繕、契約不適合責任を、契約書でどう扱うか

会社を選ぶ基準は、査定額の高さではありません。根拠と契約条件を具体的に説明できるかどうかです。買取は2社以上から書面で条件をもらい、価格だけでなく手取りと責任の範囲も横並びにします。

旧耐震マンションを売却する6ステップ

期限と最低手取りを決め、建築確認日と資料を確かめてから、同じ条件で査定を比べます。この順番を守ると、値下げや工事を先に決めてしまう失敗を避けられます。

STEP
期限と最低手取りを決める

「できるだけ高く」だけでは、仲介を続けるか買取に切り替えるかを判断できません。いつまでに現金化したいのか、ローンを返したあといくら残す必要があるのかを先に決めます。

STEP
建築確認日を確かめる

竣工年だけで旧耐震と決めず、確認済証、重要事項説明書、管理組合の資料、自治体の記録を順に当たります。見つからなかった資料も、「不明」のまま一覧に残しておきます。

STEP
耐震・管理・住戸の情報を一つにまとめる

耐震診断と改修、長期修繕計画、積立金、総会議事録、室内の不具合を売却ファイルにまとめます。都合のよい情報だけでなく、未確認の事項や将来の負担も同じ場所に置きます。

STEP
同じ資料で2〜3社へ査定を依頼する

旧耐震マンションを売った経験がある会社を必ず入れ、成約事例、融資の見通し、想定期間を聞きます。期限が重要なら、仲介の査定と同時に、直接買取の最終条件ももらっておきます。

STEP
販売前に「買える人」を確認する

広告を出してから住宅ローンの難しさに気づくと、申込みが入っても契約まで進めません。候補になる金融機関と必要書類を確かめ、現金で買う人や投資家も含めて、誰に売るのかを整理しておきます。

STEP
わかっている事実と未確認事項を契約書類へ反映する

耐震診断の結果、修繕や一時金の予定、漏水などの不具合、建替え・売却の検討状況を不動産会社へ伝えます。物件状況報告書、重要事項説明書、売買契約書の内容が食い違っていないか確認し、責任の範囲に迷う場合は弁護士へ相談してください。

耐震診断やリフォームは、売却前に必ず行うべき?

資料と採算を確かめる前に始めるのはおすすめしません。

内装をきれいにしても、共用部分である建物全体の耐震性は変わりません。リフォーム費用をそのまま売却価格に上乗せできる保証もありません。同じ不動産会社に、「今のまま売る場合」と「工事してから売る場合」の売れそうな価格を出してもらい、工事費、工期、その間の管理費やローン負担まで含めて比べましょう。

耐震診断も、1室の所有者の判断で建物全体を調査できるとは限りません。まず管理組合に既存の診断記録がないか確認します。買主の融資や税制に必要な証明を取れそうなら、建築士、不動産会社、管理組合と費用・手続・時期を相談してください。

先に手を打つべきなのは、故障した設備や漏水など、放っておくと被害が広がる不具合です。片付けや残置物の処分は、買取会社がそのまま引き受ける条件もあるので、契約条件を確認してからでも遅くありません。

「旧耐震 一棟 買取」で探している場合は3つの意味を分ける

「一棟買取」という言葉は、3つの違う話に使われています。誰が建物を所有しているかで、手続も価格の決まり方も変わります。

図解|「一棟買取」に混ざりやすい3つの売却

区分の1室を売る

売れるのは自分の部屋と敷地の利用権。同じ建物の成約事例、住戸の条件、管理、融資で評価

単独所有の一棟を売る

1人・1社が建物と土地の全部を売却。賃料、稼働率、経費、修繕、土地の使い道で評価

区分マンション全体を売る

1人では決められない。管理組合を起点に、法律で決められた決議と再生の手続が必要

1人・1社で一棟を所有している場合

旧耐震の一棟マンションも、入居者が入ったまま売却・買取を検討できます。ただし、区分マンションの相場を持ってきても評価はできません。

一棟の収益物件では、賃料収入から管理費・修繕費・空室による損失などを引いた純収益を、投資家が求める利回りで割って評価するのが基本です。建替えや別の土地利用が現実的なら、その場合の価値も別に計算します。耐震改修、大規模修繕、アスベスト対策、解体などの費用は、それぞれの計算に反映させます。収益としての価値と土地の価値を、単純に足し算しないでください。

査定を頼む前に、次の資料を用意しておきます。

  • 部屋ごとの賃料、入居状況、契約条件をまとめたレントロール
  • 賃貸借契約書、敷金、滞納、更新、サブリースの情報
  • 固定資産税、管理、清掃、保険、修繕などの支出
  • 確認済証・検査済証、耐震診断、改修・修繕の履歴
  • 土地の権利、境界、接道、用途地域、容積率などの資料

一棟買取の査定を比べるときは、純収益、今後の工事費、土地の価値を各社がどう見積もったかを聞きます。総額だけを見ても、評価の違いなのか調査漏れなのかは区別できません。

複数の区分所有者がいるマンション全体を売る場合

1室だけを持っている人が、自分の判断でマンション全体を売ることはできません。これは「買取査定」ではなく、管理組合で合意をつくるマンション再生の手続です。

2026年4月1日に施行された改正マンション関係法では、建替えに加えて、建物と敷地を一括して売る選択肢などが整いました。必要な賛成は、原則として決議の種類ごとに定められた母数の各5分の4以上です。たとえば建物敷地売却決議なら、区分所有者、議決権、敷地利用権の持分価格それぞれで5分の4以上が必要になります。耐震性の不足など、法律が定める客観的な事情が認められる場合は、各4分の3以上に緩和されることがあります。

「旧耐震」というだけで4分の3に緩和されるわけではありません。

基準になるのは建築時期ではなく、耐震性の不足など、法律が定める客観的な事情が認められるかどうかです。決議の種類、対象、必要な調査、代金の分け方も、通常の区分売却とは違います。

すでに検討が始まっているなら、管理組合から配られた資料と総会議事録を確認し、弁護士、建築士、不動産鑑定士などの専門家を交えて進めます。決議の種類によって必要な調査も手続も変わるため、いつもの区分売却と同じ感覚で進めないでください。

旧耐震マンションの売却でよくある質問

耐震診断をしていないマンションでも売却できますか?

売却できます。1室の所有者に、売却のための耐震診断を一律に義務づける制度はありません。不動産会社(宅地建物取引業者)は、一定の古い建物について耐震診断の記録があるかを調べ、記録があれば重要事項として説明します。ただしこれは、不動産会社に診断そのものを実施させる制度ではありません。

気をつけたいのは、「診断していない」「診断記録を確認できない」「診断した結果、耐震性が足りない」の3つが別物だという点です。確認できた範囲をそのまま書面に残してください。なお、耐震改修促進法上の義務や行政の指示がかかる特定の建物は、別途確認が必要です。

旧耐震マンションでも住宅ローンを利用できますか?

利用できる場合があります。民間ローンは金融機関ごとに審査が違い、フラット35は所定の耐震評価基準などを満たす必要があります。売り出す前に、この物件で検討できる金融機関と必要書類を不動産会社に確認しておくと、申込みのあとに融資が通らず契約が流れる事態を減らせます。

買主は住宅ローン減税を利用できますか?

要件を満たせば利用できる場合があります。1982年1月1日より前に建築された既存住宅では、耐震基準への適合を示す書類などが論点になります。買ったあとに耐震改修をする方法を使うなら、取得日までの申請・仮申請や、取得から6か月以内の入居までに改修と証明を終えることなどが必要です。物件資料だけで「使えます」と断定せず、買主本人に税務署や税理士へ確認してもらってください。

売却前に耐震基準適合証明書を取得したほうがよいですか?

取得できるか、費用と期間はどれくらいか、それによって買える人がどれだけ増えるかを先に確認します。建物全体の調査や管理組合の協力が必要になることもあり、売主1人では進められない場合があります。証明書には調査時期などの要件もあるため、建築士と不動産会社へ同時に相談してください。

買取なら契約不適合責任を負わずに済みますか?

必ず免責になるわけではありません。責任の範囲は、契約条項と、売主が何を伝えていたかの両方で決まります。民法572条では、契約内容に適合しないことを知りながら買主に告げなかった事実について、責任を免れる特約は効力を生じないとされています。「買取だから大丈夫」という口頭の説明だけで判断せず、契約条項を確認してください。

建替えや敷地売却の話が出ているときは、すぐ売るべきですか?

結論を急ぐ前に、総会議事録、検討がどこまで進んでいるか、想定費用、仮住まい、売却代金や費用負担の試算を確認します。再生計画が価格を押し上げることもあれば、将来の負担や長い手続を買主が警戒することもあります。まだ決まっていないことを、決定事項のように説明しないのが大切です。

まとめ|「古い」ではなく「判断できる状態」にして売る

旧耐震マンションの売却で先にやることは、値下げではありません。建築確認日を確かめ、耐震診断や改修の記録、管理の資料を集める。それだけで、買主が判断できる範囲が広がります。

そのうえで、同じ建物や近隣の成約事例を基準に価格を考え、仲介と直接買取を手取り・期限・契約条件で比べます。売れないのは旧耐震だからではなく、確認できないことが多いほど買主が判断しにくくなるからです。

一棟所有の賃貸マンションなら収益を基準に査定し、建替えや別の土地利用は別のシナリオとして比べます。複数の区分所有者がいるマンション全体の売却は、管理組合による法律上の手続です。この違いまで整理できれば、「旧耐震だから売れない」という思い込みから離れて、自分の物件に合う売り方を選べます。

今日から始める3つ
  • 購入時の書類と管理会社への確認で、建築確認日を調べる
  • 管理会社・管理組合へ、耐震診断、修繕計画、積立金、総会議事録を依頼する
  • 同じ資料を2〜3社へ渡し、仲介と直接買取を手取り・期限・条件で比べる

※制度・税制・融資条件は2026年7月24日時点で確認しています。個別物件への適用は、不動産会社、金融機関、建築士、税理士、弁護士、自治体などへご確認ください。

出典・参考資料

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