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空室のある一棟アパートは売却できる?現況か満室かの判断とレントロール・手取り比較

空室のある一棟アパートは、満室に戻さなくても売却できます。反対に、空室を埋めてから売るほうが必ず得になるわけでもありません。判断の軸は、空室が何室あるかではなく、募集がどこで止まっているかと、空室を埋めるために使ったお金を売却価格で取り戻せるかです。

まず現況の査定を取り、そのうえで、修繕・募集にかかる費用と改善後の手取りを比べます。価格が上がる見込みだけを見て、査定前に工事や入居付けを始めないことが大切です。

この記事では、空室の切り分け方、売却用レントロールの整え方、現況売却と改善後売却の手取りの比べ方を順に説明します。

この記事でわかること
  • 現況売却か満室化かの判断基準
  • 募集が止まった段階の切り分け方
  • 売却用レントロールの整え方
  • 空室を埋める費用の回収見込み
  • 現況・改善後と仲介・買取の比べ方
空室のある一棟アパートの売却を判断する3つのツール
  • 空室の記録
    住戸ごとに、募集がどこで止まったかと、次に確かめることを書き出す
  • レントロールの3分割
    契約上の賃料、実際に入った金額、空室が埋まった後の予想を、混ぜずに並べる
  • 改善差額
    空室を埋めた後の価格から、修繕費・募集費・保有中の持ち出し・売却費用を引き、今のまま売る場合と比べる

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目次

一棟アパートの空室は「何室あるか」より「募集がどこで止まったか」で打つ手が変わる

空室期間の長さだけでは、その部屋が決まらない原因は分かりません。退去後の修繕が終わっていない部屋と、募集しても問い合わせが来ない部屋では、売却前に確認すべきことが異なります。

まずは空室を、募集前・問い合わせ前・申込み前・契約前の4段階に分けてください。どの段階で止まっているかが分かると、修繕や募集にお金をかけるべきか、現況のまま査定を取るべきかを判断しやすくなります。

募集が止まる4つの段階を順に確認する

空室が長引いていても、原因はすべて同じではありません。原状回復前、掲載後の反響なし、内見後の見送り、申込み後の未契約では、確認すべき点も対策も変わります。

まずは各住戸がどの段階で止まっているかを整理し、追加費用をかけるべきか、現況のまま査定を取るべきかを判断しましょう。

1.原状回復が終わらず、まだ募集を始めていない

退去後の修繕や設備交換が終わっていない部屋は、まだ市場の反応を確認できていません。空室期間が長くても、「募集したが決まらなかった部屋」と同じように扱わないことが大切です。

工事内容、見積額、完了予定日を確認し、工事後に見込める査定額の上昇が、工事費と売却を待つ間の負担を上回るかを比べます。現況の査定も同時に取り、工事をする前後で手取りがどれだけ変わるかを確かめてください。

2.掲載しても問い合わせがほとんど来ない

募集を始めても問い合わせが来ない場合は、大きな改修をする前に募集条件を点検します。募集賃料、競合物件、掲載写真・説明文、掲載先、地域の賃貸需要を確認してください。

賃料や掲載内容を見直しても反応が弱いなら、内装だけに原因があるとは限りません。追加費用をかける前に現況の査定を取り、空室を引き受けられる買主へ売る場合の価格と比べます。

3.内見はあるが、申込みに至らない

内見が入っているなら、立地や募集賃料には一定の関心があると考えられます。次に確認するのは、室内、共用部、設備、初期費用、契約条件のどこで見送られているかです。

管理会社に見送り理由を記録してもらい、費用をかけずに直せる項目から1室で試します。原因が分からないまま全空室を改修すると、売却価格で回収できない支出が増えるおそれがあります。

4.申込みは入るが、契約まで進まない

申込みが入っているなら、部屋や募集条件に需要がある可能性があります。この段階では、入居審査、保証会社の条件、初期費用、契約説明、入居開始日などを確認します。

部屋そのものに問題があるのか、審査や契約手続きで止まっているのかを分けてください。契約手続きが原因なら、追加の設備工事をしても解決しないことがあります。

入居中なのに入金がない部屋は、空室ではなく滞納として分ける

入居中なのに家賃が入っていない住戸は、空室率ではなく入金率の問題です。契約賃料、請求額、入居者本人からの入金、保証会社からの支払い、未回収額を住戸・月ごとに照合します。

空室と滞納を一緒にすると、買主は実際にいくら回収できているのかを判断できません。保証会社の立替払い(代位弁済)がある場合も、本人からの入金と分けて記録してください。

空室の原因を整理したら、現況と改善後の査定を同じ条件で比べる

空室が止まっている段階を整理したら、査定は「物件の状態」と「売り方」の2軸でそろえます。

物件の状態は、現況(今の入居・空室・修繕のまま)、指定した修繕と募集を行った後、条件が合えば建物再生や土地利用を前提とした状態に分けます。売り方は、市場で買主を探す仲介か、不動産会社などが買主となる直接買取です。

比較するときは、査定日と売却期限をそろえます。想定売却価格だけでなく、売却までの収支、修繕・募集費、売却費用、決済時のローン残高まで入れ、税引前と税引後の手取り見込みを出してください。

売り方が決まる前に、契約や解体を自己判断で進めない

現況の査定を取る前に、長期の安い家賃での契約、長いフリーレント(一定期間家賃を無料にする条件)、サブリースの契約・解約、退去交渉、解体を自己判断で始めないでください。

これらは買主層、将来の収益、入居者との権利関係を変えます。解体のように元へ戻せない対応もあるため、実行後の査定だけでなく、実行しない場合の査定も先に取って比べます。

査定時はレントロール・契約書・入金記録を同じ基準日でそろえる

査定に出す前に、基準日をそろえたレントロール、全住戸の賃貸借契約書、用意できる範囲で直近12〜24か月の入金記録をそろえます。年間の運営費、修繕履歴、ローンを一括返済する場合の残高も確認してください。

同じ資料を収益物件の売買に詳しい複数社へ渡せば、査定額だけでなく、純収益、利回り、修繕費、想定する買主の違いまで比較できます。

この記事で想定する一棟アパートの売却

この記事が想定しているのは、日本国内の居住用一棟アパートを、一部または全部が空室の状態で通常の市場へ売るケースです。

区分マンション1室、店舗・事務所が中心の物件、借地権、競売、任意売却(債権者の同意を得て進める売却)、入居者との紛争、法人の税務は前提が変わるため、個別に専門家へ確認してください。

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空室が多い一棟アパートは「売れない」のではなく、買主層と値付けの根拠が変わる

空室が多いから売れない、と決めつける必要はありません。変わるのは、その物件を評価する買主と、価格の組み立て方です。

安定して家賃が入る物件を探す投資家は、今の家賃収入を重く見ます。一方、改修や賃貸管理を得意とする事業者は、空室を埋めた後の収入から、必要な工事費と想定どおりに改善しないリスクを差し引いて判断します。全戸空室で土地の使い道が広ければ、建替えや別用途を考える買主も候補です。

空室は収入を下げますが、賃貸運営に強い買主から見れば伸びしろでもあります。ただし、満室想定の家賃を書き添えるだけでは根拠になりません。空室の理由、決まりそうな賃料、必要な費用と期間まで示して、はじめて「埋めた後の収益」を一緒に検討できます。

空室率だけで売り方を決めず、戸数稼働率・賃料稼働率・入金率で見る

空室率は建物の稼働状況を示しますが、それだけで売却できるかどうかや売り方までは決まりません。同じ8室中6室入居・2室空室でも、空いている部屋の賃料や面積が大きければ、収入の落ち込みは重くなります。空室の影響は、少なくとも次の3つに分けて見ます。

指標計算の考え方分かること
戸数稼働率入居中の住戸数 ÷ 賃貸可能戸数基準日時点で何室が稼働しているか
賃料稼働率入居中住戸の契約賃料合計 ÷ 根拠のある満室想定賃料空室が収入へ与える大きさ
入金率実際に回収できた金額 ÷ 請求額滞納や未回収を含む収入の確かさ

賃貸可能戸数の定義と基準日は、比較する会社どうしでそろえます。大規模修繕のため募集していない住戸を分母に含めるか、保証会社の支払いを入金に含めるかによって数字が変わるためです。保証会社の支払いを含める場合は、本人入金と区別して注記します。

戸数稼働率が75%でも、高い賃料を見込む2室が空いていれば、賃料稼働率は75%を下回ります。反対に、賃料の安い小さな部屋だけが空いているなら、戸数ほど収入は落ちていません。

1か月分の稼働率だけでは、たまたま退去が重なったのか、慢性的に空いているのかも分かりません。用意できる範囲で直近12〜24か月の月別の入居、募集期間、問い合わせ、内見、申込み、成約賃料を並べると、買主が知りたい「この空室は今後も続くのか」が見えてきます。

空室を埋めずに現況売却の査定を先に取ったほうがよいケース

次に当てはまるなら、満室にすることを前提にせず、今の状態で査定を取る価値があります。

  • 返済や納税などの期限があり、募集に使える時間が短い
  • 空室の原因が人口・賃貸需要・周辺の供給など、所有者だけでは変えにくい
  • 給排水、屋根、外壁、耐震、建築・消防法令への適合などに大きな調査・工事が必要
  • 募集家賃を下げても反響が乏しく、他の部屋なら決まるという根拠もない
  • 全戸空室で、建物より土地や再生事業として評価する買主が見込める
  • 改善後の高い査定は出たが、費用・期間・成約条件が書面になっていない

空室を埋められなかった経緯も、隠すより整理したほうが買主の判断に役立ちます。「家賃を下げても決まらなかった」のと「修繕が終わらず募集を止めていた」のとでは、買主が引き受けるリスクがまったく違うからです。

\ 満室に戻す前に、今の価格を知る /

レントロールが悪い一棟アパートは、契約賃料・実入金・満室想定を分けて示す

レントロールは、住戸ごとの入居状況、賃料、共益費、敷金、契約期間などを一覧にした資料です。決まった様式はありません。見た目を整えることより、賃貸借契約書と入金記録に数字が合っていることを優先します。

売却用では、①契約上の賃料、②実際に入金された金額、③空室が埋まった場合の予想収入を、別々に示します。「レントロールが悪い」とは、空室が多いことだけを指すのではありません。次のように、数字の意味が読み取れない状態も含みます。

レントロールの問題買主が判断できないこと整え方
作成日・基準日がない情報が今も有効か「○年○月○日現在」のように基準日を書く
空室の募集賃料と入居中の契約賃料が同じ列今の収入はいくらか契約賃料、募集賃料、満室想定を別の列に分ける
契約賃料と入金額が合わない滞納、減額、フリーレントの有無月別の請求額と実入金を照合し、差額の理由を書く
退去通知、更新日、定期借家の満了がない近い将来に増える空室通知日、退去予定日、契約種別、満了日を書く
敷金・保証会社・滞納債権が不明決済時に引き継ぐ義務と回収の見込み契約書、敷金台帳、保証契約、督促記録と合わせる
フリーレントや広告料の記載がない実質的な成約条件と募集費用無料期間、礼金、広告料、原状回復費を分けて書く
年間運営費の資料がない手元に残る純収益別紙で管理、清掃、点検、修繕、税、保険、募集費を年額で示す
売却直前の入居が集中しているその入居が続くのか入居日、募集期間、契約条件、関係当事者を示す

売却用レントロールに入れる住戸別の記載項目

買主が住戸ごとに確かめるのは、次の項目です。

  • 部屋番号、用途、間取り、賃貸面積
  • 入居中、空室、申込中、退去予定の区分
  • 普通借家・定期借家などの契約種別、契約日、更新日・満了日
  • 契約賃料、共益費、駐車場などの継続収入
  • 今の募集賃料と、その根拠にした比較物件
  • フリーレント、礼金、広告料などの募集条件
  • 用意できる範囲で直近12〜24か月の請求額、入金額、滞納額
  • 敷金・保証金、保証会社、連帯保証の状況
  • 退去通知、トラブル、修繕依頼など価格判断に関わる事項
  • 数字の根拠となる契約書、通帳、管理送金明細などの所在

空室の欄には、次の項目を足します。空いた日、前回の成約賃料、今の募集賃料、募集を始めた日、問い合わせ数、内見数、申込数、申込みに至らなかった理由、修繕の状態と見積額です。

空室ごとにこれらを書き足すと、「悪いレントロール」は低稼働の記録から、直せる空室と直しにくい空室の一覧に変わります。

賃貸借契約・請求・入金の3点照合で、実際の家賃収入を確定する

レントロールに月6万円と書いてあっても、フリーレント中で入金が0円なら、今の実収入は6万円ではありません。保証会社が家賃を立て替えている場合も、入居者本人からの入金、保証会社の立替払い(代位弁済)、未回収のままの分を分けます。

STEP
契約から、請求すべき金額を確定する

賃貸借契約書と覚書を確認し、契約期間、賃料、共益費、無料期間などを住戸ごとに整理します。

STEP
請求額と、差し引かれた内容を確定する

管理会社の月次報告と請求台帳を突き合わせ、どの月に何を請求し、何が控除されたかを確認します。

STEP
実際の入金日と金額を確定する

通帳と送金明細を確認し、本人からの入金、保証会社の支払い、未回収を分けて記録します。

差額が出たら、都合のよい数字に合わせず、原因を書き残します。滞納、相殺、減額、フリーレント、管理会社の未送金などです。

買主が融資を使う場合、金融機関は物件の収支も確かめます。投資用不動産向け融資では、入居率や賃料の低下、金利上昇、大規模修繕を織り込んだ収支シミュレーションや、周辺物件の家賃相場・入居率の検証が、金融機関の取組例として挙げられています。

これは2019年3月に公表された調査での取組例で、現在のすべての金融機関に共通する審査基準ではありません。それでも、レントロールの賃料や入居率が周辺相場と照らして確かめられることを前提に、募集賃料の根拠にした比較物件の資料も用意しておきます。

レントロールに載せる入居者の個人情報は、段階を分けて開示する

販売初期に広く共有するレントロールでは、氏名、勤務先、電話番号など個人を特定できる情報を削除またはマスキングします。部屋番号、契約条件、入金状況など、収益と契約の確認に必要な情報にとどめます。

購入候補者が具体化した後の開示条件
  • 秘密保持と利用目的を決める
  • 閲覧できる人と管理方法を決める
  • 漏えいしたときの対応を決める
  • 交渉がまとまらなかった場合の削除・返却を決める
  • 調査に必要な範囲だけを開示する

売買契約前の調査で、賃貸人が購入希望者へ賃借人の個人データを提供する場合、委託や事業の承継に類似するものとして、本人の同意を得ずに提供できるとされています。

ただし、利用目的と取扱方法、漏えいなどが起きた場合の措置、交渉が不成立になった場合の削除・返却などを契約で定め、購入希望者に安全管理措置を守らせる必要があります。実際の開示項目と順番は、仲介会社の個人情報管理ルールや、必要に応じて弁護士の助言に沿って決めます。

\ レントロールが整ったら、次は査定 /

アパートの空室を埋めてから売るかは、価格差ではなく「改善後の手取り差」で決める

満室は分かりやすい強みです。ただし、家賃を大きく下げたり長いフリーレントを付けたりして急いで埋めると、その契約が売却後の収益まで縛ります。

買主が見ているのは「満室」という表示ではなく、その賃料が続くのか、費用を引いていくら残るのかです。

入居付けしてから売却したほうがよい一棟アパートの条件

次の条件がそろうほど、改善後の売却を検討しやすくなります。

  • 退去や修繕の時期が重なっただけで、過去には安定した入居実績がある
  • 周辺の成約賃料と問い合わせ状況から見て、募集賃料に無理がない
  • 空室ごとの修繕費、募集費、無料期間、完了時期を見積もれる
  • 長期の値下げや不利な契約を使わなくても入居が見込める
  • 売却を待つ間の返済と運営費を負担できる
  • 思ったより収益が伸びなかった場合でも、改善後の手取りが現況売却を上回る

原因が分からないまま全室にお金をかけるより、まず1室で募集条件を試す方法もあります。必要最低限の修繕をして、賃料、問い合わせ、内見、申込み、契約に至らなかった理由を記録します。1室の結果をそのまま他の部屋へ当てはめることはできませんが、同じ対策が使えるかどうかの手がかりにはなります。

空室のまま現況売却・買取に向く一棟アパートの条件

次の条件では、売主が先に入居付けの費用を負うより、再生を得意とする買主へ現況で売るほうが、期限や手取りに合うことがあります。

  • 立地や間取りが今の賃貸需要と合わず、賃料の調整だけでは解決しにくい
  • 法令不適合の疑い、未登記、再建築できるかどうか、境界、接道など、賃貸募集より先に調べるべき問題がある
  • 大規模修繕や設備更新が必要で、費用と工期が固まっていない
  • 持ち続けると、返済・税・管理の支出が資金余力を超える
  • 全戸空室で、賃貸住宅以外の用途や土地として検討する買主がいる
  • 売却期限までに、入居実績を十分な期間示せない

仲介と直接買取は、価格だけでなく条件も違います。直接買取では、買主が再販売・改修・空室のリスクを引き受ける分、その費用と利益が価格から差し引かれます。仲介は高く売れる余地がある一方、買主探し、詳細調査、融資承認に時間がかかり、成約するとも限りません。

買取価格と仲介の査定額を比べるときは、仲介手数料、売却までの持ち出し、追加の修繕費、契約不適合責任(引渡し後に契約と違う不具合が見つかったときの売主の責任)の範囲、価格を下げる条件までそろえます。直接買取でも、間に仲介会社が入れば手数料が発生することがあるため、それぞれの会社の立場を確かめます。

\ 仲介と買取、両方の数字をそろえる /

全戸空室のアパートでも、解体と更地売却は査定後に判断する

全戸空室なら、内覧・改修・用途変更は進めやすくなります。その代わり、今の家賃収入はありません。建物を生かす買主、賃貸住宅として再生する買主、土地を使う買主で、評価はそれぞれ変わります。

解体は、3つの査定と費用を比べてから

解体は元に戻せません。先に、一棟の現況価格、建物の再生を前提にした価格、土地としての価格を取り、解体・調査・測量などの費用を引いて比べます。

土地として高く見えても、必要な費用を引くと、一棟のまま売る場合との差が縮むことがあります。

住宅を解体し、翌年1月1日時点で住宅の敷地ではなくなった場合、原則として住宅用地に対する課税標準の特例が外れ、土地の固定資産税・都市計画税が上がることがあります。建替え中に特例を継続できる場合もあるため、解体前に適用要件と申告手続を所在地の市区町村へ確認してください。

入居者が残るアパートは、オーナーチェンジ売却を前提に査定する

一部の住戸に入居者がいるアパートは、通常、賃貸借契約を引き継ぐ「オーナーチェンジ物件」として売却します。

賃借人が建物の引渡しを受けている場合、その賃貸借は登記がなくても、その後に建物について物権を取得した者へ対抗できます(借地借家法31条)。また、対抗要件を備えた賃貸不動産が譲渡された場合、貸主の地位は原則として買主へ移ります(民法605条の2)。

普通借家契約では、貸主から解約を申し入れたり更新を拒絶したりするには正当事由が必要です(借地借家法27条・28条)。売却するという理由だけで当然に退去してもらえるとは考えず、入居中の住戸は原則として契約を引き継ぐ前提で査定します。退去や滞納に個別の事情がある場合は、賃貸借契約一式を弁護士へ渡し、対応の順序を確かめてください。

空室による一棟アパートの価格差は、収益還元法の純収益で検証する

一棟アパートの価格は、満室想定の家賃だけでは決まりません。空室や滞納を差し引いた収入から運営費を引き、その収益が続く見込みと利回りを合わせて検証します。

将来見込める純収益をもとに価格を求める方法を「収益還元法」といいます(不動産鑑定評価基準 総論第7章第1節IV)。もっとも単純な直接還元法の式は、次のとおりです。

直接還元法の基本式

収益価格 = 一期間の純収益 ÷ 還元利回り

純収益は、年間の収入から運営費を引いた利益です。還元利回りは、その純収益を価格に置き換えるときに使う利回りを指します。

純収益を求めるときは、貸室稼働率の変動に加え、維持管理費、修繕費、固定資産税・都市計画税、保険料などを検討します。証券化対象不動産の評価では、空室・貸倒れによる損失、募集費、建物の価値や耐久性を高める支出なども分けて示します。

すべての査定が、ここまで細かい明細を使うわけではありません。それでも、満室時の家賃だけでは収益価格を検証できない点は共通しています。

実務の簡易比較では、年間収入から日常的な運営費を引いた「NOI(営業純収益)」を使うことがあります。ローンの元利返済や売主固有の所得税は含めず、大規模修繕や資本的支出をどこで控除するかを、比較するすべての案でそろえます。

現況実績・一時要因をならした実績・安定稼働後の予測を分ける

空室のある物件では、次の3つを混ぜると価格を読み違えます。

収益の見方中身主な使い道
現況実績直近の契約と実入金にもとづく収入取得直後の収益状況を確認する
一時要因をならした実績一時的な入退去、臨時の収入・支出を分けた収益平常時に近い実績として比べる
安定稼働時の予測市場賃料、募集実績、空室期間、必要な工事を根拠にした将来収入改善後の収益と価格を検討する

直近12か月の実入金を使うなら、その期間にすでに表れている空室損をもう一度引かないようにします。反対に満室想定の賃料から始めるなら、通常発生する空室、入替えの期間、フリーレント、滞納の見込みを差し引きます。

ローンの元利返済と、売主にかかる税金は、物件そのもののNOIには入れません。収益価格を確かめたあとで、売主の税引前・税引後の手取り見込みへ反映します。

還元利回りは、地域、築年、構造、修繕、売りやすさ、融資環境、収益の確かさで変わります。ポータルサイトに出ている売出利回りをそのまま採用せず、不動産会社には、参考にした成約事例と、この物件固有のリスクをどこに反映したかを聞きます。

空室を埋めた後の査定額が、そのまま手取りの差にならない理由

以下は、計算の流れだけを示す仮想例です。7.0%・7.5%という利回りや各費用は相場ではありません。この例だけの仮定です。ローン返済と税金も含めていません。

改善差額の計算式

改善差額 = 改善後の比較額 − 現況売却の比較額

比較額 = 簡易収益価格 − 売却費用 − 改善のための追加支出

スクロールできます
比較項目現況で売却改善後・基準ケース改善後・下振れケース
年間純収益の仮定240万円300万円270万円
還元利回りの仮定7.5%7.0%7.5%
簡易収益価格3,200万円約4,286万円3,600万円
売却費用の仮定▲130万円▲170万円▲150万円
追加修繕費0万円(追加なし)▲180万円▲180万円
追加募集費0万円(追加なし)▲50万円▲50万円
改善期間の追加保有負担(7か月×10万円)0万円(追加なし)▲70万円▲70万円
ローン返済・税金を除く比較額3,070万円約3,816万円3,150万円
改善差額―約+746万円+80万円
数値はすべて仮想例で、相場を示すものではありません
この例から分かること

基準ケースの改善差額は約746万円ですが、純収益と利回りが少し下振れするだけで80万円まで縮みます。しかもこの金額は、最終的な手取りではありません。ローン返済と税金を加え、売却期限内に回収できるかまで確かめる必要があります。

この例の月10万円は、同じ比較開始日から見た現況売却との差額として、改善期間中の追加持ち出しを置いたものです。賃料、運営費、ローン返済などを別の行で計上する場合は、同じ収入や支出を二重に入れないでください。

改善後の査定では、「収入が増える」と「還元利回りも下がる」を同時に期待しすぎないことが大切です。純収益が伸びず、利回りも変わらない場合を置いて、それでも改善差額がプラスかを見ます。

査定を受け取ったら、現況売却と改善後売却のそれぞれで、想定売却価格から売却費用、追加の修繕費・募集費、改善期間の追加保有負担を引き、同じ基準日の数字で比べます。最終的な手取りは、そこから決済時のローン残高と売却に伴う税金の見込額を引いて確かめます。分からない項目を0円にすると手取りを多く見積もってしまうため、確認できていない項目は「未確認」として残します。

\ 現況と改善後の査定を、同じ条件で取る /

空室の住戸ごとに、募集経過と見送り理由を残す

同じ建物でも、間取り、設備、階数、原状回復の進み具合によって、募集が止まる段階は異なります。空室ごとに募集経過、見送り理由、次に確かめることを1戸ずつまとめます。

住戸ごとの違いを比較できるように、同じ項目で整理します。以下は記入済みの仮想例です。

金額や反響数は相場を示すものではありません。

住戸・止まっている段階現状次の一手・費用判断
101号室
原状回復・募集前
退去から4か月
前回賃料は6.0万円
給湯器の故障により募集を止めており、交換見積りは20万円
現況の査定と、給湯器交換後の募集条件・査定を同時に取る。
20万円を差し引いても改善差額が残る場合に、交換を検討する。
202号室
掲載後・問い合わせなし
募集開始から6か月
募集賃料は6.2万円で、問い合わせは0件。
周辺の成約賃料、競合物件、掲載先、写真、募集条件を照合する。
需要と適正賃料を確認する前に、大きな改修は行わない。
305号室
内見後・申込みなし
募集開始から3か月
問い合わせ8件、内見4件、申込み0件
見送り理由は、初期費用が2件、共用部の状態が2件
初期費用と共用部の問題を分け、費用のかからない対策から試す。
他の住戸にも使え、改善差額を確保できる対策だけを見積もる。

表にすると、空室期間だけでなく、募集がどの段階で止まっているかを住戸ごとに比較できます。問い合わせが来ない部屋では、賃料、掲載内容、地域の需要を確認します。内見後に見送られる部屋では、室内・共用部・初期費用・契約条件を確認してください。

申込み後に契約へ進まない場合は、入居審査、保証会社の条件、初期費用、契約手続きを確認します。1つの数字だけで原因を決めず、問い合わせや内見の結果、見送り理由を管理会社にも記録してもらうことが大切です。

原状回復が終わらず募集していない部屋は、「長く募集しても決まらない部屋」と分けて扱います。空室期間が同じでも、前者の論点は工事費と再募集までの期間、後者の論点は賃料、部屋の状態、募集内容、地域の需要だからです。

空室の記録に添える募集・修繕・契約の資料

記録の内容を裏づけるのは、次の資料です。

  • 募集図面と掲載履歴
  • 問い合わせ・内見・申込み・見送り理由の記録
  • 修繕見積書と、発注・完了の状況
  • 全住戸の賃貸借契約書と入金記録
  • 年間運営費と、修繕・点検の資料
  • 登記・建築・境界関係の資料

見つからない資料は推定で埋めず、「未確認」と書き、どこから取り寄せるか、いつまでに確認するかを添えます。この記録は、空室をよく見せるための資料ではありません。

お金と時間で直せる問題、調査が必要な問題、所有者だけでは変えにくい問題を分け、買主が理由の分からないリスクまで価格から差し引くのを防ぐための資料です。

\ 空室の記録がそろったら、価格の確認へ /

一棟アパートの査定は「物件状態」と「売り方」の2軸で依頼する

査定額を比べる前に、前提をそろえます。現況と満室想定、仲介と買取、建物利用と土地利用が混ざったままでは、高い査定が本当に有利かどうかを判断できません。

収益物件の売買に詳しい不動産会社へ、同じ基準日と売却期限で、当てはまる状態の査定を依頼します。

  1. 今の入居・空室・滞納・修繕の状況を開示した、現況
  2. 指定した修繕と募集条件で、一定の稼働まで改善できた状態
  3. 全戸空室など条件を満たす場合だけ、建物を再生する状態と、土地としての売却

そのうえで、それぞれの状態について、仲介で見込む成約価格・期間と、直接買取の価格・条件を分けます。買取会社が土地として使う予定でも、それは買主の利用計画であり、売り方は直接買取です。入居者が残っている物件に、根拠もなく全戸空室を前提にした査定は加えません。

物件の状態と売り方を組み合わせた査定の取り方

査定は、物件の状態(現況、指定した修繕・募集後、条件を満たす場合の建物再生・土地利用)と、売り方(仲介、直接買取)を組み合わせて依頼します。どの組み合わせも同じ資料と期限で依頼し、価格・期間・費用・減額条件・概算手取りを出してもらいます。条件に合わない組み合わせは、無理に比べず「対象外」とします。

一棟アパートの査定書に書いてもらう8項目

価格の根拠は、次の8項目がそろってはじめて会社どうしで比べられます。

  • 現況の実収入、満室想定、空室・貸倒れ、年間運営費、純収益
  • 採用した還元利回りと、その根拠
  • 比較した成約事例の時期、地域、築年、構造、稼働状況
  • 想定する買主、融資利用を見込む場合の前提、まだ確認できていない事項
  • 必要な修繕・募集施策と、その費用・完了時期
  • 想定販売期間と、価格を見直す条件
  • 売却費用、契約条件、価格が確定する時点
  • 仲介会社、直接の買主、関連会社、紹介先など各社の役割
そのまま使える査定依頼文

「現況」と、「空室のうち○室を見積書どおりに直し、この条件で入居した状態」を分けて査定してください。

それぞれ、仲介の成約予想価格と期間、直接買取の価格と条件を示してください。

あわせて、次の項目も書面にしてください。現況収入、安定稼働後の収入、運営費、純収益、利回り、参考にした成約事例、売却費用、値下がりの条件です。

最高額を出した会社が、いちばん高く売ってくれる会社とは限りません。査定の差が、純収益、利回り、土地評価、修繕、買主層のどこから生じたのかを説明できる会社を選びます。

\ 差が出た理由まで確かめる /

空室のある一棟アパートを任せる不動産会社への6つの質問

面談では、次の6つを順に聞きます。

  1. 満室想定ではなく、今の実入金を使った価格はいくらか
  2. 空室を埋めた場合、純収益と価格はどの根拠で増えるのか
  3. 成約事例と売出事例を分けているか
  4. 空室が多い物件の想定買主は誰で、融資を利用する場合に不足している資料は何か
  5. 建物を生かす価格と、土地利用を前提にした価格をどう比べたか
  6. 売買契約まで、または決済までに空室・退去が増えた場合、価格と契約条件をどう扱うか

6つ目は、質問から抜けやすい項目です。査定時には6室入居でも、決済時には5室に減っているかもしれません。反対に、販売中に1室決まることもあります。どの時点のレントロールを価格の前提にするか、変化が起きたときの通知期限、価格調整や解除の条件を、契約前に決めておきます。

空室のある一棟アパートの売却を進める6ステップ

STEP
売却期限と、必要な手取りを決める

いつまでに、税引前・税引後でいくら必要かを決めます。

STEP
レントロールと空室の記録を、原資料に合わせる

契約、請求、入金、募集、修繕の記録を同じ基準日でそろえます。

STEP
物件状態と売り方の2軸で査定を取る

同じ資料、査定日、売却期限で、現況と改善後、仲介と直接買取を比べます。

STEP
仲介か直接買取かを選ぶ

価格だけでなく、期間、費用、減額条件、契約上の責任までそろえて選びます。

STEP
買主の詳細調査に対応する

必要性に応じて資料を段階的に開示し、未確認の事項と収益の前提も伝えます。

STEP
契約後の変化を反映し、決済する

入居、退去、入金、修繕の変化を最終レントロールと引継書類へ反映します。

査定額でローン残高と売却費用を賄えない見込みなら、売買契約の前に金融機関へ相談します。

売買契約から決済まで、入居・退去によるレントロールの差分を管理する

空室のあるアパートでは、査定の後も収入が動きます。販売中に入居が決まることもあれば、契約済みの部屋から退去通知が届くこともあります。古いレントロールを価格の前提にしたまま契約すると、買主の融資や決済条件にまで影響しかねません。

まず「いつの状態を価格の前提にしたか」が、査定書、購入申込書、売買契約書の各書面で追えるように残します。その後の変化は、元の数字を書き換えずに管理します。発生日、判明日、根拠資料、収入と費用への影響を、差分として記録してください。

販売中の入居・退去・滞納で記録すること

販売中に起きる変化は、次の5つに分けて記録します。

変化ごとに書き残す項目
  • 入居申込み・新規契約
    契約賃料、無料期間、広告料、敷金、保証、契約開始日、初回入金
  • 退去通知・退去
    通知日、退去日、最終賃料、敷金、原状回復、再募集までの予定
  • 滞納・保証会社の支払い
    本人の未入金、保証会社による立替払い(代位弁済)、未回収債権を分けた金額と日付
  • 賃料の変更・免除・相殺
    契約変更の根拠、期間、請求額と実入金への影響
  • 修繕・設備の故障
    対象住戸、見積額、発注状況、完了予定、売主と買主の費用負担

販売中の変化を売買契約と決済に反映する

変化が起きるたびに、発生日・判明日、住戸と変化の内容、収入・費用への影響、通知期限と負担者を記録し、根拠資料と一緒に保管します。

売買契約では、入居や退去などの変化をいつまでに伝えるかを決めます。あわせて、価格を調整・解除する条件、賃料や固定資産税などの精算、敷金・未収賃料・原状回復費の負担、工事中の修繕と管理契約の扱いも、契約書で定める項目です。買主が融資を使う場合は、承認の期限と、前提にした収入が変わったときの扱いも確認します。

収益を説明するときは、その実現を妨げる条件も一緒に伝えます。投資用ビルの売買で、売主業者が示した想定収益の25%余りを占めていた屋上広告看板の賃料が、条例で掲出が禁止されていたために見込めなくなった裁判例があります(東京地裁令和4年3月29日判決)。この事案では、売主業者の調査説明義務違反が認められ、買主の損害賠償請求が一部認められました。

これは個別事案に関する裁判例であり、結論をすべての売買へそのまま当てはめることはできません。それでも、想定収入を示すときは、その前提や実現を妨げる法令・契約上の制約も一緒に確認して伝える必要があると分かります。

決済時には、最後の差分まで反映したレントロールを確定します。賃貸借契約、敷金、鍵、入金・滞納、修繕、管理会社などの引継書と一緒に渡し、売主と買主の双方で受領内容を残します。

入居者には、所有者と管理窓口が変わる日、振込先、緊急連絡先、原則として従前の契約条件が引き継がれることを案内します。

一棟アパート売却の手取りは、保有中の収支と譲渡所得税を分けて計算する

手取りは、次の2段階で計算します。

税引前・税引後の概算手取り

税引前の概算手取り
= 売却代金 + 売却までの賃料などの現金収入
- 運営・修繕・募集・売却の費用
- 売却までのローン元利返済 - 決済時のローン残高

税引後の概算手取り
= 税引前の概算手取り - 売却に伴う税金の見込額

この式は、同じ比較開始日から決済までの現金収支を比べるための簡易式です。売却までに返したローン元金と、決済時のローン残高はどちらも実際の支出ですが、返済によって決済時の残高は減ります。必ず同じ基準日の残高と返済予定を使ってください。

また、管理会社の送金額や保有収支を、すでに費用を引いた後の金額で置いている場合は、その中に含まれる管理費や修繕費をもう一度引かないようにします。比べるすべての案で、計算の開始日と、収入・支出の範囲をそろえます。

個人の譲渡所得は、原則として譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。一棟アパートの建物の取得費は、減価償却費相当額を差し引くため、購入額をそのまま使えるとは限りません。税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超える長期譲渡所得なら20.315%、5年以下の短期譲渡所得なら39.63%です(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)。詳しくは国税庁の「譲渡所得の計算のしかた」「取得費となるもの」を確認してください。

売主が課税事業者で、賃貸事業に使っていた建物を事業用資産として譲渡する場合などは、建物部分が消費税の課税対象になります。一方、土地や借地権の譲渡は非課税です。土地と建物を一括で売る場合は、合理的な基準で代金を区分する必要があります。

税額は、所有形態、課税事業者かどうか、取得の経緯、経理処理でも変わります。取得時の資料と減価償却台帳を税理士へ渡して確認してください。

滞納・サブリース・検査済証など、空室以外の問題をレントロールから切り分ける

空室と一緒に別の問題が見つかったときは、「稼働率が低い物件」とひとまとめにしないでください。必要な資料も、相談先も、売却前にできることも変わります。

資料から分かること先に切り分ける論点
入居中だが、請求額と入金額が合わない滞納額、保証会社の支払い、督促・解除の経緯、債権の引継ぎ
所有者ではなくサブリース会社が賃貸人になっている一括借上げ契約(マスターリース)の賃料、免責期間、減額・解約・承継の条件
検査済証(工事完了時の検査に合格したことを示す書類)が見当たらない書類の保管状況、代わりになる資料、現況調査、融資への影響
増築、用途、接道などに法令上の疑いがある違反の有無、是正できるか、再建築・融資・説明への影響
入居者が残り、賃貸借契約を引き継ぐ契約、敷金、管理、入居者への通知を含む売却全体

たとえば、空室が2室あっても、入居中の6室で滞納が続いていれば、問題の中心は空室率ではなく実入金です。反対に、入金は安定していても検査済証が見つからなければ、建築資料と現況の調査が、査定や融資の前提になります。

売却方針を決める前に、レントロールの数字と原資料が食い違う箇所へ印を付け、「空室募集」「滞納」「契約」「建物・土地」のどれに当たるかを分けます。すべてを一度に直そうとせず、価格と契約成立に影響する順に確認します。

空室のある一棟アパートは、満室を急ぐより数字をそろえて売却する

空室のある一棟アパートは、満室に戻さなくても売却できます。難しいのは空室の数そのものではありません。今の収入と改善後の予測が混ざり、売却後にいくら残るのかが見えなくなることです。

最初に、住戸別の空室の記録を作り、レントロールの契約賃料・実入金・安定稼働後の予測を分けます。その資料を使って、現況と改善後という物件の状態、仲介と直接買取という売り方を、同じ査定日と売却期限で比べます。

売り方を決める前の最終確認
  • 想定より収益や価格が下がっても、改善にかけた費用を回収できるか
  • 売却期限内にローンを完済できるか
  • 入居者の権利と個人情報を守れるか

長期の安い家賃での契約、サブリース、退去交渉、解体は、1社の高い査定だけで先に決めないでください。この3つを確かめてから、自分の期限と手取りに合う売り方を選びます。

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※2025年9月19日~23日、全国の20~60代の男女3,000人を対象に株式会社マーケティングアンドアソシェイツが実施した調査より(全国認知度・今後利用してみたい不動産査定サイト)

出典

国土交通省「不動産鑑定評価基準」(改定日:2014年5月1日)
金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」(公開日:2019年3月28日)
e-Gov法令検索「民法」
e-Gov法令検索「借地借家法」
個人情報保護委員会「不動産売買の調査における賃借人の個人データ提供」
国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
国税庁「取得費となるもの」
国税庁「長期譲渡所得の税額の計算」
国税庁「短期譲渡所得の税額の計算」
国税庁「消費税等と譲渡所得」
国税庁「建物と土地を一括譲渡した場合の建物代金」
広島市「住宅を建て替える土地における住宅用地に対する課税標準の特例措置」(更新日:2026年4月16日)
不動産適正取引推進機構「投資用物件の売主業者には、想定利回りに影響を及ぼし得る法令上の制限を調査説明する義務があるとした事例」
リビン・テクノロジーズ株式会社「『リビンマッチ』が全国認知度・今後利用したい不動産査定サイト 6年連続No.1に輝きました!」(公開日:2025年10月9日)

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