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雨漏りのある家は売却できる|修繕せず売る方法と買取を選ぶ基準

雨漏りのある家でも売れます。「先に直さないと売買できない」という決まりはありません。

ただし、直さずに売ることと、雨漏りを隠して売ることは別です。わかっている症状や修繕の履歴は買主に伝え、どんな状態で引き渡すのかを契約書に書き込みます。

最初にやることは、工事の契約ではありません。次の4つです。

  1. 被害の広がりを抑え、写真と動画を残す
  2. いつ、どこで、どんな天候だったかと、修繕の履歴を書き出す
  3. 原因と被害の範囲を調べ、修繕の見積もりを取る
  4. 同じ情報を渡して「修繕してから仲介」「今の状態のまま仲介」「不動産会社に直接買取」の3つを比べる

この順番を飛ばすと、お金の判断を誤ります。修繕費をかけても、手取りがほとんど増えないことがあります。反対に、原因がわからないまま急いで買取を決めると、価格も契約条件も比べられません。売り方は査定額だけで選ばず、手取り、期間、あとから価格が変わる条件、売却後の責任まで見て決めます。

この記事の対象

個人が持っている中古の戸建ての売却を想定しています。マンション(区分所有)で、屋上や外壁など共用部分が原因の場合は、管理会社・管理組合への連絡が先です。共有名義、相続人が決まっていない、賃貸中、建物に重大な危険がある場合は、この記事以外の確認も必要になります。

売却までの判断フロー(①から④の順)

① 安全の確保と記録
被害の広がりを抑え、写真・動画・発生日時を残す

② 原因と範囲を調べる
調べられなかった場所も書き残し、見積もりの前提をそろえる

③ 3つの売り方を比べる
修繕後の仲介・現況仲介・直接買取の条件を集める

④ 契約条件まで確かめる
手取り・期間・減額条件・売却後の責任で決める

目次

雨漏りのある家は、修繕せずに売ることもできる

売り方は、直してから仲介に出す方法だけではありません。状態を伝えたうえで今のまま買主を探す「現況仲介」も、不動産会社に直接買い取ってもらう「直接買取」もあります。以下、この3つを「修繕後の仲介」「現況仲介」「直接買取」と呼びます。

どれが候補になるかは、雨漏りが今も続いているか、原因がわかっているかで変わります。まず、自分の家がどの行に当てはまるか見てください。

今の状態最初の候補先にやること
今も雨水が入り、被害が広がっている売り方を考えるのは後回し専門業者に応急措置を頼み、状況を記録する
原因も被害の範囲もわからない調べたうえで3つを比べる原因調査と修繕見積もりを頼む
原因がわかり、直す範囲も狭い修繕後の仲介と現況仲介を比べる修繕前と修繕後で、実際に売れそうな価格を出してもらう
築年数が古く、大がかりな工事になりそう現況仲介か直接買取建物の価値と土地の価値を分けて査定してもらう
売却の期限が近く、修繕の資金も出しにくい直接買取も入れて比べる複数社から書面で条件をもらう
修繕済みで、その後は再発していない記録をそろえて仲介を検討工事明細、写真、保証書、再発の有無を整理する
マンションで、共用部分からの浸水が疑われる管理会社・管理組合への連絡調査と工事の担当範囲、過去の修繕履歴を確認する
雨漏りの状態別に見る、最初の対応

安全上の注意

濡れた屋根に自分で上がらないでください。屋外でブルーシートを張ったり、シーリング材で隙間をふさいだりする作業も、自分では行いません。天井がふくらんでいる場所、床が柔らかくなっている場所、照明や配線の近くまで水が回った場所にも近づかず、専門業者に連絡します。応急措置は被害の広がりを抑える作業で、原因を取り除く本修繕ではありません。政府広報オンラインの「あなたの家の瓦は大丈夫?新築住宅の瓦屋根の強風対策が義務化!」でも、屋根に上らないよう注意を促しています。

修繕するかは、3つの売り方を同じ条件で比べて決める

判断の材料は、工事費が高いか安いかではありません。修繕で上がると見込める売却代金から、調査費、工事費、売却にかかる費用、売れるまで家を持ち続ける費用を引き、現況仲介と直接買取の手取りと並べます。

売り方価格と期間の考え方売主が引き受けるリスク契約前の確認点
修繕後の仲介直した状態で一般の買主を探す。工事期間と販売期間の両方がかかる追加工事、工期の延び、見込みより安く売れること追加工事になる条件、実際に売れると見込む価格、売却後の責任
現況仲介修繕の負担を価格と条件に反映して買主を探す買主が限られること、価格交渉、買主側の調査条件どの状態で引き渡すか、修繕費の負担、責任の範囲
直接買取不動産会社自身が買主。合意できれば日程を組みやすい契約の前後での再査定や減額、買取を断られること価格が確定する時点、減額条件、費用の負担、売却後の責任
雨漏りのある家を売る3つの方法

3つの違いは、雨漏りが直るかどうかだけではありません。原因が特定できないこと、追加工事が出ること、売れるまで時間がかかること。こうした不確かさを、売主と買主のどちらがどこまで引き受けるかが変わります。

優先したいことから見る、売り方の第一候補

手取りを増やしたい
原因と直す範囲がわかっていて、工事費と販売期間を受け入れられるなら、修繕後の仲介を検討します。

先に修繕費を出したくない
今の状態を伝えたうえで一般の買主を探したいなら、現況仲介を検討します。

期限と価格の確実性を優先したい
手取りが減る可能性を受け入れ、工事や販売の長期化を避けたいなら、直接買取を検討します。

ここまでは候補を絞る目安です。最後は、3つの手取り、期間、価格が変わる条件、売却後の責任を同じ表に並べて決めます。

比べるのは査定額そのものではなく、次の式で出る金額です。

税引前の概算手取り(税金を引く前のおおよその手取り) = 成約予想価格または買取価格 - 調査・修繕費 - 売却関連費用 - 売れるまでの保有コスト - 住宅ローン残債の返済額

保有コストとは、売れるまで家を持ち続ける間にかかるお金です。固定資産税、光熱費、火災保険料、マンションなら管理費・修繕積立金、住宅ローンの利息などが入ります。

また、査定額はその金額で売れる保証ではありません。仲介を頼む会社には、広告に出す「売出価格」と、実際に売れると見込む「成約予想価格」を分けて出してもらいます。想定する販売期間と、その価格にした根拠もあわせて聞いてください。

コピーして使える3ルート比較シート

次の表をコピーし、同じ資料を渡した各社の回答と見積書で埋めてください。わからない金額を0円にせず、「不明」と書きます。金額に幅があるときは、安いほうと高いほうの2通りで計算します。

比較項目修繕後の仲介現況仲介直接買取
成約予想価格・買取価格[ ]万円[ ]万円[ ]万円
価格の根拠資料[ ][ ][ ]
原因調査費[ ]万円[ ]万円[ ]万円
修繕費・予備費[ ]万円[ ]万円[ ]万円
売却関連費用[ ]万円[ ]万円[ ]万円
保有コスト(月額×月数)[ ]万円[ ]万円[ ]万円
住宅ローン残債[ ]万円[ ]万円[ ]万円
税引前の概算手取り[ ]万円[ ]万円[ ]万円
査定から決済までの想定期間[ ][ ][ ]
価格が確定する時点[ ][ ][ ]
契約後に価格が変わる条件[ ][ ][ ]
売主が負う契約不適合責任(契約で約束した状態と違ったときの責任)対象[ ]・期間[ ]対象[ ]・期間[ ]対象[ ]・期間[ ]
売主が先に用意する資金[ ]万円[ ]万円[ ]万円
まだ調べていない・決まっていないこと[ ][ ][ ]
3ルート比較シート(記入用)

金額の裏づけは、原因調査と工事の見積書、不動産会社の費用明細、固定資産税や管理費の支払記録、金融機関のローン残高証明で確かめます。それでも決めきれないときは、「期限を守れるか」「追加負担の上限を決められるか」「売却後の不安をどこまで減らせるか」の優先順位も書き添えてください。

3ルートを比べる計算例

比べ方がわかるよう、仮の数字で計算します。雨漏りのある家の相場を示すものではありません。前提は次のとおりです。

  • 原因調査費は3つとも8万円
  • 修繕後の仲介だけ、本修繕150万円と追加工事の予備費10万円を入れる
  • 売却関連費用は、仲介手数料、印紙代、登記関係費用などをまとめた仮の金額。直接買取は仲介会社が入らない前提
  • 保有コストは、修繕後の仲介が月4万円×6カ月、現況仲介が月4万円×3カ月、直接買取が月3万円×1カ月
  • 金額は1万円単位に丸め、譲渡所得税は含めない

単位:万円

比較項目修繕後の仲介現況仲介直接買取
成約予想価格・買取価格2,3502,1001,780
原因調査・修繕費16888
売却関連費用888010
売れるまでの保有コスト24123
住宅ローン残債800800800
税引前の概算手取り1,2701,200959
3ルートの税引前概算手取り(仮想例、単位:万円)

売却価格の差は250万円、手取りの差は70万円

修繕して250万円高く売っても、手元に残る差は70万円です。工事費の上乗せ、見込みより安く売れること、売れるまでの長期化で増える費用の合計が70万円を超えた時点で、修繕後の仲介の手取りは現況仲介を下回ります。ほかの条件が同じで成約価格だけが動くなら、2,280万円が分かれ目です。

ただし、少ない手取りでも直接買取が合う人はいます。期限が決まっていて、工事や販売の長期化を避けたい場合です。価格、期間、追加負担、売却後の責任を同じ表に入れると、「高く売れそう」という印象ではなく、自分の条件で選べます。

査定の前に、雨漏りの状態と履歴をそろえる

比較表の数字が意味を持つのは、各社が同じ雨漏り情報を見ているときだけです。

天井の雨染みだけを見ても、水が屋根、外壁、窓まわり、防水層のどこから入ったのかは決まりません。染みが小さくても、壁の中や天井裏(小屋裏)まで水が回っていることがあります。反対に、昔の染みが残っているだけで、今は水が入っていない場合もあります。

前提があいまいなまま調査や査定を頼むと、会社ごとに違う条件の金額が返ってきます。比べられる査定にするには、どの会社にも同じ資料を渡すことが欠かせません。

査定前に集める資料

  • 雨漏りに気づいた日付と、そのときの天候・風向き
  • 水滴、染み、壁紙の浮きがわかる写真と動画
  • 発生した部屋と位置を書き込んだ間取り図
  • 原因調査や散水調査の報告書
  • 過去の見積書、工事明細、請求書、工事前後の写真
  • 工事保証書、点検報告書、建物状況調査報告書
  • 新築時や増改築時の図面、確認済証、検査済証
  • 火災保険や住宅瑕疵保険の資料、過去に保険を使った記録
  • 腐食、カビ、シロアリなど、気づいている二次被害(雨漏りが原因で起きた別の傷み)
  • 修繕後に再発したか、再発を確かめられるほどの雨が降ったか
  • マンションなら、管理規約、管理組合への相談記録、共用部分の修繕履歴

国民生活センターも、中古住宅を売る前に修繕関係の書類や建物の調査報告書をそろえ、売主が知っている不具合を仲介業者へ伝えるよう案内しています。詳しくは「中古住宅を売るとき(その1)」(誌面16頁)で確認できます。

原因がわからないうちは、見た目だけ直さない

天井のクロスを張り替えても、水の入口が残っていれば雨漏りは戻ってきます。先に調べるのは、原因、被害の範囲、必要な工事です。

調査方法には、目で見る調査、疑わしい場所に水をかける散水調査、建材の水分量を測る調査、赤外線カメラで温度差を見る調査があります。水分や表面温度の異常は、原因を絞るための手がかりです。それだけで水の入口が決まるわけではなく、散水しても症状が再現しないこともあります。まず、雨水、配管からの漏水、結露のどれなのかを切り分け、必要に応じて天井裏や壁の内側を詳しく調べたり、一部を開けて確認したりします。

依頼するときは、次の3点を確認してください。

  • 何をどこまで特定する調査か
  • 目で見られない場所や、調査の対象外になる場所はどこか
  • 原因を特定できなかった場合、どう報告されるか

原因調査と修繕工事を同じ会社に頼む場合も、調査結果と工事内容は見積書で分けてもらうと比べやすくなります。調査の範囲と限界は、国土交通省の「建物状況調査活用の手引き」(調査対象部位は1頁)と、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「雨漏り対策」でも確認できます。

マンションでは、屋上、外壁、共用の配管が原因なら、部屋の所有者だけで調査や工事を進められないことがあります。専有部分を直す前に管理会社・管理組合へ連絡し、原因の場所、費用の負担、工事に承認が必要かを確認します。

雨漏りを隠すと、「現状有姿」でも責任を問われる

売却後の責任を決めるのは、「雨漏り物件」という呼び方ではありません。買主とどんな状態で合意し、実際にどんな状態で引き渡したかです。

引き渡した家が契約で約束した状態と違っていれば、買主は、修理、代金の減額、損害賠償、契約の解除を求められます。これを契約不適合責任といいます。ただし、それぞれに条件があり、雨漏りがあれば4つすべてが自動的に認められるわけではありません。根拠は民法562条から564条です。

「現状有姿」と免責は同じではない

現状有姿とは、売主が手を加えず、今の状態のまま引き渡すという意味です。この一言だけでは、契約不適合責任まで消えません。

責任を限定したいなら、雨漏りの状態を具体的に共有したうえで、何について、いつまで責任を負うのか、修理に応じるのかを契約条項で決めます。不動産適正取引推進機構の「契約不適合責任に関する実務上の諸問題」(Q5、誌面53頁)でも、現状有姿と契約不適合責任の免除は別の問題として整理されています。

免責の特約を入れても、売主が知りながら買主に伝えなかった事実については、その特約で責任を免れません。民法572条に明記されています。

民法566条の「1年」は、引き渡しから1年ではない

品質についての契約不適合は、買主がそれを知った時から1年以内に売主へ通知するのが原則です(民法566条)。ただし、引き渡しのときに売主がその不適合を知っていた場合、または重大な不注意で知らなかった場合は、この1年の制限は適用されません。

この1年は、買主から売主へ知らせる期限です。権利そのものが時間の経過で消える「消滅時効」とは別に考えます。個人間の中古住宅売買では、責任の範囲や期間を契約で調整することもあります。契約書を見ずに「引き渡しから1年で責任がなくなる」と判断しないでください。国民生活センターの「不動産売買契約書(その2)」(誌面17頁)にも解説があります。

修繕済みの雨漏りは、「告知不要」とも「必ず告知」とも言い切れない

過去の雨漏りを直し、契約のときに不具合が残っていない場合まで、同じ説明義務がいつまでも続くとは言えません。修繕後に長く再発せず、契約時の生活にも支障がなかった事情から、説明義務を否定した個別の事例があります。

一方、東京地裁令和2年2月26日判決では、不動産会社である売主が修繕済みの雨漏り歴を知りながら、「現在まで雨漏りを発見していない」と事実と違う説明をし、引き渡し後に雨漏りが再発しました。判決は契約解除などを認めず、事実と違う説明によって生じた損害への賠償として、慰謝料だけを認めています。

前者は不動産流通推進センターの事例解説、後者は国民生活センターの判例解説(誌面31〜34頁)で読めます。どちらも改正前の民法のもとでの個別事案を含み、個人が売主の売買にそのまま当てはまるものではありません。

売主が「もう直ったから書かなくていい」と決めるより、発生時期、場所、修繕内容、その後の再発状況を記録し、買主の判断材料にしたほうが、あとのもめごとを避けやすくなります。

雨漏りの申告メモには、「不明」も書く

「物件状況報告書」「告知書」は、すべての個人売買で使う全国共通の法定様式ではありません。ただし国土交通省は、不動産会社が売主の責任で作られた告知書を受け取り、買主へ渡すことが、紛争防止の観点から望ましいとしています。根拠は「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(「不動産の売主等による告知書の提出」)です。

ただし、告知書を渡しただけで売却後の責任範囲まで決まるわけではありません。重要な状態と責任の範囲は、売買契約書や特約にも反映します。

物件状況報告書に転記する前に、次のようなメモを1枚作っておくと、調査会社、不動産会社、買主への説明がぶれません。以下は書き方を示す仮想例です。

項目記入例
初めて気づいた日時2026年6月15日 22時ごろ
天候南東から風を伴う強い雨
場所2階南東側の洋室、窓の上から約30cm内側の天井
症状天井クロスに約20cmの染み、水滴を3回確認
発生回数6月15日と6月28日の計2回。ふつうの雨では出ていない
原因未特定。屋根か窓まわりの可能性を指摘されたが、散水調査は未実施
応急措置6月30日、専門業者が窓の外側のシーリングを応急補修
本修繕未実施。7月5日付の調査・修繕見積書あり
その後の状況応急補修後は強い雨が降っておらず、再発の有無は不明
二次被害目で見える範囲では不明。天井裏と壁の中は未調査
添付資料発生時の写真4枚、動画1本、応急補修の領収書、調査見積書
雨漏りの申告メモの記入例

確かめていないことを「なし」と書かないでください。「未調査」「不明」「再発を確認できる雨が降っていない」と書きます。買主が判断するには、わかった事実だけでなく、どこから先がわかっていないかも必要です。

雨漏りを直さずに買取に出すときの注意点

買取でも、雨漏りの説明は必要です。買主が雨漏りを知ったうえで買い取ること、修繕費を誰が負担するか、売主の契約不適合責任をどこまで負うかを書面にします。

勘違いしやすいのが、宅地建物取引業法40条です。この条文が買主を守るために特約を制限しているのは、宅地建物取引業者が自ら売主になり、買主が宅地建物取引業者ではない取引です。個人が売主、不動産会社が買主となる買取には、そのまま当てはまりません。「相手が不動産会社だから、売主の責任は自動的にゼロ」とは考えず、契約書で確かめます。

国土交通省も、買取のあとに契約内容にもとづいて修理費などを求められた相談例を「高齢者の自宅の売却トラブルにご注意ください!」で紹介しています。

不動産会社が直接の買主で、ほかに仲介会社が入らない取引なら、通常は仲介手数料がかかりません。仲介会社を通す買取では手数料が発生することがあるため、誰が買主で、誰が仲介するのかを確認します。仲介手数料の仕組みは、国土交通省の「不動産売買の媒介制度」で確認できます。

買取価格に「仲介価格の何割」という全国共通の目安もありません。雨漏りの原因、被害の範囲、土地と建物の価値、売り直すときの費用、買主の使い道で変わります。同じ資料を渡したうえで、複数社の書面を比べてください。

買取契約の前に確認すること

  • 契約上の買主はどの法人か
  • 買取価格はいつ確定するか
  • 契約後の建物調査で減額される条件はあるか
  • 残置物(家に残した家具や荷物)の処分、測量、解体、登記の費用は誰が負担するか
  • 雨漏りと二次被害を、どの資料で確認したか
  • 売主の契約不適合責任は、何を対象に、いつまで負うか
  • 手付金、手付解除、違約解除の条件は何か
  • 決済日までに新しい雨漏りが起きた場合、どう扱うか

自宅を不動産会社へ売る契約では、宅地建物取引業法37条の2のクーリング・オフは使えません。だまされたり脅されたりして結んだ契約の取消し、手付金を使った解除、契約書で決めた解除は別の話です。価格と契約条件を理解してから署名してください。国民生活センターの「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」では、安い価格での契約や高額な解約料をめぐる事例が紹介されています。

建物状況調査は役に立つが、雨漏りがないことは保証しない

建物状況調査は、決められた講習を修了した建築士が、柱や基礎など構造上重要な部分と、屋根や外壁など雨水の浸入を防ぐ部分を、目で見たり計測したりして調べる制度です。すべての中古住宅で必ず行う調査ではありません。

見るべきなのは「調査済み」という一言ではなく、誰が、どこまで調べ、どこが調べられなかったかです。

国土交通省の「建物状況調査に関するQ&A」には、次の点が書かれています。

  • 雨漏りなどの傷みや不具合を把握する調査で、不具合がないことを保証するものではない(Q1-1)
  • 原則として目で確認し、壁などを壊さずに行う(Q2-1)
  • 点検口がない場所、家具で見えない場所、天候のせいで確認できない場所は「調査できなかった」と記録される(Q2-4)
  • 中古住宅の売買で、実施が一律に義務づけられているわけではない(Q1-5)
  • 標準的な検査内容の費用は6万円程度からが目安だが、基準料金はなく、建物や調査者によって異なる(Q1-8)

「ホームインスペクション」という名前だけでは、宅地建物取引業法上の建物状況調査かどうかは判断できません。誰が、どの基準で、どこまで調べるのかを確認します(Q1-14)。

この調査で雨漏りの兆候を整理できても、水の入口や必要な工事まで決まるとは限りません。すでに水が入っているなら、標準の調査で足りるのか、雨漏りの原因調査を別に加えるべきかを、調査する人に確認してください。

また、建物状況調査を受けただけで「既存住宅売買瑕疵保険」(引き渡し後に見つかった不具合に備える保険)に入れるわけではありません。報告書に「調査できなかった」または「劣化事象有り(基準に合わない傷みや不具合がある)」と書かれた場合、そのままでは加入できず、未調査部分の再調査や、傷んだ部分を直したあとの再検査が必要になります(Q3-2、Q3-3)。

保険を使いたい場合は、引き渡し前に、保険法人へ登録された検査事業者(加入のための検査ができる事業者)へ相談します。耐震性など、雨漏り以外の加入条件もあります。詳しくは、住宅瑕疵担保責任保険協会の「既存住宅売買瑕疵保険(個人間売買タイプ)FAQ」で確認できます。

仲介する不動産会社には、建物状況調査をする人を紹介できるかどうかを媒介契約書(仲介を依頼する契約書)に書く役割があります。一定期間内に行った調査の結果があれば、その概要を買主へ重要事項として説明します。制度の最新情報は、国土交通省の「既存住宅流通について」で確認できます。

雨漏りのある家を売却する5つの手順

1.安全を確保し、発生時の状態を残す

自分で屋根に上らず、危険な場所には近づきません。安全な範囲で、水が落ちている様子と拭き取った後を撮影し、日付、天候、風向き、発生場所を記録します。専門業者が応急措置をしたら、その前後の写真と工事書類も残します。

2.原因調査と修繕見積もりを取る

原因、被害の範囲、調べられなかった場所、工事内容、追加工事が出る条件を確認します。見積書は「一式」ではなく、調査、足場などの仮設、屋根・外壁などの本体工事、内装の復旧に分けてもらいます。

3.同じ資料で3ルートの条件を集める

雨漏りの申告メモと資料を各社へ渡し、現況仲介、修繕後の仲介、直接買取のどこまで対応できるかを聞きます。会社を比べるときは、次の質問をしてください。

  • 成約予想価格または買取価格の根拠は何か
  • 査定から決済まで、どのくらいを見込むか
  • 原因がわからない箇所を、広告と契約書でどう書くか
  • 契約後に価格が変わる条件はあるか
  • 売主の契約不適合責任を、どの範囲・期間で提案するか
  • 仲介会社、直接の買主、紹介先はそれぞれ誰か

「問題ありません」「買取なら責任はありません」と言い切るだけで、根拠や契約条項を示さない会社は、依頼先の候補から外したほうがよいでしょう。

4.比較シートで売り方を決め、契約へ反映する

手取り、期間、先に必要な資金、価格が変わる条件、売却後の責任を比べます。選んだ条件と、物件状況報告書、建物状況調査報告書、売買契約書の雨漏りに関する記載がそろっているかも確認します。

5.契約後の変化も伝えて引き渡す

契約から引き渡しまでに新しい雨漏りが起きたら、すぐに不動産会社と買主へ伝えます。黙ったまま引き渡さず、修繕、価格、引き渡し条件を話し合ってください。

雨漏りのある家の売却でよくある質問

修繕前でも査定を頼めますか?

頼めます。工事を契約する前に、今の状態での成約予想価格、修繕後の成約予想価格、対応できるなら買取価格を、同じ資料で出してもらってください。修繕費を回収できるかどうかを判断しやすくなります。

修繕したあとも、過去の雨漏りを買主へ伝えますか?

法的な結論は、物件の状態や説明の内容によって変わります。まず、発生時期、場所、原因、修繕内容、その後の再発状況を記録し、不動産会社へ見せてください。買主へ伝える範囲と契約への反映方法は、そのうえで決めます。

雨漏りがあると、家はいくら安くなりますか?

全国共通の値下がり率はありません。原因、被害の範囲、築年数、立地、土地の価値、修繕費、買いたい人の層で変わります。「通常価格から何割」と決めつけず、今の状態と修繕後の成約予想価格、実際の買取提示を比べてください。

古い家なら、先に解体したほうがよいですか?

建物付きと更地の査定、解体費、税への影響、再建築の条件を確認する前に決めないほうが安全です。解体すると、古家のまま買いたい人や、直して使いたい人が候補から外れることもあります。関係する条件を確認し、手取りを比べてから決めます。

申告メモを用意できたら、対応できる会社を比べる

サービスを使う前でも、この記事の「雨漏りの申告メモ」と「3ルート比較シート」は使えます。まず資料をそろえ、どの会社にも同じ情報を渡せる状態にしてください。

本記事を掲載するリビンマッチは、リビン・テクノロジーズ株式会社が運営しています。利用者は無料で使えますが、運営会社は、提携企業への問い合わせ情報の提供などを行う成功報酬型の事業を運営しています。

仲介を含む売却案を比べる場合は、不動産売却一括査定から、一度の入力で最大6社へ査定・相談を依頼できます。公式ページでは入力時間を「簡単45秒」と案内していますが、実際の所要時間は物件情報の確認状況などで変わります。

入力するのは物件情報と利用者情報です。フォームにはメールアドレスと携帯番号の欄があり、申込後は、不動産会社から査定や売却相談に関する電話・メールなどの連絡が入ることがあります。物件、地域、提携状況によって紹介数は異なり、6社に満たないこともあります。また、すべての会社が修繕後の仲介・現況仲介・直接買取の3案を示すわけではありません。どこまで対応できるかは各社へ確認してください。

直接買取だけを比べたい場合は、不動産買取一括査定を利用できます。無料なのは査定サービスの利用料です。実際の売買にかかる税金、登記費用、契約で売主負担とした費用は別にかかります。

入力した情報は、選んだサービスの提供に必要な提携企業へ渡る場合があります。申込前に個人情報の取り扱いと利用規約を確認してください。

まとめ

雨漏りのある家は、修繕せずに売却できます。ただし、症状や修繕の履歴を隠さず、引き渡す状態と売却後の責任を契約で決めることが前提です。

先に工事を決めるのではなく、被害を記録し、原因と範囲を調べ、同じ資料で3ルートの条件を集めてください。修繕後の仲介、現況仲介、直接買取を、手取り、期間、価格が変わる条件、売却後の責任で比べれば、自分に合う売り方が見えてきます。

被害が進んでいる、原因や構造への影響がわからない、契約条項が読み取れない場合は、自分だけで進めず、建築士、宅地建物取引士、必要に応じて弁護士へ確認しましょう。

参考資料・出典

情報確認日:2026年7月24日

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