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ゴミ屋敷は片付けずに売却できる?仲介・現状買取の手取り比較と注意点

ゴミ屋敷は売却できる?片付ける前に比べたい仲介と現状買取の手取り

ゴミ屋敷を売るときは、片付けと査定のどちらを先にするかで、手元に残るお金が変わります。

ゴミ屋敷の状態でも、片付ける前に査定を受けられますし、売買契約も結べます。

先に片付けると、かけた費用を回収できないことがあります。仮に150万円かけて撤去しても、売れる金額がその分だけ上がるとは限らないからです。

片付けて仲介で売るのと、現状のまま不動産会社に買い取ってもらうのとで、どちらが手元にお金を多く残せるかは、片付ける前に2種類の査定をそろえれば比べられます。

この記事では、片付ける前に確かめる安全と権利関係、仲介と現状買取の手取りの比べ方、片付け業者の見積書で見る項目を順に説明します。

この記事でわかること
  • 片付け前に売却できる理由
  • 仲介と現状買取の手取り比較
  • 片付け見積書の確認項目
  • 相続・共有・後見時の注意点

※記事内の制度・公的資料は、2026年10月時点で確認しています。個別の契約・税務・権利関係は、不動産会社や司法書士、弁護士、税理士などへ確認してください。

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※2025年9月19日-23日 「サイト評価に関する調査」より

目次

ゴミ屋敷は片付けずに売却できる!先に片付けると損をしやすい

ゴミ屋敷だからといって、売れないわけではありません。ただし、片付いた家と同じようには売れません。買い手の中心は、撤去費を引いたうえで買い取る不動産会社になります。

※「ゴミ屋敷」に面積や物の量の全国共通の基準はありません。環境省は、悪臭、害虫、通行の妨げなどで生活環境が損なわれている事案を「いわゆる『ごみ屋敷』」として調査しています。この記事では、家財や生活ごみが大量に残る空き家も含めて扱います(参考:環境省「令和6年度『ごみ屋敷』に関する調査報告書」)。

ゴミ屋敷でも売買契約を結べる理由

法律に「ゴミ屋敷は売買できない」という決まりはありません。売主に、残っている物を処分したり買主へ引き渡したりできる権限があり、どの物を残してどう処分するかを買主と決められれば、物が残ったまま引き渡す契約も結べます。

ただし、床や壁、設備が見えない状態では、一般の買主が修繕費を見積もれません。仲介で広く買主を探すなら、内覧と建物のチェックができる状態までは片付けが必要になります。

一方、買い取ってから再販売したり解体したりする不動産会社は、撤去費と、片付けるまで見えない損傷のリスクを価格から差し引いたうえで、現状のまま買い取ることがあります。この場合、売主が撤去費を先に払う必要はありません。

どこまで片付けるかは、売り先を決めたあとに決まります。

片付けを先にすると、かけた費用が戻らないことがある

150万円かけて撤去しても、その150万円が売値に上乗せされて戻ってくるとは限りません。仲介で売るなら、片付け費とは別に仲介手数料がかかり、買主が決まるまでの維持費も増えます。片付け費だけ回収できても、手元に残るお金は減ります。

片付けにいくらかければ元が取れるのかは、片付ける前に2種類の査定額を並べて初めて分かります。撤去を終えたあとで「現状のままでも価格はほとんど変わらなかった」と分かっても、かけた費用は戻りません。

片付け業者を呼ぶ前に、まずすること

当てはまる行の右側が、いま最初にすることです。複数当てはまるときは、上の行から順に対応します。

今の状況最初にすること
ガスのにおい、煙、床の抜け、注射針、薬品、汚物などがある中に入らず、自分で片付けない
火災や急病の危険があれば119番、それ以外は自治体か専門業者へ連絡する
登記の名義人が亡くなっている、共有者が反対している、所有者の判断能力に不安がある売る手続きも物の処分も止め、司法書士か弁護士に「誰が決められるのか」を確認する
中には入れるが、物が多くて床・壁・水回りを見られない大事な書類や貴重品を先に取り出し、点検用の通路だけ作ってから査定し直す
片付け費用を先に払えない、売る期限が近い現状のまま買い取れる会社から、最終価格と売主の追加負担を書面でもらう
中に入れて、誰が売るかも決まっている同じ家の状態・同じ引渡し日を前提に、現状買取と片付け後の仲介の両方を査定してもらう

\ 現状買取と仲介、どちらも扱う会社を探す /

ゴミ屋敷を片付ける前に確認することは?安全と、売る権限・捨てる権限

片付けは、物の量だけの問題ではありません。危険な物があれば専門の業者が必要ですし、他人の持ち物を勝手に捨てれば、あとで責任を問われます。権利関係がはっきりしないうちは、売買契約だけでなく、中の物を捨てる作業も進められません。

自分で中に入らないほうがよい状態は?

片付けられそうかどうかを考える前に、次の状態がないかを見ます。

当てはまるときは中に入らない
  • ガスのにおいや煙がある、電池や機器が熱を持っている
  • 床が見えず、踏み抜きや荷崩れのおそれがある
  • 出入口や避難経路がふさがれている
  • 注射針、薬品、ガスボンベ、鋭い物がある
  • 汚物、動物の死骸、大量の害虫がある
  • 建物が傾き、天井や床が落ちかけている

どこへ連絡するかは、状況で変わります。火災や急病の危険が差し迫っているときは119番、それ以外は自治体の環境・建築の担当課か専門業者です。連絡したときに写真を求められても、撮影のために危ない場所へ入る必要はありません。

家族でも、ゴミ屋敷の中の物を勝手に処分できない

家族が持っている家でも、中の物が別の家族や入居者のものなら、家の所有権だけを理由に処分はできません。積まれた物がごみ(廃棄物)に当たるかどうかも、物の状態、置かれた状況、通常の扱い方、売れる価値、持ち主の意思などから総合的に判断されます(環境省の考え方)。

作業に入る前に、所有者本人か正当な代理人の承諾を取り、残す物・売る物・捨てる物の基準を記録しておきます。あとで「あれを捨てられた」と言われたときに、何を基準に分けたのかを示せます。

次の物は、作業を始める前に分けておきます。

  • 登記識別情報、権利証、固定資産税の通知書、売買や賃貸の契約書
  • 通帳、印鑑、現金、身分証、保険証券
  • 遺言書、戸籍の資料、相続関係の書類
  • 写真、手紙、デジタル機器
  • 借り物、預かり物、他人名義の郵便物

名義人が亡くなったゴミ屋敷は、相続登記をしてから売る

売るには、その不動産を取得した人を名義人として反映させる相続登記が必要です。相続登記は2024年4月1日から義務になり、不動産を相続で取得したと知った日から、原則3年以内に申請します。制度が始まる前に知った相続でまだ登記していない場合は、2027年3月31日が期限です。

紛らわしいのが相続人申告登記です。「自分が相続人です」と法務局へ申し出て、相続登記の申請義務を簡単に果たすための制度で、誰がその不動産を取得したかを確定させる登記ではありません。申告を済ませても、それだけでは売れません。

亡くなった人がどこに不動産を持っていたか分からないときは、2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度を使えます。亡くなった人が登記上の所有者になっている不動産を、法務局で一覧にして証明してもらえる制度です。

登記が済まないまま契約まで進むと、決済の直前に名義の確認で止まり、そこから相続登記を始めることになります。片付けの日程も、その分だけ後ろへずれます。

認知症など、所有者の判断能力に不安があるときの進め方

高齢であること、認知症と診断されたこと、施設に入っていることだけで、売れないと決まるわけではありません。判断されるのは、本人が、売る物件や価格、手取り、住まいへの影響を理解し、自分の意思を示せるかどうかです。

本人の意思を確かめないまま家族だけで署名まで進めた場合、その売買はあとから効力を争われる余地が残ります。

成年後見人、保佐人、補助人が本人に代わって居住用の不動産を売ったり取り壊したりする場合は、家庭裁判所の許可が必要です。今は住んでいなくても、施設に入る前に住んでいた家などが対象になることがあります。許可を得ないまま売却しても、その売買は無効です(裁判所の案内)。

なお、2026年6月に成立した民法等の改正法で、後見と保佐は補助の制度に一本化されます。施行は公布(2026年6月24日)から2年6か月以内に政令で定める日で、それまでは今の制度のまま手続きが進みます。

共有者や入居者がいるゴミ屋敷を売るとき

不動産全体を売るなら、原則として権利を持つ人全員の合意が必要です。共有者の一人が単独で売却を進めたり、家の所有者が入居者の荷物を勝手に捨てたりはできません。

合意ができないまま撤去を始めると、捨てた物の弁償を求められることもあります。意見が割れているときは、片付け会社や買取会社より先に弁護士へ相談します。

ゴミ屋敷の売却方法は?片付けて仲介・現状買取

売り方は2つです。片付けと清掃を済ませてから仲介で買主を探すか、片付けずに不動産会社へ直接売るか。価格だけでなく、先に出ていくお金も、売れるまでの時間も違います。それぞれが合う状況と注意点は、次のとおりです。

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売り方合う状況注意点
片付けて仲介片付け費用を先に払えて、売却を急がず、片付け後の値上がりが見込める片付けてから修繕が必要になることがあり、希望価格で売れる保証もない
現状のまま直接買取先払いを抑えたい、期限が近い、内覧できる状態まで整えるのが難しい撤去・修繕・再販売の費用とリスクが買取価格に織り込まれている

【片付けて仲介】片付けてから一般の買主へ売る

片付けと必要な清掃を済ませ、不動産会社に買主探しを頼む方法です。まず、その土地や建物に買い手の需要があることが前提になります。片付け費と仲介手数料を引いても手元に残る金額が増えるなら、この方法が有利です。

この方法を選べるかどうかは、次の4つがそろっているかで決まります。

  • 片付け費用を先に支払える
  • 数か月単位の販売期間を待てる
  • 物を出せば建物を使える見込みがある
  • 片付け後にいくらで売れそうか、その根拠が示されている

この「片付け後にいくらで売れそうか」という金額を、この記事では成約予想価格と呼びます。想定した販売期間と物件の状態で、実際に契約できそうな価格のことです。売主の希望が入った「売出価格」や、販売期間と建物の状態という前提を置かずに出された「査定額」とは別物です。

不動産会社には、想定する販売期間と、片付け後にどんな状態を前提にしているかを、査定書へ書いてもらいます。書面にしておけば、あとで「思ったより安い金額でしか売れない」と言われたときに、前提のどこが変わったのかを確かめられます。

片付けたあとで腐食や水漏れが見つかれば、修繕費が増えます。高く売れる可能性がある代わりに、先払いと追加費用のリスクを売主が負う方法です。

【現状買取】片付けずに不動産会社へ直接売る

現状買取とは、不動産会社(買取業者)が自分で買主になり、残った家具・荷物・ごみの撤去や建物の修繕を引き受ける売り方です。一般の買主を探す期間がいらず、売主が片付け費用を先払いせずに済む契約もあります。

ただし、「片付け費0円」は、撤去費がなくなるという意味ではありません。不動産会社は、撤去、修繕、物件を持っている間の費用、再販売の費用とリスクを見込んで買取価格を決めます。別料金の請求がないときは、その分が買取価格に反映されています。

ゴミ屋敷の買取価格に相場はある?契約前に確認する項目

立地、土地の使い道、建物の傷み、物の量、運び出しやすさ、建て替えできる土地かどうかで、織り込む金額は物件ごとに変わります。そのため「相場の何割」という目安は使えず、現地を見たあとに出た金額で判断するしかありません。

契約の前に書面で押さえておく項目は、次のとおりです。

  • 買主になる法人の名前
  • 現地を見たあとの最終買取価格
  • 残してよい物と、売主が持ち出す物
  • 撤去費、測量費、登記費用を誰が負担するか
  • 引渡し後に不具合が見つかったとき、売主がどこまで責任を負うか
  • 契約後に減額や解除ができる条件
  • 契約日、決済日、代金の支払い時期

不動産会社が買主を紹介したり仲介したりするだけなら、仲介手数料が発生します。同じ「買取」という言葉を使っていても、誰が買主で、誰に何を支払うのかで手取りは変わります。手数料がかかるなら、その分も計算に入れてください。

仲介か買取か迷うときは、査定に必要な分だけ片付ける

物が多すぎて建物の状態が見えないと、仲介の価格も買取の価格も幅が大きくなります。「500万円から1,000万円」のような回答しか返ってこないなら、手取りの比較はできません。

そのときは全面撤去へ進まず、査定に必要な場所だけを開けます。仲介と買取を同じ条件で比べるための、途中の段階です。

この段階で手を付けるのは、次の4つだけです。

  • 通帳、印鑑、登記識別情報や権利証、契約書、遺言書などの大事な書類
  • 現金、貴金属、写真、デジタル機器など、捨てる前に中身を確かめたい物
  • 腐った物や発火のおそれがある物など、専門の対応が必要な物
  • 床、壁、水回りまでたどり着くための点検用の通路

通路ができれば不動産会社が建物の傷みを確認しやすくなり、査定価格の幅も狭まります。そのうえで、片付け後の仲介と、通路だけを開けた状態での買取をもう一度比べます。

見た目をきれいにする工事や全面リフォームは、この比較のあとです。買主が不動産会社になる場合、内装は自社で作り直すため、先に仕上げた分が価格に反映されないこともあります。

\ 仲介と買取の査定額を、まずそろえる /

ゴミ屋敷の売却で比べるのは売値ではなく「手取り」

高い価格を提示された案が、いちばん多くお金を残すとは限りません。仲介では片付け費と仲介手数料が先に出ていき、買取では撤去費が買取価格から引かれています。同じ条件で比べるには、受け取るお金から出ていくお金を引きます。

手取りに入れる「受け取るお金」と「差し引くお金」

この記事では、税金を引く前に手元へ残る金額を税引前の概算手取りと呼びます。次の2つの差が、手取りです。

受け取るお金
  • 比べたい売却価格
  • 固定資産税など、売主が受け取る精算金
差し引くお金
  • 片付け、残った物の撤去、消毒などの費用
  • 仲介や紹介の手数料
  • 測量、登記手続き、契約書の印紙、修繕、解体、引越しの費用
  • 決済までの管理費、保険料、光熱費
  • 住宅ローンの完済額と、繰上返済にかかる手数料
  • 売主が負担する精算金、書面で決まった減額

なお精算金とは、固定資産税やマンションの管理費などを、決済日を境に日割りでやり取りするお金です。

手取りの計算に使う価格は、仲介なら成約予想価格、買取なら現地を見たあとの最終買取価格です。査定額や売出価格は、この比較に入れません。まだ金額が分からない項目を0円で埋めると、その分だけ手取りが多く見えてしまうので、「未取得」と書いたまま残します。

片付けて仲介と現状買取の計算例

次の表は、計算のしかたを示すための仮の例で、実際の相場や値引き率を表すものではありません。金額は税込みで単位は万円、単独所有で権利上の問題がなく、住宅ローンの残りが600万円という前提です。

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項目片付けて仲介現状のまま直接買取
成約予想価格/最終買取価格1,6001,260
片付け・撤去▲1500
仲介手数料▲59.40
その他の売却費用▲12▲12
決済までの維持費▲18▲4
住宅ローン完済額▲600▲600
税引前の概算手取り760.6644.0
単位は万円で、▲は差し引く金額です。税金は含みません。

維持費に差が付いているのは、決済までの期間が違うからです。仲介は買主を探す期間の分だけ、管理費や保険料、光熱費がかさみます。

この例では、片付けて仲介する案のほうが116.6万円多く残りました。ただし1,600万円で売れる保証はなく、片付けたあとに修繕が必要になることもあります。

片付け費を150万円としたまま売却価格を下げていくと、手取りが並ぶのはおよそ1,480万円のときです。これより安くしか売れないなら、現状買取のほうが多く残ります。判断材料は、片付け費を先に出せるかどうかと、期限内に1,480万円より高く売れるかどうかの2つです。

表の仲介手数料59.4万円は、1,600万円の取引で使われる上限の計算式(売買価格×3%+6万円に消費税)で出した金額です。実際の手数料は、この上限の範囲内で不動産会社と決めます。

また、2024年7月1日からは、売買価格が800万円以下の宅地・建物について、あらかじめ合意しておけば、売主・買主のそれぞれから税込33万円まで受け取れる決まりもあります。どの取引も「売買価格×3%+6万円」で計算できるわけではありません。

参考:国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」仲介手数料

この表には、売却益にかかる税金(譲渡所得税など)を入れていません。税額は、買ったときの費用、売るためにかかった費用、所有していた期間、住んでいたかどうか、使える特例で決まるため、同じ売却価格でも人によって差が出ます。税引き後まで比べたいときは、購入時の契約書や領収書をそろえて、税理士か税務署に確認してください。

なお、住宅ローンの返済額を引いているのは手元に残るお金を見るためで、税金の計算に使う費用になるわけではありません。

自分の家で同じ表を作る3ステップ

自分の家で同じ表を作るには、次の順で数字を集めます。

  1. 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、近くにある似た物件の取引価格を調べる
  2. 同じ家の状態・同じ引渡し日を前提に、現状買取の最終価格と片付け後の成約予想価格を、複数の会社から取る
  3. 片付け、修繕、手数料、維持費、住宅ローン返済を、同じ表に並べる

1つ目で分かるのは、近隣で実際に成立した取引価格です。道路の付き方、面積、築年数、建物の傷み、売主と買主それぞれの事情で金額は動くため、提示された金額が相場から離れていないかを見る目安になります。

\ 手取りの計算は、査定額がそろってから /

ゴミ屋敷の片付け費用は間取りで決まらない?見積書と業者の確かめ方

ゴミ屋敷の片付け費用に、全国一律で使える公的な料金表はありません。同じワンルームや3LDKでも、物の量と種類、エレベーターの有無、トラックを止められる位置で金額に差が出ます。間取りから概算を出しても当てにならないので、現地を見てもらうところから始めます。

見積書で確かめる7項目

見積書は、総額だけを並べても比べられません。次の内訳をそろえたうえで、複数の会社へ同じ作業範囲を伝えて見比べます。

確認項目見るポイント
物の量体積、重量、車両の台数のどれで計算したか
作業条件人数、日数、階段の有無、床や壁を守る養生、駐車場所、運び出す距離
品目家電、液体、薬品、ガスボンベ、注射針などを扱えるか
追加作業仕分け、消毒、消臭、害虫対応、汚物や体液を除去する特殊清掃
売れる物買い取ってもらえる物、その査定額、作業費から差し引く方法
追加料金当日に増額される条件、その上限、キャンセル料
廃棄物の処理実際に集めて運ぶ事業者の名前、許可や委託の関係、処分先

特に見落としやすいのが、物の量をどう数えたかです。1社が体積、もう1社が車両の台数で出していれば、総額を並べても、どちらが安いのかは分かりません。

家庭ごみを運べるのは、市区町村の許可を受けた業者だけ

家庭から出るごみを回収できるのは、市区町村の一般廃棄物処理業の許可を受けた事業者か、市区町村から委託された事業者です。産業廃棄物処理業や古物商の許可だけでは、家庭ごみを回収できません。

片付け会社が別の許可業者と組んで作業する場合は、実際に運ぶ会社の名前と、許可や委託の関係を確認します。無許可の業者へ渡した廃棄物が不法投棄された事例や、高額な処理料金を請求された事例が報告されています。

参考:環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください」

\ 片付け費用をかける前に、売値を確かめる /

ゴミ屋敷の告知義務とは?伝えるのは呼び名ではなく建物の状態

買主へ伝えるべきなのは「ゴミ屋敷だった」ということではなく、物件の状態と、これまでどう使われてきたかです。腐食や水漏れ、カビ、臭い、害虫、設備の故障といった不具合は、買主が負担する修繕費の額を変えます。近隣とのトラブルや行政からの指導も同じです。

ちなみに心理的瑕疵とは、人の死など、買主が心理的な抵抗を感じやすい事情を指す不動産取引の言葉です。「ゴミ屋敷」という呼び名そのものについて、告知の期間や方法を全国一律に定めた国のルールは確認できません。必ず心理的瑕疵として告知しなければならない、という決まりもありません。

知っている不具合を隠すと、特約があっても責任は残る

民法には、引き渡した物件が契約で約束した状態と違っていた場合に、買主が修理などの対応、代金の減額、損害賠償、契約の解除を求められる仕組みがあります。これを契約不適合責任といいます。

売主の責任を軽くする特約をつけても、売主が知りながら買主へ伝えなかった不具合については、責任を免れません。「特約を入れたから大丈夫」とはなりません。

不動産会社へ渡すメモに書く内容

過去の使われ方、建物が傷んでいる可能性、修繕の履歴など、売主にしか分からない事情は、告知書で買主へ伝えると後々のトラブルを防げます(国土交通省の考え方)。書式は不動産会社が用意するので、次の内容をメモにまとめて渡せば、言い忘れずに済みます。

  • 物が大量に残っていた期間と、その間の使われ方
  • 片付け、消毒、消臭、害虫対応をした日、会社、作業範囲
  • 今も残っている臭い、染み、腐食、水漏れ、カビ、害虫
  • 床下、天井裏、収納など、まだ見ていない場所
  • 近隣からの苦情、管理組合や自治体からの通知
  • 火災、水漏れ、人の死、特殊清掃の有無

物を出し終えたら、建物状況調査(インスペクション)も使えます。専門家が売買の時点で建物の状態を確認する調査です。見えない場所まで保証するものではないので、調べた範囲と確認できなかった場所を、告知書や報告書に残しておきます。

人の死があった場合は、ゴミ屋敷とは別に判断する

国土交通省の「人の死の告知に関するガイドライン」では、売買のとき、その物件で起きた自然死や日常生活の中での不慮の死は、特殊清掃をしていなければ原則として告げなくてよい、という整理です。特殊清掃をした場合や、それ以外の死が起きた場合は、告げる必要があります。

賃貸取引にある「おおむね3年」という区切りは、売買にはありません。買主から聞かれた場合は、時期や死因にかかわらず伝えます。告げるかどうかは自分で判断せず、事実を不動産会社へ伝えて、告知書への書き方を相談します。

空き家のゴミ屋敷は、放置と解体の順番に注意する

誰も住んでいないゴミ屋敷は、空家法の対象になる場合があります。放置した期間が長いほど建物の傷みは進み、条件によっては税金の負担も増えます。

一方、今も人が住んでいる家には、空家法はそのまま当てはまりません。この場合に関わるのは、自治体のごみ屋敷条例や、廃棄物、消防、福祉の担当です。悪臭、害虫、道路へのはみ出し、避難経路がふさがれているなど、近隣や安全に影響が出ている場合は、売れるのを待つ間にも自治体の手続きが進むことがあります。自分から先に相談すれば、いつまでに何をすればよいかを確かめられます。

放置すると、固定資産税の軽減が外れることがある

管理が不十分な空き家として自治体から「管理不全空家」や「特定空家」と判断され、指導に従わずに勧告を受けると、住宅が建つ土地の固定資産税を軽くする住宅用地特例が使えなくなってしまいます。

住宅用地特例では、土地の課税標準が200㎡以下の部分は6分の1、200㎡を超える部分は3分の1に減額されています。特例が外れるとこの減額がなくなり、土地の固定資産税が上がります。

ただし、指導や勧告を経ずに、いきなりそうなるわけではありません。

解体を先に済ませても、手取りが増えるとは限らない

解体には先払いの費用がかかり、建物がなくなれば住宅用地特例も外れます。特例はその年の1月1日時点で住宅の敷地になっている土地に使われるため、解体後に1月1日を更地のまま迎えると、その年度から土地の税金が上がってしまいます。壊したうえで買い手が付かなければ、費用を負担したまま、土地の税金だけが上がります。

自治体から危険な建物への対応を求められている場合を除き、「古いから壊す」と決める前に、今の状態のまま、建物を残した土地(古家付き土地)、解体後の3案を査定します。

相続した空き家なら、解体の順番は税金にも関わります。被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例は、1981年5月31日以前に建てられた家を相続し、相続開始から3年後の年末までに1億円以下で売るなどの要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上なら1人あたり2,000万円)を差し引ける制度です。2027年12月31日までの売却が対象です。

売るときに耐震基準を満たしていなくても、売った年の翌年2月15日までに耐震改修か取壊しが行われれば、対象になり得ます。要件は細かいため、解体や売買契約の前に税理士か税務署へ確認してください。

ゴミ屋敷を売却する6つの手順

実際に動く順番は次のとおりです。査定が3番目に来るのは、片付け費用を回収できるかどうかが、査定額を見るまで分からないからです。

STEP
売却できる人と、物を処分できる人を確かめる

法務局で取れる登記事項証明書で名義を確認し、共有、相続、住宅ローンの担保(抵当権)、入居者の有無を整理します。所有者本人が売る場合は、価格や手取り、これからの住まいへの影響を理解し、自分の意思を示せることも必要です。

登記上の住所や氏名が今と違う場合は、売る前に変更の登記が必要です。2026年4月1日からは、住所や氏名が変わった日から2年以内の申請が義務になりました(2026年3月31日以前の変更は2028年3月31日まで)。

STEP
危険物と貴重品を先に取り出す

無理に中へ入らず、安全を確かめます。安全に入れる場合も、全面撤去より先に大事な書類、貴重品、他人の物を取り出し、作業前の状態を写真と一覧で記録します。

室内写真をどこまで使われるかは、渡す前に不動産会社へ確認します。広告に載せる範囲を先に決めておけば、近所に知られる心配も小さくなります。

STEP
片付ける前に、現状買取と仲介の2種類の査定を取る

不動産会社には、次の2つを分けて出してもらいます。

  • 現状のまま買い取る場合の最終価格と条件
  • 必要な片付けをしてから仲介で売る場合の成約予想価格と販売期間

1社が両方を提案してくれる場合も、その会社に有利なほうへ提案が寄る可能性はあります。別の会社から同じ条件で意見を取ると、比べやすくなります。

STEP
片付け業者の見積もりと手取り表を完成させる

同じ作業範囲で複数の現地見積もりを取り、許可や委託の関係、追加料金、売れる物の扱いをそろえます。金額が分からない項目を「未取得」のまま残して比べると、埋まっていない分だけ手取りが多く見えます。

STEP
選んだ売り方に必要な分だけ片付ける(解体は査定の後)

仲介なら、内覧と建物のチェックに必要な片付けと清掃をして、必要に応じて建物状況調査を使います。現状買取なら、契約で持ち出すと決めた物だけを運び出します。

解体してしまうと、古家付きで売ったほうが多く残ると後から分かっても、やり直せません。

そのため、解体の前に確かめるのは、建て替えできる土地か、境界は明確か、土地に買い手の需要はあるか、の3点です。あわせて解体費と、固定資産税や自治体の補助の扱いを調べ、古家付きのまま売る案と手取りを比べます。

STEP
残す物(残置物)と建物の状態を売買契約書に書く

引渡しのときに家の中へ残す物を残置物といいます。口約束で終わらせず、決めた内容を売買契約書、告知書、物件状況等報告書、残す物の一覧や特約へ反映させます。

  • 何を残してよいか
  • 残った物の所有権と、処分できる権限をどう扱うか
  • 誰が、いつ、どの費用で処分するか
  • 分かっている建物の不具合と、まだ調べていない場所
  • 引渡し後の不具合について、売主がどこまで責任を負うか
  • 査定のやり直し、減額、解除ができる条件

契約書の文言は案件ごとに変わります。意味の取れない条項をそのまま通せば、不利な負担が自分側にあると気づくのは引渡しのあとです。その日に署名せず、宅地建物取引士や、必要なら弁護士へ確認する時間を取ります。

\ 手順3の査定は、今日から始められます /

ゴミ屋敷の売却相談先は?仲介・買取・片付け業者の違い

「ゴミ屋敷 買取」で検索すると、不動産会社も片付け会社も比較サイトも、同じように「無料相談」と出てきます。表示だけでは、その相手が最後に何をする会社なのかは分かりません。

自分で買主になる会社、買主を探すだけの会社、話を別の会社へ回すだけの窓口。この違いで、誰に手数料を払うのかも、引渡し後に不具合が出たときに話す相手も変わります。相談する前に、その会社がどれに当たるのかを確かめます。

会社の種類別に、書面でもらう項目

表の右の列が、その相手から書面でもらう項目です。

会社の種類書面でもらう項目
仲介会社成約予想価格、販売期間、広告の範囲、仲介手数料
直接買取の会社買主になる法人、最終価格、決済日、残す物、減額と解除の条件
片付け会社作業範囲、追加料金、許可業者との関係、売れる物の扱い、補償
紹介・相談窓口実際の契約相手、紹介料、個人情報を渡す先

宅地建物取引業の免許があるかを調べる

売買を仲介したり、自分で買い取って売り直したりするには、宅地建物取引業の免許が必要です。免許があるかどうかは、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で調べられます。

行政処分の履歴は「ネガティブ情報等検索サイト」でも調べられますが、全都道府県の処分情報が載っているわけではありません。処分の有無まで正確に知りたいときの窓口は、免許行政庁です。

金額を提示されたら確かめること

価格を出されたら、次の内容をそのまま聞きます。

そのまま使える質問

この金額は、現地を見たあとの最終買取価格ですか。それとも仲介の査定額・売出価格ですか。残す物、測量、登記、引渡し後の不具合の責任を含め、売主が追加で負担する項目を一覧にしてください。契約後に減額・解除できる条件と期限も、書面で示してください。

「今日中ならこの価格」「片付け費は完全無料」は、口頭で言われた時点では中身を確かめようがありません。同じ内容が書面に載って初めて、他社の金額と並べられます。

比べられるのは、同じ家の状態、同じ引渡し日、同じ売主負担、同じ税込表示でそろえた金額だけです。

ゴミ屋敷の売買契約に署名する前に確かめること

署名の前に、危険な物や建物の傷みを確認し、自分で入れない状態なら専門の窓口へ伝えておきます。売れる人と、残った物を処分できる人も確かめます。

査定は、現状買取の最終価格と、片付け後に仲介する場合の成約予想価格をそろえます。片付けは同じ作業範囲で見積もりを取り、ごみを運ぶ事業者の許可や委託の関係を確かめます。比べる手取りには、片付け費用、手数料、維持費、住宅ローン返済まで入れます。

分かっている不具合、これまでの対応、まだ調べていない場所は不動産会社へ伝えます。残してよい物、追加の負担、減額・解除の条件は契約書で確認します。

確認できていないまま署名すると、あとで費用を求められたときに「話が違う」と言える材料がありません。

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ゴミ屋敷の売却でよくある質問

費用、マンション、近所への知られ方、買主への伝え方について、相談の多い4つをまとめました。

ゴミ屋敷の片付け費用を用意できなくても売却できますか?

現状のまま買い取ってもらう契約なら、売主が片付け費用を先払いせずに済むことがあります。

ただし、撤去費が買取価格に織り込まれている可能性があります。どこまでの物を残せるか、後から請求や減額がないかを、最終価格と一緒に確認してください。

マンションのゴミ屋敷も売却できますか?

売れます。部屋の中(専有部分)だけでなく、共用廊下やエレベーターの搬出ルール、管理組合への届出、臭いや害虫、水漏れの影響も確認します。

大量に運び出す日程や、床や壁を傷つけないための養生は、片付けを契約する前に管理会社と調整してください。

ゴミ屋敷を近所に知られずに売却できますか?

広告を広く出さない直接買取なら、仲介より知られる範囲は狭くなります。ただし、査定、搬出、測量、契約には人の出入りがあります。

「秘密厳守」という言葉だけでは、実際にどこまで情報が出るかは分かりません。室内写真の使い道、情報を渡す会社、広告の有無、現地訪問の日時まで決めておけば、想定外の人の出入りを避けられます。

ゴミ屋敷だったことを買主へ伝えなくてよいですか?

伝えるのは、これまでの使われ方、実施した清掃、今分かっている臭い・腐食・害虫・水漏れ、近隣や行政とのやり取り、まだ調べていない場所です。

呼び名そのものより、こうした事実が買主の判断を左右します。告知書や特約に何を書くかは、仲介する宅地建物取引業者と確認してください。知っている不具合を隠したまま、売主が責任を負わない特約だけに頼っても、責任は残ります。

まとめ

ゴミ屋敷の状態でも、片付ける前に売却を検討できます。安全と、売却や処分を進める権限を確かめ、現状買取の最終価格と、片付け後に仲介する場合の成約予想価格を、同じ条件で取ることから始めます。

そこから片付け費用、手数料、売れるまでの維持費、住宅ローン返済を差し引けば、どちらが高く見えるかではなく、どの方法が自分のお金と時間を多く残すかで判断できます。

危険な物や建物の損傷があるとき、所有者の意思が確認できないとき、相続・共有・入居者の権利が整理できていないとき。このどれかに当てはまる状態で契約まで進むと、手続きが決済の直前で止まり、片付けの日程も組み直しになります。順番を守ったほうが、結果として早く代金を受け取れます。

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参考資料

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