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一般媒介と専任媒介の違いは5つ!どっちを選ぶべきか判断基準までわかりやすく解説

不動産会社に売却を任せるときに結ぶのが媒介契約です。

種類は「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3つ。どれを選ぶかで、会社が販売状況を売主に伝える回数が決まります。

専任媒介なら2週間に1回以上、専属専任媒介なら1週間に1回以上。一般媒介にこの義務はありません。その代わり、一般媒介だけは複数の会社に同時に頼めます。3つのどれにするかは売主が決めてよい、と国土交通省も明記しています。

この記事では3つの違いを整理したうえで、自分の物件と売却期限ならどれを選ぶべきか、契約書のどこを確かめればよいかまで解説します。

この記事を読むとわかること
  • 一般媒介と専任媒介の違い
  • レインズの登録期限と報告頻度
  • 囲い込みは売主が確かめられる?
  • 物件と売却期限からどう選ぶ?
  • 契約時にそろえる書類は?

※本記事の情報は2026年8月時点の法令・告示にもとづきます。

目次

一般媒介と専任媒介の主な違い5つ

一般媒介と専任媒介の主な違いは5つです。

  1. 依頼できる不動産会社の数
  2. レインズへの登録義務と期限
  3. 販売状況の報告義務と頻度
  4. 自分で買主を見つけたときに直接契約できるかどうか
  5. 契約期間の上限

はじめの4つは、不動産会社がどこまで義務を負うかの差です。契約の種類によって、売主のもとに報告が届く回数も、レインズに物件が載るまでの日数も違います。契約期間の上限だけ、一般媒介は別扱いです。この5つを順に解説します。

依頼できる不動産会社は1社だけか複数社か

一般媒介契約では、複数の不動産会社に重ねて売却を依頼できます。自分で買主を見つけて直接契約することも可能です。

専任媒介契約は、依頼できる会社が1社に限られます。ただし自分で買主を見つけた場合は、その相手と直接契約を結べます。

専属専任媒介契約でも、依頼できる会社は1社に限られます。この点は専任媒介と同じ。加えて、自分で見つけた相手と直接契約を結ぶことができません。親戚や知人が買いたいと言ってきた場合も、依頼した不動産会社を通す必要があります。

3種類の名前はよく似ています。ただし縛りの強さは「専属専任>専任>一般」の順に並びます。売主が自由を手放すほど、不動産会社は多くの義務を負う仕組みです。

レインズへの登録期限は7日以内か5日以内か登録義務なしか

レインズ(指定流通機構)は、全国の不動産会社が売り物件の情報を共有するシステムです。ここに登録されると、依頼した会社だけでなく他社の担当者も物件を検索できるようになります。依頼した会社だけでなく、他社の担当者も買い手を探してくれます。

登録の期限は、宅地建物取引業法施行規則が定めています。

法第三十四条の二第五項の国土交通省令で定める期間は、専任媒介契約の締結の日から七日(専属専任媒介契約にあつては、五日)とする。2 前項の期間の計算については、休業日数は算入しないものとする。

宅地建物取引業法施行規則第15条の10(e-Gov法令検索)

登録期限は専任媒介なら7日、専属専任媒介なら5日。一般媒介にレインズへ登録する義務はありません。「休業日数は算入しない」とあるとおり、不動産会社の休業日は日数に数えません。土日休みの会社に水曜日に依頼した場合、土日を除いた7営業日が期限になります。

見落とされやすいのが起算日です。国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に、こう書かれています。

契約を締結した当日そのものについては民法上の原則(初日不算入)により、登録期間には含まれない。

国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」

契約した当日は数えません。翌日を1日目として7日を数えます。標準媒介契約約款が「この媒介契約の締結の日の翌日から7日以内」と書いているのは、初日を数えないという決まりを踏まえた書き方です。法令の「締結の日から7日」と約款の「翌日から7日以内」は、同じ期間を指しています。

同じ資料は、起算日についてもう1点定めています。「媒介契約締結の日」とは契約締結の意思が合致した日であって、媒介契約書を交付した日ではありません。口頭で合意した日から数え始めます。媒介契約書を受け取るのが後日でも、7日の数え始めは合意した日です。

一般媒介に登録義務はありませんが、登録すること自体は可能です。東日本不動産流通機構も、一般媒介契約について「登録は可能です」と案内しています。

販売状況の報告は2週間に1回か1週間に1回か報告義務なしか

販売状況を報告する頻度も、法律が決めています。

専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、前項に定めるもののほか、依頼者に対し、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を二週間に一回以上(依頼者が当該宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結することができない旨の特約を含む専任媒介契約にあつては、一週間に一回以上)報告しなければならない。

宅地建物取引業法第34条の2第9項(e-Gov法令検索)

かっこ書きにある「自ら探した相手以外と契約できない特約を含む契約」が専属専任媒介です。つまり専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上。一般媒介契約に法的な義務はありません。

解釈・運用の考え方によれば、報告すべき事項はレインズへの物件登録や広告などの買主を探すために実際にやったこと、そして引き合いの状況です。「頑張っています」という報告では要件を満たしません。

報告の方法は、標準媒介契約約款で文書または電子メールのいずれかを選んで契約書に記入することになっています。口頭の電話報告だけで済ませる約束にはなっていません。

もう1つ、契約の種類を問わず全ての媒介契約に共通する報告義務があります。同法第34条の2第8項が定める、購入の申込みがあったときの報告です。しかも解釈・運用の考え方は「依頼者の希望条件を満たさない申込みの場合等であっても、その都度報告する必要がある」としています。「安すぎる申込みだったので伝えませんでした」は通りません。

自分で買主を見つけたときに直接契約できるか

自分で買主を見つけて直接契約することを、自己発見取引といいます。標準媒介契約約款の契約書冒頭では、3つの契約型式が次のように区別されています。

  • 専属専任媒介契約型式:他社に重ねて依頼できず、自ら発見した相手方とも契約を締結できません
  • 専任媒介契約型式:他社に重ねて依頼できませんが、自ら発見した相手方とは契約を締結できます
  • 一般媒介契約型式:他社に重ねて依頼でき、自ら発見した相手方とも契約を締結できます

親族や近隣の人に売るかもしれないなら、専属専任媒介契約は避けておきましょう。心当たりがまったくないなら、自分で買主を見つけられるかどうかは選ぶ材料になりません。

なお専任媒介契約で自分が見つけた買主と契約した場合、不動産会社が使った調査費や広告費の実費を請求されることがあります。

一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の違いを一覧で比較

5つの違いを1枚に並べると、3種類の関係がはっきりします。

スクロールできます
比べる点一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
依頼できる不動産会社数複数社1社のみ1社のみ
レインズ登録義務と期限義務なし(登録は可能)契約日の翌日から7日以内契約日の翌日から5日以内
業務報告義務と頻度義務なし(求めることは可能)2週間に1回以上1週間に1回以上
自分で買主を見つけて直接契約できますできますできません
契約期間の上限法律上の規制なし(約款は3か月以内)3か月以内(法定)3か月以内(法定)

登録期限の日数に不動産会社の休業日とレインズの休止日は含みません。

契約期間の上限には、種類による違いがあります。専任媒介と専属専任媒介の3か月は宅地建物取引業法が定めた上限で、これより長い期間を書いても3か月に短縮されます。一般媒介の契約期間には法律上の規制がありません。標準媒介契約約款を使う限り、期間は3か月を超えません。ただし根拠は法律ではなく約款です。

表を眺めると、売主を強く縛る契約ほど不動産会社が多くの義務を負っていると分かります。では、登録も報告も義務づけられていない一般媒介では、売主に何が届かないのでしょうか。

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※2025年9月19日-23日 「サイト評価に関する調査」より

一般媒介契約のメリットとデメリット

複数社に同時に頼める代わりに、1社が広告費を投じる量も、買主を探しに動く回数も減ります。これが一般媒介契約の構造です。 「競争させれば高く売れる」という説明をよく見かけます。ただ、話はそう単純ではありません。不動産会社がどこまで費用と時間を投じるかは、報酬を受け取れるかどうかで決まるからです。

複数社に同時に頼める一般媒介契約のメリット

一般媒介契約の利点は、複数社に同時に頼めることです。A社の担当者の反応が鈍ければ、B社やC社がどう動くかを見て依頼先を絞れます。1社に縛られません。担当者と合わなければ、別の会社に主軸を移せます。

自分で買主を探す活動も、同時に進めてかまいません。知人づてで買い手が見つかったら、その相手と直接契約を結べます。

レインズの登録状況を確かめる方法もあります。東日本不動産流通機構は、一般媒介の物件についても案内を出しています。事務局に問い合わせて本人確認を受ければ、レインズへの登録状況を教えてもらえます。登録義務がないだけで、頼めば教えてもらえます。

複数社に依頼すると、各社が出した査定額の根拠を並べて聞けます。同じ物件でも、会社によって根拠の立て方が違うと分かります。

広告費をかけてもらいにくい一般媒介契約のデメリット

一般媒介の物件に広告費をかけてもらいにくいのは、費用を誰が負担するかが理由です。

国土交通省の解釈・運用の考え方は、費用の負担をこう定めています。

指定流通機構への情報登録はもちろんのこと、通常の広告、物件の調査等のための費用は、宅地建物取引業者の負担となる。

国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」

レインズへの登録も、ポータルサイトへの掲載も、現地調査も、費用を出すのは不動産会社です。売主に請求は来ません。

一方、不動産会社に報酬が入るのは成約したときだけです。標準媒介契約約款によれば、報酬を請求できるのは媒介によって売買契約が成立したときとされています。しかも受領できるのは、宅地建物取引業法第37条に定める書面を作成し、契約当事者に交付した後に限られます。

費用は会社が負担し、報酬は成約しなければ入らない。この2つを並べると、一般媒介の物件に広告費が使われにくい理由が分かります。自社が費用を負担しても、他社が先に買主を見つければ報酬はゼロ。同じ予算があるなら、1社に依頼が絞られている専任媒介の物件に配分するほうが、費用を回収できる見込みが立ちます。担当者が手を抜いているわけではありません。費用を負担するのが会社側だからです。

ただし例外的に売主負担になる費用もあります。標準媒介契約約款は「甲が乙に特別に依頼した広告の料金又は遠隔地への出張旅費は甲の負担」と定めています。通常の広告は会社負担、特別に依頼した広告は売主負担という切り分けです。特別に依頼した広告の費用について、解釈・運用の考え方はこう述べています。「あらかじめ、依頼者に標準媒介契約約款の定めに基づき請求する費用の見積りを説明してから実行すべきである」。さらに「費用の請求は、成約の有無に関わらずできる」とも書かれています。売れなくても請求されうる費用ですから、依頼する前に見積りを求めてください。

明示型と非明示型は何が違うのか

一般媒介契約には、明示型と非明示型の2つがあります。東日本不動産流通機構の説明によれば、他の不動産会社に重ねて依頼する場合にその会社名を明示(告知)しなければならないのが「明示型」。会社名を明らかにしない旨を特約として媒介契約書に記載するのが「非明示型」です。

型が違っても変わらない義務があります。同機構は「いずれの場合においても、他の不動産会社(自己発見も含む)によって取引が成立したときは、その旨を通知しなければなりません」と明記しています。どちらを選んでも、成立したら通知は必要です。

他社で売買が成立したのに通知しなかったら、どうなるか。標準一般媒介契約約款の第14条は、明示していない不動産会社の媒介で契約を成立させたとき、依頼を受けていた会社が履行に要した費用の償還を請求できると定めています。同条第2項は「前項の費用の額は、約定報酬額を超えることはできません」として上限を設けました。約定報酬額とは、結んだ媒介契約で決めた仲介手数料の額です。

同じ内容は宅地建物取引業法施行規則第15条の9にもあります。媒介契約書に記載すべき事項の1つが、「明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買又は交換の契約を成立させたときの措置」です。契約書に必ず書かれている項目ですから、締結前に目を通しておきましょう。

一般媒介で依頼する会社は何社までが目安か

一般媒介で依頼できる会社の数に、法律上の上限はありません。宅地建物取引業法にも施行規則にも標準媒介契約約款にも、社数を定めた条文がないためです。国土交通省が推奨する社数を示した資料も見当たりませんでした。「3社まで」「4社以上はやめたほうがいい」といった目安をあげているサイトもあります。ただし、その数字を裏づける公的な資料はありません。

目安になる数字がない以上、決め手は「自分が何社まで回せるか」です。社数が増えると、売主自身がこなす作業も同じだけ増えます。

  • 明示型なら、新たな会社に依頼するたび既存の会社へ通知する義務が生じます
  • 買主が決まったら、依頼した全社に成立の通知を出す必要があります
  • 通知を忘れると、費用の償還を請求される可能性が残ります
  • 内覧の日程調整を、依頼した会社の数だけ個別に受けることになります
  • 担当者ごとに、報告の形式も届く頻度もばらばらです。並べて比べるだけで半日かかることもあります

5社に依頼すれば、通知も内覧の日程調整も5社分こなすことになります。

では、依頼先を1社に絞る専任媒介では何が変わるのでしょうか。

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専任媒介契約のメリットとデメリット

専任媒介契約を選ぶと、報告とレインズ登録が法律で義務づけられます。 2週間に1回以上の報告、契約日の翌日から7日以内のレインズ登録、そして登録証明書の交付。いずれも会社の善意ではなく法的義務です。一方で、依頼先を1社に絞ったせいで売主に情報が届かなくなることもあります。囲い込みと呼ばれる問題です。

販売状況が定期的に届く専任媒介契約のメリット

専任媒介契約では、2週間に1回以上の頻度で業務の処理状況が文書または電子メールで届きます。内容はレインズへの登録状況、広告などの販売活動、引き合いの状況です。売却がいま何合目にあるのかを、待たずに把握できます。

レインズへの登録も義務です。宅地建物取引業法第34条の2第5項が定めています。同条第6項は、登録した不動産会社に対し「登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡さなければならない」としています。これが登録証明書です。

東日本不動産流通機構によれば、登録証明書には売却価格・所在地・面積など、レインズに登録された物件情報の主な内容が記載されています。受け取ったら記載内容を確認してください。売り出し価格が打ち合わせと違っていないか、面積の入力を間違えていないか。受け取った時点で気づけば、修正は簡単です。

報告・レインズ登録・登録証明書の交付という義務は、当事者の合意でも外せません。同法第34条の2第10項は、期間・登録・報告に関する規定に反する特約を無効と定めています。「報告は月1回でいいですよ」と売主が言っても、その特約は効力を持ちません。

1社の動き方しだいで結果が決まる専任媒介契約のデメリット

依頼先が1社である以上、その会社の動き方しだいで売れるかどうかが決まります。売れないまま時間が過ぎても、期間中の依頼先は1社のままです。

だからこそ、契約前に販売活動の中身を聞いておいてください。解釈・運用の考え方は、専属専任媒介契約と専任媒介契約に1つの義務を課しています。成約に向けて具体的に何をするかを、売主に示すことです。例として挙がっているのは、レインズへの登録、広告、他の不動産会社との連携の3つ。具体的に何をするのかを説明するのは、会社側の役割です。遠慮なく聞いてください。

専任媒介契約で起こりうる囲い込みと登録証明書での確かめ方

囲い込みは、依頼を受けた不動産会社が他社からの問い合わせを断り、自社で買主を見つけようとする行為を指します。売主と買主の両方から報酬を得るためです。売主から見れば、本来届くはずの買主候補が届かなくなります。

この問題について、2025年に法令が改正されました。宅地建物取引業法施行規則の附則にこうあります。

この省令は、令和七年四月一日から施行する。ただし、第十五条の十一の改正規定は、令和七年一月一日から施行する。

宅地建物取引業法施行規則 附則(e-Gov法令検索)

第15条の11はレインズへの登録事項を定めた条文です。その第2号に「当該宅地又は建物の取引の申込みの受付に関する状況」が置かれました。2025年1月1日から、いま申込みが入っているかどうかをレインズに登録することが、法令上の義務になったわけです。

そのうえで解釈・運用の考え方は、売主自身が確認するよう求めています。

登録証明書の交付を受けることにより登録されたことを確認するとともに、レインズ……のステータス管理機能を通じて当該依頼物件に係る取引の申込みの受付に関する状況等の最新の登録内容を確認すること。

国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」

求められているのは2つ。登録証明書で登録を確かめることと、レインズの画面で申込みの受付状況を見ることです。どちらも売主が自分でできます。

具体的な手順は3つです。

  1. 登録証明書を受け取り、記載されている売却依頼主向けのIDとパスワードを控えます。東日本不動産流通機構によれば、専属専任媒介契約と専任媒介契約を締結した物件の登録証明書には、このIDとパスワードが記載されています
  2. 専用の確認画面にログインし、自分の物件のレインズ登録内容と取引の現状を見ます
  3. 「取引状況」の表示を確認します。表示は「公開中」「書面による購入申し込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つのいずれかです

確かめるのは2点です。1つは、自分で停止を依頼していないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっていないかどうか。もう1つは、「書面による購入申し込みあり」に変わっているのに報告を受けていないかどうかです。

報告が1度も届かないなら、それ自体を理由に説明を求めてください。購入の申込みがあったときの報告は契約種別を問わない義務であり、希望条件を満たさない申込みでも1件ごとに報告が必要とされているからです。数週間にわたって何の連絡もないなら、その理由を担当者に尋ねてください。

義務に反する行為は監督処分の対象になり得ます。宅地建物取引業法第65条第1項第2号は「業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき又は取引の公正を害するおそれが大であるとき」を指示処分の対象としています。同条第2項第5号では「宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき」も業務停止の対象。国土交通省の監督処分の基準では、処分をしたときは処分日・商号・所在地・代表者名・免許番号などをホームページに掲載して公表するとされています。

なお、法令にも監督処分の基準にも「囲い込み」という言葉そのものは出てきません。ただ、2025年1月の改正で、売主が自分でレインズの登録内容を確かめられるようになりました。

では、3つ目の専属専任媒介契約はどう位置づければよいのでしょうか。

\ 任せる1社は比べてから決める /

専属専任媒介契約と一般媒介・専任媒介の違い

専属専任媒介契約は、専任媒介契約から自分で買主を見つけて直接契約する自由を取り除き、そのぶん不動産会社の義務を重くした契約です。 名前が長いぶん、まったく別物のように見えるかもしれません。専任媒介との違いは実質的に3点だけです。自分で買主を見つけたときに直接契約できるかどうか、レインズ登録の期限、報告の頻度。どれが実際に選ばれているかは、全国の登録実績で確かめられます。

自分で買主を見つけても直接契約できない制約

専属専任媒介契約には、自分で買主を見つけても直接契約できないという制約があります。契約書にはこう書かれています。「依頼者は、自ら発見した相手方と売買又は交換の契約を締結することができません」。専任媒介と違うのは、この一点だけです。

たとえば、隣に住む方から「その土地、うちで買えないだろうか」と声をかけられたとしましょう。専任媒介なら、その方と直接売買契約を結べます。専属専任媒介では、依頼した不動産会社を通さなければなりません。当然、仲介手数料も発生します。

遠方の相続物件のように、自分で買主を見つける見込みがない物件なら、この制約は気にしなくてかまいません。逆に、地元で長く暮らしてきた家や、近隣が買いたがりそうな事業用地では、この制約に縛られます。

報告が1週間に1回、レインズ登録が5日以内と決まっている理由

専属専任媒介契約では、レインズ登録が契約日の翌日から5日以内、報告が1週間に1回以上と決まっています。専任媒介の7日以内・2週間に1回以上より、どちらも短い期間です。

なぜ短いのかは、売主側の制約を見ると分かります。専属専任媒介では他社に頼めず、自分で買主を見つけることもできません。売主は買主を探す手段を、1社にすべて預けます。その代わり、不動産会社は5日以内のレインズ登録と1週間に1回以上の報告を義務づけられます。

売主が情報を確かめる手段についても、専属専任は専任と同じ扱いです。東日本不動産流通機構によれば、取引状況の表示項目があるのは専属専任媒介契約と専任媒介契約の物件で、一般媒介契約の物件には表示項目がありません。登録証明書に売却依頼主向けのIDとパスワードが記載されるのも、この2種類です。一般媒介を選ぶと、レインズの登録内容を売主が自分で見る画面は使えません。

同機構の説明によれば、専属専任と専任の成約登録は宅地建物取引業法が、一般媒介の成約登録は東日本不動産流通機構の規程が義務づけています。

3種類のうち実際に多く選ばれているのはどれか

3種類のうち選ばれている数が多いのは専任媒介です。全国4つの指定流通機構に登録された売り物件の件数を、契約の種類ごとに並べます。公益財団法人不動産流通推進センターの「不動産業統計集」が公表している2025年(暦年)の数字です。

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契約の種類新規登録件数媒介契約に占める割合
専属専任媒介136,654件14.6%
専任媒介498,622件53.2%
一般媒介301,208件32.2%
媒介計936,484件100%

専任媒介が半数を超え、一般媒介が約3割、専属専任媒介が約15%という構成です。この割合は直近3年でほとんど変わっていません。2023年は専属専任15.4%・専任52.2%・一般32.5%、2024年は14.9%・52.6%・32.5%でした。

ただし、この数字を「媒介契約の締結件数」と読むことはできません。あくまでレインズに登録された売り物件の内訳です。一般媒介にはレインズへの登録義務がありませんから、登録されずに販売されている一般媒介物件はこの集計に入っていません。その分を足せば、一般媒介の割合は32.2%を上回ります。

レインズに登録された範囲では専任媒介が多数派です。多数派だから正解というわけではありません。

では、自分の場合はどちらを選ぶべきなのでしょうか。

\ 3種類のどれが自分に合う?まず査定から /

一般媒介と専任媒介はどっちを選ぶべきかの判断基準

選択は売主に委ねられています。国土交通省が明記しているのはこの一点で、「こちらが有利」という公的な結論はありません。 解釈・運用の考え方は、標準媒介契約約款の3類型について「その選択は依頼者に委ねられていること」を売主に周知するよう定めています。判断の材料になるのは、物件の条件と売却期限の2つです。

「一般媒介より専任媒介のほうが早く高く売れる」という説明を目にすることがあります。ただ、媒介契約の種類ごとに成約までの日数や成約率を比べた公的な統計は公表されていません。レインズの統計には契約の種類ごとの新規登録件数と成約報告件数があります。ただし、この2つを割り算して成約率とすることはできません。一般媒介はレインズへの登録が任意で、成約の登録も宅地建物取引業法上の義務ではありません。専任・専属専任は両方が法定義務です。分母と分子の捕捉率が契約の種類ごとに違う数字を、同じ土俵で比べることはできません。

だからこそ、統計ではなく自分の物件と事情で決めることになります。

買主が自然に集まる物件か、探しにいく物件か

立地と築年数を見て、買主が自然に集まる物件か、探しにいく必要がある物件かを判断します。

駅から近い、築年数が浅い、周辺で似た物件の取引が活発。こうした条件がそろう物件は、情報が出れば買主候補が集まります。広告費をかけなくても問い合わせが入る物件です。この場合は、複数社に依頼して条件や担当者の対応を比べられる一般媒介が向いています。

逆に、駅から遠い、築年数が古い、周辺の取引事例が少ない。こうした物件では、買主を探しにいく作業が必要です。その作業には広告費がかかります。誰が負担するかで、物件に手をかけてもらえるかどうかが決まります。通常の広告費を負担するのは不動産会社。同じ予算なら、報酬を回収できる見込みが立つ専任媒介の物件へ先に配分します。手をかける必要がある物件では、依頼先を1社に絞って動いてもらうほうが理にかないます。

築年数が古いと売れないのかというと、そうとも限りません。東日本不動産流通機構の年報によると、2025年(暦年)の首都圏中古マンションの成約は49,314件で、前年より24.1%増えました。成約価格は5,322万円で7.8%増、平均築年数は26.81年です。2024年は成約39,736件、価格4,939万円、築年数25.28年。平均で築26年を超える物件が、件数も価格も伸ばしています。ただしこれは首都圏の中古マンションだけの数字で、地方や戸建て、土地には当てはまりません。

売却の期限が決まっているかどうか

売却の期限が決まっているかどうかでも、選ぶ種類は分かれます。

住み替え先の引き渡し日が決まっている、相続税の納付期限が近い、転勤の日程が動かせない。期限が動かせないなら、進捗が定期的に届く契約を選んでください。専任媒介の2週間に1回以上、専属専任媒介の1週間に1回以上という報告義務が、この場面で役に立ちます。報告がないと、期限の3週間前になって初めて「まったく動いていなかった」と気づくことになりかねません。

期限に余裕があり、複数社とやり取りする時間も取れるなら、一般媒介で各社の販売活動を比べられます。

物件の条件と売却期限を組み合わせた表です。

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売却期限に余裕がある売却期限が決まっている
買主が集まりやすい物件一般媒介で各社の動きを比べるどちらも選べます。報告頻度を重視するなら専任媒介
買主を探しにいく必要がある物件専任媒介で販売活動を厚くする専任媒介または専属専任媒介

「迷ったら専任媒介」と言い切っているサイトもあります。ただし表のとおり、答えは条件しだいです。まずは自分の物件が、買主の集まりやすいほうか、探しにいく必要があるほうかを決めてください。

査定額の根拠を聞き、仲介手数料を話し合う

査定額の高さだけで会社を決めると、根拠のない数字を信じて売り出すことになります。一般媒介と専任媒介のどちらを選んでも、最後は依頼した会社がどう動くかで決まるからです。売主が使える法律上の武器は2つ。査定額の根拠を求める権利と、手数料を話し合う余地です。

まず、査定額の根拠から見ていきます。

宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。

宅地建物取引業法第34条の2第2項(e-Gov法令検索)

査定額を伝えるなら、その根拠も示さなければならない。法律はそう定めています。「相場から見てこのくらいです」という説明で終わらせるのは、この義務を満たしていません。近隣のどの成約事例をどう補正してこの金額になったのか。遠慮する必要はありません。根拠を求める権利を、法律が認めています。

根拠を明らかにする義務に違反した場合、国土交通省の監督処分の基準では標準の業務停止期間が7日とされています。

2つ目は、仲介手数料の交渉余地です。解釈・運用の考え方は、売主への周知事項として次のように述べています。報酬の額は告示で定める限度額の範囲内でなければなりません。そのうえで、同資料はこう続けます。「報酬の限度額を当然に請求できるものではなく、具体的な報酬額については……依頼者と協議して決める事項であること」。上限額は自動的に確定する金額ではなく、協議の対象です。

契約前に確認したいのは次の3点です。

  • 査定額の根拠として、どの成約事例をどう補正したのかを説明してもらえるか
  • 具体的にどんな販売活動をするのか、レインズ登録・広告・他社との連携まで示してもらえるか
  • 仲介手数料をいくらにするか、話し合う余地があるか

契約の種類が決まったら、次は契約の場で何を持参し、何を確かめるかです。

\ 自分の物件はいくらで売れる? /

媒介契約に必要な書類と、契約書のどこを見るか

媒介契約に「法定の必要書類」は存在しません。 宅地建物取引業法第34条の2と同法施行規則第15条の9は、媒介契約書に記載すべき事項を細かく定めています。一方で、売主が提出する書類についての定めはありません。実務でそろえるものは、契約書に何を書くかから逆算して決まっています。

媒介契約で売主が用意する書類

なぜ書類が必要になるのかは、媒介契約書の法定記載事項を見ると分かります。第34条の2第1項は、記載すべき事項として物件を特定するために必要な表示や、売り出す価格などを挙げています。物件を特定するために登記関係の書類が要り、売り出す価格を決めるために面積や権利関係の資料が要る、という順序です。

物件の種類ごとに、実務でそろえるものを整理しました。この一覧は法定のものではありませんから、依頼先によって求められる書類は増えたり減ったりします。

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書類マンション戸建て土地主な入手先
登記事項証明書必要必要必要法務局
登記識別情報通知(または登記済証)必要必要必要取得時に交付済み
固定資産税の納税通知書必要必要必要市区町村から毎年送付
固定資産評価証明書場合により場合により場合により市区町村(東京23区は都税事務所)
本人確認書類必要必要必要運転免許証など
分譲時のパンフレット・図面あればあれば購入時の資料
管理規約・使用細則必要管理組合
建築確認済証・検査済証あれば購入時の資料
地積測量図・境界確認書あればあれば法務局・購入時の資料

法務局で取得する書類の手数料は、令和8年4月1日から次のとおりです。

  • 登記事項証明書:書面請求1通600円、オンライン請求で郵送を受ける場合520円、オンライン請求で窓口交付を受ける場合490円
  • 地図等証明書・土地所在図等証明書:書面請求500円、オンライン請求・送付470円、オンライン請求・窓口交付440円
  • 登記識別情報に関する証明:1件300円

内容を見るだけなら、登記情報提供サービスという選択肢もあります。全部事項が1件330円、所有者事項が1件140円、地図・土地所在図等が1件360円。証明書としては使えません。権利関係を先に確かめるだけなら、登記情報提供サービスで足ります。

固定資産評価証明書の手数料は、各自治体の条例で定まります。全国一律の金額はありません。お住まいの市区町村にご確認ください。東京23区にお住まいなら、区役所ではなく都税事務所に請求します。

相続した不動産で、どこにどれだけ物件があるか把握できていない場合は、所有不動産記録証明書という手段もあります。手数料は書面請求1件1,600円、オンライン請求・送付1,500円、オンライン請求・窓口交付1,470円。登記事項証明書より高い金額です。その代わり、1回で全国の所有不動産を洗い出せます。

媒介契約書は誰がいつ作成し、印紙は必要か

媒介契約書は不動産会社が作ります。根拠は宅地建物取引業法第34条の2第1項です。

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約……を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。

宅地建物取引業法第34条の2第1項(e-Gov法令検索)

作成も記名押印も交付も、すべて不動産会社の義務です。売主が用意するものではありません。

この交付義務に違反した場合、国土交通省の監督処分の基準では標準の業務停止期間が7日とされています。記載事項の一部を書かなかった場合や、虚偽の記載をした場合も同じ扱いです。

では収入印紙は必要でしょうか。結論から言えば、媒介契約書に印紙を貼る必要はありません。理由を3段階で説明します。

第1に、印紙税がかかるのは印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられた20種類の文書だけです。国税庁は課税文書の要件を3つ挙げています。

  • 20種類の課税物件表により証されるべき事項が記載されていること
  • 課税事項を証明する目的で作成された文書であること
  • 印紙税法第5条の非課税文書でないこと

この3つすべてに当てはまる文書だけが課税されます。

第2に、課税物件表の20種類を確認すると、媒介契約書に当たるものがありません。第1号は不動産等の譲渡に関する契約書や消費貸借に関する契約書など。第2号は請負に関する契約書。以下、手形、株券、合併契約書、定款、継続的取引の基本となる契約書と続きます。さらに預貯金証書、倉荷証券、保険証券、信用状。信託行為に関する契約書、債務の保証に関する契約書、金銭等の寄託に関する契約書、債権譲渡等に関する契約書。最後が配当金領収証、金銭等の受取書、通帳類です。委任や準委任にあたる媒介契約書に該当する号はありません。

第3に、20種類のどれにも当たらない以上、媒介契約書は課税文書になりません。

ただし、課税されるかどうかを決めるのは文書の名前ではないとされています。国税庁の説明を引用します。「その文書の名称、呼称や形式的な記載文言によるのではなく、その文書に記載されている文言などの実質的な意味を汲み取って行います」。表題が媒介契約書でも、売買の合意や金銭の受け取りを証する内容が書き込まれていれば、別の号の課税文書として扱われることもあります。判断に迷う場合は、税務署か依頼先の不動産会社に確認してください。

媒介契約書と売買契約書は何が違うのか

2つの書面は、約束している内容そのものが違います。媒介契約書は「買主を探してもらう約束」。売買契約書は「この物件をこの金額で売る約束」です。結ぶ相手もタイミングも、印紙を貼るかどうかも違います。

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媒介契約書売買契約書
約束の内容買主を探してもらう物件を売る
結ぶ相手不動産会社買主
作成する人不動産会社不動産会社が作成し当事者が締結
結ぶタイミング売却活動を始める前買主が決まった後
印紙税課税物件表に該当する号がありません第1号文書に該当します

売買契約書の印紙税は契約金額で決まります。不動産の譲渡に関する契約書には軽減措置があり、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成されるものは次の額です。

契約金額印紙税額(軽減後)
500万円超1,000万円以下5,000円
1,000万円超5,000万円以下1万円
5,000万円超1億円以下3万円

3,000万円で売れたなら、売買契約書に貼る印紙は1万円です。

印紙が必要なのは売る約束の書面であって、探してもらう約束の書面ではありません。

有効期間・自動更新・仲介手数料の記載を確かめる

契約書を渡されたら、次の7項目を確認してください。

  1. 有効期間が3か月以内になっているか。専任・専属専任は法律で3か月が上限、一般媒介も標準媒介契約約款では3か月を超えない範囲と定められています
  2. 自動更新の条項が入っていないか。解釈・運用の考え方は「更新の申出は、有効期間満了の都度行われるべきもので、あらかじめ更新することを約定することは許されない」としています
  3. 契約書の右上すみの表示がどちらになっているか。標準媒介契約約款に基づく契約かどうかを、売主が一目で分かるよう右上に表示することになっています
  4. 仲介手数料が告示の上限内で、しかも上限額がそのまま入っていないか。上限額は当然に請求できる金額ではなく、話し合って決めるものです
  5. 特別に依頼した広告費や遠隔地への出張旅費の扱いが書かれているか。通常の広告費は不動産会社の負担です。特別に依頼した分だけ売主負担になります
  6. 決めた仲介手数料を超える違約金の特約が入っていないか。解釈・運用の考え方は、そうした売主に不利な特約は標準媒介契約約款による契約としては認められないとしています
  7. レインズ登録の期限と、登録証明書をいつどんな方法で受け取れるかを確認したか

仲介手数料の上限は告示で決まっており、媒介契約の種類によって変わりません。売買価格を区分して率が決まっていて、400万円を超える部分は3.3%(消費税等相当額を含む)が上限です。

価格が800万円以下の空き家などには特例があります。売買の媒介で受け取れる報酬は、33万円(30万円の1.1倍に相当する金額)が上限です。空き家や低額の土地を売る場合は、この特例が適用されるかを確認してください。

手数料を払うのは、売買契約を結んだあとです。標準媒介契約約款は、宅地建物取引業法第37条に定める書面を作成して契約当事者に交付した後でなければ報酬を受領できないとしています。媒介契約を結んだ時点で手数料を求められることはありません。

契約書にサインしたら、次は3か月後の話です。

\ 契約前に、他社の査定額も見ておく /

媒介契約が満了したときと途中で解除するときの手順

3か月で売れなかったとき、契約は自動では続きません。 更新には売主からの申出が必要です。何もしなければ、契約は満了日で終わります。解除にかかるお金は「違約金」と「費用の償還」の2種類。この2つは、法律上まったく別のものです。

専任媒介契約の期間が3か月と決まっている理由

専任媒介契約の期間の上限は、法律が決めています。

依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約……の有効期間は、三月を超えることができない。これより長い期間を定めたときは、その期間は、三月とする。

宅地建物取引業法第34条の2第3項(e-Gov法令検索)

注目したいのは後半です。3か月を超える期間を定めても無効になるのではなく、その期間が3か月に読み替えられます。仮に6か月と書かれた契約書にサインしても、契約は3か月で終わります。

第4項は更新について「依頼者の申出により、更新することができる。ただし、更新の時から三月を超えることができない」としています。更新後も3か月ごとの区切りです。

一般媒介契約に法律上の期間規制はありません。解釈・運用の考え方は「一般媒介契約については、法律上の規制はないが、実情にかんがみ、専任媒介契約等と同じく3月以内で定めている」と説明しています。標準媒介契約約款の第8条が3か月を超えない範囲と定めています。標準約款を使う限り、一般媒介も3か月以内です。

3か月ごとに、売主は依頼先を続けるか変えるかを決められます。

3か月で売れなかったときの4つの選択肢

3か月の契約期間が満了したときの選択肢は4つあります。

  1. 同じ会社と同じ条件で更新する
  2. 同じ会社と契約の種類を変えて結び直す
  3. 別の会社に依頼する
  4. いったん売却を取り下げる

標準媒介契約約款は「有効期間の更新をしようとするときは、有効期間の満了に際して甲から乙に対し文書等でその旨を申し出るものとします」と定めています。売主から文書などで申し出るのが要件です。

解釈・運用の考え方は「依頼者の申出はあっても、宅地建物取引業者が更新に同意しないときは契約は更新されない」とも述べています。更新は双方の合意で成立します。

手続きをしなければ、契約は満了日で終わります。「自動的に延長されて他社に頼めなくなる」という心配は不要です。むしろ更新したい場合こそ、満了日までに文書で申し出る必要があります。

満了は、売れなかった理由を確かめる機会でもあります。報告書に記載された引き合いの状況、内覧の件数、レインズの取引状況の履歴。これらを見比べれば、価格の問題なのか販売活動の問題なのかを切り分けられます。価格の問題なら、同じ会社で売り出し価格を見直す。販売活動の問題なら、依頼先を変える。どちらを選ぶかは、届いた報告書を見返せば判断できます。

期間内に解除できる場合と、請求されるお金

媒介契約を3か月待たずに解除したい場合、まず確認したいのは解除の理由です。標準媒介契約約款は、売主から解除できる場合を3つ挙げています。

  • 不動産会社が業務について信義を旨とし誠実に遂行する義務に違反したとき
  • 重要な事項について故意または重過失により事実を告げず、または不実のことを告げる行為をしたとき
  • 宅地建物取引業に関して不正または著しく不当な行為をしたとき

解釈・運用の考え方は、3つ目について「その行為の相手方が当該依頼者でなくとも解除が認められている」と説明しています。他の取引での不正行為も解除の理由になります。

売主都合で解除する場合は、費用を請求されることがあるので注意してください。違約金と費用の償還のどちらを請求されるかは、解除の事情で決まります。

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状況請求されうるもの金額の性質
専任媒介で、期間内に他社に依頼して成約させた違約金決めた仲介手数料と同じ額(消費税分を除く)
専任媒介で、期間内に自分で見つけた買主と成約させた費用の償還媒介契約の履行のために要した費用
売主の責による解除費用の償還同上
一般媒介で、明示していない業者により成約させた費用の償還実費。ただし決めた仲介手数料を超えられません

違約金の額は、媒介契約で決めた仲介手数料と同じです。解釈・運用の考え方は「他の顧客からも報酬を受領できる見込みがあったとしても、その分を含めて請求することはできない」として上限を明確にしています。

費用の償還は実費であり、金額があらかじめ決まっているわけではありません。解釈・運用の考え方は、請求できる費用の内訳を具体的に挙げています。

何にかかった費用か中身
現地調査交通費、写真代
権利関係などの調査交通費、謄本代
販売活動新聞・雑誌等の広告費、通信費、現地案内の交通費
契約交渉交通費

同資料は請求の方法も定めていて、「明細書を作成し、領収書等で金額を立証して請求するものとする」としています。金額を提示されたら明細書と領収書の提示を求めてください。根拠のない概算を受け入れる必要はありません。

一般媒介から専任媒介へ切り替えるなら満了に合わせる

契約の種類を変えるなら、有効期間の満了に合わせてください。期間が終われば契約は消滅し、違約金も費用償還も発生しません。

期間の途中で切り替えたい場合は、依頼している会社に事情を伝えて、合意のうえで解除してください。標準媒介契約約款が定める違約金や費用償還は、あくまで会社側が「請求することができます」という規定です。実際に請求するかどうかは会社の判断です。まずは切り替えたい理由を正直に伝えて、相談してみてください。

切り替えの際に見落としやすいのが、直接取引に関する条項です。

一般媒介契約の有効期間内又は有効期間の満了後2年以内に、甲が乙の紹介によって知った相手方と乙を排除して目的物件の売買又は交換の契約を締結したとき

標準一般媒介契約約款 第13条(国土交通省)

条文の甲は売主、乙は不動産会社を指します。つまり契約が終わったあとも、紹介で知った相手と直接取引する場合は2年間この条項が適用されます。

解釈・運用の考え方は、この場合の報酬について「契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬請求権が認められる」と説明しています。全額ではなく、寄与度に応じた額です。

A社の内覧に来た人が、契約満了後にB社を通じて買いたいと言ってきたとします。この場合、A社は寄与度に応じた報酬を請求できます。切り替える前に、依頼中の会社から誰を紹介されたかを書き出しておいてください。

\ 満了を待たずに次の候補を探しておく /

一般媒介と専任媒介に関するよくある質問

媒介契約を結ぶ前後でよく出る疑問を7つ挙げます。

一般媒介契約のデメリットは何ですか

1社が広告費と手間をかけにくい点です。レインズへの登録も通常の広告も物件調査も、費用を負担するのは不動産会社です。報酬が入るのは成約したときだけ。他社が先に買主を見つければ、投じた費用は回収できない仕組みです。同じ予算なら、依頼先が1社に絞られている専任媒介の物件が優先されます。加えて、業務報告の法的義務がありません。販売状況を知りたければ、売主から聞く必要があります。

媒介契約に必要な書類は何ですか

宅地建物取引業法にも同法施行規則にも、売主が提出する書類を定めた条文はありません。実務では、登記事項証明書、登記識別情報通知(または登記済証)、固定資産税の納税通知書、本人確認書類を求められます。加えて、マンションなら管理規約と使用細則、戸建てなら建築確認済証と検査済証、土地なら地積測量図や境界確認書。土地の場合、売り出す価格を決めるのに境界の資料が要ります。早めに探しておくと契約がスムーズです。登記事項証明書は法務局で書面請求すると1通600円、オンラインで請求して郵送を受ける場合は520円かかります。

媒介契約書と売買契約書は何が違いますか

媒介契約書は不動産会社と結ぶ「買主を探してもらう約束」、売買契約書は買主と結ぶ「物件を売る約束」です。結ぶ相手もタイミングも違います。印紙を貼るかどうかも違います。売買契約書は印紙税法別表第1の第1号文書に該当し、契約金額1,000万円超5,000万円以下なら1万円の印紙が必要です(軽減措置適用後)。媒介契約書に該当する号は課税物件表20種類の中にありません。

媒介契約は途中で解約できますか

できます。標準媒介契約約款は、売主から解除できる場合を定めています。不動産会社に誠実義務の違反、重要事項についての故意または重過失による不告知や不実告知、宅地建物取引業に関する不正または著しく不当な行為があった場合です。売主都合の解除も可能です。その場合は費用の償還を請求されることがあります。費用が発生しないのは、有効期間の満了に合わせて終了させる方法です。

専任媒介契約で売れなかったらどうなりますか

有効期間が満了すれば、契約は終了します。更新には売主からの文書等による申出が必要で、申し出なければ自動的には続きません。満了時は、同じ会社と更新する・契約の種類を変える・別の会社に依頼する・いったん取り下げるという4つの選択肢から選べます。判断のときは、報告書に書かれた引き合いの状況と内覧件数を見返してみてください。問い合わせ自体が少ないなら価格の見直し、内覧はあるのに決まらないなら物件の見せ方という具合に、原因の切り分けができます。

専任媒介契約を期間内に解除すると費用はいくらかかりますか

一律の金額は決まっていません。請求されるお金は違約金と費用の償還の2種類で、この2つは別のものです。有効期間内に他社に依頼して成約させた場合の違約金は、媒介契約で決めた仲介手数料と同じ額です。自分で見つけた買主と成約させた場合や、売主の都合で解除した場合は、履行に要した費用の償還を請求されます。この費用は実費で、現地調査の交通費や写真代、権利関係調査の謄本代、広告費、通信費、現地案内の交通費などが対象です。国土交通省は明細書を作成して領収書等で金額を立証して請求するものとしています。金額を提示されたら明細の開示を求めてください。

仲介手数料は媒介契約の種類によって変わりますか

変わりません。報酬の上限は国土交通省の告示で定められており、媒介契約の種類で区分されていないためです。売買の仲介では、売買価格を区分して次の率が上限になります。

売買価格の区分報酬の上限
200万円以下の部分5.5%
200万円超400万円以下の部分4.4%
400万円超の部分3.3%

上限の率はいずれも消費税等相当額を含みます。価格が800万円以下の空き家などには特例があり、上限は33万円です。なお上限額は当然に請求できる金額ではありません。国土交通省は、具体的な手数料の額は、依頼する会社がどこまでやるかを踏まえて売主と話し合って決めるものと明記しています。

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※2025年9月19日-23日 「サイト評価に関する調査」より

出典

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