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修繕積立金の値上げはどこまで続く?上限の目安と拒否・払えないときの対処法

修繕積立金の値上げはどこまで続く?上限の目安と払えないときの対処法

管理組合から届く修繕積立金の値上げ通知には、金額だけが書かれ、根拠まで示されていないことがあります。

国土交通省のガイドラインが示す想定例でも、初年度に月6,000円だった積立金が、最終的に月21,000円まで上がる形になっています。

ただ、示された金額をそのまま受け入れるしかないわけではありません。段階的に引き上げる場合には国の目安があり、自分のマンションの金額も、専有面積1㎡あたりの単価に直せばその目安と比べられます。

この記事では、値上げが起きる理由、どこまで上がるのか、値上げ案が妥当かを確かめる手順、払えないときの対処法を順に説明します。

この記事でわかること
  • 修繕積立金の値上げ幅の目安
  • 値上げ案の妥当性の確かめ方
  • 総会決議と拒否したときのリスク
  • 払えないときの4つの対処法
  • 値上げ後の売却への影響

※本記事の情報は2026年10月時点のものです。マンション標準管理規約は令和7年10月改正、改正区分所有法は令和8年4月1日施行の内容に基づいています。

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※2025年9月19日-23日 「サイト評価に関する調査」より

目次

修繕積立金の値上げが相次いでいる5つの理由

築40年以上のマンションは2025年末時点で約158.8万戸あります。20年後の2045年末には約503.6万戸と、約3.2倍に増える見通しです。古い建物が増えれば、それだけ修繕にお金がかかります。値上げは特定のマンションだけの問題ではなくなりました。

値上げの理由に入る前に、管理費との違いを整理しておきます。通知には両方の金額が並んで書かれていることが多く、混同すると内容を読み違えます。

 管理費修繕積立金
何に使うか日常の管理業務。清掃、管理員の人件費、共用部分の電気代、点検費用など一定年数ごとに計画的に行う修繕、不測の事故による修繕、共用部分の改良や変更
会計の扱い毎年の運営費として使い切る将来の工事に備えて別会計で積み立てる
値上げが起きる主な理由人件費や光熱費の上昇大規模修繕の工事費不足
不足したときに起きること日常の管理水準が下がる必要な修繕工事ができない、一時金を求められる

修繕積立金は共用部分のための積み立てです。専有部分、つまり自室内のリフォーム費用は原則として含まれません。通知が届いたら、上がったのが管理費なのか修繕積立金なのか、まず分けて読み取ってください。

新築時の修繕積立金が低く設定されている

分譲時にパンフレットで示される修繕積立金は、多くの場合かなり低い金額です。月々の負担が軽く見えるほうが、購入を決めてもらいやすくなります。

令和5年度マンション総合調査では、現在の積立方式は均等積立方式が40.5%、段階増額積立方式が47.1%でした。段階増額積立方式のほうが多数派です。しかも完成年次の新しいマンションほど、段階増額積立方式の割合が高くなっています。

段階増額積立方式は、当初の積立額を抑えて段階的に値上げしていく方式のこと。安定して積み立てを続けるには、均等積立方式が望ましい方式です。それでも新しいマンションで段階増額が選ばれ続けているのが実情です。

つまり当初の金額が低いことは、多くのマンションであらかじめ計画に含まれています。値上げの通知が届いたとき、「新築時の説明と話が違う」と感じるかもしれません。ただ、これは計画そのものが最初からそう組まれていた可能性が高いのです。

段階増額積立方式では計画どおりに上がっていく

国土交通省がガイドラインで示している想定例を見ると、値上げの規模が具体的にわかります。

築後30年間に必要な修繕工事費が、1戸あたり総額522万円かかるマンションを想定した例です。段階増額積立方式では、購入時に修繕積立基金として36万円を徴収します。そのうえで初年度は月額6,000円から始まります。5年置きに月額3,000円ずつ引き上げ、26年目から30年目には月額21,000円まで増額していきます。

同じ522万円を均等積立方式で集める場合は、30年間ずっと月額14,500円です。

初年度6,000円が最終的に21,000円。3.5倍になる計算です。これは国が示した想定例であり、すべてのマンションがこうなるわけではありません。それでも「2倍や3倍になることがあるのか」という疑問への、ひとつの答えにはなります。

段階増額積立方式には注意点もあります。将来の負担増を前提とした方式のため、計画どおりに増額しようとしても、所有者どうしで合意ができない場合があります。その結果、修繕積立金が不足することもあります。予定されていた値上げが総会で通らず、そのまま先送りされるケースです。

建設資材と人件費が上がり工事費が膨らんでいる

計画どおりの値上げだけでは足りない事情もあります。資材の値段も職人の人件費も上がり、工事そのものの単価が変わってきたためです。

上昇の幅は、国土交通省が公表している建設工事費デフレーターという指標で確認できます。工事の価格水準を表した指標です。2020年度を100としています。

年度指数(建設総合)
2015年度92.6
2020年度100.0
2025年度121.9

※ 国土交通省「建設工事費デフレーター」(2020年度基準)。2023年度以降は暫定値です。

2020年度から2025年度までの5年間で21.9%、2015年度と比べると31.6%上がりました。10年で3割です。なお2023年度以降の数値は暫定値です。

ただしこの指数は、新築を含む建設工事全体のもの。マンションの大規模修繕だけを取り出した数字ではありません。修繕工事も同じ率で上がったとは言えない、ということです。それでも使う資材と職人は同じです。見積額にも上昇分は反映されます。

人件費についても同じことが言えます。大規模修繕で中心になるのは、足場を組むとび工、防水工、塗装工の3職種です。働き手の不足などで労務費が変わる可能性もあるため、工事費は上昇分を見込んでおく必要があります。

10年前に立てた長期修繕計画の金額では、同じ工事ができなくなっている。これが多くのマンションで起きていることです。

築年数が進むと大がかりな修繕が増える

外壁の塗装や屋上の防水は、比較的イメージしやすい工事です。ところが築年数が進むと、目に見えない部分の工事が増えてきます。

給排水管、エレベーター、機械式駐車場などの大がかりな修繕工事がその代表です。1回目の大規模修繕では表面的な補修が中心でも、2回目、3回目と進むにつれて設備そのものの交換が必要になります。

機械式駐車場がある場合、必要額はさらに膨らみます。国土交通省のガイドラインでは、機械式駐車場の修繕工事費を1台あたりの月額として示しています。

機種1台あたり月額
2段(ピット1段)昇降式6,450円
3段(ピット2段)昇降式5,840円
3段(ピット1段)昇降横行式7,210円
4段(ピット2段)昇降横行式6,235円
エレベーター方式・垂直循環方式4,645円
その他5,235円

※ 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)。長期修繕計画117事例から算出された1台あたりの月額です。

これは長期修繕計画117事例から算出された数値です。機械式駐車場そのものが値上げの原因になるわけではありません。ただ、こうした設備を抱えているマンションほど、必要な積立総額が大きくなります。なお、機械式駐車場の修繕工事費を駐車場使用料の収入で賄っている場合は、この加算を考えなくてかまいません。

築年数のほかに、建物そのものの条件でも金額は変わります。階段状など複雑な形状のマンションや超高層マンションでは、仮設足場やゴンドラの設置費用が高くなります。施工期間も長引きます。そのぶん工事費はさらにかさみます。

逆に、規模が大きくまとまった工事量になるほど単価は安くなる傾向があります。立地でも変わります。海岸に近いマンションでは潮風による腐食が進みやすく、寒冷地では凍害への対策が必要です。

長期修繕計画の見直しで積立金の不足が判明する

工事費が上がり、必要な工事が増える。この2つが重なった結果は、計画を見直したときに数字となって表面化します。

令和5年度マンション総合調査では、現在の積立額が計画に比べて不足しているマンションが36.6%でした。不足の割合が20%を超えるマンションも11.7%あります。3棟に1棟以上で、計画との差が生じている計算です。

計画の見直しには、管理組合によって差があります。5年ごとを目安に見直している管理組合は63.2%でした。一方、見直しを行っていない管理組合も3.7%あります。

見直しをしていないマンションでは、不足がまだ表に出ていないだけかもしれません。値上げの通知が来ていないから安心、とは限らないということです。

この5つは、それぞれ独立して起きるわけではありません。当初の設定額が低いところへ、段階増額の予定が重なり、工事費も工事量も増えていく。積立額と必要額の差は、計画を見直したときに一度に表面化します。では、値上げはどこまで続くのでしょうか。

修繕積立金の値上げ幅の上限と上がりやすい時期

修繕積立金の金額に、上限を定めた法律はありません。ただし国土交通省が、引き上げ方の考え方を数字で示しています。

値上げ幅の目安は基準額の0.6倍以上1.1倍以内

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」は、段階的に引き上げる場合の目安を数字で示しています。令和6年6月に改定された最新版の内容です。

基準になるのは、均等積立方式にした場合の月額です。計画期間で必要な総額を、ずっと同じ金額で集めるとしたら月いくらか、という数字になります。

このガイドラインでは、次の2つを示しています。

  • 始めの金額は、基準額の0.6倍以上にする
  • 最後の金額は、基準額の1.1倍以内に収める

たとえば均等積立方式なら月12,000円になるマンションの場合。段階増額積立方式を採るなら、始めの金額は7,200円以上、最終的な金額は13,200円以内が目安ということになります。

初期額の下限0.6倍と最終額の上限1.1倍。この両端をとると、初期額から最終額までの開きはおよそ1.8倍です。ただしガイドラインに「1.8倍」と書かれているわけではありません。0.6倍と1.1倍という2つの数字から計算して出てくる幅です。

この目安が示された理由は、当初の金額を極端に低くすると、後になって無理な値上げが必要になるためです。目安は、無理のない範囲で早めに引き上げを終え、均等積立方式に移していくことを前提にしています。

ここで誤解しやすい点があります。ガイドラインには、工事費の高騰を踏まえて計画を見直す場合に、いまの積立金を大幅に引き上げることを制限するものではない、とはっきり書かれています。1.1倍を超える値上げが一律に禁止されているわけではありません。

このガイドラインは平成23年4月に策定され、令和3年9月の改訂を経て、令和6年6月に改定されました。今後も5年程度ごとに見直しが検討されます。

月額の目安を㎡単価で確かめる

自分のマンションの金額が高いのか安いのか。判断するには、㎡あたりの単価に直して比べます。国土交通省が366事例をもとに算出した目安があります。

地上階数/建築延床面積多くの事例が収まる幅平均値
20階未満/5,000㎡未満235円〜430円335円
20階未満/5,000㎡以上〜10,000㎡未満170円〜320円252円
20階未満/10,000㎡以上〜20,000㎡未満200円〜330円271円
20階未満/20,000㎡以上190円〜325円255円
20階以上240円〜410円338円

※ 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)をもとに作成。いずれも専有面積1㎡あたりの月額です。

いずれも専有面積1㎡あたりの月額です。機械式駐車場がある場合は、この金額に別途加算して考えます。

「多くの事例が収まる幅」とは、集めた事例を金額順に並べ、上下それぞれ6分の1ずつを除いた真ん中の範囲のことです。対象は主に、持ち主が自ら住んでいる住居専用のマンションになります。

注意したいのは、ガイドライン自身が「目安の範囲に収まっていないからといって、直ちに不適切であると判断される訳ではありません」と述べている点です。マンションの形状、設備、立地によって必要額は変わるからです。目安は最初の比較材料と考えてください。

㎡単価ではなく1戸あたりの金額でいうと、令和5年度マンション総合調査での平均は月13,378円でした。駐車場使用料などから充てている分を除くと13,054円です。

値上げされやすい時期を築年数別に見る

「何年ごとに上がるのか」という決まりはありません。ただ、値上げが起きやすいタイミングには傾向があります。

手がかりは大規模修繕の間隔です。マンション標準管理規約のコメントは、長期修繕計画について「計画期間が30年以上で、大規模修繕工事が2回含まれること」を求めています。長期修繕計画作成ガイドラインが示す例では、1回目の大規模修繕は12〜15年目程度、2回目は24〜30年目程度です。値上げはこの工事の前後で検討されやすくなります。

築年数起きやすい出来事値上げの主な理由
築0〜11年段階増額積立方式による最初の引き上げ計画どおりの増額
築12〜15年1回目の大規模修繕見積もりと計画額の差
築16〜23年大規模修繕後の長期修繕計画の見直し実績を反映した計画の作り直し
築24〜30年2回目の大規模修繕、給排水管の更新工事範囲の拡大
築30年以上エレベーターや機械式駐車場の設備更新、3回目の大規模修繕大型設備の交換費用

ただし、これは目安にすぎません。工事の周期はマンションごとに決めるものです。国が何年ごとと定めた決まりはありません。

自分のマンションのタイミングを知るには、長期修繕計画書を見るのが確実です。何年目にどの工事を予定し、そのときいくら必要かが書かれています。

修繕一時金をあわせて求められるケース

月々の値上げだけで足りない場合、修繕一時金を求められることがあります。

積立方法には、月々の積立金のほかに一時金を組み合わせる形もあります。購入時に修繕積立基金として数十万円をまとめて納める例が代表的です。国土交通省の想定例でも、段階増額積立方式のケースで購入時に36万円の修繕積立基金を徴収する形が示されていました。

工事の直前になって不足が判明した場合も、一時金という形で求められることがあります。月額の値上げは総会での合意に時間がかかります。一方で工事の期日は動かせません。

一時金の金額は、不足額をどう分担するかによって決まります。マンションによってまったく異なります。そのため目安となる数字はありません。総会資料に一時金の記載がある場合は、その算出根拠を確認する必要があります。

\ 払い続けるか売るか、まずは今の価格から /

上限の目安と時期がわかれば、次は自分のマンションの値上げ案が妥当かどうかです。手元の資料で確かめられます。

修繕積立金の値上げ案が妥当かを確かめる5つのステップ

届いた修繕積立金の値上げ案が高いのか安いのか、通知を見ただけでは判断がつきません。この状態のまま総会を迎える必要はありません。手元の資料と国の目安があれば、自分で確かめられます。

値上げ後の月額を㎡単価に直して比べる

最初にやることは、金額を㎡単価に直す作業です。

手早く見当をつけるだけなら、値上げ後の月額を自分の部屋の専有面積で割ります。月17,000円で70㎡なら、17,000÷70=約243円。この単価を国の目安と見比べれば、大きく外れているかどうかはわかります。ただし段階増額積立方式では時期によって金額が変わります。この方法で出るのは、あくまで今の時点の数字です。

もう少し正確に確かめるなら、国土交通省がガイドラインで示している計算方法を使います。計画期間全体でならした金額を出す方法で、国の目安表もこの計算にもとづいています。同じ条件で比べるぶん、判定は正確になります。

必要な数字は3つ。いずれも総会資料か長期修繕計画書に載っています。

  1. 計画が始まった時点の修繕積立金の残高
  2. 計画期間全体で集める修繕積立金の総額
  3. 計画期間中の専用使用料などからの繰入額の総額

この3つを足して、マンションの総専有床面積で割り、さらに計画期間の月数で割ります。

国土交通省が示している計算例で確かめてみます。地上10階建て、建築延床面積7,000㎡、総専有床面積4,900㎡、70戸のマンションです。3段(ピット2段)昇降式の機械式駐車場が30台あります。計画期間は30年。当初の残高が7,000万円、計画期間全体で集める総額が2億6,460万円、専用使用料などからの繰入額が9,000万円という設定です。

(7,000万円+2億6,460万円+9,000万円)÷4,900㎡÷360か月=約241円

このマンションは20階未満で、建築延床面積は7,000㎡。該当する目安は平均252円、幅は170円〜320円です。

この計算には駐車場の修繕費も含まれています。目安のほうにも駐車場分を足します。5,840円×30台÷4,900㎡=約36円。平均は252円+36円で288円、幅は206円〜356円になります。

計算結果の241円は、この206円〜356円の範囲に収まっています。

自分のマンションで同じ計算をしてみて、目安の幅に収まっているかを見ます。大きく下回っていれば、むしろ積立不足の可能性を考える材料になります。上回っていれば、その理由を管理組合に確認する材料になります。

長期修繕計画が直近で更新されているかを確認する

値上げの根拠になっているのは長期修繕計画です。その計画がいつ作られたものかを確かめます。

令和5年度マンション総合調査では、5年ごとを目安に定期的に見直している管理組合が63.2%でした。計画期間が30年以上の管理組合は72.7%で、前回の60.0%から増えています。

計画が10年前のまま更新されていない場合、そこに書かれた工事費は現在の相場と大きくずれています。逆に直近で見直されたばかりなら、工事費の上昇を反映した結果として値上げが提案されている可能性が高いといえます。

長期修繕計画書は、理事長が保管し、組合員から請求があれば閲覧させることになっています。手元にない場合は管理組合に閲覧を申し出てください。

積立金の残高と過去の値上げ履歴を調べる

いま、いくら貯まっているのか。修繕積立金の残高は収支報告書で確認できます。

あわせて過去の値上げ履歴も調べておきます。段階増額積立方式であれば、何年目にいくら上がったかが長期修繕計画書に記載されています。今回の値上げが計画どおりなのか、計画を超える臨時の引き上げなのかで、意味合いがまったく変わります。

計画どおりの値上げであれば、購入時から予定されていた内容です。計画を超える引き上げであれば、なぜ計画を変更する必要が生じたのかを確認する必要があります。

値上げの根拠資料の開示を管理組合に求める

総会資料に金額だけが書かれ、根拠が示されていないことがあります。この場合、組合員は管理組合に資料の開示を求めることができます。

令和5年度マンション総合調査では、修繕積立金の額を「長期修繕計画で算出された必要額に基づき決めた」という管理組合が78.4%でした。前回の72.5%から増えています。逆にいえば、2割程度は計画以外の方法で決めていることになります。

求めたい資料は3つ。長期修繕計画書の最新版、直近の収支報告書、そして工事見積書です。これらは理事長が保管しています。理由を書いた書面で請求すれば、組合員は閲覧できます。

工事の相見積もりが取られているかを確かめる

工事費が計画額を超えている場合、その見積もりが1社だけのものかどうかは確認したい点です。

複数社から見積もりを取ることで、金額の妥当性を比べられます。総会資料に見積書が添付されていない場合は、何社から取ったのかを聞いてみてください。

ただし相見積もりを求めることが、理事会や管理組合の負担になる面もあります。理事は輪番制で務めている住民であることが多く、専門家ではありません。批判ではなく、判断材料を共有したいという姿勢で聞くほうが、話が前に進みやすくなります。

値上げ通知が届いたら、値上げ後の月額を㎡単価に直し、長期修繕計画の最終更新年、現在の積立金残高、積立方式が均等積立か段階増額積立かを確かめます。値上げの根拠資料が総会資料に添付されているかも確認します。

値上げが税の軽減につながる場合もある

値上げには負担が増える面だけでなく、税制上の利点もあります。マンション長寿命化促進税制という制度です。

修繕積立金を国の目安の水準まで引き上げた管理計画認定マンションなどで、外壁塗装や屋上防水といった長寿命化工事が行われると、各区分所有者の建物部分の固定資産税が減額されます。主な要件は次のとおりです。

マンションの条件築20年以上、総戸数10戸以上で、過去に外壁塗装や防水の工事を行っている管理計画認定マンションなど
修繕積立金令和3年9月1日以降に、国の目安の下限を下回る額から上回る額へ引き上げている
工事の完了時期令和5年4月1日〜令和9年3月31日
減額の内容工事完了の翌年度分の建物部分の固定資産税を1/6〜1/2の範囲で減額(1戸100㎡相当分まで)
手続き工事完了後3か月以内に、証明書類を添えて市町村へ申告する

※ 国土交通省「マンション長寿命化促進税制の要件」をもとに作成。修繕積立金の要件は管理計画認定マンションの場合です。

減額割合は市町村が条例で決めます。国が参酌基準として示しているのは3分の1です。

対象になるのは、令和9年3月31日までに完了した工事です。大規模修繕を控えている場合は、値上げの時期と工事の完了時期がこの期間に入るかを、管理組合に確認してみてください。

\ 値上げ後の負担と売却価格を見比べる /

確かめた結果に納得できないとき、次に知っておきたいのが決め方の仕組みです。

修繕積立金の値上げが決まるまでの総会決議の流れ

2026年4月1日、改正された区分所有法が施行されました。総会の開催手続きや決議要件といった、管理組合の運営に関わる内容が変わっています。国土交通省はこの改正に合わせ、令和7年10月17日にマンション標準管理規約を改正しました。

各マンションでも、改正に合わせて管理規約の見直しが必要になります。改正された内容には、値上げの決議に関わる部分も含まれます。

長期修繕計画の見直しから総会決議までの流れ

値上げは、ある日突然決まるわけではありません。いくつかの段階を経ています。

始まりは長期修繕計画の見直しです。計画を作り直した結果、必要な額と今の積立額に差があると判明します。

この差をどう埋めるかを検討するのが理事会です。理事会が値上げ案をまとめ、総会の議案として組合員に通知します。そして総会で決議にかけられます。

つまり、値上げ案が総会にかかる前に理事会での検討期間があります。管理組合の掲示板や理事会だよりに目を通していれば、通知が届く前に動きを知れる場合もあります。

値上げに必要な決議要件は普通決議が原則

値上げに必要な賛成の数は、マンション標準管理規約で確認できます。

まず、総会そのものが成立するには、議決権の過半数にあたる人が出席している必要があります。会場に行けなくても、委任状や議決権行使書を出せば出席として数えられます。WEB会議での参加も同じ扱いです。

そのうえで、出席者の議決権の過半数が賛成すれば可決されます。これを普通決議といいます。

修繕積立金の値上げは、原則としてこの普通決議で決まります。

ただし例外があります。管理規約に金額そのものが書かれている場合です。この場合、金額を変えるには規約を変えることになり、出席した組合員とその議決権の各4分の3以上の賛成が必要になります。この決議では、組合員総数と議決権総数の各過半数の出席も必要です。

管理規約に金額が必要な賛成
書かれていない出席者の議決権の過半数
書かれている出席した組合員とその議決権の各4分の3以上

自分のマンションがどちらかは、管理規約の管理費・修繕積立金の条項を見ればわかります。

なお、ここで紹介したマンション標準管理規約は、国土交通省が示すひな型です。実際の要件は各マンションの管理規約によって決まります。お住まいのマンションの管理規約を確認してください。

総会で値上げが否決された場合に起きること

反対多数で否決されれば、値上げはなくなる。そう考えたくなるかもしれません。ただ、話は単純ではありません。

否決されて消えるのは値上げ案であって、必要な工事費ではないからです。段階増額積立方式では、計画どおりに増額しようとしても所有者どうしの合意ができず、修繕積立金が不足する場合があります。値上げ案が否決されたマンションで、実際に起きていることです。

不足したまま工事の時期を迎えると、選択肢は限られます。工事の範囲を削るか、時期を先送りするか、一時金を集めるか、借入れをするかです。管理組合は、計画修繕のために借入れをすることが認められています。返済には修繕積立金を充てます。

工事を先送りした場合、劣化はその間も進みます。次に工事するときには、傷んだ範囲が広がったぶん費用も増えます。

否決という結果そのものが悪いわけではありません。根拠が不十分な値上げ案であれば、差し戻して作り直してもらったほうがよい場合もあります。ただ「値上げがなくなった」と受け止めるのは、実態と違うということです。

では、決まってしまった値上げは拒否できるのでしょうか。

修繕積立金の値上げを拒否するとどうなるか

反対票を投じた人にも、決まった金額は適用されます。支払わずにいると、督促から始まり、最終的には競売まで手続きが進みます。

反対した人にも決まった金額は適用される

総会で可決された以上、賛成した人も反対した人も同じ金額を負担します。欠席した人も同じです。

区分所有法は、管理組合が滞納分を回収する権利を強く守っています。規約や総会の決議にもとづく請求について、管理組合は部屋の所有者(区分所有者)の部屋そのものと、備え付けの家財に先取特権を持ちます。先取特権とは、ほかの債権者より先にお金を回収できる権利のことです。

つまり管理費や修繕積立金は、法律上かなり回収されやすい立場にあります。

「納得していないから払わない」という主張は通りません。

決議の内容に納得できない場合、取りうる手段は支払い拒否ではありません。次の総会に議案を出す方法があります。組合員の5分の1以上(議決権でも5分の1以上)の賛同を集めれば、臨時総会を開くよう請求することもできます。

滞納が続いたときに管理組合が取る5段階の手続き

支払わなかった場合、管理組合は督促から始めて、段階的に法的手続きへ進めていきます。

段階何が起きるか所有者にできること
1.督促管理会社から電話や書面で連絡が入るこの時点で相談すれば分割などの話し合いがしやすい
2.理事会との協議理事会が対応を検討し、支払い計画を求められる事情を説明し、支払い可能な条件を提示する
3.内容証明郵便による催告書面で正式に請求される弁済の意思を示し、具体的な計画を出す
4.支払督促・訴訟法的手続きに移行する弁護士への相談を検討する段階
5.強制執行・競売財産の差押えや住戸の競売に進む選択肢は大きく狭まる

各段階にかかる期間は、管理規約と管理組合の方針によって異なります。

滞納すると、払う金額そのものも増えます。マンション標準管理規約では、遅れた分に遅延損害金がつくほか、弁護士費用や督促にかかった費用も上乗せして請求できるとされています。遅延損害金の利率は管理組合ごとに規約で決めます。そのため金額はマンションによって違います。

訴訟に進むかどうかは、理事長が一人で決めるわけではありません。理事会で決議したうえで、理事長が管理組合を代表して手続きを進めます。

令和5年度マンション総合調査では、管理費や修繕積立金を3か月以上滞納している住戸があるマンションが30.1%ありました。マンション内のトラブルのうち費用負担に関するものでは、管理費等の滞納が20.2%を占めています。珍しい話ではない一方、放置すれば競売まで進みうる問題です。

滞納しても個人信用情報には記録されない

「滞納したらブラックリストに載るのでは」と心配される方がいます。個人信用情報として記録されるのは、クレジットカードやローンなど、信用情報機関に加盟する会社との契約と、その支払い状況です。管理費や修繕積立金の支払い先は管理組合であり、こうした契約には当たりません。住宅ローンの返済が滞った場合と同じようには扱われないということです。

ただし、これは安心材料になりません。管理組合は先取特権という強い権利を持っています。手続きが進めば、住戸の競売という結果もありえます。心配していた記録が残らないとしても、リスクが小さいわけではないのです。

支払いが難しいと感じた時点で、管理組合に相談するほうが選択肢は多く残ります。

滞納金は次の所有者へ引き継がれる

滞納したまま部屋を売れば、支払い義務から逃れられる。これも成り立ちません。

区分所有法は、管理費等の債権について、滞納した所有者の特定承継人に対しても請求できると定めています。特定承継人とは、その住戸を買った人のことです。つまり滞納分は、買主に対しても請求できます。

そのため実務では、売買契約の際に滞納分を売主が精算するのが通例です。買主も、自分が請求される可能性がある以上、滞納がないかを必ず確認します。

相続の場合も同じです。住戸を相続すれば、滞納分の支払い義務も引き継ぎます。

\ 滞納する前に、選べる道を増やしておく /

滞納を抱えたまま時間が経つほど、選べる道は狭くなっていきます。そうなる前に取れる手を見ていきます。

修繕積立金の値上げが払えないときの4つの対処法

3か月以上の滞納住戸があるマンションは30.1%。10棟に3棟で起きていることです。滞納に至る前に取れる手が4つあります。

管理組合に分割払いや支払い猶予を相談する

最初に検討したいのが、管理組合への相談です。督促を待つのではなく、こちらから事情を伝えます。

マンション標準管理規約では、支払いのない組合員に対して管理組合が督促などの措置を取るよう定めています。滞納が放置されることはありません。連絡が来る前に相談したほうが、話し合いの余地は大きくなります。

伝えるべきことは3つ。支払いが難しくなった事情、いま支払える金額、いつまでに正常化できる見込みです。分割払いや一時的な猶予に応じてもらえるかは、管理組合の判断です。それでも話し合いを始めるきっかけになります。

相談しづらいと感じるかもしれません。理事は同じマンションの住民ですから、なおさらです。ただ、滞納が表面化してから話すほうが、はるかに気まずい状況になります。

なお、マンション長寿命化促進税制の対象になれば、大規模修繕工事の翌年度分の固定資産税が減額されます。値上げの負担を一部相殺できる可能性があります。対象になるかを管理組合に確認してみてください。

ローンの借り換えと固定費の見直しで捻出する

仮に月8,000円が17,000円になるなら、増える負担は月9,000円。年間で108,000円が、毎年出ていく計算になります。

この9,000円を家計のどこから出すか。住宅ローンが残っている場合、借り換えで月々の返済額が下がる可能性があります。効果は金利差や残りの返済期間、借り換え時の諸費用によって変わります。複数の金融機関で試算してもらうのが現実的です。なお、ローンを抱えたまま売却する方法もあります。手順は住宅ローンが残っている家を売る方法で説明しています。

固定費では、通信費、保険料、サブスクリプションの契約あたりが見直しの対象になります。一度削れば毎月続けて減る費目から手をつけると効率的です。修繕積立金は今後も上がる可能性があります。一度きりの節約ではなく、上がった後も払い続けられる家計にしておく必要があります。

ただ、家計の見直しで捻出できる金額には限りがあります。値上げ幅が大きければ、住まい方そのものを変える選択肢も出てきます。

賃貸に出して家賃収入で負担を埋める

住み続けることにこだわらないのであれば、貸すという選択肢があります。家賃収入から修繕積立金と管理費を支払う形です。

前提として確認が必要なのは管理規約です。マンションによっては賃貸を禁止または制限している場合があります。ペットや民泊と同様、専有部分の使用について規約で定めがあるかを先に調べてください。

住宅ローンが残っている場合も注意が要ります。住宅ローンは自ら居住することを前提とした商品です。賃貸に出す場合は金融機関への相談が必要になります。

収支の計算も欠かせません。家賃収入から差し引かれるのは、管理費と修繕積立金だけではありません。賃貸管理を委託する手数料、入退去時の原状回復費用、空室期間の負担が加わります。固定資産税もかかり続けます。

貸主となる自分も、別に住まいを確保しなければなりません。転居先の家賃を払いながら貸すことになれば、負担は必ずしも軽くなりません。

売却して負担の少ない住まいへ住み替える

売却は、修繕積立金の負担から完全に離れられる方法です。値上げの通知をきっかけに検討する人もいます。同時に、住まいを変えるという大きな決断でもあります。

選択肢住み続けられるか先に確認すること注意点
管理組合への相談住み続けられる支払える金額と時期応じてもらえるかは管理組合の判断
家計とローンの見直し住み続けられるローンの残高と金利捻出できる金額に限度がある
賃貸に出す住み続けられない管理規約と住宅ローンの条件転居先の家賃がかかる
売却する住み続けられない今の売却価格とローン残高市況と物件条件に左右される

4つはどれか1つを選ぶものではありません。まず管理組合に相談しながら家計を見直し、それでも見通しが立たなければ賃貸や売却を考える。この順に進められます。

売却を選択肢に入れるなら、まず今の価格を調べてください。査定を受けたからといって売る必要はありません。手元にいくら残るかがわかれば、住み替え後の家賃や住宅ローンと比べて判断できます。売却の手順はマンション売却の流れと必要書類で詳しく説明しています。

\ 手元にいくら残るか、先に知っておく /

売ると決める前に、値上げが売却価格と売りやすさをどう変えるのかを知っておいてください。

修繕積立金の値上げがマンション売却に与える影響

「積立金が高いと売れないのでは」という不安があります。金額の高さは確かに買主の負担になります。ただ、買主が見ているのはそれだけではありません。

値上げを機に住み替えを考える人の割合

参考になるのが、令和5年度マンション総合調査の住み替え意向です。値上げを理由に売却した人の数を直接示した統計はありませんが、住まいを変えるつもりの人がどれくらいいるかはわかります。

「いずれは住み替えるつもりである」と答えた人は17.7%。「永住するつもりである」は60.4%です。年齢が高くなるほど永住意識が高くなる傾向があります。

前回調査と比べると、永住意向は62.8%から60.4%へ減り、住み替え意向は17.1%から17.7%へ増えました。変化はわずかで、値上げとの因果を示すものでもありません。それでも、いずれ住み替えると考えている人が5〜6人に1人はいることになります。

通知が届いた段階で、売ると決める必要はありません。まだ判断材料が揃っていないからです。

積立金が高いと本当に売れにくいのか

買主から見ると、修繕積立金は毎月の固定費です。金額が高ければ、その分だけ購入後の負担が重くなります。この意味では不利に働きます。査定額がどのような要素で決まるかはマンション査定の基準と相場の調べ方にまとめています。

ところが、話はそれだけで終わりません。買主のなかには、積立金の額が十分かどうかを確かめている層がいるからです。

令和5年度マンション総合調査では、マンションを選ぶときに入居後の共用部分の維持管理を考慮したかを聞いています。「考慮した」と答えたのは43.5%。この人たちが具体的に見た項目は次のとおりです。

  • 優良なマンション管理業者であること:55.3%
  • 管理規約の内容が妥当であること:45.3%
  • 管理費及び修繕積立金の額が十分であること:42.5%

3つ目に注目してください。「額が安いこと」ではなく「額が十分であること」を確認しています。積立金が少なすぎるマンションは、将来必要な工事ができないおそれがあるためです。

実際、積立額が計画に比べて不足しているマンションは36.6%あります。不足が20%を超えるマンションも11.7%。買主にとって、積立金が十分に確保されていることは安心材料になります。

適正な水準まで引き上げた積立金は、売却の場面では管理が行き届いている証拠にもなります。

買主が警戒するのは金額の高さより、積立不足を抱えたまま先送りされている状態のほうです。

積立金の不足は重要事項説明で買主に伝わる

隠して売ることはできません。宅地建物取引業法にもとづく重要事項説明で、買主に伝わる仕組みになっているからです。

宅地建物取引業法の施行規則は、マンションの売買で説明すべき項目を並べています。そのなかに、修繕積立金についての規約の内容と、すでに積み立てられている額が入っています。契約が成立するまでに、買主へ説明しなければならない項目です。過去の修繕の記録が残っている場合は、その内容も説明の対象になります。

売主に滞納がある場合はさらに厳しくなります。区分所有法により、管理費等の債権は特定承継人、つまり買主に対しても請求できるからです。買主は自分が請求されうる立場です。滞納がないかを必ず確かめます。

だからこそ、開示する情報を整えておく価値があります。長期修繕計画が直近で見直され、必要額に応じた値上げが決議され、積立金が計画どおり確保されている。この状態は、買主に対して管理が機能していることを示す材料になります。

逆に、計画が10年以上更新されておらず、積立金も不足したまま。この状態のほうが売却では不利に働きます。

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値上げが決まったあとの売り時の考え方

売り時に唯一の正解はありません。判断の軸になるのは、大規模修繕工事と値上げ決議の前後関係です。市況そのものの動きはマンション価格の推移と今後の見通しで確認できます。

大規模修繕は、1回目が築12〜15年目程度、2回目が築24〜30年目程度に行われるのが目安です。この工事の直前と直後では、買主から見た印象が変わります。工事が終わった直後であれば、外観がきれいで当面の大きな工事もない状態。工事の直前であれば、買主は工事期間中の生活と、その後の負担を考えることになります。

一時金の徴収が決まっている場合は、売主と買主のどちらが払うかを契約で取り決めます。扱いは決議のタイミングと引き渡しのタイミングによって変わります。不動産会社に確認してください。

売却を検討するなら、先に3つの書類を揃えておいてください。長期修繕計画書、直近の収支報告書、そして総会議事録です。買主から質問されたときに、資料に基づいて答えられる状態にしておけば、交渉が滞りません。

値上げの通知が届いた今の時点で、売ると決める必要はありません。ただ、今売るならいくらになるのかを知っておけば、払い続ける場合と比べられます。まずは無料査定で今の価格を確かめるところから始めてみてください。

まとめ

修繕積立金の値上げは、新築時の低い設定と工事費の上昇が重なって起きています。国は段階的に引き上げる場合の考え方として、初期額は基準額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内という目安を示しました。自分のマンションの金額は、㎡単価に直せば国の目安と比べられます。決議が成立した値上げは反対した人にも適用され、滞納すれば競売に至る可能性もあります。払い続けるのが難しいときは、管理組合への相談、家計の見直し、賃貸、売却の順に検討してみてください。

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よくある質問

修繕積立金は何年ごとに値上げされるのですか

何年ごとと決められた周期はありません。段階増額積立方式であれば、長期修繕計画に定められたタイミングで上がります。国土交通省の想定例では、5年置きに引き上げる形になっています。このほか、長期修繕計画の見直しに伴って臨時に引き上げられる場合もあります。自分のマンションの予定は長期修繕計画書で確認できます。

修繕積立金が2倍や3倍になることはありますか

ありえます。国土交通省がガイドラインで示した段階増額積立方式の想定例では、初年度の月額6,000円が26年目から30年目には月額21,000円になる形が示されています。3.5倍にあたる金額です。これは想定例であり、すべてのマンションがこうなるわけではありません。

管理会社を変更すれば修繕積立金を安くできますか

管理会社の変更で下げられるのは、主に管理業務にかかる費用です。修繕積立金は将来の工事費に充てるための積み立てです。必要な工事費が減らない限り、金額は変わりません。工事の発注方法を見直せば、費用を抑えられる場合はあります。ただし管理会社を変えれば積立金が下がる、という関係ではありません。

修繕積立金が安すぎるマンションは避けたほうがよいですか

金額が国の目安を大きく下回る場合、将来の値上げや一時金の可能性を考える必要があります。令和5年度マンション総合調査では、積立額が計画に比べて不足しているマンションが36.6%ありました。購入を検討する際は、長期修繕計画が作成され直近で見直されているか、積立金の残高が計画どおり確保されているかを確認してください。

修繕積立金は売却や退去のときに返金されますか

返金されません。マンション標準管理規約は、いったん納めた管理費や修繕積立金について、返してほしいという請求も、自分の負担分を切り出してほしいという請求もできないと定めています。修繕積立金はマンション全体の共用部分のために積み立てるものです。個人の預金ではありません。売却時には、積立金の残高が管理状態を示す情報として買主に伝わります。

管理費と修繕積立金はどちらも値上げされるのですか

両方が同時に上がることもあります。ただし理由は異なります。管理費は日常の管理業務にかかる費用で、人件費や光熱費の上昇が値上げの主な要因です。修繕積立金は将来の修繕工事に備えるものです。工事費の上昇や計画の見直しが要因になります。通知が届いたら、どちらがいくら上がるのかを分けて確認してください。

出典

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