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不動産査定の断り方はタイミングで変わる!そのまま使えるメール例文つき

断りの連絡を先延ばしにするほど、営業の電話は止まりにくくなります。宅地建物取引業法が勧誘の継続を禁じるのは、断ると伝えたあとに限られるからです。査定を断っても費用は1円もかからず、契約上の義務も生じません。

とはいえ、3社に査定を頼んで1社に決めたとき、残りの2社にどう切り出すかは迷うもの。机上査定の直後から媒介契約を結んだあとまで、場面別の伝え方とそのまま使えるメール例文をまとめました。

この記事を読むとわかること
  • 査定を断っても費用が生じない理由
  • 場面別の断り方とメール例文
  • 断った後に営業を止める手段
  • 媒介契約を結んだあとの解除手続き
  • 次の依頼で断る手間を減らす方法

※本記事の法令・約款の内容は2026年8月時点のものです。実際の契約では、契約書および約款の記載が優先されます。

目次

不動産査定を断っても問題ない!

査定を断ったときに支払う金額は0円で、キャンセル料も違約金も発生しません。

わざわざ自宅まで来てもらった以上、何かしら請求されるのではと身構える方もいます。ただ、査定と媒介契約はまったく別の行為で、査定を受けた時点では売主側に何の義務も生じていません。

査定を依頼しただけでは契約上の義務は生じない

不動産会社に売却を任せるときに結ぶのが媒介契約です。この契約を結んで初めて、売主の側にも会社の側にも取り決めが発生します。

査定は、その手前の段階にあたります。いくらで売れそうかを見積もってもらう行為であり、契約書に署名するわけではありません。

では、訪問のときに「前向きに考えます」と口にしていた場合はどうか。それでも結論は変わりません。国土交通省が定める標準媒介契約約款は、報酬を請求できる場面を「乙の媒介によって目的物件の売買又は交換の契約が成立したとき」に限っているからです。

乙とは不動産会社のことで、売買契約が成立するまで会社は報酬を請求できません。査定額を受け取った時点で売却を取りやめても、破っている約束そのものが存在しません。

なお媒介契約を結んだあとは扱いが変わり、解除の申し出にかかった実費を求められる場合もあります。

断ってもキャンセル料や違約金は発生しない

不動産会社が受け取る仲介手数料には、法律で上限が決められています。売買価格のうち200万円以下の部分は5.5%、200万円を超えて400万円以下の部分は4.4%です。400万円を超える部分は3.3%となります。

いずれも消費税等を含む割合です。3,000万円の物件なら、手数料は合計で100万円を超えます。それだけの金額が動く仕事なのに、会社はなぜ査定を無料で引き受けるのか。

理由は請求のタイミングにあります。この手数料を請求できるのは売買契約が成立したときだけで、査定の段階では計算の対象になる売買価格そのものが存在しません。会社にとって査定は、契約を任せてもらうための営業活動にあたります。

断られる可能性は、最初から見込んだうえで動いています。

一括査定サイトを経由した場合も同じです。リビンマッチのような比較サイトは不動産会社から広告費を受け取って運営されているため、利用者は無料で査定を依頼できます。査定を受けた人が費用を負担する仕組みにはなっていません。

ひとつだけ例外があります。売主が特別に依頼した広告の料金や、遠方への出張旅費です。標準媒介契約約款では、これらは売主の負担と定められています。

ただしこれは媒介契約を結んだあとの話で、査定だけを受けた段階では関係ありません。売主が頼んでいない通常の広告費については、請求の対象外です。

複数社に依頼して1社を選ぶのが一般的な流れ

2025年の1年間に指定流通機構(レインズ)へ登録された売り物件のうち、一般媒介は301,208件でした。専任媒介の498,622件、専属専任媒介の136,654件と合わせると、登録件数の3割超が一般媒介です。

一般媒介は、他社に重ねて依頼できる契約です。1社に絞らず並行して進める売り方が、それだけ広く使われています。

複数の会社に査定を頼んだことを、後ろめたく感じる必要はありません。声をかけて比較したうえで1社に絞るのは、業界の中で当たり前に行われている流れです。断られる側の会社も、そのつもりで査定に応じています。

ただし、断ることに問題がないのと、うまく伝えられるかは別の話です。

\ 断っても費用は0円。まずは比べてみる /

【例文付き】不動産査定の断り方は?

同じ「断る」でも、机上査定の結果を受け取った直後と、担当者が自宅を見にきたあとでは、相手がかけた手間がまるで違います。伝える手段も内容も、場面に合わせて変えたほうが伝わりやすくなるでしょう。

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タイミング伝える手段伝える内容注意点
机上査定の結果後メール売却を見送る意思、今後の連絡が不要な旨理由は簡潔でよい
訪問査定の日程確定後電話またはメール日程のキャンセル、今後の予定早さが最優先
訪問査定の実施後メール(電話も可)対応への礼、依頼しない結論結論を曖昧にしない
他社に決めたあとメール他社に依頼した事実、今後の連絡が不要な旨社名まで伝えるかは任意

以下の例文は、いずれも媒介契約を結ぶ前の段階を想定しています。

机上査定の結果を受け取った直後に断る場合

まだ担当者と数回やりとりしただけの段階で、相手も査定額を出したところです。メール1本で足り、電話をかけ直す必要はありません。

理由を細かく書き込む必要もありません。売却時期を見直すことにした、という程度で十分に伝わるはずです。

件名:査定のお礼と今後のご連絡について

○○不動産株式会社
○○様

お世話になっております。○○(氏名)です。

先日は査定額をご提示いただき、ありがとうございました。

家族と相談した結果、売却の時期を見直すことにいたしました。つきましては、今回のご依頼は見送らせていただきます。

今後のご連絡についても、お気遣いいただかなくて結構です。

お手数をおかけしましたが、よろしくお願いいたします。

訪問査定の日程を決めたあとに断る場合

この段階では、相手はすでに担当者の予定を押さえています。当日が近いほど、連絡の遅れがそのまま相手の損失になっていきます。

訪問日が翌日や当日に迫っているなら、メールだけで済ませず電話を入れてください。メールは相手が開くまで届かないためです。

件名:訪問査定のキャンセルのお願い(○月○日)

○○不動産株式会社
○○様

お世話になっております。○○(氏名)です。

○月○日にお約束していた訪問査定について、ご相談です。

こちらの都合で恐縮ですが、売却の検討を一度取りやめることになりました。訪問のご予定をキャンセルさせていただけますでしょうか。

ご準備いただいていたところ、直前のご連絡となり申し訳ありません。

よろしくお願いいたします。

訪問査定を受けたあとに断る場合

訪問査定では、担当者が現地まで出向いて室内や外観を確認しています。書類を見せた場合は、その確認にも時間がかかるため、机上査定より相手の手間が大きい段階です。

だからこそ、礼を述べたうえで結論をはっきり書きます。「もう少し考えます」と含みを残せば、確認の連絡はいつまでも続くでしょう。

件名:先日のご対応のお礼とご報告

○○不動産株式会社
○○様

お世話になっております。○○(氏名)です。

先日はご訪問いただき、丁寧にご説明くださりありがとうございました。周辺の販売状況まで教えていただき、大変参考になりました。

検討の結果ですが、今回は売却を見送ることにいたしました。ご期待に沿えず申し訳ありません。

あわせて、今後のご連絡は不要です。ご対応いただきありがとうございました。

他社に売却を依頼すると決めた場合

他社に決めたという理由は、相手にとっていちばん納得しやすい断り方になります。曖昧にぼかすより、はっきり伝えたほうが早く終わるでしょう。

社名まで伝えるかどうかは自由に決めて構いません。ただし専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んだ場合、その物件は契約から7日以内(専属専任は5日以内、いずれも会社の休業日を除く)にレインズへ登録されます。

登録された情報は他の不動産会社も見られるので、どこに依頼したかは遅かれ早かれ伝わってしまいます。

件名:ご依頼見送りのご連絡

○○不動産株式会社
○○様

お世話になっております。○○(氏名)です。

先日は査定をご対応いただき、ありがとうございました。

複数社のご提案を比較した結果、今回は別の会社にお願いすることにいたしました。ご検討いただいたにもかかわらず、申し訳ありません。

今後のご連絡は不要ですので、あわせてお伝えいたします。

ありがとうございました。

電話で伝えるときは、名乗って要件を先に言い切ってください。「先日査定いただいた○○です。今回は見送ることにしました」と最初の10秒で結論を出せば、そのあとの会話は短く済みます。理由を聞かれたら、メール例文と同じ内容を口頭で伝えれば十分です。

\ 断りの連絡が済んだら、次の1社を探すだけ /

不動産査定を断るときに押さえるポイント4つ

断ったつもりなのに連絡が止まらない。こうした状態の多くは、伝え方そのものに原因があります。分かれ目は文面の巧拙ではなく、次の4点を守れているかどうかです。

連絡を無視せず早めに意思を伝える

返信しないでいるほど、連絡は増えていく一方です。

宅地建物取引業法の施行規則は、契約を締結しない意思を示した相手への勧誘の継続を禁じています。この条文には括弧書きがあり、「当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む」と明記されています。

つまりこの規定が使えるのは、こちらが意思を示したあとです。無言のままでは、法律上は何も意思表示していないのと同じ扱いです。放置している間は、この規定による保護を受けられません。

そもそも査定後の連絡には、営業以外の目的も含まれます。入力した情報だけでは正確な査定額が出ないため、室内の状態やリフォームの履歴、住宅ローンの残債といった追加の確認が欠かせません。返事がなければ、会社は確認が取れないまま何度もかけ直すことになります。

早めに一度伝えるほうが、結果として連絡は少なく済むはずです。

嘘をつかず正直な理由を伝える

「まだ何も決めていない」と実際と違う説明をすると、会社は「まだ可能性がある」と受け取ります。連絡が続く原因を、自分で作ってしまうわけです。

他社に決めた場合も同じです。専任媒介・専属専任媒介ではレインズへの登録が義務づけられているため、隠しても意味がありません。事実をそのまま伝えたほうが早く終わります。

とはいえ、家庭の事情や資金繰りまで打ち明ける必要はありません。「売却の時期を見直した」「他社に依頼した」という事実の範囲で足ります。理由の深さと正直さは別の話です。

査定にかけてもらった手間へお礼を添える

訪問査定は、担当者にとって片手間の作業ではありません。

不動産会社が使う価格査定マニュアルでは、査定に必要な情報が4つに分かれています。所有者からのヒアリング内容、現地調査の内容、査定者が目視したデータ、記録書類や証明書類の内容です。訪問査定では、このうち3つを現地で集めています。

移動時間と資料の作成を含めれば、1件あたりの負担は小さくありません。礼を述べるのは相手を気遣うためだけでなく、断る側の後ろめたさを減らす効果もあります。一言添えるだけで、そのあとのやりとりの空気が変わります。

他社や担当者への不満は口にしない

査定額が低かった、説明が雑だった。そう感じても、断りの連絡でぶつける必要はありません。相手に反論する材料を渡すことになり、話が長引くだけです。

もし対応に問題があったと感じるなら、断りの連絡とは分けて伝えてください。営業のやり方に法令上の問題があると考えるなら、免許を出した行政庁が申し出を受け付けています。

感情を伝える場所と、事実を申し出る場所は別にしたほうが、どちらも早く進むはずです。

\ 相場を知っておくと、断る判断も早くなる /

不動産査定を断ったあとも営業が続くときはどうする?

再勧誘は業務停止15日の処分対象です。国土交通省は監督処分の基準で、契約を締結しない意思を示した相手に勧誘を続けた場合の業務停止を15日としています。その違反によって関係者に損害が発生した場合は30日です。

一括査定を利用した場合、送信ボタンを押した時点で各社に情報が渡っています。サイト側でキャンセル手続きを取っても、すでに情報を受け取った会社への対応は自分で行う必要があります。だからこそ、各社への意思表示が欠かせません。

今後の連絡が不要であることを記録に残る形で伝える

「検討中です」と答えている限り、勧誘の禁止規定は適用されません。

伝えるべきなのは検討状況ではなく、連絡が不要だという意思のほうです。

伝える手段は、日付が残るものを選んでください。メールであれば送信日時が残り、あとから経緯を説明するときの材料になります。電話で伝えた場合は、日時と担当者名をメモしておくだけでも違います。

文面は短くて構いません。「今後のご連絡は不要です」の一文があれば、法律上の意思表示としては十分です。

宅地建物取引業法が禁じている勧誘行為

宅地建物取引業法施行規則第16条の11第1号では、次のような勧誘行為が禁止されています。

  • 契約を締結しない意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない意思を含む)を示した相手に、勧誘を続けること
  • 迷惑を覚えさせるような時間に電話し、または訪問すること
  • 勧誘に先立って、会社名・担当者名・勧誘目的である旨を告げずに勧誘すること
  • 正当な理由なく、契約するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと
  • 深夜または長時間の勧誘など、私生活や業務の平穏を害する方法で困惑させること

同じ基準は、迷惑な時間の電話や訪問も業務停止15日(損害が発生した場合は30日)としています。勧誘目的などを告げない勧誘は業務停止7日です。

自分で条文を調べるときは、条番号に気をつけてください。国土交通省の監督処分の基準は最終改正が2011年で、当時の「規則第16条の12」と記載されたままです。現在の施行規則では第16条の11にあたります。

一括査定サイトの運営事務局と行政の相談窓口

連絡を止める手段は2つあります。ひとつは宅地建物取引業法にもとづいて勧誘そのものを止めてもらう方法、もうひとつは個人情報保護法にもとづいてデータの利用を止めてもらう方法です。

止める対象が違います。前者は営業行為、後者は情報そのもの。一括査定のように情報が複数社へ渡っている場合、後者にも対応しないと止まりきりません。

個人情報保護法第35条第5項では、事業者がその個人データを利用する必要がなくなった場合、本人は利用の停止や第三者への提供の停止を請求できると定められています。法令違反がなくても請求できる条項です。売却をやめた時点で、その情報を利用する必要はなくなっています。

手数料はかかりません。同法第38条第1項で手数料を徴収できるのは、利用目的の通知を求められたときと開示を請求されたときの2つに限られており、利用停止と第三者提供の停止は対象外です。

リビンマッチを運営するリビン・テクノロジーズでも、この請求を受け付けています。手続きは次の流れです。

  1. 個人情報相談窓口に問い合わせると、担当者から「個人情報開示等請求書」が郵送または電子メールで届きます
  2. 請求書と本人確認書類(運転免許証、パスポート、写真付き住民基本台帳カード、健康保険の被保険者証など)を添えて、来社・郵便・FAX・電子メールのいずれかで提出します
  3. 本人確認のうえ、選択した方法で回答があります

電話による口頭での請求は原則として受け付けていません。ショートメッセージでの問い合わせも同様です。詳しい手続きはサービスの利用停止(キャンセル)、個人情報の削除等についてで確認できます。

請求した結果は、必ず通知されます。個人情報保護法第35条第7項で、利用停止を行ったときも行わない決定をしたときも、遅滞なく本人に通知する義務が定められているためです。ただし、措置を取らない場合に理由を説明することは努力義務です。必ず説明が得られるとは限りません。

会社の対応そのものに問題があると感じる場合は、免許を出した行政庁が窓口になります。2つ以上の都道府県に事務所を置く会社は国土交通大臣、1つの都道府県だけに事務所を置く会社は都道府県知事の免許です。免許証番号の冒頭を見れば、どちらに申し出ればよいかが分かります。

申し出たところで動いてくれないのではないか。数字で見ると、実態はその予想の中間にあります。2024年度に各地方整備局と47都道府県の宅地建物取引業法主管課が対応した来庁相談は524件で、そのうち売買の媒介・代理に関するものが202件でした。同じ年度の監督処分は全国で147件です。

相談がそのまま処分につながるわけではありません。ただ、申し出た事実は記録として残ります。

もうひとつの選択肢が、消費生活の窓口です。消費者ホットライン188に電話すると、最寄りの消費生活センターや相談窓口を案内してもらえます。つながらない場合の案内先は、国民生活センターのバックアップ相談(03-3446-0999、平日10時から16時まで)です。

\ しつこい営業が不安なら、連絡方法を先に指定 /

媒介契約を結んだあとに売却をやめるときはどうする?

媒介契約を結んだあとでも売却はやめられますが、「いつでも一方的に解除できる」わけではありません。ここが査定段階との決定的な違いです。

一般媒介・専任媒介・専属専任媒介で異なる解除の扱い

専任媒介契約の有効期間は3か月です。ではその3か月、売主はまったく身動きが取れないのか。

たしかに、いつでも一方的に解除できるわけではありません。標準媒介契約約款が売主からの解除を認めているのは、次の3つの場合です。

  • 会社が誠実に業務を遂行する義務に違反したとき
  • 重要な事項について、故意または重大な過失で事実を告げなかったり事実と違うことを告げたりしたとき
  • 宅地建物取引業に関して不正または著しく不当な行為をしたとき

この3つに当てはまらない場合でも話し合いによる解除はできますが、契約を進めるためにかかった実費を請求される可能性は残ります。

ただ、方法は解除を切り出すことだけではありません。有効期間は宅地建物取引業法第34条の2第3項で3か月を超えられず、これより長い期間を定めても法律上は3か月として扱われます。そのうえ更新には、売主からの申し出が必要です。

標準媒介契約約款は、有効期間を更新するときは満了に際して売主から会社へ文書等で申し出るものと定めています。つまり、何もしなければ契約はそこで終わります。

「3か月は動けない」のではなく、「3か月経てば自動的に終わる」というのが正確なところです。

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一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
有効期間約款上3か月以内法律上3か月以内法律上3か月以内
解除の申し出方売主から文書等で。更新も申し出が必要同左同左
費用が発生しうる場面明示していない会社に依頼して契約が成立したとき会社に責任のない事由で解除されたとき会社に責任のない事由で解除されたとき
違約金が発生する場面定めなし有効期間内に他社に依頼して契約を成立させたとき同左。加えて自ら見つけた相手と契約したとき

一般媒介契約だけは、解除そのものを理由とする費用の請求規定がありません。様子を見ながら進めたい場合に選ばれる理由のひとつです。契約の種類ごとの違いは一般媒介と専任媒介の違いで詳しく整理しています。

満了を待つあいだも、会社からの報告は続きます。専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上と法律で定められているためです。逆に、その報告が届かないまま放置されているなら、先ほどの3つのうち1つ目に当たらないかを確かめる材料になります。なお一般媒介に報告義務はありません。

解除の申し出で費用を求められる場面

解除を申し出れば違約金を取られる。そう考えて、契約期間が終わるのをじっと待っている売主がいます。

ですが、違約金と費用償還は別のものです。費用償還とは、会社がすでに使った実費を返してもらう請求のことで、この2つは発生する条件がまったく異なります。

違約金は、解除したことに対して発生するものではありません。標準専任媒介契約約款が定めているのは、有効期間内に他社へ依頼して売買契約を成立させた場合です。専属専任媒介契約では、これに加えて自分で見つけた相手と契約した場合も対象になります。いずれも金額は、取り決めた仲介手数料の額(約定報酬額)に相当する金額です。消費税等に相当する額は除きます。

一方の費用償還が関わるのは、解除そのものです。専任媒介契約の場合、会社に責任のない事由で契約が解除されたとき、会社は契約を進めるためにかかった費用の返還を請求できます。専属専任媒介契約も同じです。

つまり単に解除を申し出ただけであれば、違約金の対象にはなりません。ただし広告などにすでに費用が投じられていれば、その実費の返還を求められる可能性があります。

請求される費用には上限があります。専任・専属専任・一般のいずれの約款でも、費用の額は取り決めた仲介手数料の額を超えられません。仲介手数料の上限は売買価格400万円超の部分で3.3%ですから、おおよその見当はつくはずです。

解除後も効力が残る条項もあります。有効期間内または満了後2年以内に、会社の紹介で知った相手とその会社を外して売買契約を結んだ場合、会社は契約の成立に寄与した割合に応じた報酬を請求できます。解除したからといって、紹介された相手と自由に直接取引できるわけではありません。

不利な特約を心配する必要はありません。標準媒介契約約款には「この約款の各条項の定めに反する特約で甲に不利なものは無効とします」という規定があります。甲とは売主のことです。宅地建物取引業法第34条の2第10項も、有効期間や報告義務に関する規定に反する特約を無効と定めています。

\ 媒介契約を結ぶ前に、複数社の条件を見比べる /

次に査定を依頼するときに断る手間を減らす方法

同じ物件を3社に査定してもらうと、金額はそろいません。営業姿勢の違いだと受け取られがちですが、原因の多くは査定の手順そのものにあります。

査定額を決めているのは、比較する成約事例の選択です。そしてその事例を選ぶのは、査定する担当者にほかなりません。この構造を知っておくと、次の依頼のしかたが変わってきます。

査定額の高さだけで依頼先を選ばない

不動産会社が使う価格査定マニュアルでは、住宅地とマンションは事例比較方式で査定されます。計算式は「事例地の単価 × (査定地の評点 ÷ 事例地の評点) × 面積 × 流通性比率」です。

マニュアルの例で見ると、単価10万円/㎡の事例地に対し、査定地の評点は110点、事例地の評点は105点。面積100㎡、流通性比率1.00で計算すると、査定価格は約1,048万円になります。計算の基準になるのは事例地の単価で、ここが変われば査定価格も変わります。

そしてマニュアルには、成約事例が内蔵されていません。査定する人がレインズなどから自分で探して入力します。しかも複数事例の平均を取る方式ではなく、条件に合う1件を選んで比較する方式です。

つまり査定額の差は、どの1件を選んだかの差でもあります。高い金額を出した会社が強気なのではなく、高く売れた事例を選んでいるだけかもしれません。

だからこそ、根拠を確かめておきたいところです。宅地建物取引業法第34条の2第2項は、価額について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければならないと定めています。査定額の提示も、この「意見を述べる」にあたります。説明を求めることは、売主の当然の権利です。

聞くべき点は3つあります。

  • どの成約事例と比較したのか
  • その事例はいつの成約か(マニュアルでは過去半年以内の事例を使うよう求められています)
  • 流通性比率をどう設定したのか

流通性比率とは、その物件が売りやすいか売りにくいかという市場流通性の度合いを表す数値です。需給状況や地域の特性から調整されます。ここを説明できる担当者は、価格の根拠を持っています。

相場を知りたいだけなら机上査定にとどめる

机上査定と訪問査定は、法律で定められた区分ではなく実務上の呼び方です。違いは訪問の有無ではなく、査定に使える情報の量にあります。

訪問を伴わない査定では、価格査定マニュアルが求める4つの情報源のうち3つが欠けます。現地調査、査定者の目視、記録書類の確認。手元に残るのは、依頼時に入力した内容だけです。

欠けた情報は、そのまま評価を下げる要因になります。戸建ての基礎・躯体のグレードはAAAからCまでのランクで評価されますが、上位のランクを選ぶには住宅性能評価書などの証明書が必要です。書類を確認できない場合、建築材の等級に関わらずBまたはCランクが適用されます。

つまり書類を見せなければ、評価は自動的に下がる仕組みです。

マンションでは室内の維持管理状況が評価項目に入っており、RC造の戸建てでは天井・内壁、外壁の開口部、基礎、外壁の4か所を目視で劣化判定します。どれも訪問しなければ確認できません。

売るかどうかを決めていない段階なら、机上査定で止めておくのが無難です。訪問の日程調整も、その後の断りの連絡も発生しません。査定だけを依頼したい場合の考え方はマンションの査定だけを依頼するときでも扱っています。

依頼先を絞り込んでから査定を申し込む

一括査定は「表示された会社すべてに送る」ものだと思われがちですが、依頼先を選べるサービスもあります。

リビンマッチの場合、物件に適した不動産会社が最大6社表示されたあと、依頼する必要のない会社をチェックから外せる仕組みです。送信ボタンの上にある「不動産売却は全社に送信する」のチェックも外せば、自分で選んだ4社や5社だけに依頼できます。すでに連絡を取っている会社がある場合や、対応できる社数を絞りたいときに便利な仕組みです。

連絡の受け方も、依頼の時点で指定できます。申し込みフォームの自由記入欄に「連絡はメール希望」「電話は平日18時以降」と書いておけば、そのとおりに対応してもらえるでしょう。断ってから止めるより、最初に決めておくほうが手間は少なくて済みます。

会社の素性を確かめたいときは、免許証番号を見てください。冒頭が「国土交通大臣」なら2つ以上の都道府県に事務所があり、「○○県知事」ならその県だけに事務所を置いている会社です。なお免許の有効期間は5年と定められています。

\ 依頼先は最大6社から自分で選べる /

まとめ

査定を断っても費用は発生しません。仲介手数料は売買契約が成立して初めて請求できるもので、査定の段階には請求の根拠がないためです。

連絡を止めたいときは、「今後の連絡は不要です」という意思をはっきり伝えてください。宅地建物取引業法の施行規則が勧誘の継続を禁じるのは、この意思表示があったあとです。それでも止まらない場合は、個人情報保護法にもとづく利用停止の請求という別の手段があります。

媒介契約を結んだあとに問題になるのが、違約金と費用償還の区別です。他社に依頼して契約を成立させた場合に発生するのが違約金、解除に伴ってかかった実費を求められるのが費用償還にあたります。単に解除を申し出ただけなら、違約金の対象にはなりません。

次に査定を依頼するときは、依頼先を絞り込み、連絡方法を先に伝えておく。この2つで、断る手間はかなり減らせます。

\ 次の1社は、比べてから決める /

よくある質問

ここまでで触れきれなかった疑問を、5つにまとめました。

一度断った不動産会社へ、あとからもう一度依頼できますか?

できます。査定を断ったことで、その後の依頼が制限される決まりはありません。一度断った会社が地域の事情に詳しかったと後から気づくこともあります。改めて依頼したい旨を伝えれば、通常どおり対応してもらえます。

断りの連絡は菓子折りを持って店舗へ行く必要がありますか?

必要ありません。査定は媒介契約を結ぶ前の営業活動であり、売主が謝礼を用意する場面ではないためです。メール1本で足ります。訪問査定を受けたあとであれば、対応への礼を文面に一言添えれば十分です。

訪問査定の当日にキャンセルしても大丈夫ですか?

問題ありません。媒介契約を結んでいない段階では、キャンセル料の根拠になる取り決めが存在しないためです。ただし担当者はすでに移動の準備をしています。決まった時点でできるだけ早く、メールではなく電話で伝えてください。

査定を依頼するとき、どこまで情報を伝える必要がありますか?

申し込みの時点で必要なのは、物件の所在地・築年数・面積などの基本情報と、連絡先です。リビンマッチの場合は最短45秒で入力が終わります。

ただし入力情報だけでは正確な査定額は出ません。価格査定マニュアルが求める4つの情報のうち、現地調査や書類の確認にあたる部分が欠けているためです。査定額を算出する前に、室内の状態やリフォームの履歴、住宅ローンの残債といった確認の連絡が入ります。

伝える範囲は、この確認に答えられるところまでで足ります。売却を考えた動機や家庭の事情まで話す義務はありません。訪問査定に進むかどうかも、この段階で判断できます。

複数社に査定を依頼したまま、決めずに保留にしてもよいですか?

保留にすること自体に問題はありません。ただし返答が曖昧なままだと、売却の意思を確認する連絡が続きます。判断に時間がかかりそうなら、「◯月まで検討します」と期限を伝えておくほうが、双方にとって負担が少なくなります。決めないと伝えることも、ひとつの意思表示です。

出典

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