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マンションは”売る”と”貸す”はどっちが得?判断基準と後悔しない選び方

転勤や住み替えで、今のマンションから引っ越す日が近づいてきた。住宅ローンはまだ残っているけれど、家賃収入には魅力を感じる。「思い切って売るべきか、それとも貸すべきか…」

このような悩みを抱えていませんか?

貸せば家賃収入が入りますが、管理費や修繕積立金は払い続けなければならず、空室リスクも伴います。 一方で、「じゃあ売ろう」と思っても、実は売却益の税金を大きく減らせる特例には「住まなくなってから3年」という期限があるため、のんびり迷っている時間はありません。

この記事では、「売る」と「貸す」のどちらがあなたにとって正解かがわかる3つの基準を解説していきます。また、一旦貸してから売却する場合の価格や税金への影響もわかりやすく整理しました。

この記事を読むとわかること
  • 売るか貸すかを分ける3つの判断基準
  • 売却と賃貸それぞれにかかる費用と税金の中身
  • 手取りベースで売却と賃貸を比べる計算式
  • 先に貸すと売却価格と3,000万円の特別控除がどう変わるか
  • 迷ったときに最初に取るべき3つの行動

※この記事の税制・法令に関する情報は2026年8月時点のものです。実際に使えるかどうかは、個別の事情によって変わります。判断に迷う場合は税務署または税理士にご確認ください。

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目次

マンションは売るべき?貸すべき?判断基準は3つ

マンションを売るべきか、貸すべきか。判断は、次の3つを確認してからにしましょう。1つ目は、あなたがそのマンションにもう一度住むかどうか。2つ目は、住宅ローンがいくら残っていて、金融機関が賃貸を認めるかどうか。3つ目は、築年数と立地から見て、その部屋がいくらで売れそうかです。

それぞれ詳しく解説していきます。

そのマンションに再び住む予定があるか

もう住む予定がないなら、売却を軸に考えることになります。数年以内に戻る時期が決まっているなら、賃貸も選択肢に入ります。判断を誤りやすいのは、「いつか戻るかもしれない」という場合です。

戻る時期を決めないまま賃貸に出すと、戻りたくなったときに戻れません。普通借家と呼ばれる一般的な賃貸借契約では、貸主の都合だけで入居者に出ていってもらえないからです。

借地借家法では、貸主が更新を拒んだり解約を申し入れたりする条件をこのように定めています。

借地借家法第28条(e-Gov法令検索)

建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

条文はいくつもの事情を並べています。貸主と借主それぞれが建物を使う必要性、契約からの経過、建物の利用状況と現況、そして立退料など明渡しの条件として貸主が申し出た財産上の給付です。「自分が住みたくなった」という事情は、このうちの一部にすぎません。

契約が終わる時期にも定めがあります。

借地借家法第27条第1項(e-Gov法令検索)

建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。

解約を申し入れても、そこから6か月は入居者が住み続けます。

期間を定めていても、自動で終わるわけではありません。期間満了の1年前から6か月前までの間に更新しない旨を通知しなかった場合、従前と同じ条件で契約を更新したものとみなされます。しかも更新後の契約は、期間の定めがないものとして扱われます。

つまり、普通借家で貸すと決めた時点で、当面は戻れなくなります。

3年後に確実に戻るなら、期間を区切って貸せる定期借家という契約もあります。

住宅ローンの残債と金融機関の承諾が得られるか

住宅ローンは、契約者本人が住むための融資です。転勤などで住まなくなり、その部屋を賃貸に出す場合は、借入先の金融機関への確認が欠かせません。無断で貸すと契約違反となり、一括返済を求められる可能性があります。

承諾を得られなければ、賃貸という選択肢は消えます。投資用ローンへの借り換えを求められるケースもあります。借り換えで金利が上がれば、家賃で返済をまかなえなくなります。

残債額しだいでは、売るという道もふさがります。住宅ローンを借りるとき、その部屋には抵当権が設定されています。民法では抵当権の中身をこのように定めています。

民法第369条第1項(e-Gov法令検索)

抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

お金を貸した金融機関は、返済が滞ればその部屋から優先的に回収できます。この権利は登記されます。登記していなければ、ほかの人に対して権利を主張できません。

登記された抵当権は、買主に必ず伝わります。不動産会社には、契約が成立するまでに「登記された権利の種類及び内容」を書面で説明する義務があるからです。抵当権が付いたままの部屋を買う人は、まず現れません。

そのため、売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消してから引き渡す形になります。売却価格が残債を下回る状態は、オーバーローンと呼ばれます。不足分を自己資金で用意できなければ、売りたくても売れません。

先にやることは2つです。返済予定表で残債額を確かめること。金融機関に貸してよいか聞くこと。この2つが終わるまで、売るか貸すかの比較は始められません。

築年数と立地から見た資産価値の下がり方

築年数が上がれば価格は下がります。ただし「築古だから売れない」わけではありません。

2026年4〜6月に東京都で成約した中古マンションの平均価格は、築5年までが12,327万円、築30年超が3,908万円でした。㎡単価では203.6万円と73.7万円の差になります。取引の量に目を向けると、首都圏では築25年超の成約件数が全体の50%以上を占めていました。築20年超の各築年帯における成約㎡単価と成約価格は、すべての都県・地域で前年同期比で上昇しています。

築25年を超えた物件でも、取引そのものは活発です。お持ちの物件がどのくらいの水準にあるかは、中古マンションの売却相場で確認できます。築40年前後の物件については、築40年のマンションが売れないと言われる理由もあわせてご覧ください。

駅からの距離や周辺環境は、売るときと貸すときで別のところに影響します。売却では、価格にそのまま反映されます。賃貸では、同じ条件が入居者の決まりやすさに直結します。駅から遠い物件は、売却価格が抑えられるだけでなく、空室期間も長引きやすくなります。築年数だけを見て判断すると、この差を見落とします。

保有コストは、築年数に比例して下がるわけではありません。首都圏の中古マンションの月額管理費と修繕積立金の合計は、築10年以内で27,363円でした。築11〜20年は30,991円、築21〜30年は30,585円、築30年超は24,301円です。

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築年帯成約価格(東京都・万円)成約㎡単価(万円)月額管理費+修繕積立金(首都圏・円)
〜築5年12,327203.627,363(築10年以内)
〜築10年8,991165.8同上
〜築15年9,378158.030,991(築11〜20年)
〜築20年8,205133.4同上
〜築25年7,772120.730,585(築21〜30年)
〜築30年6,928109.7同上
築30年超3,90873.724,301(築30年超)

※成約データは2026年4〜6月・東京都、管理費と修繕積立金は2025年度・首都圏平均です。集計期間と対象範囲が異なります。目安としてご覧ください。

\ 3つの軸を数字で埋めるところから /

マンションを売る場合のメリットとデメリット

マンションが3,000万円で売れたとしても、手元に3,000万円は残りません。仲介手数料、印紙税、そして譲渡所得への課税が控えているからです。

売るメリットは現金化と維持費・リスクの解消

売却の利点は、資産が一度に現金に変わることです。住宅ローンが残っていれば、売却代金で完済できます。買い替えの頭金にも回せます。

もう1つの利点は、ここから先の支出とリスクが止まることです。月27,805円の管理費と修繕積立金は、売った時点で次の所有者の負担になります。年間では33万円を超える計算になります。10年持ち続ければ330万円です。

※この33万円がそのまま浮くわけではありません。売れば住む場所が別に要ります。転居先の家賃や住宅ローンを差し引くと、手元に残る金額はもっと少なくなります。

止まるのは支出だけではありません。入居者が見つからない期間の負担、家賃の滞納、設備の故障、原状回復の費用。売主は、こうした心配ごとを一度に手放せます。

将来の資産価値の下落リスクからも解放されます。築30年超の東京都の成約㎡単価は73.7万円で、築5年までの203.6万円の半分以下でした。値下がりが続く見込みの物件なら、持ち続けるほど資産は目減りします。

売るデメリットは価格が読めないことと売却費用

売却の弱点は、いつ、いくらで売れるかを事前に確定できない点にあります。査定額はあくまで見込みです。

もう1つは費用です。まず仲介手数料。不動産会社が売買の仲介で依頼者の一方から受け取れる報酬の上限は、国が告示で定めています。

売買代金のうちの部分上限(消費税相当額を含む)
200万円以下の部分5.5%
200万円を超え400万円以下の部分4.4%
400万円を超える部分3.3%

仮に3,000万円で売れた場合を計算してみます。200万円×5.5%=11万円、200万円×4.4%=8.8万円、2,600万円×3.3%=85.8万円。合計で105.6万円が上限になります。

印紙税もかかります。不動産の譲渡に関する契約書には、軽減措置があります。令和9年3月31日までに作成されたものが対象です。

契約金額軽減後の印紙税
500万円超1,000万円以下5千円
1,000万円超5,000万円以下1万円
5,000万円超1億円以下3万円

そして譲渡所得税。課税譲渡所得金額は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を引き、さらに特別控除額を引いて求めます。譲渡費用には仲介手数料や印紙代が含まれます。買ったときの金額がわからない場合は、譲渡価額の5%を概算取得費として使えます。

税率は所有期間で二段階に分かれます。

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区分所有期間所得税住民税
長期譲渡所得5年超15%5%
短期譲渡所得5年以下30%9%

差は約2倍です。別途、復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加わります。

気をつけたいのは、期間の数え方です。売った日を基準に数えるのではありません。売った年の1月1日の時点で5年を超えているかどうかで判定します。

たとえば2020年6月に買ったマンションを、2025年8月に売ったとします。実際に持っていた期間は5年2か月です。ところが2025年1月1日の時点では、4年7か月しか経っていません。この場合は短期譲渡所得になります。長期の税率を使いたければ、年が明けてから売る必要があります。

査定から引き渡しまでの手順は、マンション売却の流れにまとめています。

売却で使える3,000万円の特別控除には期限がある

マイホームを売ったときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。持っていた期間が何年でも使えます。仮に譲渡所得が2,500万円だったとしても、控除を使えば課税される所得はゼロになります。

さらに、売った年の1月1日で所有期間が10年を超えていれば、軽減税率の特例も併用できます。課税長期譲渡所得金額6,000万円以下の部分は所得税10%、6,000万円を超える部分は「(金額−6,000万円)×15%+600万円」です。3,000万円の特別控除と軽減税率の特例は、重ねて受けられます。

ただし、どちらの特例にも同じ条件がついています。以前に住んでいた家屋の場合は、期限があります。

住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件です。

たとえば2026年5月に引っ越したとしましょう。3年を経過する日は2029年5月です。その日が属する年の12月31日、つまり2029年12月31日が期限になります。

この特例には前提があります。使えるのは、売却で利益が出る場合だけです。譲渡価額から取得費と譲渡費用を引いた結果がマイナスなら、そもそも控除する対象がありません。買ったときより安く売る見込みなら、3年の期限は気にしなくて済みます。逆に値上がりしている物件では、期限を過ぎると3,000万円分の控除をまるごと失います。

※これらの特例を受けるには確定申告が必要です。売主が自分で申告しなければ、控除額はゼロのまま税額が計算されてしまいます。

\ 手取りは売却価格から逆算できます /

マンションを貸す場合のメリットとデメリット

マンションを貸しに出せば必ず入居者が決まる、という状況ではありません。

全国に賃貸用の空き家が443万6千戸あります。総住宅数の6.8%です。

貸すメリットは家賃収入と資産を手放さずに済むこと

貸せば、毎月の家賃が入ります。売却代金は一度きりです。家賃は、入居者が住み続けている限り入り続けます。

マンションを手放さずに済む点も利点です。数年後に戻る予定があるなら、住まいを確保したまま、不在の間の維持費を家賃でまかなえます。子どもの学区を変えたくない、親の介護が終わったら戻りたい。こうした事情がある方には、賃貸を選ぶ理由があります。

将来の値上がりに期待する考え方もあります。直近の四半期では、築20年を超えた物件も前年の同じ時期より高く成約していました。

※これは直近の四半期を前年の同じ時期と比べた数字です。この先も上がり続ける保証にはなりません。

期間を区切って貸す方法もあります。定期借家と呼ばれる契約なら、転勤が終わるタイミングで部屋を返してもらえます。

貸すデメリットは空室と修繕、確定申告の手間

家賃が「まるまる」入ってくることはありません。引かれるものを順に確認していきましょう。

引かれるもの中身
管理費と修繕積立金首都圏平均で月27,805円。部屋の所有者の負担として残る。家賃10万円の部屋なら、およそ4分の1が最初から消える
空室期間の負担全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%。空室でも管理費と積立金の請求は止まらない
所得税と住民税不動産所得として確定申告。必要経費にできるのは固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費など
原状回復とリフォーム退去のたびに次の募集へ向けた手入れが必要。設備の故障は貸主負担
管理の手間と委託料入居者の募集、家賃の集金、退去時の立ち会い。不動産会社に任せる場合は管理委託料が別途かかる

修繕積立金は上がり続けています。2020年度の11,737円から2025年度の13,910円へ。5年で18%を超える上昇でした。1㎡当たりの修繕積立金は、築10年を超えたあたりから200円台前半になります。

確定申告で注意したいのが、総収入金額の範囲です。賃貸料収入のほか、名義書換料、承諾料、更新料、頭金といった名目のもの。敷金や保証金のうち返還を要しないもの。共益費などの名目で受け取る電気代、水道代、掃除代も含まれます。「預かっているだけ」と思っていたお金も、収入として数えます。

管理を自分でこなせば委託料は抑えられます。ただし遠方に住んでいると、入居者からの連絡や修理の手配に対応しきれなくなります。

住宅ローンのまま貸すと契約違反になる場合がある

賃貸に出す前に、借入先の金融機関へ確認してください。貸し始めてから相談しても間に合いません。

住宅ローンの契約では、借りた本人が住むことが前提になっています。無断で第三者に貸せば契約違反となり、一括返済を求められることもあります。転勤などのやむを得ない事情がある場合の取り扱いは、金融機関ごとに違います。相談して認められる例もあれば、投資用ローンへの借り換えを求められる例もあります。

税制面の影響もあります。住宅ローン控除は、住まなくなった年以降は受けられません。ただし、転任の命令などやむを得ない事由がある場合は道が残ります。住まなくなる日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を所轄の税務署へ出しておきます。この手続を踏めば、再び住み始めた年以後、残っている控除期間について再適用を受けられます。

※再び住み始めた年にその家屋を賃貸していた場合、再適用は翌年からになります。

入居者にも影響が及びます。返済が滞って競売にかけられると、抵当権より後に入居した人は住み続けられません。落札した人が買い受けてから6か月が過ぎると、部屋を明け渡さなければなりません。貸す判断は、入居者の生活も巻き込みます。

売却した場合は、ローンを完済します。控除の話もそこで終わります。貸す場合は、返済を続けながら控除だけが止まります。止まった控除の分は、賃貸を選んだときのコストとして計算に入れてください。

\ 家賃と売却価格、両方の数字で比べる /

売った場合と貸した場合の手取りを比べる収支シミュレーション

売却は一度きりの金額、賃貸は毎月の金額。単位の違うものを並べても、比較にはなりません。両方を手取りに直したうえで、同じ期間に置き換えて並べます。

売った場合の手取りは売却価格からローン残債と諸費用、税金を引いて求める

計算は4段階です。

  1. 課税譲渡所得金額を出す。譲渡価額から取得費と譲渡費用を引き、特別控除額を引きます。取得費が不明なら譲渡価額の5%を概算取得費として使えます。
  2. 税額を出す。所有期間が5年超なら所得税15%と住民税5%、5年以下なら所得税30%と住民税9%です。別途、復興特別所得税が基準所得税額の2.1%かかります。3,000万円の特別控除を使える場合、譲渡所得が3,000万円以下なら課税所得はゼロになります。
  3. 諸費用を出す。仲介手数料は400万円を超える部分が3.3%です。印紙税は契約金額1,000万円超5,000万円以下で1万円になります。
  4. 手取りを出す。売却価格からローン残債、諸費用、税額を引いた残りが手元に入ります。

売却時の手取りは、この4段階で決まります。このうち事前に確定できないのは1の譲渡価額だけです。ローン残債は返済予定表で確認できます。仲介手数料と印紙税は売却価格から計算できるうえ、税率も取得日から判定がつきます。

貸した場合の年間手取りは家賃から管理費・修繕積立金・委託料・税金を引いて求める

賃貸側の計算は、引く項目が多くなります。

項目金額の置き方
+ 年間家賃収入想定月額賃料×12。ただし空室期間を差し引く
− 管理費と修繕積立金首都圏平均で年333,660円。築11〜20年なら年371,892円
− 管理委託料不動産会社に管理を任せる場合。金額は契約内容による
− 入居者募集時の仲介手数料居住用の建物では、一方から受け取れるのは原則、家賃1か月分の0.55倍以内。承諾があれば1.1倍まで。双方からの合計は1.1倍以内
− 固定資産税と都市計画税納税通知書の額
− 所得税と住民税不動産所得は総合課税。給与所得などと合算して課税される

※1年間ずっと入居者がいる前提で計算すると、手取りは実際より大きく出ます。空室期間を必ず見込んでください。

必要経費には減価償却費も入ります。建物を買ったときの金額を、決められた年数で分けて、毎年少しずつ経費にしていく仕組みです。平成10年4月1日以後に取得した建物では、毎年同じ額を計上する定額法だけが使えます。

貸して得られる額と将来の売却で減る額を比べる

2つの数字が出そろったところで、比べ方に注意が要ります。よくある間違いが1つあります。売却の手取りを賃貸の年間手取りで割り、「何年で追いつくか」を出す方法です。この計算には抜けがあります。貸している間も、マンションは手元に残っているからです。

比べるべきは、次の2つです。

  • 今売る場合:売却の手取りを今受け取る
  • N年貸してから売る場合:N年分の賃貸手取りに、N年後の売却手取りを足す

式にすると、こうなります。

賃貸を選ぶ価値 = N年分の賃貸手取りの合計 − 将来売ったときに減る手取り

将来減る手取りには、3つの要因があります。

減る要因中身
売却価格東京都の築年帯別の平均は、〜築25年が7,772万円、〜築30年が6,928万円。同じ物件の値動きではないものの、築年数が上がるほど平均価格は下がる
税の特例住まなくなって3年を過ぎれば、3,000万円の特別控除も軽減税率の特例も使えない
買い手の範囲入居者がいる状態では、自分で住む目的の買い手が候補から外れる

仮に年間の賃貸手取りが50万円だとしましょう。5年で250万円です。同じ5年で将来の売却手取りが250万円以上減る見込みなら、貸す判断は数字の上で合いません。

※首都圏の修繕積立金は2025年度に前年度比5.6%上昇しました。保有コストは上がっていきます。年間手取りは、年を追うごとに減るものとして計算しておくと安全です。

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比較項目売る貸す
初期にかかる費用仲介手数料(400万円超の部分は3.3%)、印紙税(1,000万円超5,000万円以下は1万円)入居者募集の仲介手数料(居住用は原則、家賃0.55か月分以内)
継続してかかる費用なし管理費+修繕積立金(首都圏平均 月27,805円)、管理委託料、固定資産税
収入の性質一度きり毎月・空室リスクあり
所得の種類と税率譲渡所得。長期は所得税15%+住民税5%、短期は所得税30%+住民税9%不動産所得。総合課税で他の所得と合算
使える控除3,000万円の特別控除、所有期間10年超なら軽減税率の特例必要経費(固定資産税・損害保険料・減価償却費・修繕費など)
主なリスク想定価格で売れない空室、滞納、修繕、修繕積立金の値上げ
元に戻せるか戻せない戻せるが、税の特例には3年の期限がある

たとえば、こんなケースです。都内の築15年・専有60㎡のマンションに住む40代の会社員が、3年間の転勤を命じられたとします。この築年帯の管理費と修繕積立金は月30,991円、年間371,892円でした。仮に月額賃料を15万円とすると、年間家賃180万円から37万円強が固定で引かれます。ここに管理委託料、固定資産税、所得税・住民税が加わります。手元に残る額は、家賃総額の6割前後まで縮むこともあります。

売却側も見てみます。東京都の築15年までの中古マンションの平均成約価格は9,378万円、㎡単価は158.0万円でした。この価格から手取りを出し、3年分の賃貸手取りで埋められる差なのかを確かめます。

※想定条件による試算です。実際の金額は、物件の状態、契約内容、所得の状況によって変わります。

計算の起点になるのは、今の売却価格です。無料の一括査定なら、複数社の見積もりを一度に取り寄せられます。

\ 計算の起点は今の売却価格 /

あとは、自分がどちらの条件に当てはまるかです。

売ったほうがよいケースと貸したほうがよいケース

同じマンションでも、持ち主の事情によって答えは変わります。7つの観点で、売却を選ぶ状況と賃貸を選ぶ状況を並べます。

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見る点売却を選ぶ状況賃貸を選ぶ状況
再び住む予定戻る予定がない数年以内に戻ることが具体的に決まっている
住宅ローン残債があり、家賃で返済と管理費をまかなえる見通しが立たない完済済み、または金融機関から賃貸への転用について承諾を得ている
収支家賃では維持費を賄いきれない想定家賃で管理費・修繕積立金・固定資産税・返済をまかなえる
立地入居者の確保が読めない駅からの距離や周辺環境から入居者を確保しやすい
3年の期限住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日が近づいている期限内に売る選択も残せる
現金の使い道買い替えの頭金など、使い道が決まっているまとまった現金を急いで必要としていない
手間遠方に住んでおり、入居者対応や修繕の手配に時間を割けない確定申告を含む事務を自分または委託先で続けられる

売ったほうがよい人の条件

表の「売却を選ぶ状況」に1つでも当てはまるなら、売却を軸に検討してください。売る時期そのものを迷っている場合は、家の売却タイミングも判断材料になります。

とくに影響が大きいのは、3年の期限です。3,000万円の特別控除と軽減税率の特例は、この期限を過ぎると使えなくなります。仮に譲渡所得が2,000万円出るケースなら、控除を使えるかどうかで、税額が数百万円単位で変わります。

貸したほうがよい人の条件

賃貸が成り立つのは、表の「賃貸を選ぶ状況」が7つともそろっている場合です。

1つでも欠けると成立しません。

家賃で維持費と返済をまかなえない場合、賃貸は毎月の持ち出しを生みます。ただし、持ち出しがそのまま損になるわけではありません。返済のうち元本部分は、住宅ローンの残債を減らしているからです。それでも、手元の現金が毎月出ていく状態は続きます。家計に余裕がなければ、この形は長く保てません。

立地が良くても、それだけでは足りません。返済と管理費で家賃を使い切れば、手元には何も残らないからです。収支が合っていても、戻る時期が決まっていなければ賃貸は成り立ちません。普通借家で貸した部屋は、いつ空くか読めないからです。

転勤で数年後に戻るなら定期借家契約という選択肢がある

戻る時期が決まっているなら、定期建物賃貸借という方法があります。定期借家と呼ばれる契約です。

普通の賃貸借契約と違い、契約期間が満了すれば更新なしで終了します。転勤期間に合わせて3年、5年と期間を区切れます。両者の違いを並べると、こうなります。

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項目普通借家定期借家
契約の更新期間満了で更新される更新なしで終了する
貸主から終わらせる条件正当の事由が必要期間満了で終了。正当の事由は不要
契約の方式書面でなくても成立する公正証書による等、書面によることが必要
事前の説明不要更新がない旨を記載した書面の交付と説明が必要
終了の通知期間1年以上なら、満了の1年前から6か月前までに通知
家賃の水準そのままの相場低めに設定しないと入居者が決まりにくい

要件はかなり厳しく決められています。借地借家法の条文にはこう書かれています。

借地借家法第38条第1項(e-Gov法令検索)

期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。

書面によらなければ、更新なしの定めは置けません。さらに、契約前の説明を怠った場合の効果も条文に書かれています。

借地借家法第38条第5項(e-Gov法令検索)

建物の賃貸人が第三項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。

説明を飛ばすと、普通の賃貸借契約と同じ扱いになります。終了の通知を忘れた場合も、契約が終わったことを入居者に主張できなくなります。

借主側にも保護があります。対象になるのは床面積200㎡未満の居住用建物です。転勤、療養、親族の介護といったやむを得ない事情で、借主がその部屋を生活の拠点として使えなくなったとします。この場合、借主から解約を申し入れられます。契約が終わるのは、申入れの日から1か月を経過した時点です。期間を固定できるとはいえ、借主側の事情による早期終了はあり得ます。

定期借家は、入居者にとって「いつか必ず出ていく部屋」です。入居者を決めるには、普通借家の相場より家賃を下げることになります。期間を確実に区切れる代わりに、賃料で譲る形になります。

\ 自分がどちらか、数字で確かめる /

先に貸すと売るときに不利になる理由

「とりあえず貸しておいて、後で売ればいい」。よく聞く考え方です。ただ、貸した時点から売るときの条件は変わり始めます。

変わるのは、まず買い手です。入居者がいる部屋を、自分で住みたい人は買えません。残るのは投資家と不動産会社です。価格も、住み心地ではなく家賃の利回りで決まります。

もう1つは時間です。マイホームを売ったときに使える3,000万円の特別控除は、住まなくなってから3年で切れてしまいます。

入居者がいるオーナーチェンジ物件は査定額が下がりやすい

入居者がいる状態のまま売る物件を、オーナーチェンジ物件と呼びます。このとき、買主の層が変わります。

自分で住むために中古マンションを探している人は、入居者がいる部屋を買えません。買った後も、入居者には借地借家法の保護が及ぶからです。貸主が解約を申し入れるには正当の事由が必要で、しかも終了は申入れの日から6か月後になります。「買ったのですぐ住みたい」は通りません。

結果として、買主は投資家や不動産会社に絞られます。投資家が見るのは、間取りや内装の好みではありません。家賃収入に対する利回りです。

※利回りが高ければ投資家の評価が上がることもあり、必ず安くなると決まっているわけではありません。

しかも、入居者が生活しているため室内の内覧ができません。買主は写真と図面だけで判断するしかありません。内装や設備の状態を確かめられない分、買主は価格を低く見積もります。

さらに、賃料の水準そのものが価格の根拠になります。相場より安い家賃で長く貸していれば、その金額を前提に利回りが計算されます。あとから賃料だけを上げるのも簡単ではありません。入居者が住み続けている間は、契約条件がそのまま引き継がれるからです。

貸すのは一時的なつもりでも、入居者がいる間はこの条件が続きます。売りたくなった時期に、希望どおりの買い手が現れるとは限りません。

住まなくなって3年を過ぎると3,000万円の特別控除が使えなくなる

賃貸に出すと3,000万円の特別控除が使えなくなる、という誤解があります。

まず、賃貸に出したこと自体で特例が使えなくなるわけではありません。国税庁は、以前に住んでいた家屋について「住まなくなった日以後、どのような用途に使用してもかまいません」と明記しています。貸していても、期限内に売れば3,000万円の特別控除は使えます。

問題は期限のほうです。以前に住んでいた家屋は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限り、特例の対象になります。

この日を1日でも過ぎたら、控除はゼロです。

所有期間10年超の軽減税率の特例も、まったく同じ期限で区切られています。期限を過ぎれば、6,000万円以下の部分に所得税10%という税率は使えません。通常の長期譲渡所得の税率、所得税15%と住民税5%に戻ります。

3,000万円の特別控除と軽減税率の特例は重ねて適用できます。期限を過ぎると、売主はこの2つを同時に失ってしまいます。

「2年ほど貸してから考えよう」と構えていると、残りは1年しかありません。入居者がいれば、その1年で売却まで完了させる必要があります。退去のタイミングは貸主の思い通りにはなりません。

空き家のまま持ち続けた場合にかかる税金と管理の負担

売らず、貸さず、そのまま置いておく。この選択にもコストがあります。すでに空き家の状態が続いている方は、空き家の売却もあわせてご覧ください。

誰も住んでいなくても、管理費と修繕積立金の請求は届きます。金額は入居者がいるときと変わりません。固定資産税も毎年かかります。家賃収入がゼロの分、これらは全額が持ち出しになります。

空き家に関する法律もあります。おもな対象は戸建てや一棟の建物です。相続でマンション以外の不動産も引き継いだ方は、あわせて確認してください。2023年12月13日、改正された空家等対策の推進に関する特別措置法が施行されました。この改正で「管理不全空家等」という区分が新設されています。定義は条文にあります。

空家等対策の推進に関する特別措置法第13条第1項(e-Gov法令検索)

市町村長は、空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認めるときは、当該状態にあると認められる空家等(以下「管理不全空家等」という。)の所有者等に対し、(中略)当該管理不全空家等が特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な措置をとるよう指導をすることができる。

指導を受けても状態が改善されない場合、市町村長は同条第2項により、修繕や立木竹の伐採といった具体的な措置を勧告できます。倒壊しそうな家だけが対象ではありません。手入れをしないまま置いておくと、その一歩手前の段階で行政が動きます。

勧告を受けた管理不全空家等の敷地は、特定空家等と同様に、地方税法の規定に基づき固定資産税等の住宅用地特例が適用されなくなります。

住宅用地特例とは、住宅の敷地について、固定資産税を計算する基になる金額を下げる制度です。地方税法では、勧告を受けた管理不全空家等と特定空家等の敷地が、この特例の対象となる「住宅用地」から除かれています。

スクロールできます
状態計算の基になる金額(200㎡以下の部分)同(200㎡超の部分)
通常の住宅用地価格の6分の1価格の3分の1
勧告を受けた管理不全空家等・特定空家等特例なし特例なし

特例が外れれば、固定資産税の負担は跳ね上がります。

マンションの一室は、この法律の対象になりにくいと考えられます。空家法でいう「建築物」が、建築基準法の建築物と同じ意味だからです。共同住宅は棟全体で1つの建築物として扱われます。一室が空いているだけでは、建物全体が使われていない状態とは言えません。

一方で、空き家が増えれば、売り出したときに競合する物件も増えます。全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最高でした。空き家数は1993年からの30年間で約2倍になっています。

国も流通の後押しに動いています。令和6年7月1日から、価格の低い物件や長期間使われていない物件について、不動産会社が受け取れる報酬の特例が設けられました。売買代金800万円以下の空き家の仲介では、依頼者から受け取れる報酬が30万円の1.1倍にあたる金額まで認められています。放置された物件ほど、動かすのに手間と費用がかかるためです。

決めずにいる間も、維持費の支払いと3年の期限は進みます。売るか貸すかを決める材料は、今の売却価格です。無料の一括査定で確かめてください。

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マンションを売るか貸すかで迷ったときの進め方

売るか貸すかを決めるには、売却の手取りと賃貸の年間手取りという2つの数字が要ります。この数字をそろえるために、今日から取れる行動を3つ挙げます。住宅ローンが残っている方は、3つ目から先に着手してください。

売却査定と賃料査定の両方を取って数字で比べる

売るか貸すかは、片方の数字だけでは判断できません。

売却査定だけを取れば「思ったより高い」「思ったより安い」で終わります。賃料査定だけを見れば、家賃の額面に目が行きます。2つを並べて初めて、比較が成立します。

査定を取ったら、次の項目を1枚の表に書き出してください。どこを見れば分かるかも並べておきます。

そろえる数字どこで分かるか
売却の想定価格不動産会社の売却査定書
住宅ローンの残債借入先から届く返済予定表、または残高証明書
仲介手数料と印紙税売却の想定価格から計算できる
想定される譲渡所得と税額購入時の売買契約書で取得費を確認して計算する
想定月額賃料不動産会社の賃料査定
管理費と修繕積立金の月額毎月の引き落とし明細、または管理組合の資料
固定資産税の年額毎年届く納税通知書

※査定は同じ時期にそろえてください。売却査定を取ってから半年後に賃料査定を取ると、市況が動いた分だけ比較がずれます。両方をまとめて依頼できる会社なら、手間も一度で済みます。

ここまで埋まれば、売却の手取りと賃貸の年間手取りが計算できます。あとは、貸す年数分の手取りと、将来の売却で減る額を並べるだけです。

一括査定で複数社の価格差を確認する

査定額は会社によって差が出ます。得意なエリアや扱ってきた物件のタイプが違うためです。1社の数字だけを見て「これが相場だ」と判断するのは危険です。

複数社に依頼する意味は、金額を比べることだけではありません。各社がどんな根拠で価格を出しているかを聞けます。「同じマンションの別の部屋が先月いくらで成約した」といった情報は、査定書の金額より参考になることがあります。根拠の説明が具体的かどうかで、その会社がそのエリアをどれだけ扱ってきたかも分かります。

賃貸に出す可能性がある場合は、その予定も伝えてください。売却と賃貸の両方を扱う会社なら、想定賃料もあわせて出してもらえます。会社の選び方に迷うなら、マンション売却でおすすめの不動産会社を参考にしてください。

査定は無料です。査定を受けたあとで、売らないと決めても構いません。まずは数字を手に入れてください。

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ローンが残っているなら先に金融機関へ確認する

住宅ローンが残っている方は、査定と並行して借入先への確認を進めてください。

借入先に確認する内容は、次のとおりです。

  1. 現在の残債額。売却の手取り計算に必要です。
  2. 転勤などで住まなくなった場合、賃貸への転用が認められるか。認められる場合の条件も聞いておきます。
  3. 賃貸に出す場合、投資用ローンへの借り換えが必要になるか。必要なら金利がどう変わるか。

住宅ローン控除を受けている方は、もう1つ期限があります。「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を、住まなくなる日までに所轄の税務署へ出してください。引っ越した後では間に合いません。

金融機関が賃貸を認めなければ、査定額をいくつ集めても選べるのは売却だけです。

マンションを売るか貸すかは3つの軸と数字で決まる

再び住む予定、ローンと金融機関の承諾、築年数と立地。この3つの軸に手取りの数字を重ねると、どちらを選ぶかは絞り込めます。

貸しても、毎月の管理費と積立金27,805円は払い続けることになります。空室になっても、家賃がゼロのまま支払いだけが残ります。そして住まなくなって3年を過ぎれば、3,000万円の特別控除も軽減税率の特例も使えません。

先延ばしにしている間に、条件が良くなる材料が増えることはありません。

まずは売却査定と賃料査定を同じ表に並べるところから始めてください。リビンマッチの一括査定なら、複数の不動産会社の売却価格を無料でまとめて確認できます。入力は1回で済みます。売るか貸すかを決めるのは、数字がそろってからで構いません。

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マンションを売るか貸すかのよくある質問

売るか貸すかを考えるとき、実際によく寄せられる疑問をまとめました。

マンションを売るのと貸すのではどちらが得ですか。

再び住む予定がなければ、売却が有利になりやすいです。貸しても管理費と修繕積立金は部屋の所有者の負担として残ります。首都圏平均で月27,805円、年間では33万円を超えます。さらに、売却で利益が出るケースには期限があります。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日を過ぎると、3,000万円の特別控除と軽減税率の特例を失ってしまいます。数年以内に戻る予定があり、家賃で維持費と返済をまかなえる場合に限って、賃貸を検討する価値があります。

築40年のマンションは売るか貸すか、どちらを選ぶべきですか。

築年数だけで決める必要はありません。2026年4〜6月に東京都で成約した築30年超の中古マンションの平均価格は3,908万円、㎡単価は73.7万円でした。首都圏では築25年超の成約件数が全体の50%以上を占めています。築古でも取引は動いています。一方、築30年超の管理費と修繕積立金の合計は月24,301円です。首都圏の修繕積立金は、2020年度の11,737円から2025年度の13,910円へ上がりました。長期修繕計画書と直近の総会議事録を管理組合から取り寄せると、次の大規模修繕の時期と積立金の値上げ幅がわかります。この数字を査定額と並べて判断してください。

マンションを貸すと手取りはいくらくらい残りますか。

築15年・専有60㎡で月額賃料15万円を想定すると、年間家賃収入は180万円です。ここから管理費と修繕積立金が引かれます。この築年帯の首都圏平均は月30,991円、年間371,892円でした。残りは約143万円。さらに管理委託料、固定資産税、入居者募集時の仲介手数料が引かれます。残った不動産所得に所得税と住民税がかかります。不動産所得は総合課税で、給与所得などと合算されます。空室期間も見込んでください。1年間ずっと入居者がいるとは限りません。全国の賃貸用の空き家は443万6千戸あります。

住宅ローンが残っているマンションでも貸せますか。

金融機関の承諾が前提になります。住宅ローンは、借りた本人が住むことを条件に組まれています。無断で貸せば契約違反です。一括返済を求められることもあります。税制面では、住宅ローン控除が住まなくなった年以降は受けられません。転任の命令などやむを得ない事由があり、住まなくなる日までに届出書を所轄の税務署へ出していた場合は別です。再び住み始めた年以後、残っている控除期間について再適用を受けられます。ただし再入居した年に賃貸していた場合、再適用は翌年からです。

マンションを売らないほうがよいのはどんなケースですか。

数年以内に戻ることが具体的に決まっているケースです。この場合は定期建物賃貸借で期間を区切る方法があります。公正証書などの書面で契約したうえで、更新がない点をあらかじめ説明しておくことが要件です。説明を怠ると、更新しないという定めが無効になってしまいます。また、想定賃料で管理費・修繕積立金・固定資産税・ローン返済をすべてまかなえる立地であれば、保有を続ける判断も成り立ちます。ただし、3年の税制期限は保有を続けても動きません。

相続したマンションは売るか貸すか、どちらがよいですか。

相続した物件は、自分が住んでいたわけではありません。そのため、マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除は使えません。似た名前の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」もあります。ただし、こちらは区分所有建物登記がされている建物を対象外としています。分譲マンションは、原則としてこの特例を使えません。

相続マンションで使えるのは、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例です。納めた相続税のうち一定額を取得費に加算でき、その分だけ譲渡所得が圧縮されます。期限は、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。適用には確定申告が必要になります。

※実際の税額は相続の内容によって変わります。税務署または税理士にご相談ください。

出典

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