不動産会社が査定額を提示する際、その根拠を説明することは法律(宅地建物取引業法第34条の2第2項)で義務付けられています。つまり、「なぜこの金額なのか」という質問に対し、不動産会社は明確に答える責任があるのです。
もし3社に査定を依頼して、1社だけが数百万円高かったとします。このとき確かめたいのは、金額の高さではありません。「この金額の根拠になった成約事例を見せてもらえますか」と聞いてみてください。具体的な事例が出てくれば、近い条件の物件がいくらで売れているかを自分でも確認できます。事例が出てこない場合、その金額が妥当かどうかを確かめる方法がありません。
この記事では、危ない査定に騙されず、本当に信頼できる不動産会社の担当者を見抜くための具体的なアクションをお伝えします。
- 高い査定額が出る5つの原因を見分けられる
- 査定額・売出価格・成約価格を区別できる
- 高値で売り出す危うさを判断できる
- 担当者への5つの質問をそのまま使える
- 公的サイトで相場を自分で確かめられる
※本記事の制度および統計は2026年8月時点の情報です。実際の査定結果は、地域・物件・時期によって異なります。
\6年連続不動産査定サイトNO.1/
※2025年9月19日-23日 「サイト評価に関する調査」より
高すぎる不動産の査定額は信じていいのか
高い査定額そのものは、疑う理由になりません。同じ物件でも、会社によって金額は変わります。信じられるかどうかを決めるのは、その根拠を確認できるかどうかです。
他社より数百万円高い査定額が出ること自体は珍しくない
査定額の差を生むのは、会社が使う計算方法の違いです。公益財団法人不動産流通推進センターの価格査定マニュアルは、物件の種類ごとに手法を定めています。戸建住宅には原価法、マンションと住宅地には取引事例比較法。
原価法が計算するのは、同じ建物を今もう一度建てた場合の費用です。そこから築年数の分だけ差し引いた金額が、建物の価格になります。それに土地の価格を足したものが査定額です。
取引事例比較法が使うのは、近隣で似た条件の物件がいくらで売れたかという実績です。会社はその価格を、駅からの距離や築年数、面積の差に応じて上下させます。戸建は建物の状態、マンションは近隣の成約価格。
計算のもとになる材料が違います。
| 査定方法 | 原価法 | 取引事例比較法 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 戸建住宅 | マンション・住宅地 |
| 計算のもと | 同じ建物を今建てた場合の費用 | 近隣で似た条件の物件が売れた価格 |
| 調整するもの | 築年数による価値の減少 | 駅距離・築年数・面積の差 |
同じ取引事例比較法でも、どの成約事例を選ぶかは会社ごとに違います。レインズに登録されている取引は膨大な数あり、そのうちどれを参考にするか決めるのは、担当者個人の裁量によるもの。どの物件を選ぶかによって、査定額が異なるのです。
なお、自社ですでに買主を見つけている会社の場合、その買主の購入希望金額がいくらなのか知っているため、他社より高い査定額を提示している可能性もあります。
つまり査定額のばらつきは、会社が誠実かどうかとは別の理由でも生じるということです。
判断は金額の高さではなく根拠の有無
根拠の説明を義務づけているのは、宅地建物取引業法です。
宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
査定額を提示する行為は、この「価額について意見を述べる」に当たります。売主が頼み込んで教えてもらうものではありません。
国土交通省の解釈・運用の考え方は、根拠として認められるものを挙げています。価格査定マニュアルや同種の取引事例など、他に合理的な説明がつくものです。同じ文書には、依頼者の納得を得ることまでは要さないという記述もあります。ただし内容は合理的でなければならない、という条件も付いています。
返ってくるのが「経験から」「このエリアは今上がっているので」といった言葉だけなら、金額の妥当性を判断できません。
つまり、高い査定額が危ないのではなく、根拠を確かめられない査定額が危ないのです。
査定額は売れる金額を保証するものではない
査定額と聞くと、その金額で売れるものだと受け取ってしまいます。実際の意味合いは少し違います。査定額は、一定の期間内に売れると見込んだ価格です。
その期間の目安は3か月です。宅地建物取引業法第34条の2第3項は、専任媒介契約の有効期間を3か月以内と定めています。これより長い期間を定めても、3か月を超えることはできません。査定額も、その範囲で売れる金額に設定されます。
東日本不動産流通機構が、2025年の首都圏の取引を集計しています。レインズに登録してから成約に至るまでの日数は、中古マンションで82.5日、中古戸建住宅で100.9日。土地は89.8日でした。中古マンションで約2.7か月、中古戸建住宅で約3.4か月。3か月という区切りは、実際の売却期間とおおむね重なります。
言い換えると、査定額は「3か月で買い手が見つかりそうな価格」です。近隣の成約事例を大きく超える査定額なら、3か月では売れない可能性が出てきます。事例を上回る理由を説明できるかどうかを確かめてください。
\ 1社だけの査定額では判断できません /
不動産査定額が高すぎる5つの理由
査定額が相場より高く出る原因は、大きく5つに分けられます。
契約獲得を狙った意図的なものは、そのうちの1つにすぎません。
残りの4つは、査定のやり方や前提の違い、売主とのやり取り、市場の動きから生まれます。
媒介契約を取るために相場より高く提示している
媒介契約とは、不動産会社に売却を任せる契約のことです。売主の多くは複数社に査定を依頼します。そのうち一番高い金額を出した会社に任せたくなるのが、自然な気持ちでしょう。この心理を見越して、契約獲得を狙って高い数字を出す例があります。
こうした査定額には、共通する特徴があります。数字の出どころを聞いても、はっきりした答えが返ってこない点です。国土交通省の解釈・運用の考え方は、根拠が合理的なものでなければならないとしています。合理的な説明ができない金額は、この条件を満たしていません。根拠を示せない時点で、その数字は判断材料になりません。
机上査定のため現地の減額要因を反映していない
不動産の査定は2つに分かれます。現地を見ずにデータだけで計算する机上査定と、担当者が実際に訪問して確認する訪問査定です。机上査定の弱点は、現地でしか分からない減額要因を反映できない点にあります。減額要因とは、価格を下げる要素のことです。
机上査定では見えないものが多くあります。日当たり、隣家との距離、道路への接し方、室内の劣化具合、設備の状態。いずれも減額要因です。データ上は好条件でも、現地に立つと事情が違うことは起こります。
価格査定マニュアルが戸建住宅に採用している原価法は、建物の状態を価格に反映させる手法です。建物の傷み具合を見ないまま出した数字は、精度が落ちます。訪問査定で金額が下がるのは、建物の状態がそこで初めて評価に入るからです。
机上査定が悪いわけではありません。目安をつかむ段階では十分に役立ちます。最終的な判断に使うには情報が足りない、というだけのことです。
売主が伝えた希望価格に金額を寄せている
査定を依頼するとき、「3,000万円くらいで売れたら」と口にすることがあります。この一言が、返ってくる金額を左右することもあるでしょう。
会社側からすると、売主の期待に沿った数字のほうが会話は進みます。相場から離れていても、希望に近い金額なら話は続きます。結果として出てくるのは、相場ではなく売主の希望に寄せた査定額です。
対処法は、依頼の順番を変えることです。希望額を伝える前に査定額を出してもらい、そのうえで自分の希望と比べます。この順番なら、会社の判断をそのまま受け取れます。
買取価格ではなく仲介での上限値を示している
売却の方法は、仲介と買取の2つです。仲介では不動産会社が買主を探し、買取では不動産会社そのものが買い手になります。
買取は現金化までが早い方法です。ただし価格は仲介より低くなるのが通例で、会社が転売を前提にする分の利幅が差し引かれます。一方の仲介は買主が見つかるまで待つ方法。その代わり、市場価格に近い金額を狙えます。
| 比べる点 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買い手 | 不動産会社が探す | 不動産会社そのもの |
| 価格の水準 | 市場価格に近い | 仲介より低いのが通例 |
| 現金化までの時間 | 買主が見つかるまで | 早い |
仲介の査定額には幅があります。すぐ買い手が付きそうな価格から、条件がそろえば届くかもしれない価格まで。この上限に近い金額を査定額として提示する会社もあります。上限は、3か月で売れる保証のある金額ではありません。
ここで売主が混乱します。買取の相場を頭に置いていた売主にとって、仲介の上限に近い査定額は想定よりずっと高く見えるからです。同じ「査定額」という言葉でも、前提によって金額は変わります。提示された金額が仲介と買取のどちらを指しているのか、最初に確認しておきたいところです。買取価格が仲介よりどのくらい下がるかは、不動産買取相場は仲介時の何割が妥当かで解説しています。
相場が上昇していて実際に高値が付く物件である
高い査定額が実際の相場どおりという場合もあります。地価が上がっている地域では、以前の相場より高い金額が出て当然です。
国土交通省が公表した令和8年地価公示では、全国の住宅地の変動率がプラス2.1%でした。5年連続の上昇です。圏域別に見ると、東京圏の住宅地はプラス4.5%、三大都市圏の住宅地はプラス3.5%でした。地方圏もプラス0.9%の上昇でした。自分の物件がある地域が上がっているかどうかも、この地価公示で確認できます。
マンションの成約価格も上がっています。東日本不動産流通機構の集計では、2025年の首都圏中古マンションの成約単価は1平方メートルあたり82.98万円でした。前年から7.9%上がり、13年連続の上昇です。この間の上昇率は117.3%でした。
ただし地域差は大きく開いています。全国4つの不動産流通機構が、2026年7月の中古マンション成約価格をまとめています。東京都は7,004万円、北海道は2,307万円でした。同じ「中古マンション」でも3倍の開きがあります。数年前に聞いた相場や、他の地域の平均額は、自分の物件の判断材料になりません。
相場上昇が理由なら、担当者は上昇の根拠を説明できるはずです。直近の成約事例、地価の動き、その地域固有の事情。説明があるかどうかで、5つのうちどれに当たるかが分かります。
\ その査定額、根拠を確かめましょう /
査定額と売出価格と成約価格はどう違うのか
不動産の売却では、3つの価格が順番に登場します。査定額、売出価格、成約価格。決める人も、決まる時期も違います。同じ物件でも、3つの金額は一致しません。
3つを混同すると、査定額どおりに売れると思い込むことになります。
| 査定額 | 売出価格 | 成約価格 | |
|---|---|---|---|
| 決める人 | 不動産会社 | 売主 | 売主と買主の合意 |
| 根拠 | 取引事例や建物の状態 | 査定額と売主の希望 | 交渉の結果 |
| 決まる時期 | 媒介契約の前 | 売り出しの直前 | 売買契約の締結時 |
| 確認できる公的データ | 不動産取引情報提供サイトの成約事例 | 不動産ポータルサイトの掲載価格 | レインズの成約価格統計 |
※価格の決まり方は2026年8月時点の制度に基づきます。金額の目安は物件・地域によって異なります。
査定額は3か月程度で売れると見込んだ価格
査定額は、3か月程度で売れると見込んで不動産会社が計算した数字です。この期間の背景にあるのは、専任媒介契約の有効期間が3か月を超えられないという法律の定めです。契約を更新する場合も、更新のときから3か月を超えることはできません。一般媒介契約について法律上の期間規制はありません。ただし国土交通省の標準媒介契約約款では、実情に合わせて同じく3か月以内で定めています。
売出価格は売主が最終的に決める売り出し金額
査定額をそのまま売出価格にする義務はありません。いくらで売り出すかを決めるのは売主です。
査定額より高く設定することもできます。値引き交渉を見込んで少し上乗せする売主もいるでしょう。反対に、早く手放したい事情がある売主は査定額より低く出す選択をします。
売主が実際に付けた売出価格の平均も、統計で確認できます。東日本不動産流通機構の2025年の集計では、首都圏の中古マンションで新規に登録された物件の平均価格が5,557万円でした。中古戸建住宅は4,430万円です。査定額より高く出した売主も、低く出した売主も含めた平均になります。
成約価格は買主と合意した実際の取引金額
成約価格は、買主が納得して支払った金額です。売主が一方的に決められる数字ではありません。
同じ2025年の首都圏で、成約した中古マンションの平均価格は5,200万円でした。中古戸建住宅は3,917万円です。
ここから先は、数字の読み方に注意が要ります。新規登録価格と成約価格は、同じ物件を追いかけた数字ではありません。集計している物件の集まりが別です。差額を割り算して値引き率を出すことはできません。
そのうえで比べると、新規に登録された物件の平均のほうが、成約した物件の平均より高くなっています。売りに出ている物件の価格帯と、買主が実際に支払っている価格帯には開きがある。この事実までは読み取れます。
会社ごとに査定額が数百万円違う理由
会社ごとに査定額が違うのは、査定が予測だからです。予測する人が違えば、出てくる金額も変わります。
国土交通省の解釈・運用の考え方は、事例の扱いについて基準を示しています。売り急ぎや買い急ぎなど、特殊な事情のある取引事例は収集の対象としないこととされました。安く売り急いだ事例を混ぜた査定額は低く出ます。逆に、特殊な高値を混ぜた査定額は高く出るでしょう。だからこそ、どの事例を根拠にしたのかを聞く意味があります。
査定額の差そのものは問題ではありません。会社が差の理由を説明できるかどうかで判断してください。では、高い数字をそのまま信じて売り出すと、その後どうなるのでしょうか。
\ 売れる価格を知る第一歩は査定から /
高すぎる査定額のまま売り出すと起きること
高値で売り出して、売れなければ下げればいい。この考え方が通りにくくなっています。値下げだけでは終わらず、売却期間や住み替えの予定にまで影響するからです。
売れずに値下げを繰り返し、結果的に相場より安くなる
相場より高い価格を付けると、掲載が長引きます。反応がないまま数か月が過ぎ、値下げに踏み切る。それでも動かず、もう一度下げる。何度か繰り返すうちに、最初から相場で出していた場合より低い金額で決まってしまうこともあります。値下げを重ねても動かないときの選択肢は、売れない家は買取へ切り替えるべきかで整理しています。
高く出しても売れにくい。この状況は市場のデータにも表れています。東日本不動産流通機構の2026年7月度の月例データでは、首都圏の中古マンションで新規に登録された物件の平均価格が6,834万円でした。前年同月から20.5%の上昇です。一方、成約した物件の平均価格は5,267万円。前年同月比マイナス0.7%と、ほぼ横ばいでした。
同じ月の在庫件数は47,151件で、前年同月比プラス5.5%。5か月連続の増加です。在庫物件の平均価格は6,866万円、前年同月比プラス29.0%と大きく伸びています。成約件数は3,638件で、前年同月比マイナス8.6%。4か月連続の減少でした。
売り出される物件の価格帯は上がり、成約する物件の価格帯は動いていません。この2つは別の物件群の集計です。それでも、高い価格帯の物件が売れ残っている状況は読み取れます。新規に登録される価格が20.5%上がり、その物件が売れずに残る。在庫の平均価格が29.0%上がったのは、この積み重ねです。中古戸建住宅でも同じことが起きています。同じ月の新規登録価格は4,846万円で前年同月比プラス11.4%、成約価格は3,933万円で同プラス0.6%でした。戸建でも、売り出し価格だけが先に上がっています。
売り出し期間が延びて買主に足元を見られる
掲載が何か月も続いた物件は、買主にとって売れ残りです。不動産情報サイトには、掲載日も表示されます。いつから売りに出ているかは、買主にも分かる状態です。
平均的な成約日数を大きく超えて掲載が続けば、買主は交渉の余地を感じ取ります。値下げを待つ買主も出てくるでしょう。
売主が急いでいることも、買主には伝わります。転勤や住み替えで期限がある売主は、時間が経つほど不利になります。買主から見れば、期限が迫った売主ほど値引きに応じやすい相手です。高値で売り出すことは、値引き交渉のきっかけを自分から作る選択でもあります。
囲い込みによって購入希望者に情報が届かなくなる
売れない理由が価格にあるとは限りません。囲い込みとは、売却を任された会社が、自社で買主を見つけたいがために他社からの問い合わせに応じない行為のことです。購入希望者が現れているのに、売主には知らされません。
専属専任媒介契約または専任媒介契約を結んだ売主には、この状況を自分で確認する手段があります。契約すると物件がレインズに登録されるからです。登録の完了後、不動産会社から登録証明書が交付されます。この証明書には、二次元コードとURL、物件ごとのIDとパスワードが記載されています。
ここからログインした先が、東日本不動産流通機構の売却依頼主向けの確認画面です。登録証明書が手元に届いていない場合は、担当者に確認してください。確認できる内容は3つです。
- レインズに登録されている物件情報の概要
- 図面が登録されている場合はその図面
- 取引状況と、取引状況を補足する情報
表示はリアルタイムです。
この確認画面には、制度上の裏づけもあります。宅地建物取引業法施行規則第15条の11は、指定流通機構への登録事項を定めています。その1つが「当該宅地又は建物の取引の申込みの受付に関する状況」です。国土交通省の解釈・運用の考え方は、この登録内容が事実と異なるときは法第65条第1項の指示処分の対象になるとしています。
宅地建物取引業法第34条の2第8項により、購入の申込みがあったときは遅滞なく報告する義務があります。依頼者の希望条件を満たさない申込みであっても、その都度報告が必要。解釈・運用の考え方にそう書かれています。
※この確認画面を使えるのは、専属専任媒介契約と専任媒介契約の売買物件だけです。賃貸物件は対象外です。
住み替えや資金計画の時期がずれる
売れない期間が延びた影響は、売却だけにとどまりません。住み替えを予定している場合、次の物件の購入時期がずれます。売却代金を購入資金に充てる予定なら、そのお金を別に用意することになるでしょう。
仮に、3か月後の入居を前提に新居の契約を進めていたとします。売却が5か月、6か月と延びた場合、その間は住宅ローンや家賃が二重にかかります。子どもの進学や転勤の時期に合わせて動いている場合、日程の変更は容易ではありません。
2025年の首都圏で中古戸建住宅の成約までが100.9日でした。余裕を含めて4か月程度は見ておきたいところです。高値で3か月粘ってから値下げに入ると、そこからさらに数か月。当初の計画とは大きくずれます。売却と購入のどちらを先に進めるかでも、必要な期間は変わるでしょう。売り先行と買い先行の決め方は、住み替えのタイミングで整理しています。
高値で売り出して失うものは、金額だけではありません。
売却が終わるまでの時間も延びます。では、提示された査定額が妥当かどうかは、どう確かめればよいのでしょうか。
\ 高すぎる価格で売り出す前に /
妥当な査定額かどうかを見極める方法
査定額が妥当かどうかは、書類と会話の2つで確かめられます。
査定書に何が書かれているか。担当者に質問して何が返ってくるか。この2つがそろえば、根拠のある数字かどうかを見分けられます。
判断の目安は次のとおりです。
| 確認項目 | 安心できるサイン | 確認が必要なサイン |
|---|---|---|
| 根拠資料 | 査定書に価格の算出根拠が書かれている | 金額だけが書かれた紙を渡される |
| 参照事例 | 成約事例を示して説明できる | 売り出し中の物件価格だけを挙げる |
| 減額要因 | マイナス要因も具体的に説明する | 好条件の話だけで終わる |
| 販売期間 | 想定期間と売れなかった場合の対応を示す | 期間の話が出てこない |
| 販売活動 | 広告方法や問い合わせ対応の方針を説明する | 任せてくださいで終わる |
※「確認が必要なサイン」に当てはまっても、その会社が違法なわけではありません。判断材料が足りない状態だ、という意味です。
査定書に価格の根拠が記載されているかを確認する
査定額を受け取ったら、金額の前後に説明があるかを見ます。宅地建物取引業法第34条の2第2項が求めているのは、根拠を明らかにすることです。国土交通省の解釈・運用の考え方によれば、根拠の明示は口頭でも書面でも構わないとされています。
書面に書かれていない場合は、その場で尋ねて問題ありません。費用を心配する必要もありません。同じ文書には、根拠の明示が法律上の義務であると書かれています。そのうえで、査定にかかった費用を会社が売主に請求することはできないと明記されています。
「価格査定マニュアルを使いました」「近隣の成約事例3件から算出しました」。こうした説明が返ってきた査定額なら、事例そのものを検証できます。
成約事例と売出事例のどちらを根拠にしているか質問する
根拠が取引事例だった場合、次に確かめるのは事例の種類です。成約事例と売出事例では意味がまったく違います。
成約事例は、買主が実際に支払った金額です。売出事例は、売主が希望している金額にすぎません。売出事例だけを並べれば、査定額は自然と高く出ます。2026年7月の首都圏中古マンションでは、新規登録価格の平均が6,834万円、成約価格の平均が5,267万円。どちらの水準を根拠にするかで、金額は大きく変わるでしょう。
使ってよい事例にも決まりがあります。国土交通省の解釈・運用の考え方は、売り急ぎや買い急ぎなど特殊な事情のある取引事例を収集の対象としないよう求めています。特別な事情で高く売れた事例を根拠にした査定額は、相場から離れた数字です。
「この金額の根拠になった成約事例を見せてもらえますか」。成約事例は売主自身でも公的サイトから調べられます。示された事例と自分で調べた結果を照らし合わせてください。判断の精度が上がります。
訪問査定で減額要因まで説明できるかを見る
訪問査定を受けるときは、担当者が何を見ているかに注目します。プラス要因ばかりを口にする担当者より、マイナス要因を挙げる担当者のほうが信頼できるでしょう。
価格査定マニュアルは、戸建住宅の査定に原価法を採用しています。建物を建て直した場合の費用から、築年数の分だけ価値を減らす手法です。建物の劣化状況を見て、はじめてこの計算ができます。屋根や外壁の状態、設備の使用年数、雨漏りの有無。こうした点に触れずに金額を提示された場合、建物の評価がどこまで反映されているかは不明です。
土地についても同じです。境界がはっきりしているか、接している道路の幅は足りているか、隣地との関係に問題はないか。売却のときに価格へ影響する点は、現地でしか確認できません。
減額要因を反映させると、査定額は下がります。それでも伝えるのは、売れる価格を出そうとしているからです。売主にとって不利な情報を先に伝える担当者は、信頼していい相手だと考えられます。
担当者への確認質問と、注意したい回答例
担当者に投げる質問を5つ挙げます。査定額を受け取った直後に聞いてみてください。会社によって答え方に差が出ます。
- この金額の根拠になった成約事例を見せてもらえますか
- 根拠が本当にあるかどうかが分かります
- 売れなかった場合は、いつ、いくらまで下げる想定ですか
- 販売計画を持っているかどうかが分かります
- レインズにはいつ登録されますか
- 法律上の登録期限を把握しているかが分かります
- 購入の申込みが入ったら、どのように連絡してもらえますか
- 報告義務をどう果たすつもりかが分かります
- 他社からの問い合わせには、どう対応されますか
- 囲い込みへの姿勢が分かります
1つ目で確かめるのは、根拠が本当にあるかどうかです。事例が出てこない場合、金額の妥当性を判断する材料がありません。
2つ目で分かるのは、販売計画を持っているかどうかです。売却は思いどおりに進まないこともあります。反応がなかったときの方針まで話せる会社なら、高値のまま放置される心配は小さくなります。
3つ目で試すのは、担当者が法律上の期限を把握しているかどうかです。専任媒介契約なら7日以内、専属専任媒介契約なら5日以内が規則上の期限です。「なるべく早く」としか返ってこない場合は、日数を確認しておきましょう。
4つ目で見るのは報告義務です。専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上の報告が定められています。申込みがあった場合は遅滞なく報告する義務もあります。希望条件に合わない申込みでも報告が必要。国土交通省の文書にそう書かれています。
5つ目は囲い込みに関わる質問です。担当者が他社経由の買主にも対応すると明言するか、言葉を濁すか。売却を任せた後は、登録証明書からログインして取引状況を確認できます。売主が確認画面の存在を知っていると担当者に伝わるだけでも、対応は変わってくるでしょう。
質問への回答が曖昧でも、その場で契約を断る必要はありません。回答を持ち帰って、他社と比べれば十分です。会社の説明が正しいかどうかは、売主自身でも確かめられます。
\ 根拠を説明できる会社を探しませんか /
自分で相場を調べて査定額と照らし合わせる手順
成約価格も地価も、国や業界団体が無料で公開しています。
会社が示した事例と自分で調べた結果を突き合わせてみてください。近い数字が出れば、その査定額は相場から離れていないと分かります。
使い分けたいのは、用途が異なる3つのサイトです。
| サイト | 運営 | 見られるもの | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| 不動産取引情報提供サイト | 全国指定流通機構連絡協議会 | 成約価格の個別事例 | 似た条件の物件がいくらで売れたかを知る |
| 不動産情報ライブラリ | 国土交通省 | 取引価格、地価公示などの価格情報 | 地図から周辺の取引価格を確認する |
| 財産評価基準書 | 国税庁 | 路線価 | 土地の価格水準をおおまかにつかむ |
レインズ・マーケット・インフォメーションで成約価格を確認する
レインズ・マーケット・インフォメーションは、正式には「不動産取引情報提供サイト」という名称です。運営しているのは全国指定流通機構連絡協議会。レインズが保有している成約価格の情報を、誰でも検索できる形で公開しているサイトです。
このデータが公開される仕組みは法令に根拠があります。専属専任媒介契約や専任媒介契約で登録した物件が成約した場合、指定流通機構への通知が義務づけられています。通知する内容は登録番号、取引価格、契約が成立した年月日です。国土交通省の解釈・運用の考え方は、この成約情報が指定流通機構の公表する市況情報の基になると説明しています。会社の申告ではなく、実際に成立した取引に基づく数字です。
検索の手順は3つです。建物種別としてマンションか戸建住宅を選びます。次に都道府県。最後に地域を選んで検索します。
結果画面では、沿線や最寄り駅、駅からの距離、価格、専有面積、間取り、築年数、成約時期、用途地域を指定して絞り込めます。一覧に表示される項目は12種類。ここに所在、改装の有無、構造が加わります。
注意したいのは、表示される数字が丸められている点です。価格は「71百万円」のように百万円単位で表示されます。専有面積は「45〜50平方メートル」といった5平方メートル刻みの幅。成約時期も「2025年5月〜2025年7月」のように3か月幅で示されます。所在は「港区港南」など町名までで、番地や物件名は出てきません。自分の物件と完全に一致する事例は出てこない前提で見るものだと考えてください。
該当する取引情報が10件に満たない場合、原則として検索結果は表示されません。サイトにそう書かれています。地方や希少な条件では、結果が返らないこともあるでしょう。
検索画面には、次の注意書きが添えられています。
不動産の価格は個別要因や取引事情により変動し、一律に定まるものではないので、ご注意ください。
結果画面の下部にあるのは「マーケット情報」という欄です。マンションの場合、直近2年間の平均成約価格と平均専有面積の推移、間取り別件数の推移、築年別件数の推移を別画面で確認できます。自分の物件と近い築年帯がどのくらい売れているかも分かります。
不動産情報ライブラリで実際の取引価格を確認する
不動産情報ライブラリは、国土交通省が運営しているサイトです。不動産の取引価格、地価公示などの価格情報に加えて、防災情報、都市計画情報、周辺施設情報も扱っています。
使える機能は幅広く用意されています。
- 地図表示と地域検索
- 不動産価格情報の検索とダウンロード
- 主要都市における土地取引価格の概況
- 国土交通省地価公示と都道府県地価調査の検索
不動産取引情報提供サイトとの違いは、地図から入れる点です。自宅の周辺を地図上で眺めてみてください。近隣でどのくらいの価格の取引があったかを確認できます。地価公示のデータも同じ画面から見られます。価格情報と地図情報を重ねて見たい場合は、こちらが便利です。
公示地価と路線価で土地の価格水準を確認する
土地の価格には、目的の違う公的な指標が複数あります。そのまま比べることはできません。売却価格そのものは分かりませんが、自分の土地がどのくらいの水準にあるかは確認できます。
地価公示は、国土交通省の土地鑑定委員会が判定する価格です。地価公示法に基づき、毎年1月1日時点の標準地の価格を3月に公表します。令和8年地価公示は全国25,565地点が対象でした。国が掲げている役割の1つが「一般の土地の取引に指標を与えること」です。自分の土地の周辺が公的にいくらと判定されているかを確認できます。
路線価を公表しているのは国税庁です。路線に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額で、千円単位で表示されます。令和8年分の財産評価基準は、令和8年1月1日から12月31日までの間に相続、遺贈または贈与で取得した財産の評価に使われます。相続税や贈与税を計算するための指標です。売却価格の目安にはなりません。ただし相続した家を売る場合は、遺産分割の話し合いで目にする数字です。
固定資産税評価額は、また別の基準で決まります。宅地の評価額は、地価公示価格や鑑定評価価格などの7割が目途です。固定資産評価基準にそう定められています。評価替えは3年ごとです。基準になるのは、基準年度の前年1月1日時点の地価公示価格。つまり最大で3年前の地価が使われます。直近の値上がりは反映されていません。
3つとも、そのまま自宅の売却価格になる数字ではありません。土地の値段のおおよその目安として使うものです。売却価格を知りたい場合は、成約事例を確認してください。実際に売れた金額が分かります。
売り出し中の類似物件と条件をそろえて比べる
不動産ポータルサイトで近隣の売り出し物件を見るのも有効です。ただし比較するには、条件をそろえる必要があります。
そろえるべき項目は4つあります。築年数、専有面積または延床面積、最寄り駅からの距離、間取りです。同じマンションでも、階数や向きで価格は変わります。近い条件の物件を複数見て、価格の幅として捉えるのが現実的です。マンションについては、地域・築年数ごとの売却相場もまとめています。
不動産取引情報提供サイトの表示も、面積は5平方メートル刻み、成約時期は3か月幅です。公的なデータですら幅を持たせています。1件の事例だけを見て高い低いと決めるより、幅で捉えるほうが判断は安定します。
全国平均や他地域の数字は、判断材料にできません。2026年7月の中古マンション成約価格を都道府県別に見ると、東京都7,004万円に対して北海道は2,307万円でした。中古戸建住宅も東京都6,132万円、北海道1,843万円と差が開いています。参照するのは自分の地域のデータだけにしてください。
2025年の首都圏中古マンションでは、成約物件の平均築年数が26.58年、新規登録物件の平均築年数が30.08年でした。市場に残っているのは、築年数の古い物件です。売り出し中の物件だけを見て相場を判断すると、実際に売れる金額より高く見積もることになります。
自分で調べた相場と査定額が大きく離れていた場合は、その差の理由を担当者に尋ねてください。
\ 調べた相場と査定額を照らし合わせる /
高すぎる査定額を出した会社への対処法
査定額に納得できない場合、その会社と契約しなくて構いません。査定を受けただけの段階では、何の縛りもありません。
ただし断り方を知らないまま、流れで契約してしまう売主もいます。
断るかどうかも、どの契約を選ぶかも、決めるのは売主です。
専任媒介ではなく一般媒介から始める
1社に絞りきれない段階では、一般媒介から始める選択肢があります。媒介契約は3種類です。一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約のうち、複数社と契約できるのは一般媒介だけです。
ただし一般媒介が常に有利とは限りません。専任媒介契約と専属専任媒介契約には、法律で定められた会社側の義務が付いてきます。
レインズへの登録期限が決まっています。専任媒介契約なら契約日から7日以内、専属専任媒介契約なら5日以内。休業日は日数に含まれません。一般媒介契約には、この登録義務がありません。
販売活動の報告も、専任媒介契約は2週間に1回以上、専属専任媒介契約は1週間に1回以上と定められています。売却依頼主向けの確認画面が使えるのも、この2つだけです。一般媒介契約では、レインズの登録内容や取引状況を売主が自分で確認できません。
専任媒介契約と専属専任媒介契約の有効期間は3か月以内です。更新する場合も、更新のときから3か月を超えられません。一般媒介契約に法律上の期間規制はありません。ただし国土交通省の標準媒介契約約款では、同じく3か月以内で定められています。
| 比べる点 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 複数社との契約 | できる | できない | できない |
| レインズ登録義務 | なし | 契約日から7日以内 | 契約日から5日以内 |
| 販売活動の報告 | 定めなし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 売主が登録内容を確認 | できない | できる | できる |
| 契約期間 | 約款で3か月以内 | 3か月以内 | 3か月以内 |
つまり、複数社に頼める自由を優先するか、1社に義務を負わせることを優先するかという選択です。複数社を比べたい段階では一般媒介、任せる会社を決めた段階では専任媒介という進め方も現実的です。なお3種類の違いは、ここで挙げた5点だけではありません。一般媒介と専任媒介の違いを確認したうえで選んでください。
依頼しないと決めたときの断り方
査定を受けた後に断ることは、まったく問題ありません。査定は契約の申込みではないからです。
費用の請求を心配する必要もありません。国土交通省の解釈・運用の考え方は、根拠の明示を法律上の義務としています。そのうえで、査定にかかった費用を会社が売主に請求することはできないと明記しています。無料と言われて査定を受けた後から請求される、ということはありません。
伝え方は短くて構いません。「今回は他社にお願いすることにしました」で十分です。理由を細かく説明する義務はありません。理由を伝えたい場合は、「査定額の根拠が確認できなかったため」とそのまま伝えても問題ありません。
連絡がしつこい場合は、はっきり伝えます。今後は連絡しないでほしいと、メールなど記録が残る形で送っておくと確実です。
複数社の査定額を並べて中央値で判断する
査定額が3社以上そろったら、中央値を見ます。1社だけでは、その金額が高いのか低いのかを測る基準がありません。一度に複数社へ依頼する方法は、不動産査定サイトの比較で選び方とデメリットを解説しています。
中央値とは、金額を安い順に並べたときに真ん中に来る数字のことです。3社なら2番目、5社なら3番目。平均値と違って、突出して高い1社があっても中央値は動きません。
たとえば3社の査定額が3,000万円、3,200万円、3,900万円だったとします。平均値は3,367万円。中央値は3,200万円です。3,900万円の1社が平均値を押し上げています。売り出し価格を考えるときの基準としては、中央値のほうが現実的です。
中央値から離れた査定額も無駄にはなりません。なぜ高いのか、なぜ低いのか。各社に尋ねてみてください。物件のどこが評価されたのかが分かります。「駅前の再開発が決まっているため」という高い理由は、根拠として成立するでしょう。「境界が未確定のため」という低い理由からは、売却前に対処すべき課題が見つかります。
不動産取引情報提供サイトで似た条件の事例を確認する。その価格帯に入っている査定額を基準にする。この手順なら、金額の高さに引きずられずに売り出し価格を決められます。
\ 比べられる状態をつくりましょう /
まとめ
高すぎる査定額そのものが問題なのではありません。判断の基準になるのは、根拠になった成約事例を示せるかどうかです。宅地建物取引業法は、価格について意見を述べる不動産会社に根拠の明示を義務づけています。
査定額、売出価格、成約価格は別の数字です。査定額は3か月程度で売れると見込んだ予測にすぎません。高値のまま売り出すと掲載期間が延びます。売主が値下げを繰り返すことにもなりかねません。
売主には確認の手段があります。査定書の根拠を確かめる、担当者に成約事例を尋ねる、公的サイトで相場を調べる。専任媒介契約や専属専任媒介契約なら、レインズの登録内容と取引状況を自分で確認できます。
まずは手元の査定書を開いて、金額以外に何が書かれているかを見てみてください。根拠が見当たらなければ、その1点を担当者に尋ねるところから始められます。
複数社に査定を出してもらえば、各社の根拠を並べて比べられます。1社の金額だけで決めず、比較できる状態を作ってから選んでください。
\6年連続不動産査定サイトNO.1/
※2025年9月19日-23日 「サイト評価に関する調査」より
よくある質問
査定額について、相談の場でよく出る質問をまとめました。
査定額どおりの金額で売れることはありますか
あります。ただし保証されているわけではありません。査定額は、3か月程度で売れると見込んだ価格です。想定どおりに買主が見つかれば、査定額に近い金額で成約することもあります。ただし最終的な金額を決めるのは買主との交渉です。査定額より下がることも、複数の買主が競合して上がることもあります。
一番高い査定額を出した会社に依頼してはいけませんか
金額の高さだけでは判断できません。依頼先の候補になるのは、合理的な根拠を示せる会社です。宅地建物取引業法第34条の2第2項は、価格について意見を述べる際の根拠明示を義務づけています。その根拠は合理的なものでなければならない、と国土交通省の文書にも書かれています。成約事例を示して説明できるかどうかを確認してください。
査定額が低すぎる会社は避けたほうがよいですか
査定額が低い会社にも、根拠がある場合があります。建物の劣化や境界の問題など、価格を下げる要因を正確に見ている可能性もあります。減額の理由を具体的に説明できるかを確認してください。なお国土交通省の解釈・運用の考え方は、売り急ぎや買い急ぎなど特殊な事情のある取引事例を収集の対象としないよう求めています。特殊な安値事例を根拠にしていないか、その点も確認しておきたいところです。
訪問査定を受けたら査定額が下がりました。よくあることですか
起こり得ます。机上査定では、日当たりや隣地との関係、室内の劣化、設備の状態などを確認できません。戸建住宅の査定では、建物の状態を価格に反映させる原価法が使われます。現地を見て数字が動くことは自然といえます。下がった理由の説明を求めてください。
無料査定を受けただけで売却する義務はありますか
ありません。査定は契約の申込みではないからです。費用についても心配は不要です。根拠を示すのは会社側の義務であり、査定にかかった費用を売主に請求できないと国土交通省の文書は明記しています。断る場合は、他社に依頼する旨を伝えれば十分です。
土地は固定資産税評価額より高く売れますか
固定資産税評価額は、地価公示価格などの7割を目途に決められます。市場価格より低く設定されている数字です。ただし2つは目的が違います。この割合を割り戻して売却価格を出すことはできません。評価替えも3年ごとで、その間の値動きは反映されません。売却価格を知りたい場合は、不動産取引情報提供サイトなどで近隣の成約事例を確認するほうが確実です。税や相続に関わる判断が必要な場合は、税理士など専門家への相談をおすすめします。
出典
- 宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)(e-Gov法令検索/令和7年法律第68号による改正、2026年4月1日施行)
- 宅地建物取引業法施行規則(昭和32年建設省令第12号)(e-Gov法令検索/令和7年内閣府・国土交通省令第2号による改正、2026年4月1日施行)
- 国土交通省・宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(令和7年12月15日改正、令和8年4月1日以降適用)
- 国土交通省・令和8年地価公示の概要(2026年3月公表)
- 国土交通省・地価公示
- 国土交通省・不動産情報ライブラリ
- 東日本不動産流通機構・首都圏不動産流通市場の動向(2025年)(2026年1月20日公表)
- 東日本不動産流通機構・Market Watch 月例速報 サマリーレポート 2026年7月度
- 全国4不動産流通機構・月例速報 Market Watch〔全国版〕2026年7月度
- 東日本不動産流通機構・売却依頼主様向け説明ページ
- 全国指定流通機構連絡協議会・不動産取引情報提供サイト(REINS Market Information)
- 国税庁・財産評価基準書 路線価図・評価倍率表(令和8年分)
- 総務省・固定資産評価のしくみについて
- 不動産流通推進センター・価格査定マニュアル
