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売れない家は買取へ切り替えるべき?仲介で売れない原因・判断基準・媒介契約の手順

仲介で売れないからといって、すぐに買取へ切り替える必要はありません。分かれ目になるのは、売れなかった期間の長さではなく、売却の期限と、最後に手元へ残るお金です。

買取が現実的な選択肢になるのは、売却の期限が動かせない、維持費や管理の負担が重い、一般の買主では住宅ローンを組みにくい事情がある、といった場合です。

反対に、売出価格や広告の出し方、不動産会社の売り方に見直す余地が残っているなら、仲介を続けたほうが手元に残るお金は多くなるかもしれません。

  • 期限を優先するなら:買取査定を取り、仲介を続けた場合と並べて比べる
  • 価格を優先するなら:売れない原因と打てる手を確かめてから、仲介を続けるか決める
  • どちらでも共通:今の媒介契約の種類・満了日・買主を知った経路を押さえる

媒介契約とは、売却の仲介を不動産会社へ依頼するときに結ぶ契約です。この契約の種類によって、売主にできることが変わります。たとえば専属専任媒介契約の期間中は、売主が自分で見つけた買取会社と直接契約できません。買取を申し込む前に、手元の契約書を開いてください。

なお、この記事の「決済」は、買主から残代金を受け取り、所有権を移す手続きを指します。

想定している読者は、日本国内の住宅や住宅用地を、通常の仲介で売り出している個人、またはこれから売る予定の個人です。任意売却、競売手続、共有者同士の争い、借地権、成年後見、相続登記が済んでいないといった事情がからむ場合は、ここに書いた一般的な手順だけで進めないでください。金融機関や、その問題を扱う専門家へ先に相談する必要があります。

目次

売れない家を買取へ切り替えるか判断する早見表

同じ「売れない」でも、原因は一つではありません。今の状況にいちばん近い行から読んでください。

※表は横にスクロールして確認できます。

現在の状況第一候補先に確かめること
住み替え、相続整理、返済などで期限が決まっている買取査定を取り、仲介継続と並べて比べる残代金が必要な日、ローン残高、買取額の確定条件
問い合わせも内覧もあり、値引き交渉も現実的な幅にとどまる仲介を続ける余地がある申込みに至らない理由、実際に成約が見込める価格
問い合わせが少なく、価格や広告も見直していない販売条件を先に見直すレインズ登録、広告範囲、競合物件、価格の根拠
内覧はあるのに申込みが入らない改善案と買取を比べる建物状態、片付け、価格、引渡条件への反応
申込み後に融資や物件条件を理由に何度も流れる買取を有力候補にする再建築、道路との接し方、未登記、劣化、権利関係
維持費や管理の手間が重く、改修費もかけたくない現状のままの買取条件を確認する家に残す家具・家電など(残置物)、測量、解体、修繕を誰が負担するか
仲介会社に取扱いを断られ、まだ売り出せていない理由を整理して専門分野に合う会社へ相談する対応地域、価格帯、再建築、権利、建物状態のどれが理由か
専任・専属専任媒介契約が残っている契約の確認を優先する満了日、中途解除、自分で見つけた買主との取引、費用・違約金
売れない家の状況別に、最初の選択肢と確認事項を整理した表

最初に用意する4つの資料

  • 現在の媒介契約書
  • レインズの登録証明書と、不動産会社から受けた販売活動報告
  • 住宅ローンの残高と、売却代金が必要になる期限
  • 登記事項証明書、間取り図、測量図、修繕履歴など手元にある物件資料

最初の査定で、資料を丸ごと何社にも送る必要はありません。本人確認書類、口座情報、権利証に代わる重要書類である登記識別情報の通知書は、この段階では不要です。

マイナンバー、口座番号、借主や購入検討者の連絡先など、査定に関係のない個人情報は、塗りつぶすなどして隠してから渡します。詳しい資料が必要になったら、候補を絞り、送り先を確かめたうえで、必要な範囲だけ共有しましょう。書類の原本と登記識別情報の符号は、最初の査定メールに添付しないでください。

行動フロー|迷ったときに進める順番

  1. 媒介契約書で、契約の種類と満了日を確認する
  2. レインズの登録内容と販売活動報告を見て、反応が止まった場所を確かめる
  3. 今の仲介会社に、成約が見込める価格と次に打つ手を聞く
  4. 同じ物件資料を使い、2〜3社から買取査定を取って、手取り額と決済日を比べる
  5. 契約前に、減額・解除・売主負担・買主を知った経路を確認する

仲介で売れない原因は「どこで止まったか」でわかる

売れないという結果だけでは、原因はまだ特定できません。物件そのものに理由があるのか、価格や見せ方の問題なのかも分かれます。今の時点で確実に言えるのは、今の価格・見せ方・条件では買主が決まっていない、ということまでです。

手がかりになるのは、広告を出してから決済までのどこで反応が止まったのか。止まった場所が変われば、原因の候補も打つ手も変わります。

図解|売却活動が止まった場所から原因を絞る

1.掲載

レインズや広告に正しく出ているか

2.問い合わせ

価格や情報が買主候補に届いているか

3.内覧

広告と実際の条件にずれがないか

4.申込み

価格・状態・引渡条件が壁になっていないか

5.契約・決済

融資、権利、建物条件で止まっていないか

レインズや広告に正しく掲載されているか

レインズは、不動産会社同士が物件情報を共有するネットワークです。専任媒介契約と専属専任媒介契約では、不動産会社に登録義務があります。売主も、不動産会社から受け取る登録証明書のIDなどを使えば、登録内容や取引状況を自分で確認できます。

2025年1月からは、取引状況の登録も義務化されました。表示は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3種類です。登録証明書と売主専用画面を開き、価格、図面、取引状況が実際の状況と合っているかを見ます。

ポータルサイトについては、掲載先、写真、間取り、備考、公開開始日を一覧にしてもらいましょう。まだ情報が十分に行き渡っていない段階で値下げをしても、価格が原因だったのかは分かりません。値下げは、掲載状況を確かめたあとの手です。

掲載されているのに問い合わせが少ない

広告は出ているのに反応が乏しいなら、原因の候補は売出価格、物件の条件、情報の不足あたりに絞られます。ここで基準になるのは、売主の希望額ではありません。同じ地域・物件種別・築年帯などで実際に成約した事例と、いま売り出されている競合物件です。

不動産会社から「価格を下げましょう」と言われたら、その先まで聞いてください。

  • 現在の売出価格と、実際に成約が見込める価格の違い
  • 比較した成約事例の時期、地域、面積、築年、その他の条件
  • 競合物件と比べた強み・弱み
  • 価格変更後に想定する買主層と販売方法
  • 変更後、どの数字を見て改善したと判断するか

根拠の弱い値下げを繰り返すと、価格が原因だったのかが分からなくなります。仲介を続けるべきか、買取へ移るべきかの判断も、そのぶん難しくなります。

問い合わせはあるのに内覧へ進まない

問い合わせのあとで内覧まで進まないなら、広告から受ける印象と、立地・価格・引渡条件の実際にずれがあるのかもしれません。電話やメールで見送られた理由を、「反応がよくなかった」といった感想ではなく、項目ごとに書き出してもらいます。

  • 入居できる時期、引渡時期
  • 駐車場、道路との接し方、交通、周辺環境
  • 住宅ローンを利用できるか
  • 修繕履歴、雨漏りなど建物の状態
  • 境界、建物や塀が隣地にはみ出した部分(越境)、増改築、登記されていない部分
  • 売出価格と、購入後に必要な改修費の合計

同じ理由が並ぶなら、広告の見せ方を直しても結果は変わりません。その条件自体を変えにくいときは、事情を伝えたうえで買取査定も取り、仲介を続ける案と並べます。

内覧はあるのに購入申込みが入らない

内覧まで進んでいるなら、少なくとも検討の入口には立てています。ここで急いで買取だけに絞ると、少しの手直しで売れる余地まで、安く手放すことになりかねません。

内覧後の反応は「なんとなく合わなかった」で終わらせず、価格、室内の状態、修繕費、日当たり、騒音、引渡条件などに分けて聞きます。修繕を考えるなら、その前に現状のままの買取額も聞いておきましょう。50万円かけて直しても、手元に残るお金が50万円以上増えるとは限りません。

申込みは入るが契約・決済まで進まない

買主の住宅ローン審査や、物件の法律上・建物上の条件で取引が止まるなら、買主が替わっても同じところで止まる可能性があります。再建築ができない、道路との接し方に問題がある、未登記の部分がある、境界がはっきりしない、賃貸中や共有名義である、大きな不具合がある。原因が物件の条件側にあるなら、その分野を扱う買取会社へ事情を正確に伝えて査定を依頼します。

ただし、買取会社なら何でも買えるわけではありません。対応地域や再販売の方法は会社ごとに違い、扱える物件の範囲もそれぞれです。権利や登記が整理されていない場合は、価格を比べる前に、司法書士、土地家屋調査士、弁護士などへ確認する段階が入ることもあります。

仲介会社に取扱いを断られ、まだ売り出せていない

断られた時点では、まだ「売れない家」とは決まりません。理由が会社側にあることもあります。営業エリア外、価格帯が社内基準に合わない、遠方で調査しにくい、といった事情です。物件側の理由なら、再建築、道路、共有、未登記などが挙がります。

どちらなのかで、次の相談先が変わります。会社側の事情なら、その地域や低価格帯の物件を扱う仲介会社へ相談する余地があります。権利や建築条件が理由なら、その分野を扱う買取会社へ相談し、必要に応じて司法書士、土地家屋調査士、建築士、自治体窓口などへ確認します。断られた理由は項目別に聞き、自分でも記録しておきましょう。原因が分からないまま、最初の買取提示額だけで決めるのは避けてください。

売れない家を買取へ切り替える判断基準

買取に向いているのは、「安くてもいい人」ではありません。仲介で増えるかもしれない金額よりも、売る時期を自分で決められることや、家を手放して負担を止められることを重く見る人です。

具体的には、売却の期限を動かせない、維持費や管理の負担が積み上がっている、融資や道路・建物の状態を理由に一般の買主との取引が何度も流れる、といった状況です。残置物の片付けや修繕を自分で手配したくない場合も、買取を比べる価値があります。

逆に、期限に余裕があり、価格・広告・引渡条件に打てる手が残っているなら、仲介を続ける余地があります。判断材料になるのは「もう少し待てば売れます」という言葉ではなく、次の3点への答えです。何を変えるのか、いつまでに、どの数字が動けば効果があったと見るのか。ここが返ってこないなら、続ける根拠は薄いままです。

3か月は「買取へ切り替える期限」ではない

専任媒介と専属専任媒介の契約期間は、法律上3か月以内です。一般媒介に法律上の上限はありませんが、国土交通省が示す標準的な契約ひな型では3か月以内とされています。

つまり3か月は、媒介契約の区切りです。「3か月以内に売れる」という目安でも、「3か月を過ぎたら買取が得」という線でもありません。

期間の感覚をつかむ材料としては、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表した2025年の首都圏データがあります。成約した物件のレインズ登録から契約までの平均は、中古マンション82.5日、中古戸建住宅100.9日でした。ただし、首都圏で成約した物件だけの平均です。登録前の準備期間、契約後の決済、成約しなかった物件は含まれません。自分の家が売れるまでの期間を示す数字ではない点に注意してください。

3か月の使いどころは別にあります。契約が満了するタイミングで、反響の数、見送られた理由、次に打つ手を確認する。納得できる改善策が出れば更新し、具体策が出てこなければ仲介会社の変更や買取を比べる。見直しの節目として使うわけです。

買取価格を「仲介価格の何割」と決めつけない

買取価格に、全国共通の公的な割合はありません。買取会社は、買い取った家を改修・整理して売り直すことがあり、そこまでにかかる費用と、売れ残る可能性を見込んで価格を出します。差し引かれる中身は、物件ごとに違います。

国土交通省の不動産情報ライブラリには、実際の取引価格が載っています。ただ、公開されている項目だけでは、同じ物件の仲介成約額と買取提示額を突き合わせられません。公的データから「買取は仲介価格の一律○%」という割合を計算することもできません。

買取価格の考え方

再販売できると見込む価格
- 改修・解体・測量・残置物処分などの費用
- 取得から再販売までの税・金利・管理・販売費
- 価格下落や売れ残りなどへの備え
- 買取会社の利益

この式は仕組みを理解するための整理であり、すべての会社が使う共通の査定式ではありません。

同じ地域でも、境界がはっきりしていて軽い補修だけで売れる家と、大規模な改修や権利の整理が必要な家では、引かれる費用が変わります。だからこそ、「相場の7割だから妥当」と考えるより、その会社が何の費用をどれだけ見込んでいるのかを聞いたほうが、査定額の差の意味が見えてきます。

仲介と買取は「手元に残るお金」と決済日で比べる

売出価格と買取の提示額を並べると、たいてい仲介のほうが高く見えます。ただ、売出価格はまだ誰とも合意していない希望価格です。仲介側で使うべき数字は、実際に成約が見込める価格。そこから売却費用と、売れるまでの維持費を引きます。

税金を除いた概算手取り

売買代金
- 売主が負担する売却費用
- 決済までの維持費
- 決済時に返す住宅ローン

ここでいう概算手取りは、売却代金から費用とローン返済額を引き、譲渡所得税をまだ引いていない金額です。

譲渡所得の税金は、売買代金にそのまま税率を掛けて計算するものではありません。国税庁の説明では、収入金額から取得費、譲渡費用、特別控除額を引いた額が課税の対象になります。使える特例も、所有期間や居住状況によって変わります。税額は、手取りの比較とは切り離して試算してください。

計算例|価格差ではなく、手取り差を見る

以下は、比べ方を示すための架空の例です。市場の相場や一般的な買取率を表すものではありません。個人が自宅を売る想定で、譲渡所得税と住宅ローンの返済は含めていません。

  • 仲介案:2,400万円で6か月以内に成約する見込み
  • 直接買取案:現地調査と社内承認後の確定額が2,190万円。契約から1か月後に決済し、買主側の融資・社内承認による解除条件はない
比較項目仲介を続ける案直接買取案
売買代金2,400万円2,190万円
仲介手数料85万8,000円0円
片付け・軽い補修30万円0円(残置物を含め現状のまま引渡し)
決済までの維持費15万円(月2万5,000円×6か月)2万5,000円(月2万5,000円×1か月)
印紙税・抵当権を外す費用などの概算5万円5万円
税金を除いた概算手取り2,264万2,000円2,182万5,000円
手取り差仲介案より81万7,000円少ない
仲介と直接買取の手取りを、同じ条件で比べた架空の計算例

仲介手数料は、2,400万円の売買で法律上の上限額を置いた例です。実際の報酬額は、上限の範囲内で媒介契約時に合意します。直接買取を0円としたのは、買取会社自身が買主となり、別の会社が仲介しない設定だからです。仲介会社を通じて買取会社と契約する場合は、仲介手数料がかかることもあります。

売買価格が800万円以下の宅地・建物を仲介で売るときは、事前に説明を受けて合意すれば、不動産会社が一方の依頼者から受け取れる報酬の上限が税込33万円になる特例があります。低価格の家では通常の計算式より高くなることもあるため、媒介契約書の報酬額を確かめてください。

この例では、直接買取の手取りは仲介案より81万7,000円少なくなります。その代わり、決済までの期間が短くなり、片付けや補修の負担も避けられる想定です。

では、成約額が2,300万円まで下がり、決済まで8か月かかったらどうなるか。同じ費用条件で計算すると、仲介の手取りは2,162万5,000円です。今度は直接買取のほうが20万円多くなります。希望価格ではなく、成約が見込める価格と実際にかかる期間を入れると、結論は入れ替わります。

仲介継続・会社変更・買取・買取保証を同じ軸で比べる

「買取」と一口に言っても、誰が買主になるのか、仲介会社が間に入るのかは案件ごとに違います。手数料がかかるかどうかも、そこで決まります。仲介を続ける案、会社を変える案も含めて、価格が決まる時期、売却の期限、費用という同じ軸で並べてください。

※表は横にスクロールして確認できます。

選択肢価格・期限仲介手数料向く状況と注意点
今の仲介を続ける成約価格と時期は未確定成約時に発生改善策と判定期限が具体的な場合。希望価格ではなく成約見込額で比べる
仲介会社を変える売り方は変えられるが、成約は未確定新しい媒介契約で確認今の販売活動に問題がある場合。広告の重複や、前の会社が紹介した相手に注意する
直接買取現地確認・社内承認後に価格と決済日を決めやすい仲介会社を挟まなければ通常は不要期限と確実性を優先する場合。契約前の再査定と、契約後の変更条件を分けて確認する
仲介会社を通す業者買取買取会社が買主、仲介会社が取引を仲介発生することがある条件調整を任せたい場合。買主、仲介会社、手数料を分けて確認する
買取保証一定期間は仲介で販売し、条件を満たせば予定先が買い取る仲介で成約した場合などに発生することがある高値売却と期限の両方を狙う場合。保証価格、期限、対象外条件、値下げとの関係を確認する
仲介継続、会社変更、直接買取、仲介を通す業者買取、買取保証の比較

宅地建物取引業の免許を持つ不動産会社(宅建業者)の会社名や免許番号は、国土交通省の宅地建物取引業者検索で確認できます。ここで気をつけたいのは、契約書に書かれた買主の法人と、仲介・説明・再販売を担う会社が同じとは限らない点です。査定書や売買契約書では、買主の法人名、関わる宅建業者とその免許番号、両者の関係を、それぞれ分けて確かめましょう。

買主の法人に免許番号がないからといって、それだけで違法と決まるわけではありません。ただし、その法人が買取と再販売を繰り返している場合は、宅建業免許が必要になる可能性があります。実際に買い取って売り直すのはどの会社なのか、その会社に免許があるのかを確認してください。

媒介契約を更新しないで買取へ切り替える手順

媒介契約を更新せずに買取へ移るとき、「更新しません」と伝えただけでは足りません。満了前後の広告掲載、前の会社から紹介された相手、精算していない費用。ここまで片付けてから次の売買契約へ進むと、あとから請求やトラブルが出にくくなります。

1.契約の種類・満了日・特約を確認する

媒介契約書には、国土交通省が示す標準的な契約ひな型に基づくかどうかが書かれています。次の項目を順に見てください。

  • 一般媒介、専任媒介、専属専任媒介のどれか
  • 契約満了日
  • 自己発見取引の可否
  • 中途解除、違約金、仲介会社が負担した費用の精算
  • 前の会社が紹介した相手と直接契約する場合の条項
  • 特別に依頼した広告費などの精算
  • 更新方法と特約

自己発見取引とは、売主が自分で買主を見つけて売ることです。専任媒介と専属専任媒介は、満了のたびに売主が更新を申し出て、不動産会社が同意したときだけ更新されます。あらかじめ自動更新にしておくことはできません。一般媒介の更新方法は、契約書で確認します。

2.契約期間中にできること・できないことを確かめる

※表は横にスクロールして確認できます。

契約の種類他社への仲介依頼自分で見つけた相手との契約標準的な契約ひな型での主な注意
専属専任媒介できないできない期間中に別の買取会社と契約すると、違約金の対象になる可能性がある
専任媒介できないできる契約前に通知し、仲介会社が実際に負担した費用を支払う条項がある
一般媒介できるできるほかに依頼した会社名を知らせる方式か、成約時の通知や費用の条項を確認する
媒介契約の種類ごとに、契約期間中にできることを比較した表

この表は、国土交通省の標準的な契約ひな型を前提にした概要です。なお、査定を取ることと、仲介契約や売買契約を結ぶことは別です。査定を依頼した会社と契約する前に、実際の契約書を確認してください。

3.更新しない意思を、記録が残る方法で伝える

満了日を確かめ、メールや書面など、あとから確認できる方法で連絡します。長い説明は必要ありません。

件名:媒介契約を更新しない旨のご連絡

○○所在の物件について締結している媒介契約は、○年○月○日の期間満了をもって終了し、更新しません。

満了日に販売活動と広告掲載を終了し、レインズを含む掲載停止日、鍵・原本書類の返却方法、未精算費用の有無をご連絡ください。あわせて、紹介済み案件の有無と、書面による購入申込みの有無を、個人情報を必要以上に含めない形でご提示ください。

口頭で伝えた場合も、同じ内容をメールで送り、送信記録と返信を保存しておきます。

4.販売活動の終了と引継ぎを確認する

満了日までに次の内容を一覧で受け取っておくと、そのあとの買取査定でも条件をそろえやすくなります。

  • 売出価格と変更履歴
  • レインズ登録証明書と最後の取引状況
  • 広告媒体、掲載期間、販売図面
  • 問い合わせ、内覧、購入申込みの履歴
  • 見送られた理由
  • 紹介済み案件の日付、仲介会社、進行状況など必要最小限の履歴
  • 鍵、図面、測量図、検査資料などの返却予定
  • 未精算の特別広告費などがあるか

ポータルサイトや店頭広告が満了後も残ると、新しい売却活動と重複します。掲載を止める日も、文書で確認しておきましょう。

5.前の仲介会社が紹介した相手かを確かめる

国土交通省の標準的な契約ひな型には、媒介契約の終了後2年以内に、前の仲介会社の紹介で知った相手と、その会社を外して契約した場合の条項があります。前の会社は、成約への貢献度に応じた報酬を請求できる可能性があります。

これは「満了後2年間はほかの会社へ売れない」という意味ではありません。問題になるのは、前の仲介会社から紹介された相手と、その会社を外して契約する場合だけです。買取会社を誰から、いつ紹介されたのかを記録し、はっきりしないなら契約前に確認してください。

6.契約関係を整理してから買取契約へ進む

契約の満了または解除、広告の停止、買主を知った経路、費用の精算。この4点を確認してから買取契約へ進むと、あとで争いになりにくくなります。

満了前に契約する場合は、契約の種類をもう一度確かめます。専属専任媒介では自己発見取引ができないため、先に契約終了の扱いを文書で決めます。専任媒介では自己発見取引ができますが、標準的な契約ひな型には事前通知と費用精算の条項があります。買主を自分で見つけたといえるのか判断がつかない場合も、署名前に今の仲介会社へ確認してください。

買取会社は提示額ではなく「確定する手取り」で比べる

同じ提示額でも、すでに確定した金額なのか、これから動く概算なのかで意味は変わります。仮の金額なら、現地調査や社内承認のあとで下がることがあります。契約後の値下げや解除は、これとは別の問題で、売買契約の条項と当事者の合意で決まります。次の3つは、混同せずに一つずつ確認しましょう。

  1. 査定額が確定する時期
  2. 契約前に再査定する条件
  3. 契約後に価格を変えたり、契約を解除したりできる条件

記入例|提示額が高い会社より、手取りが多い会社を選ぶ

以下は、比べ方を示すための架空の例です。実在する会社や一般的な相場を表すものではありません。両社とも、買取会社自身が買主となる直接買取を想定しています。

※表は横にスクロールして確認できます。

確認項目A社(架空)B社(架空)
契約上の買主/仲介A社/仲介なしB社/仲介なし
宅建業免許A社の免許を確認済みの想定B社の免許を確認済みの想定
提示価格2,190万円2,240万円
金額が確定する時期・有効期限現地調査・社内承認後の確定額/10日間現地調査前の概算額/7日間
契約前の再査定条件新しい事実の申告漏れがない限り変更なし境界・建物確認後、最大40万円減額
契約後の変更・解除条件買主の融資・社内承認による解除なし買主の社内承認を理由とする解除条項あり
売主負担印紙税・抵当権抹消関係費用など5万円、維持費2万5,000円残置物30万円、測量55万円、印紙税・抵当権抹消関係費用など5万円、維持費5万円
契約・決済手付金100万円、残代金は1か月後手付金50万円、残代金は45日後
売却後に売主が負う責任責任を免除する特約あり。ただし、知りながら伝えなかった事実などは除く想定責任を免除する範囲と期間が未確定
税金を除いた概算手取り2,182万5,000円40万円減額後は2,105万円
買取会社2社の提示額、売主負担、解除条件、手取りを比べた架空の記入例

B社の提示額はA社より50万円高く、この欄だけを見ればB社が有利です。ところが40万円減額され、残置物の処分と測量を売主が負担すると、手取りはA社のほうが77万5,000円多くなります。しかもB社は、解除条件と契約不適合責任の範囲が決まっていません。この段階のB社の金額を、確実に入るお金として数えることはできません。

買取会社の比較シート

書面にない項目は0円ではなく「未確定」と書き込み、メール、査定書、契約案を一緒に保存しておきます。

※表は横にスクロールして確認できます。

確認項目A社B社C社
契約上の買主/仲介・説明を担う会社/免許番号   
査定額の確定時期・有効期限   
契約前の再査定条件   
契約後の価格変更・解除条件   
売主負担の手数料・測量・修繕・残置物・登記費用   
手付金・残代金・契約日・決済日・引渡日   
契約不適合責任の範囲・期間   
税金を除いた概算手取り   
買取会社3社を同じ条件で比較するための記入用シート

「現状のまま買い取ります」「売却後の責任は問いません」「最短で決済できます」。こうした説明が口頭だけなら、比較の材料にはなりません。契約書のどの条項に書かれているのかまで確認しましょう。

査定条件をそろえるために渡す資料

  • 登記事項証明書、購入時の売買契約書、権利証・登記識別情報の有無
  • 固定資産税の納税通知書と評価証明書
  • 建築確認、検査済証、間取り図、増改築の資料
  • 測量図、境界確認書、越境に関する覚書
  • 修繕履歴、設備の故障、雨漏りやシロアリなど把握している不具合
  • 住宅ローン残高と抵当権の内容
  • マンションなら管理規約、総会資料、管理費、修繕積立金
  • 賃貸中なら賃貸借契約書、敷金、滞納や更新の状況

手元にない資料は、「ない」と各社へ同じように伝えます。1社には不具合を伝え、別の会社には黙っていると、返ってきた査定額を比べる意味がなくなります。

本人確認書類、納税通知書、ローンの資料、賃貸借契約書などを渡すときは、査定に関係のないマイナンバー、口座番号、借主の氏名・連絡先を隠します。共有するのは必要になった段階で、送り方も安全な方法を選んでください。

買取でも売却後の責任が自動的になくなるわけではない

契約不適合責任とは、引き渡した物件が売買契約で約束した内容と違っていたときに、売主が負う責任です。不動産会社が買主になる買取では、この責任を狭めたり免除したりする特約が置かれることがあります。ただし、買取だから法律上当然に責任がなくなる、というわけではありません。

民法572条は、売主が責任を負わない特約をしても、売主が知りながら伝えなかった事実などについては責任を免れないと定めています。つまり免責の特約は、「黙っていてよい」という許可ではありません。雨漏り、設備の故障、越境、事故・告知事項など、把握している事実は書面で具体的に伝え、契約書や物件状況の確認資料と内容を一致させてください。

「現状有姿」は、現在の状態で引き渡すという条件です。把握している不具合や権利関係を説明しなくてよい、という意味ではありません。

買取契約の署名前に専門家へ確認したいケース

次の4つにあてはまるなら、査定額が高くても署名を急がないでください。先に整理しないまま進めると、決済できなかったり、あとから責任を問われたりすることがあります。

買取代金だけでは住宅ローンを返しきれない

買取代金で住宅ローンを完済できない見込みなら、契約前に金融機関へ相談します。抵当権とは、金融機関が住宅ローンの担保として不動産に設定する権利です。売却時にこの抵当権を抹消できるのか、どのような条件が付くのか、不足額をどう用意するのかを確認してください。

所有者・相続・共有の整理が終わっていない

登記名義人が亡くなっている、共有者の意向が一致していない、成年後見や遺産分割が関係する。こうした場合は、そもそも誰が売却できるのかを先に確かめます。登記手続は司法書士、当事者同士の調整や争いは弁護士など、問題に合った専門家を選んでください。

境界・越境・未登記・道路条件が価格を左右している

「買取会社が処理します」という説明だけで進めず、誰が、いつ、いくらで、何を行うのかを契約書に書いてもらいます。土地の境界や建物の表示登記は土地家屋調査士、権利の登記は司法書士、建築上の扱いは自治体窓口や建築士などが主な確認先です。

契約条項の意味や解除条件がわからない

価格の再協議、買主の社内承認、融資、買主の立場を別会社へ移す条項、手付解除、違約金、契約不適合責任。売主に不利になり得る条項の意味が分からないなら、その場で署名しないでください。説明を文書でもらい、必要に応じて弁護士へ契約書の確認を依頼します。

売れない家の買取でよくある質問

媒介契約を更新しない場合、詳しい理由は必要ですか?

更新しない意思を伝えるために、長い理由を書く必要は通常ありません。それよりも、満了日、更新しないこと、広告の停止、鍵や書類の返却、未精算費用の有無を、記録が残る方法で確認しておくほうが大切です。契約書に連絡方法などの定めがあれば従いますが、その特約によって専任媒介や専属専任媒介が自動更新されるわけではありません。

専任媒介契約中に買取査定を受けてもよいですか?

査定を取ることと、仲介契約や売買契約を結ぶことは別です。専任媒介ではほかの会社へ仲介を依頼できませんが、売主が自分で見つけた相手との契約はできます。ただし、標準的な契約ひな型には事前通知と費用精算の条項があります。専属専任媒介では自己発見取引もできないため、査定を依頼した会社と契約する前に、今の契約種類と条項を確認してください。

買取査定は何社に頼めばよいですか?

社数に決まりはありません。まず2〜3社へ同じ資料と条件を示し、金額が確定する時期、売主負担、解除条件、決済日まで比べると、違いをつかみやすくなります。会社を増やすほど個人情報の送信先も増えるため、最初から一斉に詳細資料を渡さず、候補を絞りながら進めるほうが安全です。

買取前にリフォームや片付けをしたほうが高く売れますか?

先に費用をかけず、現状のままの査定額と、工事・片付け後の査定見込みを同じ会社に出してもらいましょう。かけた費用ほど価格が上がらないこともあります。残置物を置いたまま引き渡せる場合も、残してよい物、追加費用、処分する人は、契約書に明記してもらいます。

まとめ|売れない期間ではなく、期限・手取り・契約条件で決める

何か月売れなかったかは、買取へ切り替える理由になりません。まず、掲載、問い合わせ、内覧、申込み、契約・決済のどこで止まっているのかを特定します。そのうえで、仲介を続けた場合と直接買取を、手取り額と決済日という同じ条件で並べます。

金額を並べたあとに残るのが、契約と責任の確認です。媒介契約の満了日、買主を知った経路、買取額が確定する時期、値下げと解除の条件、売主負担、契約不適合責任。この6点を書面で確かめてはじめて、金額の比較に意味が出ます。

媒介契約が残っている、住宅ローンを完済できない、権利や境界に問題がある。このどれかにあてはまるなら、署名の前に仲介会社、金融機関、その問題を扱う専門家へ相談してください。契約してからでは、選び直せません。


参考資料

参考資料は2026年7月24日に確認しました。この記事は一般的な判断手順を示すものであり、個別の契約、権利、税額について法的・税務上の結論を示すものではありません。

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