首都圏で売り出された中古マンションが成約に至るまで、2025年は平均82.5日かかりました。中古戸建住宅なら100.9日。住みながら売るというのは、この3か月前後を、買い手が家の中を見に来る前提で暮らすことを意味します。
ただし引き渡しの日をいつにするかを先に決めておけば、仮住まいを挟まずに新居へ移れるはずです。この記事では、内覧のたびに売主が何をするのか、いつ家を出ることになるのかを、公的な統計と法令をもとに解説します。
- 住んだまま売り出せるのか
- 4つの売り方と向いている人
- 内覧でかかる負担
- 住みながら売る利点
- 内覧前日と当日にやること
- 決済と引っ越しの日程の組み方
- 売り出す前に確認すること
※本記事の数値は2026年8月時点で公表されている資料に基づきます。制度や税制は改正される場合があります。
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住みながら家を売ることはできる?
今の家に住んだまま売りに出すことはできます。 仲介で家を売る場合、売主が住んでいる状態で買い手を探すのは通常の進め方です。空にしてから売り出す義務はどこにもありません。
居住中のまま売りに出すのは一般的
不動産会社に売却を依頼すると、物件情報が公開されて買い手を探す期間に入ります。この間、売主はそのまま暮らしていて構いません。買い手が現れたら日程を合わせ、家の中を見てもらう流れです。
売り出してから買い手が決まるまでには、それなりの時間がかかります。東日本不動産流通機構のデータで、2025年の首都圏を見てみます。物件情報の登録から成約までにかかった平均日数は、中古マンションで82.5日でした。中古戸建住宅なら100.9日、新築戸建住宅は103.4日、土地は89.8日です。
つまり3か月前後は売却活動が続くと考えておくのが現実的です。この期間を空き家にして家賃を払い続けるより、住み続けたほうが負担は軽くなります。同じ年の首都圏では中古マンションが49,114件成約しており、その多くが居住中のまま売り出されたものです。
住んでいる家は売れにくい?
住んでいるという理由だけで売れなくなることはありません。買い手が気にするのは立地・価格・間取り・築年数であって、売主が住んでいるかどうかは判断材料の中心にはならないからです。
成約までの日数は年によって動いています。中古マンションは2022年の71.4日を底に、2023年80.1日、2024年85.3日、2025年82.5日と推移してきました。中古戸建住宅は2022年81.2日から2025年100.9日まで伸びています。この変化は市況によるもので、居住中かどうかで説明できるものではありません。
戸建てのほうがマンションより時間がかかる点は知っておくと役に立ちます。2025年の首都圏では中古戸建住宅の成約が21,632件、新規登録が77,395件でした。売りに出ている物件の数に対して成約の数が少なく、買い手に選ばれるまで時間がかかりやすい構造です。
住みながら売る人はどんな事情が多い?
持ち家から住み替えた世帯が前の家をどうしたかを見ると、売却がもっとも多くなっています。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査で、中古住宅を買って住み替えた世帯の回答を見てみます。前の家が戸建てだった人の48.3%、集合住宅だった人の59.0%が「売却した」と答えました。賃貸に出す、親族が住む、空き家のままにするといった選択肢もある中で、売却が最多です。
住み替えの資金を作るために売る、というのが典型的な流れになります。新居の頭金や諸費用を前の家の売却代金でまかなうなら、売却代金が入る時期と新居の支払い時期を合わせる必要が出てきます。だから先に引っ越して空き家にするのではなく、住みながら売るという順番になるわけです。
ただし成約までの日数は首都圏全体の平均で、エリアや物件の条件によって動きます。自分の家がどのくらいの期間でいくらになりそうかは、複数の不動産会社に査定を出してもらうと見当がつきます。
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住みながら家を売る4つの方法
住んだまま家を手放す方法は1つではありません。売却後も住み続けられるかどうか、内覧があるかどうかで、選ぶべき方法が変わります。
| 方法 | 引き渡し後も住めるか | 内覧 | 価格の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 仲介で居住中のまま売る | 住めない(引き渡しで退去) | あり | 市場価格 | 住み替え資金を作りたい人 |
| 空き家にしてから売る | 住めない(売却前に退去) | あり(不在時) | 市場価格 | 新居が先に決まっている人 |
| 不動産会社の買取 | 住めない | 原則なし | 市場価格より下がりやすい | 時期を確定させたい人 |
| リースバック | 住める(賃貸として) | 原則なし | 市場価格より下がりやすい | 引っ越したくない人 |
価格の目安は傾向を示したもので、物件や時期、依頼先によって変わります。
仲介で居住中のまま売る
不動産会社に買い手探しを依頼し、住んだまま売り出す方法です。この記事の主題であり、住み替えでもっとも多く使われる進め方でもあります。
市場に出して買い手を探すため、価格は相場に沿った水準を狙えます。売買契約を結んだあと、決済と引き渡しの日までに引っ越しを済ませて家を明け渡します。
税制の面でも不利にはなりません。マイホームを売ったときの3,000万円特別控除は、対象となる資産に「現に自分が住んでいる家屋」が含まれています。住みながら売っても、要件を満たせば控除を受けられるということ。控除額の計算や申告の手順は、家を売るときにかかる税金で詳しく扱っています。
空き家にしてから売る
先に新居へ移り、空になった家を売り出す方法です。内覧のたびに予定を空ける必要がなくなり、掃除も一度で済みます。
ただし新居の費用を先に用意しなければなりません。住宅ローンが残っていれば、売れるまで新旧2本の返済が重なります。2本の返済を同時に抱えるのが難しいため、多くの人は住みながら売る側を選びます。売り先行と買い先行のどちらを選ぶかは住み替えのタイミングで整理しています。
税制上の期限には注意が必要です。3,000万円特別控除は、以前に住んでいた家屋の場合、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件になります。先に引っ越しても、この期限内に売れれば控除の対象です。逆に売れないまま期限を過ぎると使えません。
空き家を長く抱えるリスクもあります。使用目的のない空き家は平成15年の212万戸から令和5年の386万戸へ、20年でおよそ2倍に増えました。売れないまま放置される家が、それだけ多いということです。
不動産会社の買取を使う
不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。買い手を探す期間がないため、内覧に対応せずに済みます。売却の時期を先に確定させたい人には、この点が大きな利点になるでしょう。
一方で、買取価格は市場に出して売る場合より低くなりやすい傾向があります。不動産会社が修繕や再販の費用を見込むためです。内覧の負担と価格のどちらを重く見るかで判断が分かれます。買取と仲介の使い分けは家を売るならどこがいいかを参考にしてください。
売却後も住み続けるリースバック
家を売却したうえで、買主と賃貸借契約を結んで住み続ける仕組みです。所有者は買主に移り、売主は家賃を払う借主になります。引っ越さずに現金化できる点が他の3つと大きく違います。
ただし売却価格は市場価格より低く設定されやすく、家賃も相場と一致するとは限りません。契約の種類によっては、期間が満了すると住み続けられなくなります。買い戻しを希望するなら、その条件を契約時に書面で確認しておくことが欠かせません。
住み替えの資金を作る目的なら、リースバックは合いません。売却代金が新居の購入に回せる代わりに家賃が発生するためです。4つのうちどれを選ぶかは、仲介に出した場合の想定価格が分からなければ比べようがありません。買取やリースバックで提示された金額が妥当かどうかも、仲介での相場を知って初めて判断できるはずです。
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住みながら家を売るデメリット
住みながら売る負担は、大きく4つに分かれます。
どれも売却期間中ずっと続くものなので、始める前に中身を知っておくと心の準備ができるはずです。
内覧のたびに休日を空ける必要がある
買い手が家を見に来るのは、平日の夜か土日祝日に偏ります。仕事を持っている売主にとって、この時間帯は生活の中心です。
売却活動は3か月前後続きます。首都圏の2025年の平均では中古マンションで82.5日、中古戸建住宅で100.9日でした。この間、いつ内覧の依頼が入るかは読めません。予定を入れてしまった週末に打診が来ることもあります。
不動産会社からの連絡も定期的に入ります。専任媒介契約なら2週間に1回以上、専属専任媒介契約なら1週間に1回以上、売却活動の状況を報告する義務が宅地建物取引業法で定められているからです。買い手から購入の申し込みがあったときは、契約の種類にかかわらず遅滞なく報告されます。つまり判断を求められる場面が、売却期間を通じて繰り返し訪れるということ。
生活感が残ると成約が遠のくことがある
家具や日用品が置かれた状態は、買い手にとって二面性があります。暮らしのイメージが湧きやすい反面、部屋が狭く感じられたり、収納の量が見えなくなったりします。
とくに影響が出やすいのが収納です。押し入れやクローゼットが荷物で埋まっていると買い手は容量を測れず、空き家であれば一目でわかる情報が住んでいる家では隠れてしまいます。
床や壁の傷も同じです。家具で隠れている部分は、買い手が確認できないまま契約に進むことになります。あとで発覚すればトラブルの種になりかねません。見えない場所に不具合があるなら、隠さずに伝えておくほうが結果的に安全です。
見られたくない場所や貴重品に気を遣う
内覧では、知らない人が家の中を歩きます。寝室も、洗面所も、収納の中も見られる前提で考えておくほうが安全でしょう。
現金や通帳、印鑑、貴金属といった貴重品の管理は自分で行う必要があります。不動産会社の担当者が同行するとはいえ、すべての部屋を同時に見ていられるわけではありません。書類や郵便物から家族構成や勤務先が読み取られることもあります。
心理的な負担も無視できません。生活の場を他人に見せる行為が、3か月にわたって断続的に続くわけです。家族の中に人見知りの子どもや高齢の親がいる場合、その負担はさらに重くなります。
売却と新居購入のタイミングが読めない
いつ買い手が決まるかは、売り出す前にはわかりません。3か月で決まることもあれば、半年かかることもあるからです。
この読めなさが、新居探しを難しくします。早く新居を決めすぎると、家が売れないまま購入の期限が来ます。逆に決めるのが遅いと、売買契約を結んでから引き渡しまでに新居が間に合いません。
間に合わなかった場合は、仮住まいを挟むことになります。賃貸の初期費用と家賃に加えて、引っ越しが2回発生します。避けられる出費ではありますが、避けるには売却の進み具合を見ながら新居探しを並行させる必要があります。
なお内覧に付き合う期間の長さは、売り出し価格の付け方によっても変わります。相場から離れた価格で出せば問い合わせが入らず、その分だけ負担する期間が延びていくからです。
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住みながら家を売るメリット
負担の裏側には、住みながら売るからこそ得られるものがあります。資金面と物件面、そして買い手への情報提供の3つです。
売却代金を新居の資金に充てられる
売却で得た代金を、そのまま新居の購入資金に回せます。仮住まいの家賃も、二重の住宅ローンも発生しません。
この資金面の効果は、国の調査でも確認できます。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、住宅取得に影響した経済的要因を6つ挙げて指標化しています。「影響なし」を0.5とする指標で全体の平均は0.51でした。要因別に見ると「従前住宅の売却価格」が0.62でもっとも高く、景気の先行き感や金利動向を上回っています。
前の家がいくらで売れるかが、次の家を買う判断をもっとも強く後押ししたということです。住みながらの売却は、売却価格が決まってから新居の予算を決められる進め方です。
もっとも、いくら入るのか分からないままでは新居の予算を組めません。売り出す前に複数社へ査定を出してもらえば、頭金に回せる金額の見当がつきます。
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手入れを続けられるので家が劣化しにくい
人が住んでいる家は、日々の生活の中で換気され、水回りも使われ続けるため、異変があればすぐ気づけます。
空き家にした場合はそうはいきません。国土交通省は空き家のリスクとして、人が住まない家は老朽化に加えて梅雨や夏に換気されず、カビて傷みやすくなると説明しています。これは長期間放置された空き家を前提にした話で、売却期間の数か月がただちに同じ状態になるわけではありません。それでも、定期的に通って換気や清掃をする手間は確実に発生します。
住んでいれば、その手間が生活と一体になるので、庭木の手入れも郵便物の管理も防犯も、暮らしの延長で済ませられます。
暮らしてわかったことを買主に伝えられる
図面や資料には載らない情報を、買い手に直接渡せます。これは空き家の内覧では起こりません。
たとえば日当たりの季節ごとの変化・周辺の音の出方・通勤時間帯の道路の混み具合・近所の雰囲気・ゴミ出しのルール。買い手が本当に知りたいのはこうした情報で、営業担当者では答えられない領域です。
設備の使い勝手も伝えられます。給湯器の調子、収納の使い方、コンセントの位置で困った点。良いことばかり並べるより、実際に使ってわかった不便も含めて話すほうが、買い手には誠実に映ります。不具合を隠したまま契約後に発覚すれば、責任を問われる可能性も出てくるでしょう。
居住中の内覧で売主がやること
内覧でやることは、依頼が入ってから当日までの準備と、当日の対応の2つに分かれます。毎回ゼロから片づけるのではなく、売り出している間は「いつ来ても見せられる状態」を保っておくほうが、結果的に楽でしょう。
なお内覧の進め方は不動産会社によって差があります。依頼先を決める前に立ち会いの要否や連絡の入り方を確かめておくと、負担の見積もりが立つはずです。
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内覧前に済ませる掃除と片づけ
買い手が見る場所には優先順位があります。限られた時間で全部を完璧にするより、効く場所から手をつけるほうが現実的です。
優先度が高いのは水回りです。キッチン・浴室・洗面所・トイレの4か所は買い手が必ず確認するうえに、汚れが目立ちます。シンクの水垢、排水口のぬめり、鏡の曇りは、掃除の跡がわかりやすい場所でもあります。
次に玄関。入った瞬間の印象が、その後の見方を左右します。靴を下駄箱にしまい、傘や段ボールを片づけ、たたきを拭いておくだけで印象が変わります。
そして収納の中身。押し入れやクローゼットは開けて見られる前提で考え、中身を減らして奥の壁が見える状態にすると容量が伝わります。使っていない物を先に処分しておけば、引っ越しの荷物も同時に減らせます。
床に物を置かないことも効きます。物が減って床面積が見えると、同じ間取りでも部屋が広く感じられるからです。
においと明るさで内覧の印象が変わる
においは自分では気づきにくく、しかも買い手の記憶に残ります。ペット、タバコ、生ゴミ、部屋干しの洗濯物が主な発生源です。
内覧の30分ほど前から窓を開けて空気を入れ替えておくと、生活のにおいが薄まります。芳香剤で覆うのは逆効果になりがちで、強い香りは「何かを隠している」という印象を与えかねません。無臭に近づけるほうが安全です。
明るさは部屋の広さの体感を変えます。カーテンを開けて日中でも照明をすべて点けておくと、影が減って部屋が広く見えるので、切れた電球があれば先に交換しておきましょう。
室温も忘れずに。夏に蒸し暑い部屋や冬に底冷えする部屋では、買い手が長く滞在してくれないからです。滞在時間が短くなれば、こちらから伝えられる情報も減ってしまいます。
内覧に立ち会うべき?
立ち会うかどうかに決まった正解はありません。不動産会社の方針や、鍵を預けられるかどうかで変わってくるからです。
売主が立ち会う利点は、暮らしてわかったことを直接伝えられる点で、買い手からの質問にもその場で答えられます。一方、売主がずっとそばにいると買い手は話しにくくなり、収納を開けることや配偶者と相談することをためらいがちです。
現実的な折衷案として、玄関で挨拶して案内は担当者に任せ、質問があれば呼んでもらう形があります。売主はリビングの隅か別室で待機します。これなら情報も渡せて、買い手の自由度も保てます。
不在にして鍵を預ける方法もあります。この場合は貴重品の管理を先に済ませておくことと、伝えたい情報を書面にまとめて担当者に渡しておくことが必要です。専属専任媒介契約なら1週間に1回以上、専任媒介契約なら2週間に1回以上、活動状況の報告を受けられます。不在で内覧に立ち会わなくても、反応は把握できます。
見せたくない部屋や収納はどうする?
見せない部屋を作ることは可能ですが、買い手の心証には影響します。開けられない部屋があると「何かあるのでは」と受け取られかねません。
避けたい場所があるなら、事前に不動産会社の担当者へ理由とともに伝えておきます。「子どもが寝ている」「仕事の資料があるため写真を撮らないでほしい」といった説明があれば、担当者から買い手へ伝えてもらえます。一方的に閉ざすより、理由を添えるほうが納得されやすくなるでしょう。
貴重品と個人情報は、内覧のたびに一か所へ集めておくのが確実です。現金・通帳・印鑑・カード類・郵便物・書類をまとめて持ち出すか、鍵のかかる場所へ入れてしまいます。写真立てや表札まわりの名前も、気になるなら一時的に伏せておくとよいでしょう。
売却期間中は、この作業が繰り返し発生します。専用の箱やバッグを1つ用意して、そこへ入れるだけで済むようにしておくと手間が減ります。
マンションと戸建てで気をつける場所が違う
マンションで見られるのは専有部分だけではありません。エントランス・廊下・エレベーター・ゴミ置き場・駐輪場といった共用部分も、買い手は必ず通ります。
管理の状態がそのまま印象になります。掲示板の情報が古いままか、ゴミ置き場が整っているか、廊下に私物が出ていないか。自分では変えられない部分ですが、質問されたときに管理組合の活動や修繕の予定を答えられると信頼につながります。内覧の予定を管理員に伝えておくと、当日の対応がスムーズです。
戸建てで見られるのは家の外側です。門扉・外壁・屋根・雨樋・庭・駐車場と範囲は広く、買い手は敷地に入る前から観察を始めています。
庭木が伸びていれば手入れをして落ち葉を掃き、駐車場の位置と幅を確認できるようにしておきます。境界杭の場所や隣地との関係を聞かれることもあるので、測量図があれば手元に出しておくと答えやすくなるはずです。
内覧当日の直前確認
内覧の30分前に確認する項目をまとめました。
- 玄関の靴をすべて下駄箱へ入れた
- 全室の窓を開けて換気した
- 全室の照明を点けた
- カーテンとブラインドを開けた
- 水回り4か所の水滴を拭いた
- 三角コーナーと排水口を空にした
- 床とテーブルの上の物を片づけた
- 貴重品と郵便物を一か所にまとめた
- 冷暖房で室温を整えた
- ペットを別室か外へ移した
- 来客用のスリッパを出した
- 測量図や設備の説明書を手元に出した
決済・引き渡し・引っ越しの日程の組み方
住みながら売るとき、最後まで読めないのが「いつ家を出るのか」です。ここを先に押さえておけば新居探しの締め切りが決まり、仮住まいを避けられる可能性も上がるはずです。
買主と契約を結び、手付金を受け取る
居住中ならではの注意点:引き渡しの日をここで決める。新居の目処と照らして交渉する
新居の契約、転居手続き、荷造り
居住中ならではの注意点:内覧が続く場合は段ボールを見えない場所へ
荷物を運び出し、部屋を空にする
居住中ならではの注意点:決済日の前日までに完了させるのが原則
残代金を受け取り、鍵と書類を渡す
居住中ならではの注意点:ローンが残っていれば同日に完済して抵当権を消す
譲渡所得を申告する
居住中ならではの注意点:売った翌年の申告期間に行う
査定から売買契約までの流れは、家を売る手順にまとめています。
決済と引き渡しは原則同じ日に行う
残代金の受け取りと鍵の引き渡しは、同じ日に行います。売主が代金を受け取り、買主が家を受け取る。この2つを同時に済ませるのが原則です。
民法では、双務契約の当事者は相手が履行を提供するまで自分の履行を拒めると定めています。代金を受け取っていないのに家だけ渡す、あるいは家を受け取っていないのに代金だけ払う、という状態を避けるための仕組みです。
売主にとって意味するのは1つで、決済日には家が空いていなければならないということ。荷物が残っていれば引き渡しができず、決済も進みません。つまり実際に家を出るのは、決済日の前日までということになります。
住宅ローンが残っている場合は、この日に売却代金で完済して抵当権を消します。残債の処理はローンが残っている家の売却で扱っています。
引き渡し猶予を付けられる条件
決済日を過ぎても数日だけ家に残る取り決めを、引き渡し猶予と呼びます。売却代金を受け取ってから引っ越し、その後に鍵を渡す形です。
売却代金がないと新居の残金が払えない場合に使われます。買い替えの資金繰りが理由なら、検討する価値があります。
ただし買主の承諾が前提です。買主から見れば、代金を全額払ったのに自分の家に入れない期間が生まれるわけです。その間に建物が損傷したらどうするか、いつまでに退去するかを契約書へ書き込む必要も出てきます。買主が住宅ローンを使う場合には、金融機関が難色を示すことも珍しくありません。
必ず付けられるものではない、と考えておくのが安全です。売買契約の交渉の中で、不動産会社の担当者を通じて相談する形になります。条件が折り合わなければ、仮住まいを前提に組み直します。
新居探しはいつから始める?
売り出しと同時に始めるのが基本です。買い手が決まってから探し始めると、引き渡しまでの期間に間に合わなくなる可能性が高くなります。
売り出しから成約までは、首都圏の2025年の平均で中古マンションが82.5日、中古戸建住宅が100.9日でした。売買契約から決済までは、買主のローン審査の期間を含めて1か月から2か月程度を見込むことになります。売り出しから家を出るまで、合わせて4か月から5か月ほどの計算です。
売り出しの初期は情報収集にあてます。専任媒介契約なら7日以内、専属専任媒介契約なら5日以内に物件情報が指定流通機構へ登録されます。この日数の計算に不動産会社の休業日は入りません。登録されてから反響が出るまでの数週間で、新居の候補エリアと予算を固めておくと動きやすくなります。
買い手からの申し込みが入った段階で、新居の候補を絞ります。売買契約で引き渡し日を決めるとき、新居の入居可能日と照らして交渉できる状態にしておくのが理想です。
仮住まいにかかる費用の目安
新居が間に合わなければ、仮住まいを挟みます。発生する費用は次のとおりです。
- 賃貸物件の敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用
- 入居中の家賃と共益費
- 引っ越し費用(今の家から仮住まいへ、仮住まいから新居への2回分)
- 荷物が入りきらない場合のトランクルーム代
短期間の入居を受け入れる物件は限られます。マンスリー物件は初期費用が抑えられる代わりに家賃の単価が高くなる傾向があり、ペットや大型家具がある場合には選択肢がさらに狭まります。
金額は地域と物件によって大きく変わるため、目安を出すには実際の賃貸情報を当たるほかありません。売り出しの段階で仮住まいの候補も調べておけば、いざというときに慌てずに済みます。
仮住まいを避けられるかどうかは、売り出しから成約までの期間をどう読むかにかかっています。査定の段階で想定する売却期間とその根拠を聞いておけば、新居探しの締め切りも決めやすくなるでしょう。
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住みながらの売却で後悔しやすいパターン
売り出したあとで修正しにくいのが、価格と契約の初期設定です。着手前に確認しておけば避けられる失敗が、いくつかあります。
相場を確認せずに売り出し価格を決める
不動産会社が出した査定額をそのまま売り出し価格にすると、あとで動きが取れなくなることがあります。自分でも相場を調べておけば、提示された金額が妥当かどうかを判断できます。
参考になるのは成約価格です。2025年の首都圏では、中古マンションの成約価格が平均5,200万円、1平方メートルあたりの単価が82.98万円でした。成約した物件の平均専有面積は62.66平方メートル、平均築年数は26.58年です。前年の平均築年数24.53年から経年化が進んでいます。
売り出し価格の平均も公表されていますが、成約価格と単純に比べることはできません。同じ年の新規登録物件は平均5,557万円でしたが、平均築年数30.08年、平均専有面積57.90平方メートルと、成約した物件とは条件が違います。売り出し中の物件と成約した物件は別の集団なので、差額を「値下げ幅」として読むのは誤りです。
自分の物件と条件の近い成約事例を、不動産会社に出してもらうのが確実です。築年数、面積、駅からの距離が近い事例を複数見れば、査定額の根拠を確認できます。
ローン残債と売却見込み額を確認していない
住宅ローンが残っている家は、売却代金で完済して抵当権を消さなければ引き渡せません。売却見込み額が残債を下回ると、差額を自己資金で埋める必要が出てきます。
確認するのは2つです。金融機関から届く返済予定表か、インターネットバンキングで見られる現在の残高。そして不動産会社の査定額から仲介手数料や登記費用を差し引いた手取り額。この2つを突き合わせて、足りるかどうかを先に確かめておきましょう。
足りない場合でも打つ手はありますが、選択肢によって進め方が変わるため、売り出す前に把握しておきたいところ。
内覧の負担を考えずに媒介契約を選ぶ
媒介契約には一般・専任・専属専任の3種類があり、どれを選ぶかで内覧の入り方と情報の届き方が変わってきます。
専任媒介契約と専属専任媒介契約には、法律で決められた義務があります。有効期間は3か月が上限で、これより長い期間を定めても3か月になり、更新はできるものの更新のときからまた3か月が上限です。活動状況の報告は専任で2週間に1回以上、専属専任で1週間に1回以上。指定流通機構への登録は専任で7日以内、専属専任で5日以内と決まっており、これらに反する特約は無効になります。
一般媒介契約には、こうした報告義務も登録義務もありません。複数の会社に同時に依頼できる代わりに、各社から個別に内覧の連絡が入るため、住みながら売る場合にはこの窓口の数がそのまま負担になります。窓口を1つにまとめたいなら専任か専属専任、複数社に競わせたいなら一般、という整理です。3種類の違いは一般媒介と専任媒介で詳しく比較しています。
内覧が入らないまま様子を見てしまう
売り出してから1か月経っても内覧の依頼がないなら、何かがずれています。時間だけが過ぎると物件情報が古くなり、買い手からも注目されにくくなってしまうもの。
首都圏の2025年の平均では、成約まで中古マンションで82.5日、中古戸建住宅で100.9日かかりました。この日数の中には、内覧が入って検討される期間も含まれます。1か月で内覧がゼロなら、平均の日数で決まる見込みは薄いと考えたほうが現実的です。
見直す順番は3つあります。まず価格で、近隣の似た条件の物件と比べて高すぎないかを成約事例で確かめます。
次に写真と物件説明。掲載されている写真が暗い、枚数が少ない、間取り図が見にくいといった問題は、すぐ改善できるものばかりです。最後に広告の出し方で、どのサイトにどんな条件で掲載されているかを担当者へ確認します。
不動産会社に状況を聞くのは、売主の権利です。専任媒介契約なら2週間に1回以上の報告を受けられるので、その機会に問い合わせの件数と反応の中身を確認します。
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【まとめ】住みながら家を売ることはできる
住みながら家を売ることはできます。売却活動には首都圏の平均で3か月前後かかり、その間の負担は内覧対応と日程調整に集中します。決済と引き渡しは同じ日に行うため、実際に家を出るのは決済日の前日まで。
この日付を売買契約の時点で固めておけば、仮住まいを挟まずに新居へ移れます。売り出す前に確認しておきたいのは、条件の近い成約事例とローン残債の2つです。成約事例は、査定を依頼した場でそろいます。
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よくある質問
居住中に内覧に来る人は冷やかしではないのですか
内覧は不動産会社を通じて予約したうえで行われます。担当者が同行するのが通常で、飛び込みで見学されることはありません。買う意思のない人がわざわざ予約して人の家を訪れる状況は、考えにくいのが実際です。
ただし内覧に来た全員が購入に進むわけではありません。他の物件と比較検討している段階の人も含まれます。1件の成約までに複数の内覧を経ることは珍しくないため、1回で決まらなくても不安に思う必要はありません。
部屋の中をほとんど見せずに売ることはできますか
見せない部屋を作ることはできますが、そのぶん買い手の判断材料が減ります。間取りや収納の状態が確認できないまま購入を決める人は少なく、成約が遠のく可能性は高まるでしょう。
どうしても内覧を避けたい事情があるなら、不動産会社による買取という方法もあります。買い手を探す工程がないため内覧は発生しませんが、価格は市場に出す場合より低くなりやすく、条件面での判断が必要です。
内覧に来た人が手土産を持参することはありますか
必須のものではありません。買い手側が気を遣って持参することはありますが、慣習として定着しているわけではなく、持参されないほうが多いのが実情です。
受け取っても問題はなく、売主側から返礼を用意する必要もありません。もらったからといって価格交渉に応じる義務が生じるわけでもないので、通常どおりの対応で構いません。
売却活動中に引っ越しても大丈夫ですか
引っ越しても売却活動は続けられます。空き家になった状態で内覧を受ける形に変わるだけです。
税制上も、3,000万円特別控除は以前に住んでいた家屋を対象に含んでいます。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、要件を満たす限り控除を受けられます。ただしこの期限を過ぎると使えなくなるため、引っ越してから売れるまでの期間には注意が必要です。
住みながら売る場合、売り出し価格は下げるべきですか
住んでいることを理由に価格を下げる必要はありません。買い手が見るのは立地・価格・間取り・築年数であり、居住中かどうかで相場が変わるわけではないからです。
価格を検討する材料になるのは、条件の近い物件の成約事例です。2025年の首都圏では中古マンションの成約価格が平均5,200万円、平均築年数が26.58年でした。自分の物件と築年数・面積・立地の近い事例を不動産会社に出してもらい、その水準と照らして決めるのが確実です。売り出し中の物件の平均価格は、成約した物件とは築年数も面積も異なるため、比較の基準には使えません。
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※税制や法令は改正される場合があるため、実際の手続きの際は最新の情報をあわせてご確認ください。
出典
- 公益財団法人東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2025年)(公表日:2026-01-20)
- 国土交通省 令和7年度 住宅市場動向調査報告書
- e-Gov法令検索 宅地建物取引業法(施行日:2026-04-01)
- e-Gov法令検索 宅地建物取引業法施行規則(施行日:2026-04-01)
- e-Gov法令検索 民法
- 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
- 国土交通省 住宅:空き家対策 特設サイト
