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訪問査定の準備でやること!必要書類と当日の流れ、掃除の範囲

訪問査定の日程が決まると、まず掃除をどこまでやるかで迷います。散らかっていると安く見られるのではないか、という心配からです。ところが査定額の根拠になる価格査定マニュアルに、売主の掃除を評価する欄はありません。

代わりに評価されるのは、設計図書や検査済証といった書類の有無です。現地調査にかかる時間は30分から1時間程度。売主が何を見せ、何を伝えられるか。この短い時間で査定額が決まります。

当日までの準備と、査定額が出たあとの断り方までまとめました。

この記事を読むとわかること
  • 当日までに用意する書類
  • 担当者が見ている箇所
  • 掃除が査定額に関係する範囲
  • 現地調査の時間と査定書が届く日数
  • 査定を断るときの伝え方

※本記事の情報は2026年8月時点のものです。市場データは首都圏を対象としています。

\6年連続不動産査定サイトNO.1

※2025年9月19日-23日 「サイト評価に関する調査」より

目次

訪問査定の前にやっておく準備

訪問査定の準備は、日程を決めた時点から始まります。 単に、当日に家を見せればいい、というわけではありません。

不動産会社は申し込みを受けた時点で、電話やメールで物件の基本情報を聞き取ります。所在地、建物構造、延床面積、築年数。あわせて訪問時に手元に置く書類の準備を依頼され、修繕履歴や建物状況調査(インスペクション)の実施の有無も確認されます。

なぜ、現地に来る前にこれだけ聞かれるのか。査定システムに入れる情報が、4つに分かれているためです。所有者からのヒアリング内容、現地調査の内容、査定者が目視したデータ、記録書類・証明書類の内容。担当者が現地で自力で埋められるのは、このうち2つ。残りは売主が話すか渡すかしないと、空欄のまま残ります。

聞き取りの段階で「わかりません」が続けば、当日の現地調査で判断できる範囲までしか金額を出せません。

訪問査定までのスケジュールと日程調整

現地調査の日程は、申し込みから即日〜2日程度で決まるのが目安です。準備に使える時間は、実質2〜3日と考えておくとよいでしょう。

書類の場所に心当たりがなければ、日程を1週間ほど先に設定し直してもかまいません。当日に「後日お送りします」となる書類が多いほど、査定額の確定は遅れます。

建物状況調査は、講習を修了した建築士が建物の劣化を調べる検査です。受けるつもりがあるなら、順番に注意してください。結果は査定額に反映されますが、反映させるには査定より前に調査を終わらせておく必要があります。調査には1〜3時間、費用は6万円程度からが目安です。

自分でも売却相場を調べておく

不動産会社が使うレインズ(指定流通機構が運営する物件情報交換システム)に、一般の人はアクセスできません。相場は不動産会社に聞くしかない、と思われているのはこのためです。

ところが成約価格そのものは、別の窓口で公開されています。REINS Market Information(不動産取引情報提供サイト)です。全国の指定流通機構が保有する成約価格を、建物種別と地域を選んで検索できます。

使ってみると、結果が出ないことがあります。検索条件に該当する取引情報が10件に満たない場合、原則として結果が表示されません。町名まで絞り込むほど件数が足りなくなるので、市区町村より広い範囲で取り直してみてください。

もうひとつが国土交通省の不動産情報ライブラリです。取引価格や地価公示のほか、防災情報や都市計画情報も地図上で確認できます。そしてこのサイトのデータは、不動産会社が査定システムに周辺の成約事例を入力するときの参照先でもあります。相場の部分に限れば、売主と不動産会社は同じデータを参照できます。

2025年の首都圏の成約価格は、中古マンションが平均5,200万円、中古戸建住宅が平均3,917万円。ご自身の物件がこの水準からどれくらい離れているかを先につかんでおくと、査定額の受け止め方が変わります。

物件のアピールポイントを整理する

日当たりがいい、閑静で子育てしやすい。アピールと聞くと、こうした点を挙げたくなります。ただ、査定システムに入力するのは書類と設備で、住み心地を書き込む欄はありません。

加点されるのは、建物の性能や状態を裏づける書類です。設計図書、検査済証、建物状況調査の結果報告書、既存住宅売買瑕疵保険(引き渡し後の不具合に備える保険)の付保証明書、白アリ検査の合格証、耐震基準適合証明書。ハウスメーカーや工務店による点検・補修の記録も対象になります。

設備面では、エネファームなどの給湯設備、太陽光発電などの発電設備、ジェットバスなどの浴室設備、生体認証などの防犯設備、床暖房が加点対象です。

国が定めた表示ルールに基づく安心R住宅調査報告書をお持ちなら、これ1枚で足ります。耐震基準への適合状況、リフォームの実施状況、各種書類の有無をまとめて確認できる書面です。

つまりアピールポイントの整理とは、感想を用意する作業ではありません。証拠になる書類を家の中から探し出す作業です。

リフォームや修繕を先にしなくてよい理由

査定前のリフォームは、費用に見合いません。理由は、リフォームによる評価の上がり方が数字で決まっているからです。

普及品を使った木造戸建住宅で、築15年目に外部建具・内部建具・内装仕上げを全面リフォームした場合、建物の評価は15.7%高まります。築25年目の時点でも、リフォームをしなかった場合より12.4%以上高い評価でした。数字だけ見れば、やる価値がありそうに読めます。

注意したいのは、この15.7%が建物部分の評価に対する割合だという点。戸建ての査定額は土地と建物を別々に出して合算するため、売却価格の全体で見ると上がり方はさらに小さくなります。工事費を差し引いて手元に残るものは、そう多くありません。

条件も付きます。リフォームをしていても、劣化事象が認められる場合や、著しい動作不良の発生や汚れが目立つ場合は、その価値が認められないものと判断されます。表面だけ整えても評価されない、ということです。売却全体の段取りについてはマンション売却の準備もあわせてご覧ください。

\ 準備の前に、まず相場を確かめる /

訪問査定と机上査定の違い

2つの違いは、査定システムに入力できる情報の数にあります。 机上査定が不正確なのではありません。埋められる欄が少ないだけです。

見ている情報と精度の差

査定に使われるのは、公益財団法人不動産流通推進センターの価格査定マニュアルです。国土交通省がその利用を推奨しています。戸建住宅は建物を原価方式、土地を事例比較方式で査定して合算し、マンションと住宅地は事例比較方式で出します。

事例比較方式は、査定物件と近い条件の取引事例を選び、評点を比べて価格を出す方法です。近所のチラシに載っている売出価格が基準になりそうに見えます。実際には、選べる事例に条件があります。成約日が査定時点から半年以内、査定地と同じ品等・規模、同一圏内、同じ都市計画区域。同じ町内で売れた家があっても、成約から1年が経っていれば使えません。査定書に見慣れない住所の事例が載るのは、この条件で絞り込んだ結果です。

スクロールできます
比べる点机上査定訪問査定
入力できる情報基本情報と基礎躯体のグレードが中心部位別のグレード・維持管理状態・付加価値の設備まで
現地の確認なし建物内部・外部・敷地・周辺環境
流通性比率の反映反映しにくい反映する
現地調査の時間なし30分〜1時間程度
結果までの日数数時間〜1日程度早ければ2〜3日、遅くとも1週間ほど

机上査定の金額から下がる主な理由

価格査定マニュアルで必ず入力するのは、所在地・建物構造・延床面積・築年数といった基本情報と、基礎躯体のグレードだけです。この2つを入れれば査定額は算出されます。ただしセンターの手引きには、これは「最低額に近い査定価格」であると明記されています。詳細条件を考慮していない状態だからです。

では訪問査定で必ず上がるかというと、そうとも限りません。訪問査定では最後に流通性比率という補正がかかります。物件が市場で売りやすいか売りにくいかを表す比率で、1.00が基準。プラス10%からマイナス15%を上下限として、0.85〜1.10の範囲で調整されます。周辺に競合物件が多い、買い手より売り物件が多い。こうした事情があれば、この段階で減点されます。

訪問査定を受けたほうがよい物件の条件

境界が確定していない土地、雨漏りやシロアリの跡がある建物、長く空き家だった物件は、机上査定の金額があてになりません。現地を見ないと、いくら差し引くべきか判断できないためです。

一方で、価格査定マニュアルの対象外になる物件もあります。戸建てでは新築住宅、豪邸や由緒ある旧家、投資用の住宅、欠陥住宅。マンションでは定期借地権マンション、ワンルームなどの収益物件、居住用以外のマンションです。RC造の戸建ては、築50年超・雨漏りあり・放置のいずれかに当たると、専門家の診断で問題なしと判断されたときだけ査定できます。

自分の物件がここに当てはまりそうなら、申し込みの段階でその旨を伝えておくと、対応できる会社に絞り込めます。

\ 机上査定なら最短その日にわかる /

訪問査定で不動産会社が見るところ

建物の評価は、10の部位ごとに行われます。 ここでいう部位とは、屋根や外壁、台所といった建物の部分のこと。都道府県別・工法別に設定された標準建築費の㎡単価を、部位ごとのグレード(品等)で補正する仕組みです。

対象は、基礎・躯体、屋根、外壁、外部建具、内部建具、内装仕上げ、台所、浴室・洗面・トイレ、給排水・給湯設備、照明器具・電気設備。基礎・躯体は5ランク、残る9部位はA仕様(高級品)・B仕様(標準品)・C仕様(普及品)の3段階で評価されます。

室内で見られる箇所

室内で確認されるのは、内部建具・内装仕上げ・設備の3つ。それぞれの使用部材と、取替の年月・範囲が見られます。

品等格差率は、B仕様(標準品)を1.00とした数値です。室内以外もあわせて、主な部位を並べます。

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部位A仕様B仕様(標準)C仕様
屋根1.501.000.70
台所1.401.000.80
浴室・洗面・トイレ1.401.000.80
外壁1.201.000.80
内装仕上げ1.201.000.80
給排水・給湯設備1.201.000.80

差が最も大きいのは屋根です。A仕様1.50に対してC仕様0.70で、上下の開きは2倍以上。10部位のなかで最大の幅です。見た目を大きく左右する内装仕上げは1.20〜0.80です。目立つ部位ほど金額が動く、とはかぎりません。

室内に絞れば、幅が大きいのは水回りです。台所と浴室・洗面・トイレは1.40〜0.80で、内装や建具より幅が広く設定されています。過去に入れ替えているなら、その時期と範囲は必ず伝えてください。

手引きにはもうひとつ、内装・設備の汚れ具合を「買主の目線で」調査するという記載があります。部材のグレードとは別に、状態も見られているということ。この点は掃除の章であらためて扱います。

建物の外側と敷地で見られる箇所

外部で確認されるのは、屋根・外壁の使用部材とその状態、そして基礎・躯体のメンテナンス状態。あわせて外観・外構(門・塀など)の状況と汚れ具合も、買主目線で調査されます。

敷地側では、形状、接道状況、前面道路の状況、日照・採光、騒音・振動、眺望・景観、そして公共交通機関へのアクセスが対象。土地の評点で特に大きく動くのが交通の便で、最寄駅からの徒歩分数が1分から20分超まで細かく段階分けされています。

敷地側の条件に、売主が動かせるものはひとつもありません。準備でできるのは、門まわりのゴミを片付ける程度。そのぶんの時間は、建物の状態を伝えることと書類集めに使ってください。そちらのほうが査定額に反映されます。

マンションで見られる共用部分と管理状況

マンションの査定画面は、基本情報、交通・立地、住戸位置・専有、維持管理、敷地・共用、提案書の6つに分かれています。売主に関わりが深いのが住戸位置・専有で、入力するのは次のとおりです。

  • エレベーターの有無と所在階
  • 開口部の方位と日照・採光
  • 室内の維持管理状況
  • 柱・梁・天井の状況
  • 住戸のゆとり
  • 専用庭やテラスの有無
  • 眺望・景観
  • バリアフリー対応状況

室内の維持管理状況は、特に優れるから悪いまでの7段階で、マイナス15点からプラス15点の幅があります。所在階は3階を標準として、高い階ほど評点が上がります。

敷地・共用では、建物の外観・エントランス、耐震性、省エネルギー性能、セキュリティ設備、インターネット対応状況が見られます。

見落とされがちなのが管理費と修繕積立金です。査定条件表では両方が独立した評価の対象になっており、負担額が大きいと判定されるとマイナス30点が付く例が示されています。2025年度に成約した首都圏の中古マンションでは、月額の管理費が1戸あたり平均13,895円、修繕積立金が13,910円でした。ご自身のマンションがこの水準を大きく超えているなら、理由を説明できるようにしておいてください。マンションに絞った内容はマンション査定のポイントで詳しく扱っています。

書類でしか判断できないこと

現地では判定できず、書類がないと評価が下がるものがあります。基礎・躯体のランクです。

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ランク判定の目安耐用年数
AAA長期優良住宅相当100年
AA劣化対策等級3相当75年
A劣化対策等級2相当50年
B昭和60年以降に旧公庫融資を受けている40年
C上記以外30年

建物の現価率は「1 −(経過年数 ÷ 耐用年数)」で求めます。同じ築25年の家に、この式を当てはめてみます。Cランク(耐用年数30年)なら1 −(25÷30)で、およそ0.17。Aランク(同50年)なら1 −(25÷50)で0.50。残る建物評価に、3倍近い差がつきました。

築年数は同じです。違うのは、ランクを裏づける書類が出てくるかどうかだけ。住宅性能評価書や長期優良住宅認定通知書が見つからないまま査定を受ければ、低いほうのランクで計算されます。

耐震性は、築年月が1982年1月以降なら新耐震基準を満たすと自動判定されます。2001年1月以降なら、さらに高い耐震性を満たすという判定。建物状況調査の結果を反映させるには、既存住宅状況調査技術者(国の登録を受けた講習を修了した建築士)が過去1年以内に実施したものに限られます。

\ 自分の家はいくらで評価される? /

訪問査定の前の掃除はどこまで必要か

掃除で査定額が上がることは、ほぼありません。 前の章で見た10部位のグレード判定にも、加点対象の書類リストにも、掃除に関する記入欄がないためです。ただし「室内の維持管理状況」のように、汚れ具合が評価に含まれる場面はあります。掃除の意味は、評価を上げることではなく下げないことにあります。

掃除では査定額が動かない理由

査定額を動かすのは、部材のグレード、取替の時期と範囲、そして耐用年数に対する経過年数です。いずれも掃除では変わりません。「昨日ハウスクリーニングを入れました」という情報は、査定システムのどこにも書き込めません。

ところが、マンションの売却価格提案書に載る「評価の考え方」には、「清掃の状況を評価」という記載があります。やはり掃除も見られているのではないか、と読めてしまいます。

これは、「管理員の勤務形態、管理受託形態」と同じ区分に入っています。指しているのは管理員による共用部分の清掃状態、つまり管理組合が管理にどれだけ費用と人を割いているかです。売主が自室を掃除することとは、別の話になります。

それでもマイナス評価になる状態

掃除で査定額が上がらないのは事実ですが、下がるのを防ぐ役には立ちます。

手引きには、内装・設備と外観・外構の汚れ具合を買主の目線で調査するという記載があります。さらにリフォームの説明には、汚れが目立つ場合はその価値が認められないものと判断してください、と書かれています。せっかく入れ替えた水回りが、汚れのせいで評価されないことがあるわけです。

  • 水回りは軽く洗っておくと、設備のグレードが判定しやすくなります
  • 床と通路が見える状態にしておくと、内装の仕上げまで確認してもらえます
  • 玄関と外構は外から見える場所なので、落ち葉やゴミを片付けておくと印象が変わります

家具の配置を変えたり、大掃除をしたりする必要はありません。

荷物が多い家や空き家での対応

荷物で床や壁が見えない場合、どうなるか。建物状況調査についての国土交通省のQ&Aが参考になります。移動が難しい家具などで目視できない箇所は、報告書に「調査できなかった」と記載されます。

訪問査定も、目視できないものは評価に反映されません。荷物が多い家では、全部を片付けようとするより、床と壁が一部でも見える動線を作るほうが効果的です。特に水回りの周囲は優先してください。

空き家では逆に、長期間の未使用が劣化として見られます。基礎・躯体の評価に「特に点検・補修を行った形跡がない」という選択肢があり、これを選ぶと評価が下がります。定期的に通って換気していたなら、その事実を伝えてください。

\ 掃除より先に、査定額を知る /

訪問査定で用意する書類

必ず用意しなければならない書類はありません。 ただし、あると加点される書類は決まっています。

当日その場で使う書類

必須ではないのに、なぜ書類の話が続くのか。これらが「あれば加点、なければ標準」という扱いだからです。出さなくても査定は進みますが、出さないぶん評価は標準のまま動きません。 加点につながるのは、次の書類です。

  • 新築時の設計図書と、建築基準法に基づく検査済証
  • 住宅性能評価書、長期優良住宅認定通知書(基礎・躯体のランク判定に使います)
  • 建物状況調査結果報告書(過去1年以内に実施したもの)
  • 既存住宅売買瑕疵保険の事前検査判定書または付保証明書
  • 白アリ検査の合格証(保証が付いているもの)
  • 耐震基準適合証明書
  • リフォームの工事請負契約書・仕様書・見積書
  • 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書
  • 土地の境界確認書、地積測量図

マンションでは管理規約と長期修繕計画の写しも必要になることがあります。手元になければ管理組合に請求してください。

手元にない場合の取り寄せ方

書類が見つからないからといって、査定を先延ばしにする必要はありません。担当者には「ある・ない・探している」の3択で先に伝えておいてください。原本の確認が必要な書類は当日に間に合わなくても、後日提出で査定額を修正してもらえます。

「探している」まで伝えるのには理由があります。書類の有無はそれ自体が入力する情報なので、何も言わなければ空欄のまま計算されます。

売却全体で必要になる書類は不動産査定の必要書類にまとめました。

\ 書類がそろう前でも申し込めます /

訪問査定で伝えておくこと

隠したまま売ると、免責の特約を付けても責任が残ります。 不具合を伝えれば、査定額は下がるでしょう。黙っていれば、その分だけ高い金額が出ます。ここまでは、そのとおりです。

ここで民法572条が関わってきます。担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については責任を免れることができない、と定めた条文。特約で免れられるのは、売主自身が知らなかった不具合に限られます。国土交通省のリーフレットにも、売主向けにこの条文が明記されています。

隠さず申告すべきマイナス情報

伝えておくべきなのは、次のような内容です。

  • 雨漏りの経験と、その補修の有無
  • シロアリの被害や駆除の履歴
  • 給排水管の詰まり、水漏れ
  • 建具や設備の動作不良
  • 境界標の紛失、隣地との越境
  • 過去の浸水や地盤沈下
  • 近隣とのトラブル、騒音や臭気の発生源

これらは売買契約時の告知書(売主が把握している不具合を買主に知らせる書面)に、そのまま載る情報です。査定の段階で出しておけば、担当者は補修費用の相当分を織り込んで売出価格を提案できます。同じ不具合でも、引き渡しの後に買主から指摘されると、契約不適合責任の問題になります。

売却の希望条件と時期

いくらで、いつまでに売りたいのか。この2点も査定の前提です。

査定価格は、売り出し価格の参考として3か月程度で買い手が付くことを目安に算出されます。半年後の転勤に合わせたいのか、1年かけてもいいから高く売りたいのか。事情が違えば、提案される売出価格も変わってきます。伝えないままだと、標準的な3か月想定の金額だけが出てきます。

伝えないまま進めた場合に残るリスク

不具合を伝えなかった場合、引き渡し後にどうなるか。民法562条により、買主は目的物の修補や代替物の引渡しといった履行の追完を請求できます。

期間の制限もあります。民法566条は、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しなければ請求できないと定めています。ただし、この条文にはただし書きがあります。売主が引渡しの時にその不適合を知っていた場合や、重大な過失で知らなかった場合には、1年という期限は適用されません。つまり黙っていた側ほど、責任を追及される期間が長く残ります。

国土交通省のリーフレットには、売主の失敗例が紹介されています。購入検討者から建物状況調査の要望があったものの、不具合が見つかるのが嫌で断ったケースです。引き渡し後に買主から指摘を受け、「隠していたのではないか」とトラブルになりました。

先に伝えておけば、補修費用の相当分を減額して査定されるだけで済みます。個別の事案で法的な判断が必要になったときは、弁護士や宅地建物取引業者に確認してください。

\ 不具合込みでいくらになるか聞く /

訪問査定にかかる時間と当日の流れ

現地での拘束時間は30分から1時間程度です。 査定額が出るまでの日数とは分けて考えてください。

物件種別ごとの現地調査の所要時間

三井のリハウスと住友不動産販売は、いずれも公式サイトで現地調査を30分から1時間程度としています。部屋を見せてもらい、話も聞くための時間ということです。

当日は5つのステップで進みます。事前のヒアリングと簡易査定、建物外部と敷地の調査、建物内部の判定、付加価値の設備と各種書類の確認、そして持ち帰ってのシステム入力です。売主が立ち会うのは2番目から4番目まで。

1時間で終わるなら、帰り際に金額を教えてもらえそうに思えます。実際にはそうなりません。

査定書が届くまでの日数

現地調査が終わっても、その場では金額が出ません。査定額の報告は早ければ2〜3日、遅くとも1週間ほどが目安です。

即日出せない理由があります。 住友不動産販売の説明によれば、現地調査のほかに役所での調査と法務局での調査があるためです。用途地域や建ぺい率・容積率、都市計画道路の予定、私道の負担、登記された権利関係は、現地を見ただけではわかりません。

立ち会いが必要な場面と不在で進められる場面

査定システムに入れる4つの情報のうち、所有者からのヒアリング内容と、記録書類・証明書類の内容は、売主がいないと埋まりません。逆に、建物外部と敷地、周辺環境の調査は不在でも進められます。

建物状況調査については、国土交通省のQ&Aで「建物の所有者が立ち会うことが一般的です」とされています。訪問査定も同じで、遠方にお住まいの場合は、書類を事前に送っておき、電話でヒアリングを受ける形にできないか相談してみてください。

当日の服装と来客対応

服装を整えたり、お茶を出したりする必要はありません。担当者が見ているのは部材のグレード、取替の時期、汚れ具合です。売主の身なりや接遇を評価する欄は、価格査定マニュアルのどこにもありません。

準備すべきなのは、担当者が水回りと各部屋に入れる動線と、書類を広げられるテーブルの上のスペース。この2つで十分です。貴重品や個人情報の書かれた郵便物は、見えない場所に移しておくと安心でしょう。

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訪問査定を依頼する不動産会社の選び方

査定額の根拠を聞くのは、売主の当然の権利です。 宅地建物取引業法第34条の2第2項で、宅建業者が価額について意見を述べるときはその根拠を明らかにしなければならないと定められています。

何社に依頼するかの決め方

複数社に依頼する目的は、金額を見比べることではなく、根拠を見比べることにあります。1社だけだと、提示された金額が高いのか低いのか判断する材料がありません。

一方で、社数を増やすほど立ち会いと待ち時間は増えます。根拠を読み比べられる範囲に収めるのが現実的です。まとめて依頼する方法は不動産一括査定の仕組みで解説しています。

査定額が突出して高い会社の見方

3社に頼むと、一社だけ数百万円高い金額が出てくることがあります。そこに任せれば、その分だけ高く売れる。損得だけで考えれば、そう判断したくなります。

先に確かめたいのは、不動産取引に5つの価格があることです。売主の売却希望価格、媒介業者が査定した査定価格、両者を協議して決めた売出価格、買主の購入希望価格、そして最終的に合意した成約価格。

不動産取引にある5つの価格
  • 売却希望価格
    売主の希望する価格
  • 査定価格
    媒介業者が査定した価格
  • 売出価格
    売主と媒介業者が協議して決めた価格
  • 購入希望価格
    買主の希望する価格
  • 成約価格
    最終的に合意した価格

査定書に載っているのは2番目で、成約価格ではありません。しかも査定価格は、3か月程度で買い手が付くことを目安に算出された数字です。

2025年に首都圏でレインズに登録された物件が成約に至るまでの平均日数は、中古マンションで82.5日、中古戸建住宅で100.9日でした。3か月という目安と、おおむね整合する日数です。ここから大きく外れる高値で売り出せばどうなるか。住友不動産販売の説明では、成約まで長期間かかり、売れ残った物件と見られてしまい、結局は査定価格を下回る価格でしか売れないケースもあるとしています。査定額の見極め方は不動産査定が高すぎる場合の考え方でも扱っています。

査定書のどこを読めば根拠が分かるか

査定書は不動産の鑑定評価に関する法律に基づく鑑定評価書ではありません。その旨を明記することが求められており、逆に言えば書式にはある程度の共通性があります。

売却価格提案書は10数ページで構成され、基本情報や価格算出に用いた評点が自動出力されます。確認したいのは次の5点です。

査定書で確認する5点
  1. 査定価格の算出方法(原価方式か事例比較方式か)が書かれているか
  2. 比較に使った事例の条件(成約日、規模、エリア、都市計画区域)が示されているか
  3. 流通性比率とその数値が記載されているか
  4. 流通性比率を乗じた理由が説明されているか
  5. 想定している売却期間が示されているか

4番目は特に見てください。査定システムは、流通性比率を乗じた理由を300字以内で入力して提案書に表示する設計です。ここが空欄の会社と、周辺の競合状況まで書き込んでいる会社では、かけた手間が違います。

\ 1社だけでは根拠を比べられません /

訪問査定を断るときの伝え方

査定を受けただけでは、費用は一切発生しません。 現地に来てもらい、1時間かけて調べてもらった以上、断りにくくなります。

根拠は宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方にあります。価格の根拠を明示するのは法律上の義務であり、そのために行った価額の査定などに要した費用は依頼者に請求できないと示されています。断られる前提の作業が、はじめから業者側の負担として制度に組み込まれています。

断るタイミングと媒介契約前後の違い

判断の基準は、媒介契約を結んだかどうかです。

標準媒介契約約款の第8条では、媒介によって売買契約が成立したときに報酬を請求できると定められています。契約を有効に成立させてはじめて請求できる成功報酬であり、査定を受けただけの段階では媒介契約自体が存在しません。住友不動産販売も公式サイトで、売却を依頼するかは依頼者自身が判断するもので、査定結果を参考にするだけでもかまわないとしています。

媒介契約を結んだあとは事情が変わります。専任媒介契約の有効期間は3か月を超えられません。期間内に売主が自分で見つけた相手と契約したときは、契約の履行のために要した費用の償還を請求される可能性があります。不動産会社の責任によらない事由で契約が解除された場合も同じです。ただしその額は約定報酬額を超えられません。

電話とメールでの伝え方

断る理由を細かく説明する義務はありません。伝えるべきなのは、依頼しないという結論と、その旨をいつ決めたかの2点だけです。

メールなら、次のような文面で足ります。

お断りのメール文例

このたびは訪問査定をいただき、ありがとうございました。社内で検討した結果、今回は他社へ依頼することといたしました。お時間をいただいたにもかかわらず、申し訳ありません。

電話も同じ構成で、要点を先に伝えてください。「まだ迷っている」と曖昧に返すと連絡が続きます。売却自体を見送るのか、時期を延ばすのか、他社に決めたのか。どれに当たるかを明確にするだけで、その後の連絡はほぼ止まります。

断ったあとに営業が続く場合の対応

はっきり断ったのに連絡が続く場合は、連絡手段を1つに絞ってもらうよう伝えてください。「電話ではなくメールでお願いします」と一言添えるだけで、頻度が下がることがあります。

それでも改善しない場合は、その会社を管轄する都道府県の宅建業免許担当課に相談できます。複数社に依頼したことが原因なら、依頼のしかた自体を見直す手もあります。不動産一括査定サイトの選び方で、連絡の受け方を絞る方法を紹介しています。

\ 断ってもOK。まずは金額だけ確認 /

まとめ

訪問査定の準備は、掃除ではなく情報の整理です。査定システムに入れる4つの情報のうち3つは、売主が渡すか見せるかしないと埋まりません。

設計図書や住宅性能評価書は基礎・躯体のランク判定に直結し、耐用年数が30年か100年かを左右します。雨漏りやシロアリを隠したまま売れば、免責の特約を付けても責任が残ります。

査定価格は3か月程度で買い手が付く目安の金額であって、売れる金額ではありません。首都圏の中古マンションは平均82.5日、中古戸建住宅は平均100.9日で成約しています。金額の高さではなく、根拠が査定書に書かれているかどうかで会社を選んでください。

査定を受けただけなら費用は発生しません。まずは1社に訪問査定を申し込んで、査定書に流通性比率とその理由が書かれているかを確かめるところから始めてみてください。

\6年連続不動産査定サイトNO.1

※2025年9月19日-23日 「サイト評価に関する調査」より

よくある質問

訪問査定は無料ですか

無料です。宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方で、価格の根拠を明示するのは法律上の義務であり、そのために行った査定などに要した費用は依頼者に請求できないと示されています。

訪問査定に本人の立ち会いは必要ですか

原則として立ち会いが必要です。査定システムに入れる4つの情報のうち、所有者からのヒアリング内容と記録書類・証明書類の内容は、売主がいないと埋まりません。建物外部と敷地の調査だけなら不在でも進むので、遠方の場合は書類を事前に送る方法を相談してみてください。

訪問査定を受けたら必ず売らなければいけませんか

売る義務はありません。媒介報酬は成功報酬で、標準媒介契約約款でも売買契約が成立したときに請求できると定められています。査定だけの段階では媒介契約自体がなく、報酬も費用も発生しません。

訪問査定の前にリフォームや修繕をしたほうがいいですか

急いで実施する必要はありません。築15年目に外部建具・内部建具・内装仕上げを全面リフォームした場合の評価の上昇幅は15.7%で、築25年の時点でも未実施との差は12.4%程度です。しかも劣化事象が残っていたり汚れが目立ったりすると、その価値が認められないと判断されます。

家族や近所に知られずに訪問査定を受けられますか

査定の段階では物件情報が公開されないため、近隣に知られる心配はほとんどありません。社名入りの車や資料が目立つのが気になる場合は、申し込み時に伝えておくと配慮してもらえます。ご家族には、売却の意思決定に関わるので早めに相談しておくほうが進めやすいでしょう。

ペットを飼っている場合はどうすればいいですか

ペットの有無そのものは、価格査定マニュアルの評価の対象に含まれていません。ただし内装や設備の汚れ具合は買主の目線で調査されるため、傷や臭いが目立つ箇所は当日に伝えておいてください。ケージに入れるか別室に移して、担当者が各部屋に入れる状態にしておくとスムーズです。

出典

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