古い水回りのままでは売れないのではないか。そう考えてリフォーム会社に見積もりを頼むと、200万円台の金額が返ってきます。この金額をかける価値があるのか、判断がつかないまま止まっている方は少なくありません。
国土交通省の調査を見ると、リフォームの動機に「売却するため」を挙げた世帯は0.2%でした。売る前に工事をする人は、統計上ほとんどいません。かけた費用がそのまま売却価格に乗るとは限らないからです。
ただし、すでに済ませたリフォームは話が別です。工事の中身によっては、売却益にかかる税金を減らせます。
決め手になるのは、その工事が「価値を高めた工事」だったかどうかです。
- 売却前リフォームが不要な理由
- 費用を回収できる家の条件
- 箇所別の実施率と費用相場
- 取得費に加えられる工事の線引き
- 不具合を隠した場合の法的責任
※ 税制は令和7年4月1日現在の法令等にもとづきます。統計は各調査の公表時点を本文中に明記しています。
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※2025年9月19日-23日 「サイト評価に関する調査」より
家の売却前にリフォームが原則不要な理由
売却のために大がかりなリフォームをしても、支払った工事費と同じ額だけ売却価格が上がることはまずありません。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査で、リフォームを実施した世帯が挙げた動機の上位2つを見てみます。「住宅がいたんだり汚れたりしていた」が39.7%、「家を長持ちさせるため」が22.3%。並んでいるのは、住み続けるための理由ばかりです。「売却するため」はわずか0.2%で、令和3年度から令和6年度までさかのぼっても0.0〜0.2%。5年間ほぼ動いていません。
工事を請け負う側の数字も、同じ方向を示しています。住宅リフォーム推進協議会が2025年7月、全国のリフォーム事業者1,343社に調査しています。物件の売買とセットで受注する工事が「なし」と答えた事業者は65.5%でした。売買に絡む工事は、事業者の業務全体の1割程度にとどまっています。
売る側も、施工する側も、売却前のリフォームを当たり前の手順とは考えていません。統計がここまで一致している以上、理由があるはずです。売却前の工事が割に合わない理由は、費用・時間・買主の好みの3つに分かれます。
工事費が売却価格に上乗せされにくい仕組み
400万円かけて直せば、400万円分は高く売れる。工事を検討するとき、多くの人はこの前提で考えます。
ところが中古住宅の価格は、内装の新しさから決まりません。先に効くのは土地の評価、駅からの距離、周辺の成約事例、建物の築年数です。内装が評価されるのは、これらで大枠の金額が決まったあとになります。室内をきれいにしても、先に決まる部分は動きません。
金額の規模を並べると、その意味が見えてきます。住宅リフォーム推進協議会の2025年度調査で、一戸建てのリフォーム実施者が支払った金額は平均470.1万円。一方、首都圏で令和7年4月から6月に成約した中古戸建の平均価格は3,850.95万円でした。調査の対象が違うため割り算はできませんが、470万円という支出が売買される価格の水準に対してどれくらいの重さを持つかは掴めます。
買主側の事情も関係します。住宅ローンを組むとき、金融機関はその家にいくらまで貸せるかを独自に判断するためです。リフォーム済みという理由だけで評価額が跳ね上がることは、実務上ほとんどありません。買える金額の上限が変わらなければ、売主が上乗せした分はそのまま値引き交渉の対象になります。
工事期間中は売り出せず売却が長引く
工事に入ると、その間は内覧を受けられません。職人が出入りしている部屋を、内覧に来た方に見せるわけにはいかないからです。工期が1か月なら、売り出しも1か月遅れる。見積書に書かれた期間を見て、多くの方はそう計算します。
その期間が、書かれたとおりに終わらないことがあります。同じ2025年度調査で、リフォーム費用が当初の予算を上回った人は30.1%いました。その理由の第3位が「想定外の工事が必要となった(躯体や構造部分の補修等)」で22.6%。一戸建てに限ると27.2%まで上がります。
壁を剥がしたら柱が傷んでいた、床下に水が回っていた。着工後にしか見えない場所で見つかる問題です。追加工事が決まれば、工期も金額も同時に伸びます。
この遅れが効いてくるのは、売却に期限があるときです。住み替え先の引き渡し日が決まっている、相続税の申告期限が迫っている、住宅ローンの返済を続けるのが苦しい。時間が限られているほど、着工しないと分からない要素を抱え込む負担は重くなります。
買主の好みと合わず作り直される場合
売主が新しくした設備を、買主がそのまま使うとは限りません。ここに、売却前リフォームの最も見過ごされやすい落とし穴があります。
それを示すのが、国土交通省の令和7年度調査です。中古住宅を買った世帯を、購入の前後どちらでリフォームがあったかで4つに分けています。
| 購入前後のリフォーム | 既存(中古)戸建住宅 | 既存(中古)集合住宅 |
|---|---|---|
| 売主および購入後のリフォームあり | 18.6% | 11.6% |
| 売主によるリフォームのみ | 25.0% | 44.6% |
| 購入後のリフォームのみ | 28.2% | 15.0% |
| リフォームなし | 28.2% | 28.8% |
※1 国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」2026年7月17日公表
※ 売主によるリフォームの有無が不明な世帯等は集計対象外です。
まず戸建住宅の列を縦に足してみます。売主が工事をしていた物件は上2つを合わせて43.6%と、半数を下回りました。逆に「購入後のリフォームのみ」28.2%と「リフォームなし」28.2%を合わせた56.4%は、売主が手を入れていない家が売れたケースです。工事をしなくても、買主は見つかっています。
さらに気になるのが一番上の行です。売主がリフォームをしたにもかかわらず、買主が入居後にさらに手を入れたケースが18.6%ありました。売主が費用をかけた部分を、買主が自分の好みで作り直しているわけです。壁紙の色、キッチンの高さ、浴室の仕様。生活に直結する部分ほど、人によって好みが分かれます。売主が良かれと思って選んだ設備が、買主に評価されるとは限りません。
\ 工事の前に、今の価格を知る /
ここまでの3つは、いずれも工事費が返ってこない方向の話でした。ただし全ての家に当てはまるわけではありません。
リフォーム費用を回収できる家の条件
費用対効果が出るかどうかは、築年数と不具合の程度、そして買主が誰かという3点でほぼ決まります。
逆に言えば、この3つが揃わない家では工事をしても戻ってきません。自宅がどちらに当てはまるかを確かめるため、判断の材料を先に並べます。
| 判断の材料 | 回収できる可能性がある | 回収が難しい |
|---|---|---|
| 築年数 | 築15年前後まで | 築25年を超える |
| 不具合の程度 | 給湯器の交換など部分的 | 躯体や配管に及ぶ |
| 想定買主 | そのまま住みたい実需層 | 自分で直す前提の層 |
| 工事の規模 | 数十万円で見た目が変わる | 数百万円の全面改修 |
| 資金の余裕 | 売却前に自己資金で払える | 借入や売却代金を当てにする |
※ 築年数の欄にある15年・25年は、法令や統計で定められた基準ではありません。次の項で見る調査データで、この前後を境に修理の必要性と工事金額が変わる傾向が出ているため、目安として置いたものです。個別の物件がどちらに当てはまるかは地域の相場と買主層によって変わるため、最終的な評価は査定で確認してください。
回収できる可能性がある物件の特徴
築年数が浅い物件ほど、必要な工事は小さくて済みます。国土交通省の調査で「住宅がいたんだり汚れたりしていた」を動機に挙げた世帯は、築10年未満だと39.0%。これが築20年以上30年未満で62.7%まで上がります。築年数が浅いほど、直すべき場所が限られているということです。
給湯器が動かない、網戸が破れている、洗面台の水栓から水が漏れる。こうした不具合の修理費は、数万円から十数万円にとどまります。金額だけ見れば、内覧の結果を左右するほどの工事には思えません。
実際の影響はもっと大きくなります。動かない設備が1つあるだけで、買主は「他にも壊れているのでは」と家全体を疑い始めるからです。見えている不具合が、見えていない部分への不信に変わります。
数万円の支出で、その不信を止められる。費用対効果が出やすいのは、この範囲までの工事です。
回収が難しい物件の特徴
築年数が進むほど、工事は大規模になり金額も大きくなります。住宅リフォーム推進協議会の2025年度調査から、実際にかかった費用を築年数別に並べました。予算の列と費用の列を、横に見比べてみてください。
| 築後年数 | 検討時の予算(平均) | 実際にかかった費用(平均) |
|---|---|---|
| 10年未満 | 366.7万円 | 472.3万円 |
| 10年以上20年未満 | 329.9万円 | 473.1万円 |
| 20年以上30年未満 | 261.4万円 | 324.4万円 |
| 30年以上40年未満 | 269.7万円 | 351.2万円 |
| 40年以上50年未満 | 300.6万円 | 388.9万円 |
| 50年以上 | 568.2万円 | 637.8万円 |
※1 住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォームに関する消費者実態調査報告書」2026年2月公表
※ 過去3年以内のリフォーム実施者への調査です。
まず目につくのは、6つの帯すべてで費用が予算を上回っている点です。予算どおりに収まった築年数帯は1つもありませんでした。築10年以上20年未満の帯では、143.2万円の超過です。築が浅くても、想定より高くつく傾向は変わりません。
そのうえで築50年以上の行を見ると、費用は平均637.8万円まで上がります。500万円以上を支払った人が47.0%、1,000万円以上も15.1%。この規模の支出を回収するには、工事後の価格が640万円近く高く評価される必要があります。築50年の建物でそれが起きる可能性は高くありません。
築年数が古い家ほど工事は大きくなり、そのぶん必要な値上がり幅も大きくなります。2つが同じ方向に動くため、費用と回収額の差は広がっていきます。
戸建てとマンションで異なる判断の分かれ目
戸建てとマンションでは、手を入れる場所そのものが違います。
住宅リフォーム推進協議会の調査で、リフォームを実施した箇所を物件種別に見ると差が明確でした。一戸建てで最も多いのは外壁の40.4%、次いでトイレ39.5%、浴室・洗面所39.4%、屋根29.7%と続きます。マンションはトイレ65.0%、浴室・洗面所63.1%、キッチン42.7%の順で、外壁と屋根は選択肢に入っていません。共用部分にあたるため、区分所有者が個別に工事できないからです。
外壁と屋根は金額が大きく、足場の設置だけで数十万円かかります。戸建ての売主が「全部きれいにしよう」と考えると、この2つが加わって総額が跳ね上がる構造です。実際、一戸建ての実施者が支払った平均額は470.1万円、マンションは316.9万円と150万円以上の開きがありました。
購入する側の動きにも差があります。中古マンションでは「売主によるリフォームのみ」が44.6%と、戸建ての25.0%を大きく上回りました。買取再販業者が室内を一新して販売する流通が定着しているためです。個人が売主の場合、工事の質で買取再販業者に並ぶのは現実的ではありません。
\ 回収できる家かどうか、査定で確かめる /
条件を確かめたうえで手を入れると決めたなら、次は金額です。ここにも、平均値だけを見ていると気づけない落とし穴があります。
売却前に手を入れる箇所と費用の相場
リフォームの費用は、平均値だけを見ると実態を見誤ります。
住宅リフォーム推進協議会の2025年度調査で、実施者が支払った金額は平均405.4万円でした。この数字だけを見ると、200万円台の見積もりは安いほうに思えます。
同じ調査の中央値は210.0万円です。平均の半分近い水準でした。金額の低い順に並べたとき真ん中に来る人は、210万円しか払っていません。平均が押し上げられているのは、一部の大規模な工事が全体を引っ張っているためです。
自分の見積もりを比べる相手は、平均ではなく中央値のほうです。しかもこの水準は、調査によってさらに動きます。
| 調査 | 平均 | 中央値 | 対象地域 | 調査時期 |
|---|---|---|---|---|
| 住宅リフォーム推進協議会 | 405.4万円 | 210.0万円 | 全国 | 2025年7月 |
| 国土交通省 | 170万円 | 70万円 | 三大都市圏 | 2024年4月〜2025年3月に実施した世帯 |
※1 住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォームに関する消費者実態調査報告書」2026年2月公表
※2 国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」2026年7月17日公表
※ 集計条件が異なるため、2つの数値の差を取ることはできません。
2つの調査は対象地域も調査方法も違うため、金額に幅が出ました。国土交通省の調査は住宅の設備を1か所替えたような小さな工事も拾っており、中央値は70万円まで下がっています。工事の範囲しだいで桁が変わる。そう考えたほうが実態に近くなります。
なお、以下で紹介する箇所別のデータは「どこに手を入れた人が多いか」を示すもので、箇所ごとの単価ではありません。公的統計や業界団体の調査に、箇所別の単価をまとめたものは存在しないためです。金額は必ず複数社の見積もりで確認してください。
キッチン・浴室など水回りの交換費用
手を入れる人が最も多いのは水回りです。住宅リフォーム推進協議会の調査では、トイレ・便所が50.2%、浴室・洗面所が49.4%、キッチン・調理室が34.7%と、上位3つを水回りが占めました。
これだけなら「みんなが直す場所だから安心」と読めます。ところが、予算を上回った人だけを抜き出すと数字が変わりました。浴室・洗面所58.1%、トイレ・便所57.8%、キッチン・調理室39.4%。いずれも全体の実施率を上回っています。最も多く手が入る場所が、最も予算を超えやすい場所でもあるということです。
理由は、予算を超えた人が挙げた第1位に表れています。「設備を当初よりグレードアップしたから」が47.4%で、想定外の故障ではなく自分で仕様を上げた結果でした。
ショールームで実物を並べて見ると、上位グレードとの差額が小さく思えてきます。浴室暖房を足す、食洗機を付ける、床材を上げる。1つずつは数万円でも、積み上がると当初の見積もりから数十万円動きます。売却が目的なら、買主が使う設備に自分の好みを反映させる意味はありません。
壁紙と床の部分的な張り替え
壁紙や床は面積が広いぶん、家じゅうを張り替えるものだと思われがちです。実際の数字は逆でした。床全面に手を入れた人は13.5%、内壁全面は9.8%にとどまります。一方で「一部の部屋の全面改修」を目的に挙げた人は31.7%。全部ではなく、気になる部屋だけを直す人のほうが3倍多いということです。
売却前の判断にも、この考え方が使えます。リビングのように内覧で必ず通る部屋、日当たりが悪くて壁紙の変色が目立つ部屋。買主の目に留まる場所だけを選べば、金額を抑えたまま印象を変えられます。
壁紙の張り替えは、標準的な種類を選べば1部屋あたり数万円から検討できる工事です。金額の規模としては、次に説明する外壁や屋根とは1桁違います。
外壁や屋根など高額になる工事
一戸建てのリフォーム実施者のうち、外壁に手を入れた人は40.4%。トイレの39.5%や浴室・洗面所の39.4%を上回り、最も多い箇所でした。屋根も29.7%で、キッチンの28.8%より上に来ています。これだけ多くの人が実施しているなら、そこまで身構える工事ではないようにも見えます。
違うのは金額の作られ方です。外壁塗装も屋根の葺き替えも、まず建物の周囲に足場を組みます。この足場代は数十万円かかるうえ、塗る面積が狭くても金額はほとんど変わりません。そのうえ施工面積が広いため、材料費と人件費も積み上がります。
予算を上回った人の実施箇所を見ると、外壁が29.7%、屋根が23.3%。全体の実施率である25.3%・17.9%をどちらも上回りました。着手すると想定を超えやすい工事だということです。雨漏りが起きているなら修繕は避けられませんが、見た目の改善を目的に外壁を塗り直す判断は、売却前には慎重になったほうがよいでしょう。
\ 数百万円かける前に、売れる金額を知る /
工事をしないと決めたとき、家をそのまま売り出すしかないわけではありません。
リフォームの代わりになる売却前の準備
工事をしなくても、買主の不安を減らす手段は3つあります。
清掃、不具合の部分的な修繕、そして建物状況調査です。いずれも数十万円のリフォームより安く、売り出しを止めずに進められます。
以下では費用の安い順に3つを説明しますが、実際に着手する順番は逆にしてください。多くの方は見た目から手をつけます。先に建物の状態を調べたほうが、直すべき箇所が絞られて無駄が出ません。状態を確かめ、必要な修繕だけを済ませ、最後に清掃で仕上げる。この順で進めるのが結果的に安く上がります。
ハウスクリーニングでの見た目の改善
水垢で曇った浴室の鏡、レンジフードの油汚れ、玄関の床に残った砂。毎日見ている側には、そこにあるのが当たり前になっています。同じ場所が、初めて家に入る買主には強く目に映ります。
自分で掃除をすれば済む、と考えたくなる部分でもあります。ただ、見慣れてしまった汚れは、自分で落とそうとして落ちなかったものであることが少なくありません。専門の業者に頼めば、その残った汚れが取れます。浴室と換気扇だけ、キッチンだけといった部分的な依頼を受け付けている業者も多く、家全体を頼む必要はありません。金額は依頼する範囲と地域で変わるため、複数社に見積もりを取って比べてください。
設備そのものは古いままでも、汚れが落ちているだけで印象は変わります。買主が見ているのは新品かどうかではなく、手入れをされてきた家かどうかだからです。内覧当日の準備については、マンション売却の内覧で詳しく整理しています。
給湯器や建具など不具合箇所の修繕
動かない設備、閉まらない扉、開かない窓。こうした不具合は、内覧で必ず気づかれます。買主は購入後に自分が直す前提で見積もりを頭の中で作り、その分を値引き交渉に持ち込みます。
ここで大切なのが、「元の状態に戻す修繕」と「新しくして価値を高める改良」を分けて考えることです。給湯器が壊れているなら同等品に交換する、網戸が破れているなら張り替える。これが修繕です。まだ使える給湯器を最新の高機能機種に替えるのは改良にあたります。
- 大規模の修繕
総面積の過半を超えて床または壁等を同じ材質で取り替え、修復すること - 大規模の模様替え
総面積の過半を超えて床または壁等を異なる材質に取り替え、改善をはかること
元に戻すのか、価値を上げるのか。この区別は、住宅の分野で広く使われています。国土交通省の調査でも、同じ材質に取り替えて元どおりに直す工事を「大規模の修繕」、違う材質に取り替えて良くする工事を「大規模の模様替え」と呼び分けていました。税金の計算でも似た区別が出てきますが、そちらは国税庁が定めた別の基準で判定します。用語も判定の物差しも違うため、後の章であらためて確認します。
売却が目的なら、修繕までにとどめるのが基本の考え方です。とはいえ、どこまでが「直すべき不具合」なのかは、素人の目では判断がつきません。
建物状況調査(ホームインスペクション)
建物状況調査は、建築士などの資格を持つ第三者が建物の状態を調べる仕組みです。宅地建物取引業法にも位置づけられています。同法34条の2第1項第4号は、不動産会社が売主と媒介契約を結ぶとき、書面に記載すべき事項を挙げています。そのうちの1つが次の条文です。
当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査(建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況の調査であつて、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施するものをいう。)を実施する者のあつせんに関する事項
条文が定めているのは「あっせんに関する事項を書面に書くこと」であり、調査そのものは義務ではありません。ただし売主は、媒介契約を結ぶ段階で調査業者を紹介してもらえる立場にあるということです。柱や梁といった構造の主要な部分と、雨水の浸入を防ぐ部分が対象になります。
調査を受けた場合、その結果は買主への説明にも使われます。同法35条1項6号の2は、重要事項説明の対象として「建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要」を挙げています。調べた事実と結果が、買主に正式に伝わる仕組みです。
法律に位置づけられ、買主への説明にも使われる。ここまで読むと広く普及した仕組みに思えますが、実際の利用率は違いました。住宅リフォーム推進協議会が事業者に聞いた調査では、実施する割合が「なし」と答えた事業者が50.9%でした。全体の加重平均も1.27割にとどまります。半数の事業者は、一度も使っていません。
仕組みが整っているのに使われていない状態は、売主にとって不利ではありません。むしろ、他の売り物件と差がつく余地が残っているということです。調査で問題が見つからなければ、その事実が買主の不安を消します。仮に不具合が見つかっても、売り出す前に分かっていれば対処の選択肢が残ります。数百万円の工事に踏み切る前に、まず建物の状態を正確に知ることが先です。
\ 手を入れずに売れるか、聞いてみる /
ここまでは、これから工事をするかどうかの話です。すでに過去にリフォームを済ませている方には、もう1つ確かめておきたいことがあります。そのとき支払った金額が、売却時の税金を左右する場合があるからです。
確定申告でのリフォーム費用の扱い
リフォーム費用は「経費」として一括りに扱われるわけではなく、取得費に加えられるか、譲渡費用になるか、どちらにもならないかで結論が変わります。
家を売るためにお金をかけたのだから、その分は経費として差し引ける。多くの方がこう考えますが、この理解のままだと差し引けない金額を申告書に書くことになりかねません。
家を売って利益が出ると、譲渡所得として所得税がかかります。計算式は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いたもの。売却のためにかけた費用なら譲渡費用に入りそうに見えますが、リフォーム費用が関係するのは取得費のほうです。理由は2つの章に分けて確かめていきます。
取得費に加えられる工事と加えられない工事
所得税法38条1項は、取得費を次のように定めています。
譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。
購入代金だけでなく「設備費及び改良費」が含まれる、と書かれています。国税庁のタックスアンサーNo.3252も、取得費には「売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます」と説明しました。建物の価値を高めた工事の費用なら、購入代金に足して差し引ける可能性があるということです。
では、どこまでが改良にあたるのでしょうか。国税庁はタックスアンサーNo.1379で、修繕費と資本的支出を分ける考え方を示しています。
一般に修繕費といわれるものでも資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価値を高めたりする部分の支出は資本的支出とされ、修繕費とは区別されます。
ここで多くの方がつまずくのが、手元の見積書との照合です。工務店の書類に「浴室修繕工事」と書かれていたら、修繕として扱うしかないように思えます。国税庁の考え方は違いました。同じページに「修繕や改良という名目によるのではなく、その実質によって判定します」と書かれています。書類の文言ではなく、工事の中身で決まるということです。
資本的支出にあたる例として、国税庁は3つを挙げています。
- 建物の避難階段の取付けのように、物理的に付け加えた部分の金額です
- 用途変更のための模様替えなど、改造や改装に直接要した金額です
- 部分品を特に品質や性能の高いものに取り替えた場合、通常の取り替えにかかる金額を超える部分です
4つの費用が、それぞれどちらに分類されるかをまとめます。
| 費用の種類 | 譲渡所得の計算での扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 建物の価値を高めた工事、使える期間を延ばした工事 | 取得費に加えられる可能性がある | 所得税法38条1項、タックスアンサーNo.3252 |
| 元の状態に戻すだけの修繕 | 取得費に加えられない | タックスアンサーNo.1379 |
| 売るために直接かかった費用(仲介手数料など) | 譲渡費用になる | タックスアンサーNo.3255 |
| 資産の維持や管理のためにかかった費用 | 譲渡費用にならない | タックスアンサーNo.3255 |
※ 令和7年4月1日現在の法令等にもとづきます。
ここで1点、注意が必要です。No.1379には「一つの修理、改良などの金額が20万円未満」「資本的支出か修繕費か明らかでない金額が60万円未満」といった金額の基準も示されています。ただし、これは貸付けや事業に使っている資産についての判定基準として書かれたもの。自宅の譲渡所得を計算するときに同じ金額を当てはめられるとは、国税庁の資料に書かれていません。工事の中身が資本的支出にあたるかどうかの考え方は参考になります。金額の線引きについては、税務署か税理士に確認してください。
ここまでは取得費の話でした。もう一方の譲渡費用については、国税庁がさらにはっきりした線を引いています。
譲渡費用に含まれるかどうかの線引き
取得費と並んで差し引けるのが譲渡費用です。国税庁のタックスアンサーNo.3255は、これを「土地や建物を売るために直接かかった費用」と定義しています。具体的に挙げられているのは次の6つです。
- 売るために支払った仲介手数料
- 売主が負担した印紙税
- 貸家を売るときに借家人へ支払う立退料
- 土地を売るために建物を取り壊したときの取壊し費用と建物の損失額
- より有利な条件で売るために既契約者へ支払った違約金
- 借地権を売るときの名義書換料
並んでいるのは、売買の手続きそのものに紐づく費用ばかりです。工事の費用は1つも入っていません。それどころか、同じページには次のように書かれています。
したがって、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用、売った代金の取立てのための費用などは譲渡費用になりません。
修繕費は譲渡費用にならない。国税庁がはっきり示している部分です。売るために直前に行った工事であっても、内容が修繕であれば差し引けません。「売却のための工事だから経費になるはず」という理解は、この一文で否定されます。
つまり、売却前のリフォームが税金の面で意味を持つ扱いは1つだけです。譲渡費用ではなく、取得費に加える改良費として計上する方法になります。ただし、そこにはもう1つ条件が付きます。
減価償却の計算と領収書がない場合
改良にあたる工事だと分かれば、支払った400万円を購入代金に足せる。ここまでの流れだと、そう読めます。実際には、その400万円は満額のまま残りません。
建物は時間とともに価値が減っていくものとして扱われるためです。所得税法38条2項は、建物のように使用や期間の経過で価値が減る資産について、取得費から減価償却費相当額を控除すると定めています。自宅として使っていた建物の場合、国税庁のタックスアンサーNo.3261が示す計算式は次のとおりです。
建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数=減価償却費相当額
償却率は、建物の耐用年数を1.5倍した年数(1年未満は切り捨て)に対応する数字を使います。国税庁は主な構造について、この計算を済ませた数字を掲載しています。
| 構造 | 償却率 |
|---|---|
| 木造 | 0.031 |
| 木骨モルタル | 0.034 |
| (鉄骨)鉄筋コンクリート | 0.015 |
| 金属造①(骨格材の肉厚が3mm以下) | 0.036 |
| 金属造②(骨格材の肉厚が3mm超4mm以下) | 0.025 |
※1 国税庁「No.3261 建物の取得費の計算」令和7年4月1日現在法令等
経過年数は、6か月以上の端数を1年とし、6か月未満は切り捨てます。減価償却費相当額は建物の取得価額の95%が限度です。これ以外の構造については、建物の耐用年数を1.5倍した年数に対応する償却率を使って計算します。
この計算は、購入代金と改良費を合わせた金額に対して行います。仮に木造で、工事から10年が経っているとしましょう。償却率0.031に0.9と10年を掛けると0.279。取得費に加えた金額のうち3割弱が減価償却され、その分だけ差し引ける額が減ります。工事から時間が経つほど、手元に残る金額は小さくなっていきます。
ここまでは、工事の中身と経過年数の話でした。実務では、その手前で結論が決まることもあります。前の項の終わりに残した「もう1つの条件」、つまり領収書です。
工事の内容がどれだけ資本的支出にあたるとしても、支払いを証明する書類がなければ取得費には入れられません。改良か修繕かを検討する以前の問題として、10年前・20年前の請負契約書や領収書が手元に残っているかどうかで税額が変わります。
書類が見つからないときの受け皿もあります。購入代金そのものが分からない場合には、売った金額の5%を取得費とする方法です。国税庁のタックスアンサーNo.3258は、3,000万円で売った場合に150万円を取得費とできる例を示しています。ただし5%では実際の購入代金を大きく下回ることが多く、そのぶん税額は増えます。この扱いについては、不動産売却で取得費が分からないときの計算方法で詳しく説明しています。譲渡所得税の税率や特別控除を含めた全体の流れは、家を売却したときにかかる税金を参照してください。
まずは、過去のリフォームの記録が残っていないか確認するところから始めてみてください。工事の見積書、請負契約書、領収書、振込の控え。どれか1つでも残っていれば、税理士や税務署に相談する材料になります。
\ 税金の計算は、売った金額から始まります /
ここまで税金の話をしてきましたが、税負担を減らす目的で新たに工事をするのは順序が逆です。しかも売るために工事をする場合、金額とは別の危険が生まれることがあります。
不具合を隠したリフォームと契約不適合責任
雨漏りやシロアリの被害を工事で覆い隠して売ると、引き渡しから何年経っても責任を問われる可能性が残ります。
民法が売主に課している契約不適合責任という仕組みがあるためです。「壁紙を貼り替えれば雨染みは見えなくなる」「床を張り替えればきしみは分からない」。こう考えて工事をすると、リフォーム費用を支払ったうえに、あとから損害賠償を求められる事態になりかねません。
告知書に記載が必要な不具合
不動産を売るとき、売主は物件状況等報告書(告知書)という書類を作ります。雨漏り、シロアリの被害、給排水管の故障、建物の傾き。知っている不具合を、買主に伝えるための書類です。
迷いやすいのが、すでに直した不具合の扱いです。過去に雨漏りがあっても修理が済んでいるなら、今は問題がないのだから書かなくてよい。そう考えたくなります。
書きます。この書類の目的は、今の状態を伝えることではないからです。買主が「この家は雨漏りの履歴がある」と知ったうえで買うかどうかを決められる状態にすることが目的になります。
では、工事で不具合を見えなくしたうえ、告知書にも書かなかったとしたら。売主が事実を知りながら隠したことになります。この状態がどれだけ重い意味を持つかは、民法566条に表れています。
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
前半だけを読むと、買主が不具合に気づいてから1年以内に通知しなければ、売主は責任を免れるように見えるでしょう。すべてを変えるのが、そのあとのただし書きです。売主が引き渡しのときに不具合を知っていた場合、この1年という制限は働きません。隠した売主に、期間の保護は与えられません。
では、期限なく責任を負うとして、買主からは具体的に何を求められるのでしょうか。
引き渡し後に責任を問われる範囲
買主が請求できる内容は、民法に段階を追って定められています。最初の段階が562条1項です。
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。
まずは「直してください」と求められる段階です。ここで応じれば話は修理費の負担で収まります。応じなかった場合に進むのが563条1項でした。
前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
代金の減額です。受け取った売買代金の一部を返すことになります。さらに564条は、これら2つの請求とは別枠だと定めました。条文には「第四百十五条の規定による損害賠償の請求」と「第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない」とあります。修理に応じても、損害賠償や契約解除の可能性が消えるわけではないということです。
雨漏りの修理費は、原因の特定を含めると数十万円から数百万円かかることがあります。買主が引き渡し後に修理を済ませ、その費用を請求してきたとき、売主側に争う材料は多くありません。壁紙を貼り替えた工事の記録そのものが、売主は状態を知っていたという証拠になり得るからです。
不具合があるなら、隠すのではなく正直に伝えたうえで、その分を価格に反映させる。これが結果として売主を守る進め方です。買主も、分かったうえで買った不具合について後から請求することはできません。
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工事をするか、しないか。判断の材料はここまでで揃いました。ただし、先に工事を始めてしまうと、比べるべき数字の片方が手に入らなくなります。
リフォーム前に受ける不動産査定
工事の契約書にサインする前に、今の状態でいくらの値がつくかを確認してください。
順番を逆にすると、判断の基準そのものを失います。リフォームを考えたとき、最初に連絡する先はリフォーム会社になりがちです。相談すれば当然のように工事の提案が返ってきます。「これだけ直せば見違えます」と言われれば、その気になるのが自然でしょう。
ただ、その工事で売却価格がいくら上がるかは、リフォーム会社の担当者には分かりません。中古住宅の価格を判断しているのは不動産会社だからです。聞く相手を間違えたまま契約すると、比べるべき数字を持たないまま数百万円を払うことになります。
現況のままの査定額を先に確認する
不動産会社の査定は無料で受けられます。現況のまま、つまり今の状態で売り出したらいくらになるかを聞いてください。ここが判断の出発点になります。
このとき、他の家の相場を調べて自宅に当てはめても、判断の基準にはなりません。首都圏の中古戸建は、令和7年4月から6月に成約した物件の平均価格が3,850.95万円、成約件数は5,504件でした。ただし都県別に開くと数字は割れます。東京都5,805.55万円に対し、神奈川県3,852.79万円、千葉県2,438.58万円、埼玉県2,373.59万円。同じ首都圏の中でも2倍以上の差がありました。
同じ「首都圏の中古戸建」でこれだけ動くのですから、全国平均を持ってきても自宅の判断には使えません。必要なのは、自分の家に対して出された数字です。
査定額が出たら、そこにリフォーム費用を足した金額で本当に売れるかを考えます。たとえば現況で3,000万円と言われた家に、仮に400万円かけたとしましょう。3,400万円で買う人が現れるか。この問いに不動産会社が首を縦に振らないなら、工事は見送る判断になります。
査定額の見方については、不動産査定額が高すぎるときの見極め方も参考になります。
ただし、この判断を1社の査定額だけで下すのは危険です。
複数社にリフォーム後の想定価格を聞く
査定は1社だけでは判断できません。同じ物件でも、会社によって価格の考え方が違うからです。過去にどんな物件を扱ってきたか、その地域でどれだけ成約実績があるかによって、見立ては変わります。
複数の会社に依頼するとき、聞くことは2つに絞れます。現況のままの査定額と、仮にリフォームをした場合の想定価格です。この2つの差が、工事によって上乗せできる金額の目安になります。
差額が工事費を下回るなら、工事をしない選択が合理的です。差額が工事費を上回るという回答が複数社から返ってきたなら、その根拠を具体的に聞いてください。同じ地域でリフォーム済み物件が実際に高く成約した事例があるかどうかが判断材料になります。
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売り出す前に手を入れないと決めた場合でも、選択肢は残ります。不動産会社に買い取ってもらう方法なら、現況のまま引き渡せます。契約不適合責任を負わない条件で契約できるケースもある点は、不具合を抱えた家では大きな違いになるでしょう。仲介より価格は下がりますが、工事も内覧も不要です。この方法については不動産買取の仕組みと相場で整理しています。
一戸建ての売却全体の流れを確認したい方は、家を売る手順と必要な準備から読み進めてみてください。
まとめ
売却前のリフォームは、支払った金額と同じだけ売却価格が上がる工事ではありません。国土交通省の調査でリフォームの動機に「売却するため」を挙げた世帯は0.2%、中古戸建を買った人のうち売主が工事をしていた物件は43.6%にとどまります。
一方で、過去に支払ったリフォーム費用は、建物の価値を高めた工事であれば取得費に加えられる可能性があります。売るために直接かかった費用ではないため譲渡費用にはなりませんが、領収書が残っていれば譲渡所得を減らす材料になります。
工事に踏み切る前に、現況のままの査定額を確認してください。そのうえで、複数の会社にリフォーム後の想定価格を聞けば、上乗せできる金額が見えてきます。
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よくある質問
家の売却とリフォームについて、よく寄せられる質問をまとめました。
家を売る前にリフォームしたほうがいいですか?
大がかりな工事は原則として不要です。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、リフォームの動機に「売却するため」を挙げた世帯は0.2%でした。中古戸建を買った人のうち、売主が工事をしていない物件を選んだ人が56.4%います。ただし給湯器の故障のように、動かない設備がある場合は交換を検討してください。買主が値引き交渉の材料にしやすい部分です。
売却前のリフォーム費用の相場はいくらですか?
売却に限定した相場のデータはありません。参考として、住宅リフォーム推進協議会の2025年度調査では、リフォーム実施者が支払った金額は平均405.4万円、中央値は210.0万円でした。一戸建てに限ると平均470.1万円です。築50年以上の物件では平均637.8万円まで上がり、500万円以上を支払った人が47.0%を占めました。
リフォーム済みの家は高く売れますか?
工事費と同額の上乗せは期待できません。中古住宅の価格は立地と築年数で大枠が決まるため、内装を新しくしても評価が同じだけ動くとは限らないからです。国土交通省の調査では、売主がリフォームした物件を買った人のうち18.6%が、入居後にさらに自分で工事をしていました。売主がかけた費用が、買主の好みに合わなかったケースにあたります。
リフォーム費用は確定申告で経費になりますか?
工事の内容によって扱いが分かれます。国税庁は、資産の使用可能期間を延長させたり価値を高めたりする支出を資本的支出とし、修繕費と区別しています。価値を高めた工事であれば取得費に加えられる可能性があります。一方、譲渡費用については「修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用」は含まれないと明示されています。個別の判断は税務署か税理士に確認してください。
リフォームせずに古い家を売る方法はありますか?
現況のまま売り出す方法と、不動産会社に買い取ってもらう方法があります。売り出す場合は、ハウスクリーニングで清潔さを整え、動かない設備だけを修繕すれば内覧に対応できます。建物の状態に不安があるなら、建物状況調査を受けて結果を買主に示す方法も選べます。買取なら内覧そのものが不要で、契約不適合責任を負わない条件で契約できるケースもあります。
出典
- 国土交通省・令和7年度住宅市場動向調査 報告書(公表日:2026年7月17日)
- 住宅リフォーム推進協議会・2025年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査報告書(公表日:2026年2月)
- 住宅リフォーム推進協議会・2025年度 住宅リフォームに関する事業者実態調査報告書(公表日:2026年2月)
- 国税庁・No.3252 取得費となるもの(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁・No.3255 譲渡費用となるもの(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁・No.3258 取得費が分からないとき(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁・No.3261 建物の取得費の計算(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁・No.1379 修繕費とならないものの判定(令和7年4月1日現在法令等)
- e-Gov法令検索・所得税法(施行日:2026年8月12日)
- e-Gov法令検索・民法(施行日:2026年6月24日)
- e-Gov法令検索・宅地建物取引業法(施行日:2026年4月1日)
- 国土交通省・令和7年度 住宅経済関連データ(令和7年度版)
