- 市街化調整区域でも売却できる理由
- 売却先と価格を左右する利用条件
- 線引き前宅地・旧既存宅地・地目が宅地の違い
- 役所で確認する項目と売却方法の選び方
市街化調整区域の土地や家でも、売却はできます。売買そのものが一律に禁止されているわけではありません。
ただし、売却先や価格を左右するのは、買主が購入後に何をできるかです。住み続けられるのか、建て替えられるのか、農地を宅地などへ転用できるのかによって、購入できる人や利用方法が変わります。
登記の地目が「宅地」でも、以前から家が建っていても、一般の買主が自由に建築できるとは限りません。建物を先に解体せず、登記・建築・許可・農地関係の資料を集め、自治体で過去の許可と現在の利用条件を確認することが大切です。
条件がわかれば、一般の買主へ仲介で売るのか、調整区域に詳しい会社へ相談するのか、隣地の所有者や農業者へ売るのかを判断できます。同じ資料を複数の不動産会社へ渡し、査定価格だけでなく、想定する買主や必要な手続きも比べましょう。
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市街化調整区域の不動産を売却する6つのSTEP
資料集めから契約条項の確認まで、次の順に進めると手戻りが減ります。
まず登記事項証明書、公図、測量図、固定資産税の資料を探します。あわせて、建築確認や検査済証、開発・建築の許可書、許可不要の根拠がわかる資料、農地転用の資料、古い売買契約書も集めます。すべてそろわなくても、売却をあきらめる必要はありません。
土地の場所、建物の使い方、その土地を手に入れた経緯を伝えます。そのうえで、過去の許可や許可不要の根拠、一般の買主が使えるか、建て替えや用途の変更ができるかを確認します。農地なら、農業委員会や農政の担当課への相談も必要です。
道路との接し方、境界を越えた塀や樹木、残された家財、上下水道、排水、擁壁(高低差のある土地を支える壁)などを、不動産会社と一緒に現地で見ます。
役所で確認した内容を各社へ同じように渡し、仲介と買取それぞれの手取り、売れるまでの見込み、先にかかる費用を比べます。
売る前に測量や許可申請をするのか、今の状態のまま買主へ引き継ぐのかを決めます。先に費用をかけるなら、その分だけ売却価格が上がる見込みがあるかも確かめます。
許可、農地転用、住宅ローンなどが必要なら、誰が申請し、費用を誰が負担し、いつまでに結果を出すかを決めます。許可が下りない、またはローン審査に通らないときに契約を解除できるか、手付金をどう扱うかも契約書に書き込みます。
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市街化調整区域でも売却はできる|制限されるのは買主の使い道
市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域で、開発や建築に強い制限があります。建物の建築などを目的に土地の区画形質を変更する「開発行為」には、原則として都市計画法第29条の開発許可が必要です。
開発許可を受けた区域外で、土地の区画形質の変更を伴わずに建物を新築・改築したり、用途を変更したりする場合は、原則として同法第43条の建築等許可が必要です。開発許可を受けた土地では、同法第42条による予定建築物等の制限も確認します。
開発許可では、道路・給排水施設・防災などの技術基準(第33条)だけでなく、市街化調整区域に立地できる用途かどうか(第34条)も審査されます。第43条の建築等許可でも、都市計画法施行令第36条により同様の観点が確認されます。許可が不要となる例外もあるため、最後は物件ごとに自治体へ確認します。
都市計画法上、所有権を移す売買そのものに、開発許可や建築等許可が一律に必要になるわけではありません。ただし、農地であれば農地法の許可など、別の法令に基づく手続きが必要になる場合があります。
つまり、行き詰まりやすいのは売買の手前ではなく、その先です。買主が購入後に住めるのか、建て替えられるのか。ここが曖昧なままだと、買主はローンも利用計画も立てられません。結果として、購入を見送るか、許可や工事のリスクを価格に反映することになります。
調整区域の売れやすさを分ける5つの条件
市街化調整区域の不動産は、土地の広さや立地だけで売れやすさを判断できません。買主が購入後も建物を使えるか、建て替えられるか、必要な許可を受けられるかによって、検討できる買主の範囲が大きく変わります。
確認する順番は、まず現在の建物がどのような根拠で建てられたのかを調べ、次に第三者が同じ用途で使えるかを確かめることです。さらに、建て替えや用途変更、道路・排水、農地関係の制限まで確認すると、現実的な売り方が見えてきます。
- 今の建物に、許可または許可不要の根拠があるか
- 建築確認だけでなく、開発許可・建築等許可、または許可不要とされた根拠を確認します。許可された用途・敷地・規模と、現在の状態が合っているかも確かめます。
- 買主が同じ用途で使えるか
- 農家住宅や分家住宅のように、特定の人や用途を前提に許可された建物があります。この場合、許可を受けた人と関係のない買主が同じように使えるとは限りません。自治体によっては、所有者や使用者が変わることを用途変更として扱い、別の許可を求める場合があります。
- 建て替え・増改築・用途変更ができるか
- 現在そこに建物があることと、解体後に同じ用途・規模の建物を建てられることは別の問題です。建て替えだけでなく、増築や店舗への変更などについても確認します。
- 接道・排水・インフラに問題がないか
- 都市計画法上の条件を満たしていても、接道、上下水道、浄化槽、排水先、擁壁などの問題で建築や利用が難しくなることがあります。工事費が必要になれば、査定価格にも影響します。
- 農地法・農業振興地域の整備に関する法律(農振法)の手続きが必要か
- 農地法上の農地に当たるかどうかは、登記の地目だけでは判断できません。農地のまま売れる相手や、宅地などへ転用できる条件を、農業委員会や農政の担当課へ確認します。
この5つの条件を確認した結果、一般の買主が住宅として利用できると説明できれば、仲介で広く買い手を探しやすくなります。一方、利用できる人や用途が限られる場合は、条件に合う買主、隣地の所有者、農業者、調整区域を扱う買取会社などへ売却先を絞る必要があります。
大切なのは、単に「建物がある」「地目が宅地」と伝えることではなく、買主が購入後にできることを資料で説明できる状態にすることです。利用条件が明確になるほど、査定の根拠や必要な費用も比較しやすくなります。
市街化調整区域の売却先は、利用条件5パターンから考える
役所で確認した利用条件は、そのまま売却先の違いにつながります。自分の不動産に近いものを表から探し、次に確かめることと売却先の候補を絞り込んでください。ただし、表だけで売れるかどうかが決まるわけではありません。
| 現在の状態 | 最優先で確認すること | 売却先の考え方 |
|---|---|---|
| 許可または許可不要の根拠を確認できる住宅があり、 第三者の使用や建て替えが認められる見込みがある | 許可・適用除外の履歴 第三者の使用 建て替えの条件 | 一般の住宅購入者を含め、まず仲介を検討する |
| 区域に指定される前(線引き前)から宅地として使われていた証拠がある | 線引きの日 利用の連続性 現在の自治体基準 必要な証明 | 役所で確認したうえで、調整区域の取引実績がある仲介会社へ相談する |
| 農家住宅・分家住宅など、人や用途を前提に許可された建物 | 第三者が使えるか 用途変更の許可が要るか 必要な手続き | 条件に合う買主、用途変更に詳しい会社へ相談する |
| 更地で、住宅を建てられる根拠が見つからない | 建てられる用途 隣地との一体利用 建物を建てない使い道の需要 | 隣地の所有者、許可を受けられる事業者、調整区域を扱う買取会社 |
| 農地、または農地として扱われる土地 | 農地の区分 農用地区域かどうか 売買・転用の可否 | 農地のまま売る場合と、転用許可を前提に売る場合を分ける |
売却先を分けるのは、区域名や登記地目だけではなく、買主が利用できる条件です。
たとえば、相続した古家の地目が「宅地」でも、過去の許可が農家住宅を前提にしていれば、一般の買主がそのまま住めるとは限りません。この場合は、近所の土地の相場を調べるより先に、第三者が使えるのか、用途を変えられるのかを確かめます。
更地だから買取しかない、昔から家があるから一般の買主に売れる。どちらも決めつけはできません。役所の回答と資料がそろうほど、想定できる買主と売り方は絞り込めます。
はっきりしないことが残る場合は、誰がいつ確認するのか、結果が出なければ契約をどう扱うのかまで決めておきます。
\ 売却先の候補が見えたら、次は査定 /
線引き前宅地は売りやすい?旧既存宅地との違いと再建築の条件
線引き前宅地は、売れるかどうかの答えではなく、建築や利用の条件を調べる入口です。
その土地が市街化調整区域になった日より前から、建物の敷地や宅地として使われていた土地は、実務上「線引き前宅地」などと呼ばれます。都市計画で市街化区域と市街化調整区域を分けることが「線引き」です。区域の編入や拡張が行われている地域では、同じ市町村内でも土地によって基準日が異なる場合があります。
線引きの前から宅地だったと証明できれば、現在の自治体基準に基づき、建築や建て替えが認められる可能性はあります。
ただし「線引き前宅地」は、法律で全国共通に決められた資格の名前ではありません。そう呼べるからといって、誰でも自由に建てられるとは限りません。
線引き前宅地・旧既存宅地・地目が宅地の違い
| 用語 | 何を表す言葉か | それだけでは判断できないこと |
|---|---|---|
| 市街化調整区域 | 市街化を抑える都市計画上の区域 | 売却できないという意味ではない |
| 線引き前宅地 | 線引きの日より前から宅地として使われていた土地という実務上の説明 | 現在の建築可否、誰が何を建てられるか |
| 旧既存宅地 | 旧制度で既存宅地の確認を受けた土地や、その履歴を表す言葉 | 現在の制度での再建築や用途の変更 |
| 許可を受けた宅地・建物 | 特定の根拠、用途、人などの条件で許可されたもの | 条件の異なる第三者がそのまま使えるか |
| 登記地目が宅地 | 登記簿に記録された土地の種類が宅地 | 都市計画法・建築基準法で建てられるか |
都市計画法の旧「既存宅地確認制度」は、2001年5月18日に廃止されました。廃止日までに確認を受けていた土地には施行日から5年間、廃止前に確認を申請し、その後確認を受けた土地には確認日から5年間の経過措置が設けられていました。
これらの経過措置は現在すでに終了しています。当時の確認書は、土地の履歴を示す資料としては役に立ちますが、それだけで現在の新築や建て替えが認められるわけではありません。今できることは、自治体の条例と審査基準で改めて確かめます。
基準は自治体ごとに違うため、ほかの地域の条件をそのまま当てはめることはできません。線引きの日がいつか、建物が現在も残っているか、過去にどのような許可や確認を受けたかによって、調べる内容も変わります。判断材料になるのは、登記事項証明書、農地転用の資料、航空写真などです。
線引き前からの宅地利用を証明する資料と取得先
まずは手元にある資料を集めます。足りないものは、自治体や法務局で取得・閲覧できるかを確認してください。
| 資料 | 確認できること | 主な取得・確認先 | 使い方 |
|---|---|---|---|
| 土地・建物の登記事項証明書、閉鎖登記簿 | 過去の地目 登記上の建物の存在時期 分筆・合筆の履歴 | 法務局 | 土地と建物、分ける前と後の関係をつないで確認する |
| 開発・建築の許可書、開発登録簿、検査済証 | 許可の日付 予定していた用途 敷地 許可条件 工事の完了 | 自治体の開発・建築担当課 | 今ある建物と許可の内容が合っているかを確認する |
| 建築確認済証、建築計画概要書、台帳記載証明 | 建築確認の時期 用途 規模 配置 | 自治体の建築担当課 手元の書類 | 第三者が使えるか、再建築できるかは、これだけで判断しない |
| 旧既存宅地確認書、農地転用許可書、道路位置指定資料 | 過去の行政判断や、宅地になった経緯 | 自治体 農業委員会 手元の書類 | 有力な履歴資料 ただし現在の基準は別に確認する |
| 固定資産課税台帳、航空写真、古い住宅地図、住民票等、水道記録 | いつ、どのように使われていたか | 自治体 図書館 国土地理院など | 補強資料 単独では足りず、複数資料の照合を求められることがある |
登記や過去の建築確認に加えて、航空写真や取得できる範囲の住民票等を補強材料として突き合わせることもあります。どの資料をどこまで求めるかは、自治体によって違います。
大事なのは枚数ではありません。「いつから」「どの範囲を」「何の用途で」使ってきたかが、一本の線でつながることです。分筆した土地なら、元の土地との関係も説明できるようにしておきます。
必要な証拠がそろわない場合は、「線引き前宅地」と言い切らず、未確認の事項として査定書、広告、重要事項説明に反映します。
\ 役所確認と査定を並行して進める /
市街化調整区域の査定前に役所で確認する5項目
役所へ行く前に、難しい法律用語を覚える必要はありません。土地の場所と手元の資料を示し、次の順に尋ねれば足ります。電話だけで結論が出ないときは、窓口や事前相談を使ってください。
都市計画の区域区分と線引きの日
都市計画課などで、市街化調整区域に入っているか、その土地の線引きの日はいつかを確認します。建築や開発を判断する課が別なら、その窓口の名前も聞いておきます。
開発許可・建築許可の履歴と、今ある建物の根拠
開発指導課や建築指導課などでは、次の順に聞くと話が整理できます。
- この土地・建物に、過去の開発許可、建築等許可、または許可不要の根拠となる記録はありますか
- 今ある建物は、どの用途・敷地・申請者や利用者の条件を前提に建てられていますか
- 許可を受けた人と関係のない買主でも、購入後に同じ用途で使えますか
- 建物を壊したあと、同じ用途で建て替えられますか。増改築や用途の変更には何が必要ですか
- 正式な判断を受けるには、どの申請や事前審査が必要ですか
- 必要な資料と、回答の根拠になる条例・審査基準を教えてください
許可の日付、用途、敷地の範囲などを記録した「開発登録簿」を閲覧できるか、写しを取得できるかも聞いておきましょう。
聞いた内容は、担当課、確認した日、伝えた買主・用途・計画、回答、根拠になる資料を一枚にまとめます。担当者名を書き残してよいかは、自治体の案内に従ってください。
自治体が正式な証明書を出さない場合でも、記録が残っていれば、買主が自分の計画で確認し直すときに役立ちます。口頭の回答だけで広告に「再建築可」と書かず、資料一式は不動産会社にも渡してください。
農家住宅・分家住宅は第三者が使えるか
農家住宅、分家住宅、公共事業による移転などを理由に許可された建物では、建物そのものだけでなく、申請した人の事情が許可の前提になっていることがあります。住む人の条件、敷地、規模、用途も確認が必要です。
聞くべきは「名義を変えられるか」だけではありません。一般の買主が実際に住んで使えるのか、持ち主や使う人が変わることを用途の変更とみなすのか、新しい許可や証明が要るのか。答えは、自治体と過去の許可理由によって変わります。
農地法・農振法と農地転用の可否
農地法上の農地かどうかは、登記の地目だけではなく、土地の現況で判断されます。登記地目が宅地や原野でも、現況が農地であれば農地法が適用されます。登記が田・畑の場合も、農業委員会へ現況と過去の手続きを確認してください。
農地を農地のまま売買・貸借する場合は、原則として農地法第3条に基づく農業委員会の許可が必要で、許可を受けずにした行為は無効です。ほかに、農地中間管理機構が作成する「農用地利用集積等促進計画」による方法もあります。
宅地などに変えて使うなら、農地転用の許可制度を確認します。農業振興地域の農用地区域に入っている土地は、原則として転用の前に農用地区域から外す手続き(農振除外)が必要です。
ただし、除外要件を満たさず、農用地区域から外せないこともあります。都市計画法で建てられるかどうかと、農振法・農地法で転用できるかどうかは、別々に確認します。
接道・境界・上下水道と災害リスク
調べるのは、建築基準法上の道路の種類、敷地が道路に接する長さ、上下水道、排水先、浄化槽、境界標です。
塀や樹木、屋根が境界を越えていないかも見ておきます。災害のリスクや擁壁の状態は、買主の利用計画と費用に直結します。
古家がないほうが売りやすいと思っても、先に壊さないでください。既存建物の許可や適法に建てられた根拠は、建て替えの可否を判断する重要な資料になります。
自治体によっては、既存建物の存否、除却した時期、用途の継続性などを審査の前提にすることがあります。解体後も同じ条件で建てられるとは限りません。壊す前後で何を建てられるのか、古家付きと更地で査定額がどう変わるのかを確かめてから決めましょう。
\ 解体の前に、まず査定を取る /
市街化調整区域の売却価格と相場はどう調べる?
「市街化区域の何割」という計算は、全国一律には成り立ちません。
同じ区域の中でも、一般の買主が住める土地と、農地のままでしか使えない土地では、買い手がまったく違うからです。駅からの距離より、許可の条件のほうが価格に影響することもあります。
価格は、次の3段階で絞り込みます。
使える用途を前提にした土地の価値
+ 許可を受けて使える建物の価値
− 測量・解体・設備工事・許可申請などの費用
− 許可やローン、売却期間が読めないことによる値引き
これは不動産鑑定の正式な計算式ではありません。各社の査定根拠を同じ条件で比べるための整理です。
不動産情報ライブラリで条件の近い取引事例に絞る
国土交通省の不動産情報ライブラリで、市区町村、取引の時期、土地か土地建物か、面積、前面道路、都市計画などが近い取引を探します。
不動産情報ライブラリには、取引当事者へのアンケートを基にした「不動産取引価格情報」と、指定流通機構が保有する「成約価格情報」が掲載されています。いずれも個別の物件を特定できないよう加工された情報です。
ただし、個別の許可条件、境界の問題、売り急ぎといった事情までは画面に表示されません。価格は土地の形、前面道路、取引の事情でも動くため、1件の単価をそのまま自分の土地に掛けないでください。価格帯をつかむ材料として使います。
見比べる順番は次のとおりです。最初の2つが違う取引は、近所であっても同じ相場としては扱えません。
- 一般の買主が住めるか、建て替えられるか
- 農地として扱われるか
- 道路・排水・上下水道の条件
- 面積、形、駅や生活施設までの距離
査定を受け取ったら、次の項目を各社に埋めてもらいましょう。金額の差がどこから生まれているのかを比べやすくなります。
| 比較項目 | 確認する違い | 査定で説明してもらうこと |
|---|---|---|
| 第三者の使用・再建築 | 買主の条件、用途、建て替えの可否 | どの役所資料と基準を前提にしたか |
| 農地・農振 | 農地に当たるか、農用地区域か、転用できるか | 想定する買主と必要な手続き |
| 道路・排水・設備 | 接道、排水先、上下水道、擁壁 | 必要な工事と概算費用、負担する側 |
| 面積・形状・立地 | 広さ、形、駅や生活施設までの距離 | 参考にした近隣事例と、その理由 |
| 未確定の事項 | 許可、融資、測量、境界 | 価格へどう反映し、いつ見直すか |
売主・買主のどちらが負担するか決める費用を整理する
- 測量、境界の確定、越境の解消
- 解体、残された家財の処分、擁壁の補修
- 上下水道の引き込み、浄化槽、排水工事
- 農地転用、開発・建築・用途変更の手続き
- 許可が下りるまでの時間と、下りない可能性
- 住宅ローンや事業融資を使えるか
同じ費用でも、売主が先に負担すべきとは限りません。売主が工事や許可を済ませてから売る場合と、今の状態のまま買主へ引き継ぐ場合とで、手元に残る金額を比べます。
同じ役所資料をそろえて複数社へ査定を依頼する
市街化調整区域の査定額を比べるときは、すべての会社へ同じ資料を渡すことが大切です。会社ごとに前提条件が違うと、査定額の差が土地の評価によるものなのか、確認した情報の差によるものなのか判断できません。
登記事項証明書や測量図に加え、自治体で確認した許可の履歴、第三者の利用、建て替え、農地転用などの情報をまとめて渡します。そのうえで、次の4項目を各社に説明してもらいましょう。
| 比較する項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 現在の状態での査定価格 | 追加の調査や工事をせず、そのまま売り出す場合の売却予想額 |
| 調査や手続きを追加した場合の査定価格 | 役所での追加確認、測量、境界確定などを行った場合に、価格がどの程度変わる見込みか |
| 成約見込み価格と販売期間 | 実際に契約できると予想する価格、想定する買主、売却までの期間とその根拠 |
| 不動産会社の買取価格 | 不動産会社が直接買主になる場合の価格と、価格から差し引かれている費用やリスク |
査定価格は、不動産会社が示す売却予想額です。実際に広告へ掲載する「売り出し価格」は、査定結果や売却期限を踏まえて、売主と不動産会社が相談して決めます。売り出し価格が、そのまま成約価格になるとは限りません。
また、仲介の査定価格と買取価格は、同じ基準で比べないようにしましょう。買取価格には、不動産会社が再販売するための調査費、工事費、売れ残るリスクなどが反映されるため、一般的に仲介の成約見込み価格より低くなります。
高い査定額だけで選ばず、想定する買主、必要な手続き、価格の根拠まで説明できる会社を選びましょう。未確認の事項がある場合は、誰がいつ調べ、確認後に査定額を見直すのかも聞いておくと比較しやすくなります。
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市街化調整区域の売却方法|仲介・買取・隣地売却の選び方
一般の買主が使える条件なら、仲介で広く買い手を探せます。使える人や用途が限られるほど、調整区域に詳しい会社、隣地の所有者、農業者へと、売却先を絞っていくことになります。
| 売却方法 | 向いている状態 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 一般の仲介 | 第三者の住宅利用や再建築を説明でき、需要が見込める | 買取より高く売れる可能性がある | 買主探しと融資審査に時間がかかることがある |
| 調整区域に詳しい会社の仲介 | 許可の履歴や用途の条件が複雑 | 役所での確認と買主選びをつなげやすい | 同じ自治体での取引実績と案件の中身を確認する |
| 不動産会社の直接買取 | 早く売りたい、建物や境界に課題がある | 買主を探さずに済み、条件を調整しやすい | 再販売の費用とリスクが差し引かれ、仲介より低くなりやすい |
| 隣地の所有者への売却 | その土地だけでは使いにくい狭い土地、接道が弱い土地 | 隣地と一体になると価値が生まれることがある | 相手が一人だと価格を比べにくい |
| 農業者・農業法人への売却 | 農地としての利用が現実的 | 農地のまま売る道を検討できる | 買主の要件と農地法の許可等が必要 |
迷うときは、最初から一つに絞らず、仲介の成約見込みと買取価格を並べて見ます。仲介をいつまで試すか、問い合わせが何件を下回ったら価格や売り方を見直すか。不動産会社と契約する前に決めておくと、判断がぶれません。
市街化調整区域に強い不動産会社を見極める6つの質問
会社ごとの差は、査定額よりも次の6つへの答え方に出ます。
- 同じ自治体で、第三者の利用や建て替えの条件が近い物件を売った実績はありますか
- 想定する買主は誰で、購入後の使い道をどう考えていますか
- いつ、どの地域で、どのような利用条件の物件がいくらで売れましたか
- 役所のどの課へ、何を確認する予定ですか
- 売主が先に負担すべき調査や工事は何ですか。費用以上の値上がりを見込めますか
- 買取の場合、契約する会社、価格を変更する条件、解除の条件はどうなっていますか
「調整区域でも必ず売れる」「線引き前なら必ず建てられる」と言い切る会社より、わからない点を一つずつ役所で確かめ、書面で説明してくれる会社を選びましょう。
\ 査定書と説明で、相談先を見極める /
市街化調整区域の売却でかかる費用と税金|仲介手数料・譲渡所得税
主な費用は、仲介手数料、紙の売買契約書を作成する場合の印紙税、測量や境界の確定です。ほかに、残された家財の処分、解体、登記、行政書士などへの報酬もかかります。すべての物件で必要になるわけではありません。
売買代金が800万円以下の宅地や建物は、使用されているか空き家かを問わず、媒介報酬の特例でいう「低廉な空家等」に当たります。媒介契約を結ぶ際に説明を受けて合意していれば、不動産会社が依頼者の一方から受け取れる報酬は、税込33万円が上限となることがあります。
税込33万円は上限であり、必ずその金額を支払うという意味ではありません。査定のときに、仲介手数料の計算方法、特例が使われるか、予定額はいくらかを書面でもらっておきましょう。
手取りと税金は、別々に計算します。決済のときに手元へ残る現金は、次のように整理できます。
売買代金 − 住宅ローンの返済額 − 仲介手数料・測量費などの売却費用 +/− 固定資産税などの精算金
一方、譲渡所得税はローン残高と関係ありません。売却で出た利益をもとに計算します。
売却代金 − 取得費 − 譲渡費用 − 使える特別控除
取得費は購入代金や購入時の手数料など、譲渡費用は売るために直接かかった費用です。所有期間は、売った年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで、長期と短期に分かれます。取得費がわからない場合は、売却代金の5%を概算取得費にできることがあります。
相続した家や、以前住んでいた家では、一定の要件を満たすと特例を使える可能性があります。反対に、測量費や解体費が必ず全額「譲渡費用」になるとは限りません。売り出す前に、税務署か税理士へ個別の条件を確認してください。
市街化調整区域の売買契約|重要事項説明と解除条件の確認
不動産会社が仲介する場合、契約の前に宅地建物取引士が、法令上の制限や道路・設備の状況を買主へ説明します。これが「重要事項説明」です。
説明では、都市計画や建築、道路、上下水道などが確認項目になります。売主の側も、知っている事実と、まだ確認できていない点を分けて不動産会社へ伝えてください。
- 市街化調整区域であること
- 今ある建物の許可または許可不要の根拠と用途
- 第三者の使用、建て替え、用途の変更について確認した内容
- 線引き前の宅地利用を示す資料と、自治体の回答
- 農地法・農業振興地域制度の手続き
- 接道、上下水道、排水、擁壁、越境、境界
- 許可、ローン、測量の結果を契約成立の条件にするか
- 許可が下りない、またはローン審査に通らないときに解除できるか。費用と手付金をどうするか
役所の回答には前提があり、計画が変われば結論も変わります。「いつ、どの課に確認したか」「どのような建築・利用の計画を前提にした回答か」を残しておくと、買主側も確かめ直しやすくなります。
市街化調整区域が売れないときは、値下げの前に原因を分ける
値下げで解決できるのは、価格だけが原因のときです。買主が利用方法を判断できない状態や、購入後の許可・融資に見通しが立たない状態では、価格を下げても売却につながらないことがあります。
まず、問い合わせが来ないのか、問い合わせ後に検討が止まるのか、価格交渉で折り合わないのかを確認しましょう。止まっている段階によって、見直すべき内容が変わります。
問い合わせが少ない場合は、利用条件と売却先を見直す
問い合わせがほとんどない場合は、価格を下げる前に、買主が購入後の使い道を理解できる情報がそろっているか確認します。市街化調整区域であることだけを掲載しても、第三者が住めるのか、建て替えられるのか、農地として扱われるのかがわからなければ、買主は検討できません。
- 使い道が伝わっていない
- 過去の許可、第三者の利用、建て替えなど、自治体で確認した内容を広告や販売資料に反映します。
- その土地だけでは使いにくい
- 接道や土地の形に課題がある場合は、隣地の所有者へ一体利用を提案する方法もあります。
- 農地としての利用が現実的
- 農業委員会へ相談し、農地のまま利用できる農業者や農業法人への売却を検討します。
一般の住宅購入者を対象にしても反応がない場合は、調整区域を扱う買取会社、事業者、隣地の所有者などへ売却先を広げます。土地の条件に合わない市場へ広告を出し続けても、売却期間が延びるだけになりかねません。
問い合わせ後に止まる場合は、許可と融資の不安を減らす
問い合わせや内覧はあるものの、具体的な申し込みにつながらない場合は、買主が許可や住宅ローンに不安を感じている可能性があります。
自治体へ確認した担当課、確認日、建て替えや利用の前提条件を整理し、不動産会社を通じて買主へ説明できる状態にしましょう。利用計画によって自治体の判断が変わる場合は、買主自身にも事前相談をしてもらいます。
住宅ローンの利用が難しい場合は、金融機関を変えれば必ず解決するとは限りません。行政資料を補ったうえで利用できる金融機関を確認し、それでも難しければ、現金で購入できる人、事業者、隣地の所有者などへ対象を広げます。
利用条件が明確でも売れない場合は、価格と売り方を見直す
買主が利用できる条件を説明でき、許可や融資についても見通しが立っているのに売れない場合は、価格や販売方法を見直します。
- 条件の近い成約事例と、現在の売り出し価格を比較する
- 仲介の成約見込み価格と、不動産会社の買取価格を並べる
- 測量、解体、設備工事などを売主が行う場合の費用対効果を確認する
- 仲介を続ける期限と、価格を見直す時期を決める
維持費や管理の負担が大きい場合は、高く売れる可能性だけでなく、売却までにかかる費用と期間も含めて判断します。仲介価格だけでなく、最終的に手元へ残る金額で比べることが大切です。
駐車場や資材置場への転用は、工事前に確認する
住宅として売りにくくても、駐車場、資材置場、太陽光発電などへ転用できるとは限りません。農地転用、造成、条例、排水、近隣への影響など、用途ごとに確認が必要です。
また、制度上利用できる可能性があっても、その用途で土地を探している事業者が地域にいなければ売却にはつながりません。自治体と不動産会社の両方へ相談し、手続きの可否と実際の需要を確認してから工事を進めましょう。
値下げをする前に、「情報が足りないのか」「買主が合っていないのか」「価格が合っていないのか」を順番に確認してください。原因がわかれば、必要以上に価格を下げずに売却方法を見直せます。
\ 値下げの前に、もう一度査定を取る /
市街化調整区域の売却でよくある質問
相続、地目、線引き前宅地、解体、会社選びについて、相談で多い5つをまとめます。
市街化調整区域の売却は「買主が使える条件」で決まる
市街化調整区域でも売却はできます。売れる相手と価格を決めるのは区域の名前ではなく、買主が何に使えるかです。
まず、建物を壊さずに資料を集めます。次に自治体で、過去の許可または許可不要の根拠、第三者の使用、建て替え、用途の変更、線引き前の宅地の扱いを確認します。
農地なら、農業委員会と農政の担当課にも相談します。そのうえで、同じ資料を複数社へ渡し、仲介・買取・隣地や農業者への売却を比べてください。
まず変えるべきなのは土地そのものではなく、買主が判断できる情報の整え方です。
「建てられるかもしれない」を、「誰が、何に使えるかを資料で説明できる」に変える。そこまで来れば、買主は利用計画を立てられ、売主も各社の査定を同じ条件で見比べられます。
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※2025年9月19日〜23日、全国20〜60代の男女3,000人を対象に競合5サイトを比較した調査。実施主体:株式会社マーケティングアンドアソシェイツ
※本記事は2026年8月17日時点の法令、公的情報および事業者の公表情報を基にした一般的な解説です。市街化調整区域の許可基準や必要書類は、自治体と物件の履歴によって異なります。個別の建築・用途の可否は自治体、契約は宅地建物取引士・弁護士、登記は司法書士、税金は税務署・税理士などへ確認してください。
出典
e-Gov法令検索「都市計画法」
国土交通省「開発許可制度の概要」
相模原市「Q6 市街化調整区域の土地を売買する場合、手続が必要ですか。」(更新日:2023年7月12日)
福岡市「既存宅地制度の廃止(旧都市計画法第43条第1項第6号)」(更新日:2024年4月1日)
農林水産省「農地をめぐる事情について」(更新日:2026年7月24日)
農林水産省「農業振興地域制度及び農地転用許可制度」
国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」
国土交通省「不動産情報ライブラリ・不動産取引価格情報のデータについて」
国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
国税庁「取得費が分からないとき」
法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
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