借地権付きの家や建物は、売却できます。ただし、買いたい人が見つかれば終わり、とはいきません。
借地権の売却は、契約と権利の中身、地主の承諾、買主の住宅ローンという3つの関門を通ります。どれか一つが曖昧なままだと、買主が決まったあとの契約や融資の段階で話が止まります。
そこで先に手をつけるのは、借地権割合を調べて価格を計算することではありません。借地契約書と建物の登記をそろえ、借地権を扱った経験のある不動産会社に、複数の売却方法と手取りを同じ条件で比べてもらうことです。
地主に黙って土地賃借権を他人へ譲ると、借地契約そのものを解除されるおそれがあります。承諾より先に売買契約を結ぶ場合は、「期限までに地主の承諾を得られなければ解除できる」という条件を契約書に入れてください。口頭の了解だけで代金の決済まで進むのは危険です。
- 借地契約書、更新契約書、覚書、過去の承諾書
- 土地と建物の登記事項証明書
- 地代、更新料、承諾料の支払記録
- 建築確認、検査済証、図面、増改築の資料
- 住宅ローンの残高が分かる書類
すべてそろわなくても相談は始められます。見つからない書類と、分からない点は、そのまま伝えて構いません。
この記事が主に扱うのは、一戸建てや一棟の建物を、土地を借りる権利ごと売るケースです。借地権付きの区分マンションは、管理規約や敷地の権利の持ち方が加わるため、確認する項目そのものが変わります。該当する方は、記事後半のFAQもあわせてご覧ください。
借地権売却の成否を決める3つの関門
売れるかどうかは、査定額という一つの数字では判定できません。次の3つを順に確かめると、どこから手をつけるべきかが見えてきます。
借地権の種類、契約の残り期間、地代、土地の使い道、譲渡や建替えの条件、建物の名義を確認します。
問題が見つかったら:契約書が見当たらない、相続登記が済んでいない、建物が登記されていない、無断で増改築している。こうした事情は先に整理します。
聞くのは「売ってよいか」だけではありません。承諾料、買主に求める条件、地代、建替えの可否、買主の融資への協力まで確かめ、書面に残します。
まとまらないとき:地主に買ってもらう、土地の所有権とセットで売る、条件を変えて再交渉する、裁判所の手続きを使う、といった道を検討します。
借地権の種類や残り期間が金融機関の条件に合うか、地主が必要な書類を出してくれるかを確認します。
難しいとき:現金で買える人を探す、専門会社に買い取ってもらう、価格や引渡し条件を見直す、といった選択肢があります。
この3つは別々には動きません。地主が売却そのものを認めても、金融機関が求める形式の承諾書に協力してもらえなければ、買主のローンは通りません。逆に、買主の支払能力や土地の使い道を見てから承諾を判断する地主もいます。
だからこそ、契約の確認、地主との交渉、融資の見通しは、同じ資料と同じ条件表をもとに並べて進めます。
借地権を売却できるかは権利の中身で変わる
借地権とは、建物を建てて所有するために、他人の土地を使う権利です。法律上は「地上権」と「土地賃借権」の2種類があり、どちらも日常では同じように「借地」と呼ばれます。ただし、売るときの手続きは同じではありません。
地上権か土地賃借権か
土地賃借権は、地主と結んだ契約にもとづいて土地を借りる権利です。他人へ譲るには、原則として地主の承諾が必要です。売買の見た目が「建物を売る」だけであっても、買主がその土地を使い続けるには土地賃借権も引き継がなければなりません。建物だけの取引だから承諾は要らない、とは考えないでください。
地上権は、土地そのものを直接使える権利として扱われます。賃借権の譲渡や又貸しを制限する規定は当てはまらず、地主の承諾なしに譲れるのが原則です。ただし、「地上権だと聞いている」という認識だけでは足りません。地上権が実際に登記されているか、期間や使い道に制限はないか、契約に特別な取り決めがないかを、登記事項証明書と契約書で確かめます。
旧法借地権・普通借地権・定期借地権
1992年8月1日より前に設定された借地権には、いまも旧借地法が適用される部分があります。ここで「古い契約のほうが借主に有利」「旧法なら自由に売れる」と考えるのは早すぎます。判断材料になるのは契約日だけではなく、その後の更新、建替え、地主と交わした合意書の履歴です。
普通借地権なら、更新の状況、残り期間、建物の種類と使い道が買主の判断材料になります。一方、定期借地権には原則として更新がありません。残り何年使えるのか、契約が終わるときに建物をどうするのかが、価格にも買主が組めるローンの年数にも直接影響します。
建物の登記名義と借りている土地の範囲
借地権そのものを登記していなくても、借主本人の名義で建物が登記されていれば、土地の持ち主が変わったあとも「ここを借りている」と主張できます。この効力を対抗力といいます。
裏を返せば、名義が実態と合っていない建物は、売却の足を引っ張ります。建物が未登記、名義が亡くなった家族のまま、増築部分が登記されていない、実際に借りている範囲と契約図面が食い違う。こうした状態は、買主を探し始める前に整理します。どの手続きから着手すべきかは、司法書士や土地家屋調査士に確認してください。
区分マンションでは、敷地を使う権利の種類、管理規約、地主との元の契約、管理組合による一括承諾の有無などを確認します。一戸建て向けの手順をそのまま当てはめないでください。
借地権を売却する4つの方法
売却方法は、提示された価格の高さだけでは選べません。並べて比べるのは、税金を引く前の手取り、成立に必要な条件、売却までにかかる時間、売ったあとに残る責任の4点です。
なお、地主が持つ土地の所有権を「底地」といいます。底地と借地権を同時に売れば、買主は土地と建物の完全な所有権を手にできます。
| 売却方法 | 向いている状況 | 価格・手取りの考え方 | 主な壁 |
|---|---|---|---|
| 第三者へ仲介で売る | 地主の協力が得られ、契約・建物・融資に大きな問題がない | 市場で広く買主を探せるため、借地権だけを売る方法の中では価格を比べやすい | 地主の承諾条件や買主の融資が固まらないと、契約後に止まりやすい |
| 地主へ売る | 地主が土地を自由に使える状態へ戻したい、または早めに関係を整理したい | 譲渡承諾料は通常かからない。ただし買い手が地主一人に限られるため、他の方法の査定と並べて判断する | 地主に買取義務はなく、提示額が低ければ成立しない |
| 底地と借地権を同時に売る | 地主も土地所有権を売る意向があり、所有権付きの物件として売るほうが有利と見込める | 買主が土地と建物の完全な所有権を得られるため、買主の範囲が広がる可能性がある | 売却代金の分け方、費用、契約条件について地主との合意が必要 |
| 専門会社に買い取ってもらう | 期限が短い、契約や建物に問題がある、一般の買主では融資が難しい | 再販売の費用、権利調整の手間、事業者の利益が見込まれるため、仲介の成約予想価格より低くなりやすい | 契約後の減額条件、売主負担、最終的な手取りの比較が必要 |
- 地主が底地も売りたい → 同時売却を先に比較する
- 地主の承諾と買主の融資が見込める → 第三者への仲介売却を検討する
- 地主が土地を取り戻したい → 地主への売却を他の査定と比べる
- 期限が短い、権利関係が複雑、融資が難しい → 専門会社の買取も比べる
どれか一つに決めてから相談する必要はありません。4つの方法について、想定価格、かかる費用、成立の条件、売却までの期間を1枚の表にまとめてもらうと、違いがはっきりします。
借地権の売却価格は借地権割合だけでは決まらない
借地権割合は、権利の価値をざっくりつかむには便利な数字です。ただし、売却相場そのものではありません。
相続税や贈与税の計算では、その土地を自分で使う場合の評価額に、地域ごとに定められた借地権割合を掛けて借地権の価額を出します。あくまで税金を計算するための基準です。実際にいくらで売れるかは、次のような条件を織り込んだ市場の評価で決まります。
- 借地権の種類と残り期間
- 地代、更新料、譲渡承諾料
- 地主が認める買主の条件と使い道
- 建替え、増改築、用途変更の可否
- 建物の状態、接道、再建築の可否
- 買主が使える住宅ローンと融資期間
- 地域の取引事例と需要
- 滞納、無断増改築、境界、相続、共有の問題
「更地価格×借地権割合」で出るのは目安の一つで、売却価格でも手取りでもありません。税務上の評価は参考にとどめ、借地権付き建物の取引事例、建物の状態、契約上の制限まで反映した査定を、複数社から取ってください。
手取りは2段階で計算する
手取りを見るときは、「手元にいくら残るか」と「税金の対象になる利益はいくらか」を分けて計算します。混ざりやすいのが住宅ローンの返済です。返済は手元の現金を確実に減らしますが、税金の計算では取得費にも譲渡費用にも入りません。
売却代金 − 譲渡承諾料など − 仲介手数料 − 登記・印紙・測量・解体などの売却費用 − 返済するローン残高
収入金額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額
取得費は、購入代金や購入時の手数料をもとに計算します。建物については、持っている間に価値が減った分(減価償却費相当額)を差し引きます。譲渡費用は、仲介手数料のように、売るために直接かかった費用です。
次の数字は、計算の順番を示すための仮の例です。相場や、承諾料の一般的な金額を示すものではありません。
| 項目 | 仮定額 |
|---|---|
| 売却代金 | 3,000万円 |
| 地主と合意した譲渡承諾料 | 300万円 |
| 仲介手数料 | 105万6,000円 |
| 登記・印紙・その他の売却費用 | 30万円 |
| 完済する住宅ローン | 500万円 |
| 税引前の概算手取り | 2,064万4,000円 |
計算式は、3,000万円−300万円−105万6,000円−30万円−500万円=2,064万4,000円です。仲介手数料は、売買代金3,000万円に対する通常の上限を「(3,000万円×3%+6万円)×1.1」で簡易計算しています。実際の報酬額は、不動産会社と結ぶ仲介契約(媒介契約)で確認してください。
税金のほうは、別の計算になります。仮に取得費が1,500万円で、承諾料・仲介手数料・その他費用の全額が譲渡費用と認められ、特別控除を使わないとすると、税金計算のもとになる利益は1,064万4,000円です。住宅ローンの500万円は、ここから差し引けません。
実際の税額は、取得費が分からない場合の扱いや、マイホームの3,000万円特別控除などで変わります。マイホームとともに売る借地権も、一定の要件を満たせば3,000万円特別控除の対象です。契約前に、税理士または税務署へ適用条件を確認してください。
譲渡承諾料は法律で一律に決まっていない
土地賃借権を第三者へ譲るときは、地主の承諾を得るために「譲渡承諾料」や「名義書換料」を支払う実務があります。
実務上の参考としては、借地権価格の10%前後という目安が知られています。ただし、10%は法律で決められた全国共通の料率ではありません。契約書の内容、地域の慣行、買主、残り期間、地代、建替え条件などで変わります。
目安があるだけに、金額の話だけで口約束になりがちです。少なくとも次の5点は書面にしてください。
- 何を基準に計算した金額か(売買代金、税務上の評価額、鑑定評価額のどれか)
- 名義変更だけの対価か、更新や建替え、条件変更の承諾まで含むのか
- 誰が、いつ、どの方法で支払うのか
- 売買が解除になったとき、返金されるのか
- その買主に限った承諾か、条件を満たす買主であれば有効な承諾か
税務上は、借地権を売るために地主へ支払った名義書換料などが、譲渡費用の例に挙げられています。支払いを証明できる資料が必要になるため、合意書、承諾書、領収書、振込記録はまとめて保管してください。
借地権を売却する流れは7段階
地主へ急いで連絡すればよいわけでも、先に買主を見つければよいわけでもありません。まず契約を読み、売却方法を比べ、そのうえで地主へ相談する内容を固めます。
借地契約書、更新契約書、過去の承諾書、地代の支払記録、土地と建物の登記事項証明書を集めます。契約書が見つからない場合は、地主へ連絡する前に、いつ・誰と・何を取り決めたのかを、不動産会社や弁護士と一緒に時系列で整理します。
4つの売却方法ごとに、実際に売れそうな価格、必要な条件、概算の手取り、想定する買主を示してもらいます。借地権割合を掛けただけの査定では足りません。
第三者へ売りたいのか、地主への売却や同時売却も選択肢に入れるのかを決めます。不動産会社の担当者を窓口に立てると、承諾料だけでなく、融資に必要な書類や建替えの条件まで一度に確認しやすくなります。
譲渡の可否、承諾料、買主の条件、地代、更新、建替え・増改築、住宅ローンへの協力、承諾書の形式を話し合います。地主が買取や同時売却を望むなら、第三者へ売る案との手取りを比べます。
販売資料には、契約の残り期間、地代、更新・譲渡・建替えの条件を正確に載せます。借地権付き物件の融資条件は金融機関ごとに異なり、地主の承諾書が必要になる場合もあります。
敷地が賃借権または地上権なら、買主が利用する金融機関から、所定の「地主の承諾書(購入用)」を求められることがあります。
正式な承諾より前に売買契約を結ぶなら、「期限までに所定の承諾書を取れなければ解除できる」「承諾料が想定額を超えたら再協議する」といった特約を入れます。買主がローンを使う場合は、融資承認の期限ともそろえます。
売買代金の受領、承諾料の支払い、地主承諾書の原本確認、建物の所有権移転登記、鍵と契約書類の引渡しを、同じ日に一度で確認します。必要書類と当日の手順は、仲介会社と司法書士が事前にそろえます。
地主が売却を承諾しないときの対処法
地主が承諾しないからといって、売却できなくなるとは限りません。ただし、無断で進めるのは避け、まず断られた理由を確かめます。
買主の支払能力や土地の使い道への不安、地代の滞納、無断の増改築。理由がこうした点にあるなら、先に問題を解消することで話し合いを再開できる場合があります。売買契約を急がず、借地問題を扱う弁護士へ相談してください。
裁判所へ地主の承諾に代わる許可を求める方法がある
土地賃借権では、買主が借地権を取得しても地主に不利益となるおそれがないのに承諾を得られない場合、借地権者が裁判所へ「地主の承諾に代わる許可」を申し立てられる制度があります。このような借地に関する裁判所の手続きを、一般に「借地非訟」と呼びます。
- 裁判所が許可に条件を付ける
- 地主への金銭の支払いを命じる
- 地主が建物と土地賃借権を自ら買い取る権利を使う
地主が自ら買い取る権利を「介入権」といいます。
つまり借地非訟は、承諾料を払わずに早く売るための手段ではありません。手続きでは、申立書や証拠の提出、当事者から事情を聴く手続き、不動産などの専門家で構成される鑑定委員会からの意見聴取など、複数の段階を踏みます。申立先は、原則として借地がある場所を管轄する地方裁判所です。
弁護士へ相談するときは、次の資料があると状況を共有しやすくなります。
- 借地契約書と、更新・承諾に関する書面
- 土地・建物の登記事項証明書、公図(法務局に備えられた土地の図面)、契約図面
- 地代・更新料の支払記録
- 地主とのメール、手紙、面談記録
- 買主候補の支払能力や利用計画が分かる資料
- 査定書、売買条件案、承諾料の提示内容
申立書の書式例は公開されていますが、書類を埋めれば許可が出るわけではありません。許可の見込み、地主が介入権を使った場合の価格、売却期限への影響まで含めて判断します。
売却前に集める書類
書類を「契約と権利」「建物と土地」「お金と名義」の3つに分けると、足りないものが見つけやすくなります。
- 借地契約書、更新契約書
- 覚書、承諾書
- 土地・建物の登記事項証明書
- 公図、契約図面
主な確認先:地主、管理会社、法務局、司法書士、弁護士
- 建築確認、検査済証、図面
- 増改築、修繕、設備の記録
- 境界、越境、接道の資料
- 固定資産税の課税明細・評価証明書
主な確認先:自治体、建築士、土地家屋調査士、不動産会社
- 地代・更新料・承諾料の支払記録
- ローン残高証明、抵当権の情報
- 相続や共有関係の資料
- 取得時の契約書、領収書、通帳
主な確認先:金融機関、市区町村、司法書士、税理士
引き渡した建物や土地が契約の内容と違っていた場合、売主は責任を負います。これを契約不適合責任といいます。増改築、雨漏り、設備の故障、境界や越境の問題は、分かっている範囲を不動産会社へ伝え、買主へどう説明するかを事前に決めておきます。
地主への事前相談メモ
条件も買主も決まっていない段階で承諾書への押印をお願いすると、地主は判断できず、話が止まります。まずは次の項目を1枚にまとめ、相談の入口を作ります。
- 対象:土地の所在地、建物の表示、契約日、現在の地代
- 売却理由:必要な範囲で簡潔に記載
- 希望:第三者への売却を検討していること
- 相談したいこと:譲渡の可否、買主に求める条件、承諾料の計算方法・金額・支払時期、地代・更新・用途・建替え条件の引継ぎ、融資書類への協力、地主による買取や同時売却の意向
- 今後:買主候補と条件が固まった段階で、正式な承諾書案を提示したいこと
このメモは、法的な承諾書ではありません。面談のあとは、合意できた点と未合意の点を記録し、正式な承諾書と売買契約書の内容をそろえます。
借地権売却でかかる費用と税金
借地権付き建物の売却では、通常の不動産売却でかかる費用に、地主との調整に必要な費用が加わります。
- 譲渡承諾料・名義書換料
- 仲介手数料
- 売買契約書の印紙税
- 登記費用(ローン完済後に抵当権を消す手続き、住所・氏名の変更、相続、建物の面積や構造の変更など)
- 司法書士、土地家屋調査士、弁護士、不動産鑑定士などへの報酬
- 測量、越境の解消、残置物処分、解体など、売却条件に応じた費用
- 売却益が出た場合の所得税・復興特別所得税・住民税
土地・建物や借地権の売却益は、給与などとは分けて税金を計算します。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで、長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれます。
ここで間違えやすいのが、相続や贈与で取得したケースです。所有期間は原則として、亡くなった方や贈与した方が取得した時期から数えます。「自分が相続してから5年」ではありません。
また、取得時の資料が見つからないからといって、すぐに概算の取得費だけで申告すると、税額が大きくなることがあります。購入時の契約書、領収書、通帳、借地権を設定したときの資料、建築資料、相続資料を探し、税理士へ取得費を確認してもらいます。
売買契約を急がないほうがよい7つのサイン
次のどれかに当てはまるなら、地主への条件提示や売買契約を急がず、問題の整理を先に進めます。
- 借地契約書がなく、借りている範囲、期間、地代、使い道を説明できない
- 地代や更新料に滞納、または地主との言い争いがある
- 建物が未登記、亡くなった家族の名義、または売主以外との共有になっている
- 地主に知らせていない増改築、用途変更、又貸しの可能性がある
- 地主の了解が口頭だけで、承諾料や買主の条件が決まっていない
- 買主の融資を確認しないまま、解除条件のない契約を求められている
- 「今日だけの価格」「他社へ相談すると買わない」など、比較を妨げる即決を迫られている
当てはまったからといって、売れないという意味ではありません。契約違反の解消、登記の整理、地主との再協議、売却方法の変更で進められることがあります。避けたいのは、問題を隠したまま買主探しや契約へ進むことです。
不動産会社と専門家の選び方
見るのは会社の規模ではなく、その地域の借地権付き建物をどう調べ、地主・買主・金融機関のあいだをどう調整するかです。相談先には同じ資料を渡し、次の質問への答えを比べてください。
- 査定額は、借地権割合以外の何を根拠に出したのか
- 第三者への売却、地主への売却、同時売却、買取の手取りを比べられるか
- 地主へ誰が、どの順番で、何を提示するのか
- 承諾書に何を入れ、買主の融資には地主のどの書類が必要か
- どの条件で査定額が下がり、何を売主が負担するのか
- 相続、未登記、契約違反、借地非訟が関わるとき、どの専門家と連携するのか
「借地権の取扱実績があります」と言われたら、件数だけでなく、扱った借地権の種類と売却方法まで聞いてください。個人情報を伏せた範囲で、地主の承諾、買主の融資、建替え条件、同時売却まで担当した事例があるかも確認します。
| 相談先 | 主に確認すること |
|---|---|
| 不動産会社・宅地建物取引士 | 価格査定、買主探し、地主や金融機関との調整、売買契約 |
| 司法書士 | 相続、所有権移転、抵当権抹消などの権利登記 |
| 土地家屋調査士 | 建物の表示登記、土地の境界や借地範囲 |
| 弁護士 | 契約上の争い、地主との交渉、借地非訟 |
| 税理士 | 取得費、譲渡所得、特別控除などの税務 |
一つの資格だけで、すべての問題を解決できるとは限りません。必要な専門家と連携できる体制があるかどうかも、相談先を選ぶ基準になります。
借地権売却でよくある質問
まとめ|価格査定の前に3つの関門を整理する
借地権は売却できます。ただし、契約と権利の中身、地主の承諾、買主の融資。この3つがつながらなければ、取引は成立しません。
まず、借地契約書、更新・承諾の書面、土地と建物の登記事項証明書、地代の支払記録、建築関係の資料を集めます。その同じ資料を複数の不動産会社へ渡し、4つの売却方法ごとに、成立の条件と税引前の概算手取りを出してもらってください。
契約書がない、滞納や無断の増改築がある、地主が強く反対している、建物の名義が違う。このようなときは、買主探しを急がず、弁護士や司法書士などへ先に相談します。借地権の売却を左右するのは、借地権割合という数字よりも、3つの関門をどの順番で解くかです。
主な参照資料
制度、税務、融資条件は2026年7月24日に確認しています。個別の売却では、契約内容と最新情報を専門家へ確認してください。
- e-Gov法令検索「民法」第612条
- e-Gov法令検索「借地借家法」第2条・第10条・第19条ほか
- 東京地方裁判所「借地非訟事件手続の流れ」
- 東京地方裁判所「借地非訟事件(書式例)」
- 国税庁「第2節 宅地及び宅地の上に存する権利」
- 国税庁 No.3255「譲渡費用となるもの」
- 国税庁 No.3258「取得費が分からないとき」
- 国税庁 No.3270「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」
- 国税庁 No.3302「マイホームを売ったときの特例」
- 国税庁「土地や建物を売ったとき」
- 国土交通省「宅地建物取引業法関係」
- 住宅金融支援機構「参考書式集」
- 三井住友銀行「借地権付物件の住宅ローン」
- 日本不動産鑑定士協会連合会「不動産鑑定士調停センター Q&A」
