- 借地人の承諾がなくても底地を売れる条件
- 借地権割合だけに頼らず、底地の価格帯を調べる方法
- 4つの売却方法と保有継続の比べ方
- 借地人への打診方法と不動産会社の選び方
底地は、借地人が土地を使っている状態のままでも第三者へ売却できます。
土地所有権を売ること自体に、借地人の承諾は原則として必要ありません。ただし、借地契約に事前通知や優先交渉の条項がある場合は、その内容に沿って進める必要があります。
価格と手取りは、借地人への売却、底地と借地権の同時売却、第三者への仲介売却、専門会社の直接買取のうち、どの方法を選ぶかで変わります。
売却方法を選ぶ前に、次の4点を整理しましょう。
- 借地契約の種類・期間・更新条件
- 地代収入から税金や管理費を引いた年間純収益
- 借地人に底地購入や同時売却の意向があるか
- いつまでに売却代金が必要か
借地人に購入意向があれば借地人への売却、借地人も建物を売りたいなら同時売却を先に検討します。借地人が住み続ける場合は、価格を優先するなら仲介、期限を優先するなら直接買取を比較しましょう。
契約書が見つからない、登記名義が亡くなった人のまま、地代滞納や紛争がある、借地人が複数いる場合は、査定や借地人への打診より先に権利関係を確認してください。
\ 底地を扱える会社をまとめて探す /
借地人の承諾がなくても底地は売却できるが、借地契約は買主へ引き継がれる
底地とは、借地権が付いた土地について地主が持つ所有権です。売却するのは土地所有権であり、借地人が所有する建物や借地権ではありません。
底地を売ること自体に、借地人の承諾は原則として必要ありません。ただし、借地契約書に事前通知、借地人との優先交渉、売却時の協議などが定められている場合は、契約違反を避けるために内容を確認しましょう。
借地権には、土地賃貸借によるものと地上権によるものがあります。本記事では、一般的な土地賃貸借を中心に説明します。地上権が設定・登記されている場合は、契約内容と登記を司法書士や弁護士へ確認してください。
土地の所有者が変わっても、借地人が新しい所有者へ「この土地を借りる権利がある」と主張できる効力です。
借地権そのものを登記していなくても、借地人名義で借地上の建物が登記されていれば、対抗力を備える場合があります。
借地人が対抗力を備えている場合、土地の売却に伴い、原則として地主としての地位も買主へ移ります。買主が新しい地主であることを借地人へ主張するには、土地の所有権移転登記が必要です。
買主は借地契約を引き継ぐため、土地が売られたことだけを理由に、借地人へ退去を求めたり、地代や契約条件を一方的に変更したりはできません。
対抗力があるか不明な場合は、土地だけでなく、借地上建物の登記事項証明書も取得してください。建物の名義、所在地、借地範囲との一致を確認します。
敷金・保証金・未収地代の引継ぎを契約書へ記載する
賃貸人の地位が買主へ移る場合、原則として敷金返還債務も新しい地主へ引き継がれます。
ただし、返還義務が移ることと、売主が預かっている現金が自動的に買主へ渡ることは別です。売主と買主の間で、敷金等を送金するのか、売買代金から差し引いて精算するのかを決めます。
「保証金」「預り金」など別の名称で受け取った金銭は、契約上の性質によって扱いが変わることがあります。名称だけで判断せず、契約書と入出金記録を確認してください。
売却前に発生した未収地代も、次のいずれで処理するかを決めます。
- 売主が売却後も回収する
- 未収地代を請求する権利を買主へ移す
- 売買代金の中で精算する
決済後は、旧地主と新地主の連名など、借地人が確認できる形で通知しましょう。
- 土地所有者が変わった日
- 新しい地代の振込先と切替日
- 敷金・保証金・前受地代の引継ぎ
- 更新・建替え・譲渡承諾などの連絡先
- 従来の借地条件を引き継ぐこと
底地の売却相場は借地権割合だけでは決まらない
路線価図で借地権割合が70%なら、底地は残りの30%と考えたくなります。しかし、この割合は主に相続税・贈与税の財産評価に使うものです。
更地価格に「1-借地権割合」を掛けても、実際の底地売却価格がその金額になるとは限りません。
公的な土地取引データも、一般の土地取引価格を調べる参考にはなりますが、個別の借地契約が付いた底地の全国平均や実売価格をそのまま示すものではありません。
底地の相続税評価額と売却価格は別に考える
普通借地権の目的となっている貸宅地について、国税庁は次の式で相続税・贈与税の評価額を計算します。
自用地としての価額 − 自用地としての価額 × 借地権割合
たとえば、自用地としての相続税評価額が3,000万円、借地権割合が70%なら、貸宅地の相続税評価額は900万円です。
900万円は税務上の評価例であり、周辺の更地が3,000万円で売れることや、底地が900万円で成約することを示す数字ではありません。
定期借地権の目的となっている土地は、普通借地権とは異なる計算方法で評価します。契約の種類を確認せず、同じ式を使わないでください。
底地価格は3つの要素から考える
実際の底地価格を考えるときは、次の3つを確認します。
近隣の土地取引、地価公示、都道府県地価調査、路線価などを確認し、借地権が付いていない土地ならどの程度の価格になるかを把握します。
面積、形状、接道、用途地域、境界などが違えば価格も変わるため、出発点として利用してください。
年間に実際に受け取った地代から、固定資産税・都市計画税、管理費、通常の回収費用などを差し引きます。
未収地代は収入に含めず、金額、滞納期間、督促状況、回収可能性を別に整理します。
契約の種類、残存期間、更新条件、建替え、地代改定、更新料などを確認します。
普通借地権では、契約期間が満了しただけで当然に土地が返還されるわけではありません。更新拒絶に正当事由が必要な場合があるため、「満了年に更地で戻る」と決めつけないでください。
借地人が底地を買う場合は、土地と借地権が一つにまとまり、市場性が回復する価値も価格へ反映されることがあります。
底地価格に影響する主な条件
底地価格は、表にある条件のうち、どれか一つだけで決まるものではありません。地代収入が安定していても、契約期間、借地人との関係、境界や相続などに不確実な点があれば、買主は将来の管理費用や交渉リスクを見込んで価格を調整します。
| 分類 | 確認する内容 |
|---|---|
| 収益 | 年間地代、固定資産税、管理費、滞納、地代改定の履歴 |
| 契約 | 旧法借地・普通借地・定期借地の別、残存期間、更新、建替え、一時金 |
| 借地人・権利 | 借地人数、購入意向、紛争、敷金等、共有、相続、抵当権 |
| 土地条件 | 立地、面積、形状、接道、境界、用途地域、将来の利用方法 |
査定を依頼するときは、各社へ同じ契約書・地代履歴・登記資料を渡し、「どの条件をプラスまたはマイナスに評価したのか」「その条件が価格へどの程度影響したのか」を確認しましょう。
査定額だけでなく評価の根拠まで比べることで、実際に成約を見込める価格か判断しやすくなります。
自分の底地の売却価格帯を3段階で調べる
- 近隣の土地取引や公的価格から、借地権がない場合の参考価格を把握する
- 借地契約書、地代台帳、固定資産税資料から、純収益と契約条件を整理する
- 同じ資料を複数社へ渡し、仲介の成約予想価格と直接買取価格を比較する
査定結果を受け取ったら、「査定額」「売出価格」「成約予想価格」「直接買取価格」を区別しましょう。
金額が高い会社には、想定する買主、売却期間、値下げの条件を確認します。直接買取では、現地調査後に価格が変わる条件と、売主負担費用を確認してください。
\ 割合ではなく、実際の提示額で確認 /
底地を売却する4つの方法
底地の主な売却方法は、借地人への売却、底地と借地権の同時売却、第三者への仲介売却、専門会社の直接買取の4つです。
保有継続も比較対象に入れ、価格だけでなく、成立条件、現金化までの期間、売却後の負担を確認しましょう。
※表は横にスクロールできます。
| 選択肢 | 向いている状況 | 価格の考え方 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 借地人へ売却 | 借地人に購入意向と資金がある | 完全所有になる価値を反映できる場合がある | 購入を強く迫らず、時価の根拠を示す |
| 底地と借地権を同時売却 | 地主と借地人の双方が売却を希望する | 完全所有権として一般市場へ提案しやすい | 代金配分、費用、契約条件の合意が必要 |
| 第三者へ仲介売却 | 価格を優先し、買主探しを待てる | 地代収益と将来性を投資家が評価する | 成約時期や成約価格は確定しない |
| 専門会社へ直接売却 | 期限を優先し、権利調整も任せたい | 管理・交渉・再販売の費用が価格へ反映される | 減額条件と最終手取りを確認する |
| 保有継続 | 純収益が安定し、管理を続けられる | 地代収益と将来の売却価値を合わせて考える | 滞納、相続、共有化、管理負担を見込む |
借地人へ底地を売却する
借地人が底地を取得すると、土地と建物を完全所有できるようになります。地代の支払いや更新・建替え・譲渡承諾に関する将来の交渉も減るため、第三者より購入意欲が高い場合があります。
一方、借地人に購入資金がない場合や、現在の地代負担が小さい場合は、購入を希望しないこともあります。
価格は、路線価上の底地割合だけで決めず、土地の参考価格、地代負担、完全所有後の利用価値、借地人の購入諸費用をもとに話し合いましょう。
親族や関係者へ著しく低い価格で売る場合は、贈与税や譲渡所得の問題が生じる可能性があります。査定書など、時価の根拠を残してください。
底地と借地権を同時に第三者へ売却する
借地人も建物と借地権を売りたい場合は、地主と借地人が協力し、底地・借地権・建物を同じ買主へ売る方法があります。
買主は完全所有権を取得できるため、底地だけを売る場合より買主候補や融資の選択肢が広がる可能性があります。
ただし、総額が決まっても、地主と借地人の取り分が自動的に決まるわけではありません。借地権割合だけで配分せず、底地、借地権、建物の価格、売却費用、税負担を踏まえて合意します。
底地だけ、または借地権・建物だけの売買が不成立になった場合の扱いも、契約書でそろえてください。
底地を仲介で第三者へ売却する
借地人が土地を買わず、建物と借地権も売らない場合は、地代収入を目的とする投資家や資産保有会社を仲介で探します。
直接買取より高い価格を目指せる可能性がある一方、買主が見つかるまで時間がかかり、売れない場合もあります。
買主は、年間地代だけでなく、固定資産税等を差し引いた純収益、滞納、契約残存期間、地代改定履歴、借地人との関係、将来の売却見込みを確認します。
借地契約書、地代台帳、入金履歴、借地人との連絡記録が整理されているほど、買主が見込む不確実性を減らしやすくなります。
底地買取の専門会社へ直接売却する
期限を優先する場合や、借地人の協力を得にくい場合は、底地を直接買い取る会社が候補になります。
買取会社は、契約管理、借地人との調整、保有、再販売にかかる費用とリスクを見込むため、仲介の想定成約価格より低くなる可能性があります。
比較するときは、次の点を確認してください。
- 査定した会社が直接の買主になるか
- 別会社の紹介・仲介ではないか
- 調査後に減額できる条件と期限
- 測量・登記・専門家費用の負担
- 契約不適合責任の範囲
底地を売らずに保有する
地代の純収益が安定し、借地人との関係も良好で、家族が管理を続けられる場合は、保有継続にも価値があります。
一方、地代滞納、共有者の増加、管理を引き継ぐ人がいない、納税期限までに資金が必要といった事情がある場合は、現在の収益率だけで保有を決めると負担が残ります。
保有を続ける場合は、数年間の地代純収益と、その期間終了後に売却した場合の手取りを、現在の売却手取りと比較しましょう。
\ 仲介と買取の条件を同時に比較 /
底地の売却と保有を同じ期間で比べる判断シート
現在の売却手取りと、毎年の地代収入は、受け取る時期が異なるため、そのままでは比較できません。
最初に比較期間を決め、税引前・税引後のどちらで比べるかをそろえます。
将来受け取るお金を、現在時点の価値へ換算した金額が現在価値です。換算に使う割合を割引率といいます。
割引率が高いほど、受け取るまでの期間が長い収入は低く評価されます。
判断シートへ入力する金額と条件
| 入力項目 | 計算・確認内容 |
|---|---|
| 年間地代純収益 | 年間の実入金額-固定資産税等-管理・回収費用 |
| 現在売却の手取り | 現在の売却代金-仲介・測量・登記・専門家費用等 |
| 比較期間 | 5年・10年など、実際に管理を続けられる期間 |
| 期間終了時の売却手取り | 将来の想定売却代金-将来の売却費用 |
| 割引率 | 将来収入と不確実性を現在価値へ直す仮定 |
| 税金 | 税引後で比べる場合は、各案の譲渡所得税等を試算 |
保有を続ける場合の価値は、次の式で考えます。
各年の地代純収益の現在価値の合計 + 保有終了時の売却手取りの現在価値
底地の売却手取りと地代収益を比べる計算例
以下は計算方法を示す架空の例です。底地の相場や実際の成約事例ではありません。
- 年間地代:60万円
- 固定資産税・都市計画税:21万円
- 管理・回収費用:9万円
- 年間地代純収益:30万円
- 比較期間:10年
- 仮の割引率:年3%
- 10年後の税引前売却手取り:800万円
この条件では、10年間の地代純収益の現在価値が約256万円、10年後の売却手取りの現在価値が約595万円です。合計は約851万円になります。
計算式を見る
30万円 ×{1-(1+3%)のマイナス10乗}÷3%
+ 800万円 ÷(1+3%)の10乗 = 約851万円
次の売却価格も、比較方法を示すための架空の金額です。
| 選択肢 | 仮定 | 基準日時点の税引前価値 | 成立条件 |
|---|---|---|---|
| 10年間保有後に売却 | 年30万円、10年後800万円、割引率3% | 約851万円 | 管理継続と将来価格の仮定 |
| 借地人へ売却 | 売買代金1,200万円、費用35万円 | 1,165万円 | 借地人の合意と資金 |
| 同時売却 | 地主の配分1,400万円、費用65万円 | 1,335万円 | 売却条件・配分の合意 |
| 第三者へ仲介売却 | 売買代金950万円、費用50万円 | 900万円 | 買主募集と成約 |
| 専門会社へ直接売却 | 売買代金800万円、費用20万円 | 780万円 | 買取条件の合意 |
この例では同時売却の手取りが最も高いものの、借地人が売却を希望し、価格配分にも合意できなければ実行できません。
金額と成立条件を同じ表に並べることが重要です。
保有案の結果は、割引率と将来の売却手取りで変わります。
| 仮の割引率 | 10年後600万円 | 10年後800万円 | 10年後1,000万円 |
|---|---|---|---|
| 2% | 約762万円 | 約926万円 | 約1,090万円 |
| 3% | 約702万円 | 約851万円 | 約1,000万円 |
| 5% | 約600万円 | 約723万円 | 約846万円 |
年間純収益30万円、10年、割引率3%という前提では、10年後の税引前手取りが約1,222万円になれば、借地人へ現在売る手取り1,165万円とおおむね釣り合います。
実際の判断では、税引後手取り、現金化の期限、価格の確実性、管理負担も加えてください。
\ 判断シートの金額を査定で確認 /
底地売却を進める6つの手順
目的と期限を決めずに査定だけを集めると、価格を比較する前提がそろいません。次の順序で進めましょう。
相続税の納税、共有状態の解消、管理終了など、売却理由と必要な決済日を整理します。価格、速さ、借地人との関係のうち、何を優先するかも決めます。
土地の登記、公図、測量図、借地契約書、更新書類、地代台帳、固定資産税資料などを集めます。見つからない資料は推測で補わず、未確認として伝えます。
実際の年間入金額から固定資産税等と管理費を差し引きます。契約の種類、開始日、残存期間、更新、建替え、地代改定、一時金の条項も抜き出します。
購入意向だけを確認するのか、同時売却まで相談するのかを決めます。紛争中、滞納交渉中、代理人がいる場合は、弁護士を通してください。
仲介会社には成約予想価格と期間、直接買取会社には最終価格と減額条件を出してもらいます。買主、手数料、測量、借地人対応、売主責任も同じ項目で比較します。
借地契約、地代債権、未収金、敷金等、固定資産税等の精算、書類の引渡し、借地人への通知を売買契約書へ記載します。決済日と地代振込先の切替日もそろえます。
査定前にそろえたい資料
- 土地の登記事項証明書、公図、地積測量図、境界確認書
- 借地契約書、更新契約書、覚書、承諾書
- 地代の請求・入金履歴、滞納・督促記録
- 固定資産税・都市計画税の納税通知書
- 敷金・保証金、前受地代、更新料等の記録
- 借地上建物の登記事項と借地人の連絡先
- 底地取得時の契約書、領収書、登記費用の資料
登記上の住所・氏名が現在と異なる場合は、変更登記も確認します。
2026年4月1日から、所有権の登記名義人は、住所・氏名の変更日から原則2年以内に変更登記を申請する義務があります。2026年4月1日より前の変更で未登記の場合は、原則として2028年3月31日までです。
\ 同じ資料で複数社へ査定依頼 /
底地売却を借地人へ打診する前に決めておくこと
法律上売却できることと、借地人へ何も伝えずに進めることは別です。知らない買主から突然連絡が来れば、借地人は退去や地代値上げへの不安を感じ、同時売却や底地購入の相談が難しくなることがあります。
最初の連絡は、購入を迫る場ではなく、借地人の意向を確認する場にしましょう。
土地の今後について整理を始めています。現在の借地契約を一方的に変更する話ではありません。土地の購入に関心があるか、将来、建物と借地権を売却する予定があるか、現時点でのお考えを伺えますか。条件は資料を確認したうえで改めてご相談します。
連絡前に、次の点を決めてください。
- 家族、不動産会社、弁護士の誰が連絡するか
- 底地購入の意向だけを聞くか、同時売却も確認するか
- 価格を提示する場合に、どの査定や資料を根拠にするか
- 回答期限を設ける必要があるか
- 借地人が希望しない場合に、第三者売却へどう進むか
地代の一方的な値上げ、退去をほのめかす説明、相場より低い価格を受け入れさせる圧力は避けてください。
借地人と紛争中、滞納について交渉中、本人の意思能力に不安がある、すでに代理人がいる場合は、直接連絡せず弁護士へ相談します。
買主候補へ借地契約書や個人情報を開示する場合も、初期段階では氏名・住所・連絡先などを伏せ、候補が絞れた後に開示範囲を確認しましょう。
\ 打診前に価格の根拠を確認 /
底地売却にかかる費用と税金
売却代金が同じでも、仲介か直接買取か、測量や登記が必要か、取得費を証明できるかによって手取りは変わります。
底地売却で発生しやすい費用
| 費用 | 主な発生場面 | 確認点 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社の媒介で成約 | 上限額、消費税、支払時期 |
| 印紙税 | 紙の売買契約書を作成 | 記載金額と軽減措置 |
| 測量・境界確認費 | 面積・境界を確認して売る | 借地人・隣地の協力と納期 |
| 登記関連費 | 抵当権抹消、住所・氏名変更等 | 登録免許税と司法書士報酬 |
| 専門家報酬 | 紛争、契約、税額、鑑定等 | 業務範囲と追加費用 |
| 固定資産税等の精算 | 引渡日を基準に当事者間で精算 | 精算基準日と収入金額への算入 |
| 譲渡所得税等 | 売却益が発生 | 取得費、所有期間、特例 |
仲介手数料の通常の上限は、売買代金が400万円を超える場合、課税事業者なら次の速算式で計算できます。
売買価格が800万円以下の宅地・建物では、媒介業務にかかる費用を考慮し、依頼者一方から受け取れる報酬を税込33万円以内とする特例を適用できる場合があります。
特例を利用する場合は、媒介契約を結ぶ前に報酬額の説明を受け、合意してください。
買取会社が自ら買主になり、別の仲介会社が入らない直接取引なら、通常は仲介手数料がかかりません。
紙の不動産売買契約書には印紙税がかかります。記載金額10万円超の不動産譲渡契約書に対する軽減措置は、2027年3月31日までに作成される契約書が対象です。
土地売買による所有権移転登記の登録免許税は、2029年3月31日まで、固定資産税評価額の1.5%へ軽減されています。
登記を受ける当事者には登録免許税の納付義務がありますが、売主・買主のどちらが実際に負担するかは売買契約で確認します。
固定資産税・都市計画税は、その年の1月1日時点の登記名義人などへ課税されます。年の途中で売却しても、自治体に対する納税義務者は自動的に買主へ変わりません。
買主から受け取る引渡し後の期間分の固定資産税等の精算金は、譲渡所得の収入金額に含めます。
底地の譲渡所得税は売却益にかかる
個人が底地を売って利益が出た場合は、原則として次の式で課税譲渡所得を計算します。
収入金額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額
仲介手数料、売主負担の印紙税、売却のために直接必要となった測量費などは、譲渡費用に含まれる場合があります。
固定資産税や通常の管理費は、原則として譲渡費用には含まれません。
2026年中に売却する場合、2026年1月1日時点の所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得です。
| 区分 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税を含む概算合計 |
|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 15% | 5% | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 30% | 9% | 39.63% |
2026年中の売却であれば、原則として2020年12月31日以前に取得した土地は長期、2021年1月1日以後に取得した土地は短期に該当します。
土地や借地権の譲渡は消費税の非課税取引ですが、仲介手数料や専門家報酬などのサービスには消費税がかかります。
相続した底地は取得費の資料を探す
相続した土地の取得費と取得時期は、原則として被相続人のものを引き継ぎます。相続時の評価額を、そのまま売却時の取得費にはできません。
取得費がわからない場合は、売却代金の5%を概算取得費として計算できます。ただし、実際の取得費より低ければ税負担が増えます。
昔の売買契約書、領収書、通帳、登記関係資料を探してください。
相続税を納めた人が一定期間内に相続財産を売る場合は、相続税の一部を取得費へ加算できる可能性があります。
底地は地主本人の居住用財産ではないことが多いため、マイホームの3,000万円特別控除を当然に使えるとは限りません。契約前に税理士へ確認しましょう。
低額売買は時価の根拠を残す
個人から個人へ著しく低い価格で売ると、買主側で時価と代金との差額が贈与とみなされる場合があります。
また、個人が法人へ時価の2分の1未満で土地を売った場合は、売主の譲渡所得を時価で計算する扱いがあります。
借地人、親族、関係会社へ相場より安く売る場合は、複数社の査定書や不動産鑑定評価など、時価を説明できる資料を残してください。
売却後の確定申告と譲渡損失
底地の売却で譲渡益が出た場合は、原則として売却した年の翌年に確定申告します。
土地の譲渡損失は、通常、給与所得や事業所得などとは損益通算できません。ほかの土地・建物の譲渡所得と通算できる場合はありますが、控除しきれない損失をほかの所得から差し引くことは原則としてできません。
\ 費用を引いた手取りで比較 /
底地の売却を急がず専門家に相談すべき6つのケース
次のケースでは、査定価格を比べる前に、権利関係と事実の確認を優先してください。
借地契約書がなく、契約開始日や更新経緯がわからない
契約開始日が不明だと、旧借地法と現在の借地借家法のどちらが適用されるか、契約期間や更新をどう判断するかが不明確になります。
地代の振込履歴、建物登記、更新書類、承諾書、手紙などを集め、弁護士へ相談しましょう。
地代滞納・無断増改築・明渡しで争っている
売却を有利にするために契約解除や退去を急ぐと、紛争が長期化する可能性があります。
督促、解除、地代改定、増改築への対応は個別事情によって判断が変わるため、借地人へ強い通知を出す前に弁護士へ相談してください。
相続登記が終わっていない
相続した底地を売るには、原則として相続登記を行い、売主名義へ変更する必要があります。
相続登記は2024年4月1日から義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から原則3年以内に申請します。
2024年4月1日より前に相続を知っていた未登記不動産は、原則として2027年3月31日までが期限です。
相続人申告登記は義務を簡易に履行する制度ですが、売却に必要な所有権移転の前提となる相続登記そのものではありません。
底地が共有、または借地人が複数いる
共有の底地全体を売るには、原則として共有者全員の同意が必要です。
自分の共有持分だけは単独で売却できますが、買主が限られ、他の共有者との管理問題も残ります。全体売却と持分売却の条件を分けて比較してください。
借地人が複数いる場合は、契約、借地範囲、地代、滞納、敷金等、建物を借地人ごとに整理します。
境界・面積・接道が不明確
底地は借地人が使用しているため、測量や境界確認のための立入りにも調整が必要です。
売主の判断だけで土地へ立ち入らず、不動産会社と土地家屋調査士に相談し、借地人へ連絡する順序を決めてください。
売主が非居住者または外国法人
売主が税法上の非居住者または外国法人の場合、買主は原則として売買代金等の10.21%を源泉徴収します。
ただし、個人が自己または親族の居住用として購入し、譲渡対価が1億円以下の場合などは、源泉徴収が不要です。
決済金額へ大きく影響するため、契約前に税理士へ確認してください。
底地売却に強い不動産会社を見分ける10の質問
「高価買取」「底地専門」という言葉だけで決めず、誰が買主になり、どの条件で価格が確定するかを確認しましょう。
- 御社は直接の買主、仲介会社、紹介窓口のどれですか
- 提示額は査定額、売出価格、成約予想価格、買取価格のどれですか
- 価格はいつ確定し、契約後に減額できる条件はありますか
- 借地人へ誰が、いつ、どの内容を説明しますか
- 契約書がない場合や旧法借地の場合、どの資料から確認しますか
- 仲介手数料、測量、登記、専門家費用を含む売主負担一覧を出せますか
- 敷金・保証金、未収地代、前受地代はどう引き継ぎますか
- 契約不適合責任をどの範囲まで売主が負いますか
- 買取なら資金の準備、仲介なら想定買主と販売期間を示せますか
- 借地人の個人情報を誰へ開示し、不成約時にどう扱いますか
複数社を比べるときは、最高額だけで決めないでください。税引前手取り、価格の確定時期と減額条件、借地人対応、契約解除条件を同じ表にまとめます。
不動産会社だけで判断する必要はありません。問題に応じて相談先を分けましょう。
| 相談先 | 主な相談内容 |
|---|---|
| 弁護士 | 地代滞納、契約解除、明渡し、借地人との紛争 |
| 司法書士 | 相続登記、住所・氏名変更、所有権移転、抵当権抹消 |
| 土地家屋調査士 | 境界、面積、分筆、測量 |
| 税理士 | 譲渡所得税、相続税、価格配分、低額売買 |
| 不動産鑑定士 | 底地・借地権など権利ごとの価格評価 |
\ 同じ10問で複数社を比較 /
底地売却の手取りは「誰に、どの条件で売るか」で変わる
底地売却で先に決めるのは、「売れるか」ではなく「誰に、どの条件で売るか」です。
借地権割合だけで売却価格を決めず、借地人への売却、底地と借地権の同時売却、第三者への仲介、専門会社の直接買取、保有継続を、同じ期間と同じ手取り基準で比べてください。
比較に必要なのは、借地契約の内容、年間地代純収益、借地人の意向、売却期限です。
同じ登記・契約・地代資料を各社へ渡し、価格だけでなく、手取り、価格の確定日、減額条件、借地人への対応、決済日まで一覧にしましょう。
契約内容が不明、相続登記が未了、地代滞納や紛争がある場合は、借地人への打診や売買契約を急がず、先に権利関係を整理してください。
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本記事は2026年8月10日時点の法令・公的情報をもとに作成しています。個別の契約内容、権利関係、税務上の条件によって結論が変わるため、必要に応じて専門家へ確認してください。
出典
e-Gov法令検索「民法」
e-Gov法令検索「借地借家法」
国税庁「No.4613 貸宅地の評価」
国税庁「路線価図・評価倍率表の説明」
国土交通省「不動産情報ライブラリ」
国土交通省「不動産鑑定評価基準」
国土交通省「定期借地権の解説」
国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」
国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
国税庁「No.3214 土地建物を売ったときの収入金額に含める金額」
国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」
国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」
国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
国税庁「No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合」
国税庁「No.4423 著しく低い価額で財産を譲り受けたとき」
国税庁「No.3217 時価より低い価額で売ったとき」
国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
国税庁「No.2879 非居住者等から土地等を購入したとき」
財務省「登録免許税に関する資料」
法務省「相続登記の申請義務化について」
法務省「住所等変更登記の義務化に関するQ&A」(更新日:2026年6月2日)
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