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離婚で共有名義の家はどうする?売却・名義変更と元配偶者に連絡が取れない場合

この記事を読むとわかること
  • 共有名義のままでも、家全体を売れるかどうかを判断できる
  • 登記・ローン・居住の3つを分けて整理できる(5者・4数字)
  • 売却・買取り・共有継続・持分売却の4案を、同じ数字で比べられる
  • 元配偶者が「返事をしない」場合と「所在不明」の場合を切り分けられる
  • 財産分与の期限と税金を、売る前に確認できる

離婚が成立しても、家の共有名義と住宅ローンは自動では変わりません。夫婦関係を終わらせる手続きと、家の権利・ローン契約を変更する手続きは別だからです。

元夫婦がそろって売主となり、必要な手続きに協力できれば、共有名義のままでも家全体を売却できます。

まず、家の所有者、ローンの債務者、連帯保証人、実際の返済者、現在の居住者を確認します。次に、想定成約価格、ローン完済額、売却費用、税引前概算手取りをそろえましょう。本記事では、この整理方法を「5者・4数字」と呼びます。

「5者・4数字」が分かれば、家全体の売却、一方による持分の取得、期限付きの共有継続、自分の持分だけの売却を比較できます。元配偶者と連絡が取れない場合も、「返事がない」のか「所在が分からない」のかで手続きが異なります。

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なお、相手の署名を無断で省いたり、代署したりして家全体を売ることはできません。連絡に危険がある場合は、本人同士で進めず、弁護士を窓口にしてください。

元配偶者への連絡に危険がある場合

暴力、威圧、つきまとい、住所を知られる危険があるときは、自分や親族から直接連絡しないでください。弁護士を窓口にし、不動産会社や金融機関には、自分の連絡先を相手へ伝えずに進められるかを確認します。

裁判所へ書面を出す場合は、住所等の秘匿制度や非開示を希望する申出を利用できることがあります。利用条件は裁判所または弁護士へ確認し、売却より安全の確保を優先してください。

目次

離婚後の共有名義の家をどうするか、状況別の最初の分岐

同じ「共有名義の家」でも、最初に確認すべきことは状況によって変わります。次の表で、自分がどの行に当てはまるかを確かめてください。

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現在の状況第一候補まず行うことこの状態なら先へ進めない
双方が売却に同意し、売却代金でローンと費用を払える家全体を共同で売る同じ基準日の想定成約価格と、決済日のローン完済見込額をそろえる値下げの下限や代金の分け方が決まっていない
一方が住み続けたい住む側が相手の持分を取得する単独ローンへ借り換えられるか、既存ローンの債務引受が認められるかを金融機関へ相談する金融機関の回答前に、名義だけを変えようとしている
すぐには売れず、共有を一時的に続ける期限付きで共有を続けるローン返済、税金、修繕費、居住者、共有を終える時期と方法を合意書にする終了日や、滞納したときの処理を決められない
住所は分かるが、相手が無視・拒否する弁護士を通した交渉、財産分与または共有物分割離婚日と、財産分与を申し立てられる期限を確かめる「返事がないから所在不明者向けの制度を使える」と考えている
調べても住所・居所が分からない所在調査後に裁判所の制度を検討する登記や返送郵便を弁護士へ見せ、住民票や戸籍の附票などを適法に調べる方法を確認する相手の持分を、自分だけの判断で処分しようとしている
返済が遅れている、売っても完済できない金融機関との協議を先にする決済日の完済必要額と、売却後の概算不足額を出す金融機関に知らせないまま、売却や名義変更を進めようとしている

どの行にも共通するのは、相手と安全に話せるかを最初に確認することです。住宅ローンが残っているケースでは、金融機関が売却・借り換え・債務引受を認めるかも進め方を左右します。

査定額だけを先に集めても、合意の見込みやローンの条件が未確認なら、計画を組み直すことがあります。次の順に整理すると、比較に必要な材料をそろえやすくなります。

  • 登記、ローン、住んでいる人を分けて整理する
  • 想定成約価格からローン完済額と売却費用を引く
  • 家全体を売る案と、一方が取得する案を並べて比べる
  • 元配偶者との連絡状態と、安全に連絡できるかを確かめる
  • 合意内容を、売却・融資・登記の実行手順へ落とし込む

\ 査定価格は不動産会社によって差が出ます /

離婚しても共有名義の家と住宅ローンは自動では変わらない

離婚の話し合いで混同しやすいのは、「家の名義人」「ローン返済の契約をしている人」「実際に返している人」「住んでいる人」が同じとは限らない点です。名義を変えれば残りもまとめて動くと考えると、手続きの順序を間違えます。まず、次の5つを紙一枚に書き出してください。

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確認する立場何で確かめるか離婚後も残るもの
不動産の所有者・持分土地と建物の登記事項証明書家全体の売却や名義変更に関する権利
住宅ローンの債務者・連帯債務者住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)、返済予定表金融機関に対する返済義務
連帯保証人ローン契約書、保証契約書返済が滞った場合などに、金融機関から直接請求を受ける責任
実際に返済している人通帳、返済口座の明細財産分与の話し合いに使う支払い記録
現在住んでいる人住民票だけでなく、実際の居住状況引渡し、退去、費用負担を決める前提

離婚時の家は「共有名義・住宅ローン契約・暮らし」の3層に分ける

1.共有名義

土地と建物を誰がどの割合で所有しているかを確認します。所有者と持分は、登記事項証明書で確かめられます。

2.住宅ローン契約

誰が債務者・連帯債務者・連帯保証人になっているかを確認します。ローン契約書を確認し、不明な点は借入先の金融機関へ問い合わせます。

3.暮らしの実態

現在誰が住み、誰がローンや維持費を支払っているかを整理します。実際の居住状況と、通帳・口座明細などの支払い記録を確認してください。

離婚協議書で元夫婦の間の負担を決めても、登記と金融機関とのローン契約は自動では変わりません。

3つの層を別々に確認し、実際に名義とローンを変更する日程をそろえます。

離婚協議書に「今後は妻がローンを払う」と書いても、それだけで夫が債務者や連帯保証人から外れることはありません。外れるには、借入先へ申し込み、審査を受け、契約を正式に変更する必要があります。

たとえば住宅金融支援機構の融資では、返済中の住宅を譲り渡す場合、原則として融資金の全額返済が必要です。ただし、離婚などの事情があれば、承諾を得て債務を引き継げる場合もあります。民間の住宅ローンを含め、実際の条件は借入先へ確認してください。

逆の勘違いもあります。ローンを一人で払い続けても、それだけで相手の持分が自分のものになるわけではありません。登記上の持分と、離婚に伴う財産分与の割合も別です。

財産分与では、婚姻中に築いた財産の全体や、夫婦それぞれが財産の取得・維持にどのように関わったかなどを考慮します。登記上の持分が2分の1だからといって、ほかの財産も含めた分与額が自動的に2分の1ずつになるわけではありません。

離婚した夫婦が共有名義の家を整理する5つの方法

どの方法を選ぶかは、価格だけでは決まりません。元配偶者が協力してくれるか、住宅ローンが残っているか、誰が住み続けるか、いつまでに共有関係を終わらせたいかも並べて比べます。

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方法元配偶者の協力金融機関との協議向いている状況主な注意点
家全体を共同で売却する必要ローンがあれば必要双方が売却に同意し、家の関係を整理したい売却価格、費用、残代金の分け方まで合意する
一方が相手の持分を取得する原則必要ローンがあれば先に必要住む側に返済能力と、相手へ払う代償金の準備がある名義を変えても、相手の債務や保証は自動では消えない
期限を決めて共有を続ける必要契約内容によって必要子どもの進学など、短期間だけ待つ理由がある返済、修繕、売却時期をあいまいにしない
自分の持分だけを第三者へ売る通常の持分なら原則不要担保とローン契約の確認が必要合意が難しく、ほかの方法を取れない買主が元配偶者の新しい共有者になる
財産分与・共有物分割など裁判所の手続きを使う合意できない場合の手段ローンの問題は別に調整が必要無視、拒否、対立で協議できない希望どおりの条件で売れるとは限らない

双方が安全に話せるなら、まず「家全体を売る案」と「一方が住み続ける案」を並べます。家全体を売る場合は一般の買主も対象になるため、持分だけを売る場合より買い手を探しやすくなります。

一方が住み続ける案では、転居を避けられる可能性があります。ただし、住宅ローンが残る場合、住む側が単独で借り換えられるか、既存ローンの債務引受を認められなければ、この案を実行できません。

共有を続ける方法は、すぐに売れないときの一時的な選択肢です。終了日を決めないままだと、問題を先送りすることになります。少なくとも、誰が住むか、ローン返済・固定資産税・管理費・修繕費を誰が払うか、滞納したらどうするか、いつ査定を取り直して売るかまで決めておきます。

自分の持分だけなら、原則として元配偶者の同意なしで売れます。ただし、買主が手に入れるのは「家のこの部分」ではなく、家全体に対する割合の権利です。買主は、元配偶者と新しい共有関係に入ります。

売却する持分を含む不動産に抵当権が残っていれば、返済が滞った際に競売となるリスクがあります。持分売却を進める前に、ローン契約と抵当権の内容を確認してください。

\ 家全体で売るといくらになる? /

共有名義の家を売るのは離婚前と離婚後のどちらがよいか

どちらが常に有利とは言えません。安全に話し合えて、売却が終わるまで待っても生活に支障がないなら、離婚前に売るほうが、離婚後の連絡や署名を減らせます。売却代金、ローン完済額、売却費用が確定するため、財産分与の話し合いも進めやすくなります。

一方、離婚を急ぐ事情や安全上の問題があるなら、売却のためだけに離婚を遅らせる必要はありません。離婚後に売る場合は、共有者全員が売主として動けるように合意書を作ります。売出価格、値下げの下限、費用と残代金の分け方、退去日、書類を出す期限まで書いておきます。

離婚の前か後かだけで、登記名義やローン契約が自動的に変わることはありません。

離婚後も共有名義のまま家全体を売却できる|共同売却の手順

双方が同意し、必要な手続きに協力できるなら、離婚後も共有名義のまま家全体を売れます。売却前に一方へ名義をまとめる必要はありません。共有者全員が売主となり、売買契約と登記に必要な書類・手続きをそろえます。

共有持分と抵当権を登記事項証明書で確認する

戸建てなら土地と建物、マンションなら専有部分と、土地を利用する権利である「敷地権」の登記を確認します。所有者と持分のほか、住宅ローンの担保である抵当権や差押えが付いていないか、登記上の住所・氏名が現在のものかも確かめます。

登記の住所・氏名が古いままの場合

離婚や転居で登記上の氏名・住所が変わった場合、2026年4月1日以後の変更は、原則として変更日から2年以内に変更登記を申請する必要があります。

2026年3月31日以前から変更登記をしていない場合は、原則として2028年3月31日までが期限です。売却予定があるなら、必要な変更登記を司法書士へ早めに確認してください。

離婚後の住宅ローン残高と完済条件を金融機関へ確認する

売買代金を受け取り、家を引き渡す日を「決済日」といいます。残高証明書や返済予定表だけでなく、決済日に全額返済する場合の金額、繰上返済の申込期限、抵当権抹消に必要な書類の受取方法まで確認します。

ローンを完済しても、抵当権の登記記録は自動では消えません。金融機関から必要書類を受け取り、通常は決済日に抵当権抹消登記を申請します。

共有名義の家全体を同じ基準日で査定する

複数の不動産会社へ同じ資料を渡し、同じ基準日で査定してもらいます。確認するのは査定額だけではありません。実際に売れると見込む価格である想定成約価格、売却までの想定期間、売主が負担する費用を分けて出してもらいます。

近隣の取引価格は国土交通省の不動産情報ライブラリでも調べられます。ただし、個別の家の価格は、面積、築年数、建物の状態、接道条件などによって変わります。

\ 同じ基準日で、複数社の査定をそろえる /

税引前の概算手取りとオーバーローンの有無を確かめる

査定額をそのまま手元に残るお金と考えると、判断を誤ります。先に出すのは、次の2つの式です。

概算手取りの計算式

物件全体の税引前概算手取り = 想定成約価格 − 売却費用 − 決済日のローン完済額

各人の受取見込額 = 税引前概算手取りの配分額 ± 財産分与・立替金などの精算額

まず物件全体の手取りを出し、そのあとに共有持分や財産分与の合意にもとづいて各人の受取額を整理します。譲渡所得税は、この税引前概算手取りには含めません。

次は、計算の形を示すための架空の例です。

項目金額
想定成約価格4,200万円
仲介手数料・登記・印紙等の売却費用(仮定)160万円
夫婦のローン完済額合計2,800万円
税引前概算手取り1,240万円

見るべき数字は、4,200万円という査定額だけではありません。ローンと売却費用を差し引いた1,240万円です。ただし、この1,240万円を620万円ずつ受け取ると決まったわけでもありません。

まず、売却代金と費用を共有者ごとに整理します。そのうえで、預貯金、頭金の出所、婚姻中の返済、ほかの財産や借金まで含めて財産分与を調整します。譲渡所得税も共有者ごとに計算します。

一般に、売却代金でローンを完済できる状態を「アンダーローン」、売却代金だけではローンを完済できない状態を「オーバーローン」と呼びます。実際の資金計画では、さらに売却費用も差し引き、不足がないかを確かめます。

オーバーローンなら、不足分を自己資金で補うのか、ほかの返済・売却方法を金融機関と相談するのかを、売買契約の前に決めます。不足分を用意できず、金融機関の承諾も得られなければ、抵当権を抹消できず、予定どおり決済できません。

元夫婦の共同売却の条件を、募集前に書面にする

買主が見つかってから元夫婦の意見が割れると、値下げや引渡しの判断が止まります。少なくとも、次の内容を先に決めておきます。

  • 依頼する不動産会社と、売却を任せる契約(媒介契約)の種類
  • 売出価格、値下げできる下限、価格を見直す日
  • 内覧、片付け、修繕、測量、退去の担当
  • 仲介手数料、登記費、家に残した荷物(残置物)の処分費などの負担
  • 売却代金を受け取る口座と、ローン返済の順序
  • 残代金、不足金、固定資産税等の精算方法
  • 売買契約・決済に必要な書類を出す期限
  • 相手へ伝えたくない住所・電話番号などの情報と、連絡窓口(本人確認や契約・登記に必要な情報は除く)
  • 譲渡所得の資料を誰が保管し、各自がどのように申告するか

離婚協議書や公正証書に「家を売る」とだけ書いてあっても、価格と実行条件がなければ手続きは進みません。売却条件は別紙にし、いつ、誰が、何をするかまで落とし込みます。

離婚後に一方が住み続けるなら、持分の名義変更より先に住宅ローンを相談する

持分を手放す側がローンの債務者・連帯債務者・連帯保証人なら、名義だけを先に変えても、返済義務や保証責任は残ります。

住宅ローンが残っている場合は、持分の名義変更とローンの変更を連動させます。次の順に進めてください。

STEP
時価とローン残高をそろえる

家全体の時価と、想定実行日のローン完済額を同じ基準日で確かめます。

STEP
金融機関へ相談する

住み続ける側だけのローンへ借り換えられるか、既存ローンの債務引受が認められるかを金融機関へ相談します。

STEP
代償金を試算する

預貯金などほかの財産も含め、持分を渡す側へ支払う代償金を試算します。

STEP
合意書に実行順序を書く

離婚成立日、財産分与、代償金、ローン手続き、登記の条件と順序を合意書にします。

STEP
融資と登記を連動させる

借り換えでは、旧ローンの完済、旧抵当権の抹消、新たな融資・抵当権設定、持分移転を同日に進めるのが一般的です。既存ローンの債務引受を利用する場合は、金融機関と司法書士が示す手順に従います。

STEP
双方が税務を確認する

持分を渡す側と受け取る側が、それぞれに生じる税金と申告の要否を確認します。

離婚時の代償金は「家の時価−住宅ローン残高」を出発点に試算する

相手の持分を取得する代わりに支払うお金を「代償金」といいます。たとえば、家の時価が4,200万円、ローン残高が2,800万円なら、差し引いた家の価値は1,400万円です。

ほかの事情をいったん置き、この1,400万円を半分ずつ分ける前提なら、住み続ける側が相手へ700万円を渡し、自分だけのローンへ借り換えて残高2,800万円を完済する形が一例です。

ただし、代償金が必ず700万円になるわけではありません。頭金の出所、ほかの夫婦共有財産、売却した場合にかかる費用、一方だけが住んでいた期間の扱い、立替金などによって調整額は変わります。

時価の根拠に争いがあるなら、不動産会社の査定だけで決着させず、不動産鑑定が必要かを弁護士へ相談します。

\ 代償金を決める前に、家の時価を確かめる /

財産分与で持分を追加取得したときは住宅ローン控除の再申告を確認する

税金の扱いも先に確かめます。財産分与で相手の共有持分を追加取得し、その取得のために一定の住宅ローンを組んだ場合、ほかの要件を満たせば、追加取得分を含めて住宅ローン控除を受けられることがあります。

追加取得分について控除を受ける場合は、控除額や計算の前提が当初の申告から変わるため、改めて確定申告が必要です。適用年や必要書類を税務署または税理士へ確認してください。

離婚後も共有名義のまま残すなら、共有解消の時期と方法まで合意書に残す

離婚後も共有名義のままにしておくこと自体は、違法ではありません。ただし、生活は別になっても、家については二人で決め続けることになります。短期間だけ共有を続けるなら、次の項目を合意書にまとめます。

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決める項目書面に残す内容決めないまま残るリスク
終了条件売却を始める日、査定を取り直す日、売却以外に共有を終える方法数年後も相手の同意待ちになる
ローン返済者、引落口座、滞納したときの連絡と処理住んでいない債務者・保証人にも請求が及ぶ
居住誰がいつまで住むか、退去の条件売却時に引渡しが止まる
維持費固定資産税、管理費、修繕積立金、修繕費の負担立替額と精算の根拠が分からなくなる
処分・相続持分を動かす前の連絡、相続が起きたときの連絡先第三者や相続人が新しい共有者になる
共有を続けるときの制限

共有者は、通常、自分の持分だけなら売却できます。一方、家全体を売るには共有者全員の同意が必要です。また、「共有物を分割しない」と合意できる期間は1回につき5年以内で、更新する場合も更新時から5年以内です。

共有解消の期限を合意できないまま共有を続けると、問題が長期化しやすくなります。共同で売る方法や、一人が持分を取得する方法を優先して検討してください。

\ 共有を終わらせるなら、まず今の価格から /

元配偶者と連絡が取れないときは「無視」と「所在不明」を分ける

「連絡が取れない」というだけでは、次の行動は決まりません。住所が分かっているか、安全に連絡できるか、適法な調査をしても所在が分からないかで分けます。

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連絡の状態家全体の通常売却主な次の手続き
住所が分かり、連絡できるが返事がない相手の同意なしには進められない弁護士から期限付きの書面を送り、財産分与・共有物分割を検討する
住所が分かるが、売却を拒否している合意しない限り進められない離婚日と協議経過を確かめ、財産分与と共有物分割のどちらを使うか相談する
調べても住所・居所が分からないほかの共有者だけでは進められない所在調査後に、持分取得、持分譲渡権限、財産管理などの手続きを検討する
DV・脅迫などで直接連絡が危険本人同士では進めない弁護士を窓口にし、安全な送達・交渉方法を決める

元配偶者の住所は分かるが、返事がない・売却を拒否する場合

住所が分かっている、または郵便が届いているのに返事がないというだけでは、通常、所在不明者向けの制度は使えません。どこまで調査が必要かは、登記、住民票、住所履歴が分かる戸籍の附票、郵便の返送状況などをもとに弁護士へ確認します。

住民票や戸籍の附票を第三者が請求するには、権利を行使するためなどの正当な理由が必要です。必要に応じて弁護士等を通じ、適法な方法で調べてください。

相手の住所へ連絡できるなら、売却価格の決め方、相手がこちらの持分を買う案、こちらが相手の持分を取得する案、回答期限を書面で示します。期限を過ぎても、沈黙が売却への同意に変わることはありません。危険がある場合や感情的な対立が強い場合は、本人から送らず弁護士へ任せます。

財産分与の話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所へ調停または審判を申し立てられます。調停は裁判所を交えた話し合い、審判は裁判所が事情を審理して結論を決める手続きです。

2026年4月1日以後に離婚した場合は、離婚した日の翌日から5年以内です。2026年3月31日以前に離婚した場合は、改正前と同じく2年以内で、5年には延長されません。

この期限を過ぎても、登記された自分の持分が消えるわけではありません。登記上の共有者であれば、共有物分割を請求できる余地があります。

協議ができないときは、その地域を管轄する裁判所へ共有物分割を求める方法があります。裁判所は、一方が家を取得してほかの共有者へ代償金を支払う方法、土地などを物理的に分ける方法、競売による方法などを、事案に応じて判断します。

ただし、共有物分割は特定の共有物を解消する制度です。預貯金など夫婦のほかの財産を含む財産分与を、申立期限後にやり直す制度ではありません。

調査しても元配偶者の所在が分からない場合に使える裁判所の制度

まず確認するのは、登記と返送された郵便です。自分に請求権限と正当な理由があることを確認し、住民票や戸籍の附票などを適法に調べても所在が分からない場合に、裁判所の手続きを検討します。

次の手続きは名前が似ていますが、目的が異なります。自分が相手の持分を取得したいのか、家全体を第三者へ売りたいのか、裁判所に共有状態の解消を求めたいのかを、弁護士へ先に伝えてください。

所在が分からないときに検討する主な4つの手続き
  • 所在等不明共有者の持分取得
    裁判所が定めた金額を供託し、要件を満たした共有者が所在不明者の持分を取得する手続き
  • 所在等不明共有者の持分譲渡権限
    所在が分かっている共有者全員も同じ買主へ持分全部を売ることを条件に、所在不明者の持分もその買主へ譲渡する権限を得る手続き
  • 不在者財産管理人
    従来の住所・居所を去り、容易には戻る見込みがない人について、家庭裁判所が財産管理人を選ぶ手続き。管理人が家を売る場合は、原則として家庭裁判所の許可が必要です
  • 公示送達を利用した共有物分割訴訟
    所在調査を尽くしても書類の送付先が分からない場合に、公示送達という送達方法を利用して共有物分割訴訟を進められることがあります

所在等不明共有者の持分取得と持分譲渡権限の手続きには、所在調査、裁判所による公告、時価の資料、供託などが必要です。持分譲渡権限を得ても、所在の分かっている別の共有者が売却を拒めば、家全体を売ることはできません。

公示送達は、訴訟書類を送達するための方法であり、それだけで共有状態が解消されるわけではありません。どの手続きが適するかは、費用、必要な期間、家を残すか売るかを弁護士へ伝えて確認します。

単に電話やメッセージを無視されているだけでは、所在不明者向けの手続きを利用できるとは限りません。また、家が元配偶者だけの名義で、自分が共有者ではない場合は、共有者向けの持分取得・譲渡権限の手続きをそのまま使えません。財産分与の権利、ローン上の立場、居住の根拠を弁護士へ示し、利用できる手続きから確認してください。

離婚後の財産分与の期限と税金は、共有名義の家を売る前に確認する

売却や名義変更のあとでは、選べない手続きや利用できない特例があります。売却前に確認するのは、家庭裁判所へ申し立てられる期限、共有者ごとに計算する譲渡所得税、持分を移すときの税金と費用です。

財産分与を家庭裁判所へ申し立てる期限は、離婚日で2年か5年に分かれる

2026年4月1日以後に離婚した場合は、離婚した日の翌日から5年を過ぎると、未解決の財産分与を家庭裁判所へ申し立てられません。2026年3月31日以前に離婚した場合は、離婚した日の翌日から2年です。

期限が近いときは、査定や交渉が終わるのを待たず、申立てが必要かどうかを弁護士へ確認してください。

共有名義の家を売ったときの譲渡所得と3,000万円特別控除は共有者ごとに判定する

家を売って利益が出たときの税金は、共有者ごとに計算します。税金の対象になる売却益を「譲渡所得」といい、それぞれが自分の持分に対応する売却代金から、取得費や譲渡費用を差し引いて計算します。

自宅の3,000万円特別控除も共有者ごとに要件を確認し、対象になる人はそれぞれ最高3,000万円まで控除できます。共有者全員で3,000万円を分ける制度ではありません。適用を受けるには、各自の確定申告が必要です。

ただし、家屋を所有せず、敷地だけを共有している人は、原則としてこの特例を利用できません。家屋と敷地の登記持分をそれぞれ確認してください。

先に家を出た人にも、以前住んでいた自宅として控除を利用できる期限があります。原則として、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。過去に特例を利用したか、買主と特別な関係がないかなど、ほかの要件もあるため、退去日と売却日が分かる資料を残しておきます。

財産分与で持分を渡した側にも譲渡所得税がかかることがある

税金は、現金を受け取ったかどうかだけでは決まりません。財産分与で家や持分を渡した側にも、値上がり益に対する譲渡所得税がかかる場合があります。

税務上は、財産分与をした時点の時価で譲渡したものとして、渡した側の譲渡所得を計算します。代償金を受け取っていなくても、取得費より時価が上がっていれば課税される可能性があります。

受け取った側は、原則として財産分与を受けた日の時価で取得したものと扱われ、取得日も財産分与を受けた日になります。将来売却するときの取得費や所有期間にも影響します。

受け取る側に贈与税は通常かかりません。ただし、夫婦の財産形成やその他の事情を考慮しても分与額が多すぎる部分や、贈与税・相続税を免れるための離婚と認められる場合は例外です。

3,000万円特別控除には、売却先との関係についても要件があります。婚姻中に配偶者へ家や持分を移す場合は、特別な関係にある人への譲渡となるため、原則として対象になりません。

離婚成立後の財産分与でも、登記日だけで判定するものではありません。財産分与が成立した日、実際の居住状況、退去後の期限、過去の特例利用、家や持分を受け取る人との関係などをもとに判断します。持分を移す前に、税理士または税務署へ確認してください。

財産分与による持分の名義変更には登録免許税と不動産取得税の確認が必要

財産分与による所有権移転登記の登録免許税は、原則として、移す持分に対応する固定資産税評価額の2%です。

たとえば、家全体の固定資産税評価額が2,000万円で、2分の1の持分を移す単純な例なら、課税価格1,000万円×2%=20万円が登録免許税の目安です。司法書士報酬や必要書類の取得費などは、これとは別にかかります。

不動産取得税は、婚姻中に夫婦が築いた財産を清算する目的の財産分与であれば、課税されないと判断される場合があります。ただし、「財産分与」という名称だけで一律に決まるわけではありません。

慰謝料、扶養、贈与など別の性質を含むか、いつ取得した不動産か、購入資金を誰が負担したかなどによって扱いが変わります。財産分与協議書、取得時期、購入資金の資料をそろえ、所在地を管轄する都道府県税事務所へ確認してください。

離婚後の共有名義の家を整理する「5者・4数字シート」

不動産会社、金融機関、弁護士、司法書士、税理士へ同じ説明を繰り返さずに済むよう、5つの立場と4つの数字を一枚にまとめます。次の空欄表をコピーまたは印刷し、分からない欄には「未確認」と書いてください。

登記識別情報(従来の権利証にあたる情報)の番号、口座番号、勤務先など、最初の相談に不要な個人情報は書きません。

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項目私の状況確認資料未確認の場合の次の行動
所有者・持分土地・建物の登記事項証明書法務局で最新の登記を取得
債務者・連帯債務者ローン契約書、返済予定表借入先へ契約上の立場を確認
連帯保証人ローン・保証契約書借入先へ保証契約の有無を確認
実際の返済者返済口座の明細入出金記録を保存
現在の居住者実際の居住状況退去を希望する時期も確認
想定成約価格同じ基準日の査定書複数社へ同条件で査定を依頼
ローン完済必要額金融機関の回答書類決済の想定日を伝えて照会
売却費用査定書、費用見積り仲介・登記・測量等を項目別に確認
税引前概算手取り上記3つの数字成約価格−費用−完済額で計算

「5者・4数字シート」の記入例|ペアローンの架空ケース

次は書き方を示すための架空の例で、実在の相談事例ではありません。

スクロールできます
項目架空の記入例この情報で決まること
所有者A・B、土地建物とも各2分の1家全体の売却には、A・B双方の同意が必要
ローンA残高1,700万円、B残高1,100万円のペアローン売却時は合計2,800万円の完済条件を確認
保証A・Bが互いのローンの連帯保証人一方が住む案では、両方の契約を整理する必要がある
実際の返済AはA分、BはB分を各口座から返済返済記録を財産分与の資料として保存
居住Bと子が居住、Aは2026年6月に転居退去時期と、自宅特例の期限を確認
想定成約価格4,200万円家全体を売る場合の基準
売却費用160万円査定額ではなく手取りを計算
税引前概算手取り4,200万円−160万円−2,800万円=1,240万円財産分与を話し合う出発点
離婚日2026年5月20日財産分与の申立期限は翌日から5年。正確な期限を確認
連絡状態メールは届くが返事がない所在不明者向けの制度ではなく、期限付き書面や法的手続きを検討
希望まず全体売却。まとまらなければBの単独取得を審査不動産会社、金融機関、弁護士へ同じ前提を渡す

このシートには、登記事項証明書、ローン契約書と残高資料、購入時の売買契約書、固定資産税の納税通知書、査定書、離婚協議書、返済や修繕費の記録を添えます。

登記識別情報や従来の権利証は、査定には必要ありません。決済を担当する司法書士から求められるまで、番号や写しを不必要に渡さないでください。

\ 「想定成約価格」の欄を、先に埋めましょう /

離婚と共有名義の家の相談先は、確認したいことで選び分ける

同じ資料を持ち込んでも、回答できる範囲は相談先ごとに異なります。借り換えができるかを不動産会社に聞いても、想定成約価格を弁護士に聞いても、確定した回答は得られません。

スクロールできます
確認したいこと主な相談先持参する資料
家全体の想定成約価格、売却費用、販売方法不動産会社登記、図面、購入資料、物件の状況
完済額、借り換え、債務者・保証人の変更、抵当権の抹消借入先の金融機関ローン契約、残高、収入資料、査定
財産分与、相手の無視・拒否・所在不明、共有物分割弁護士離婚日、登記、連絡記録、財産一覧
持分の名義変更、住所・氏名の変更、抵当権抹消の登記司法書士登記、合意書、本人・住所関係の書類
譲渡所得、3,000万円控除、代償金、取得費税理士・税務署購入・売却・財産分与・居住の資料
不動産取得税都道府県税事務所財産分与協議書、購入資金、評価の資料

不動産会社の査定だけでは、ローン契約や財産分与は変わりません。弁護士が作成した合意書があっても、金融機関の審査に通らなければ債務者や保証人から外れられません。

「5者・4数字」をそろえ、同じ前提をそれぞれの相談先へ渡すと、手続きの順序がぶれにくくなります。

\ 価格のことは、不動産会社に聞くのが最短 /

離婚と共有名義の家に関するよくある質問

相談の場で多い2つの質問を、法律上の扱いと実務の両面からまとめます。

住宅ローンが残っていても、自分の持分だけを売れますか

通常の共有持分は、法律上、原則として一人で売却できます。しかし、売却する持分を含む不動産に抵当権が付いたままなら、買主は返済が滞ったときに競売となるリスクを負います。

借入先の承諾を得ずに譲渡すると、ローン契約上の問題が生じることもあります。「法律上は売れる」ことと、「金融機関や買主との条件が整い、実際に売れる」ことは別です。契約前に借入先と弁護士へ確認してください。

登記持分が2分の1ずつなら、売却後のお金も必ず半分ですか

自動的に半分になるとは限りません。第三者へ売った代金と売却費用は、登記持分にもとづいて各共有者へ配分するのが出発点です。

ただし、離婚の財産分与では、預貯金などほかの共有財産、頭金、婚姻中の返済、立替金まで含めて調整します。持分と異なる配分にする場合は、財産分与や精算の根拠を合意書へ残し、税務も確認しておきます。

離婚後の共有名義の家は、登記・ローン・査定・連絡状態の順に整理する

離婚で夫婦関係が終わっても、家の共有関係と住宅ローン契約はそのまま残ります。名義を動かすより先に、「5者・4数字」をそろえてください。

双方が協力できるなら、共有名義のまま家全体を売れます。一方が住み続けるなら、住宅ローンが残る場合は借入先への相談が先で、名義変更は融資条件が整ってからです。共有を続けるなら、返済や費用の負担だけでなく、いつ、どの方法で終わらせるかまで書面に残します。

元配偶者が返事をしない場合と、所在そのものが分からない場合では、検討する手続きが異なります。連絡に危険があるときは、本人同士で進めず、弁護士を窓口にしてください。

離婚日と連絡記録を持って弁護士へ相談し、離婚日に応じて2年または5年となる財産分与の申立期限も、その場で確かめてください。

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※株式会社マーケティングアンドアソシェイツ調べ(2025年9月19日〜23日、全国の20〜60代男女3,000人、競合5サイト比較)

出典

裁判所「財産分与請求調停」
裁判所「家事事件Q&A」
法務省「住所等変更登記の義務化に関するQ&A」
住宅金融支援機構「返済途中で住宅を他人に譲り渡すとき」
法務局「住宅ローン等を完済した方へ」
e-Gov法令検索「民法」
大阪地方裁判所「所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てについてのQ&A」
東京地方裁判所「所在等不明共有者持分譲渡の権限付与の申立てについて」
裁判所「不在者財産管理人選任」
国税庁「No.1237 離婚による財産分与で居住用家屋の共有持分を追加取得した場合の住宅借入金等特別控除について」
国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
国税庁「No.3308 共有のマイホームを売ったとき」
国税庁「No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき」
国税庁「No.4414 離婚して財産をもらったとき」
法務局「登録免許税の計算」
滋賀県「不動産取得税Q&A」
国土交通省「不動産情報ライブラリ」
リビン・テクノロジーズ株式会社「『リビンマッチ』が全国認知度・今後利用したい不動産査定サイト 6年連続No.1に輝きました!」(公開日:2025年10月9日)

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