- 自治体が土地の寄付を受け入れる条件と相談先
- 寄付を断られる理由と、費用をかける前の確認事項
- 寄付の手続き、税金、必要になり得る費用
- 売却・空き地バンク・相続土地国庫帰属制度などの選択肢
土地の寄付は、自治体が「受け取ります」と判断したときだけ成立します。所有者が申し出るだけで、一方的に引き取ってもらうことはできません。
自治体が確認するのは、公共利用や売却の見込み、権利と境界、引き取ったあとの管理負担です。境界を確定したり建物を解体したりしても、使い道がなければ断られることがあります。
まずは地番、位置図、現地写真と手元の資料をそろえ、土地の用途に合う担当課へ相談しましょう。受け入れの見込みと条件がわかるまでは、測量・分筆・解体・伐採などを発注しないことが重要です。
断られた場合は、相続登記や境界などの「直せる問題」か、利用計画がないなどの「整えても変わりにくい問題」かを確認します。後者なら、売却、隣地への譲渡、空き地バンク、相続土地国庫帰属制度などを比較してください。
\全国認知度・今後利用意向 6年連続No.1/
※2025年9月19日-23日「不動産査定サイト全国認知度・今後利用意向に関する調査」より
土地の寄付は、自治体が受け入れて初めて成立する
民法549条は、贈与が「無償で財産を与えます」という意思表示と、相手の「受け取ります」という承諾によって効力を持つと定めています。自治体への寄付も同じ仕組みです。申込書を出した時点では、まだ受け入れは決まっていません。
事前相談や申し出の段階では、所有権も管理責任も所有者のままです。受け入れが決まったら、寄付契約書や受領通知で、所有権が移る日、土地を引き渡す日、管理を引き継ぐ日、登記の予定を確認します。所有権が移る時期は契約の内容で決まり、登記は移った権利を第三者に主張するための手続きです(民法176条・177条)。契約日、所有権移転日、引渡日、登記完了日が同じ日になるとは限りません。
寄付ですから、自治体から土地代は支払われません。ただ、自治体の側には引き取ったあとも仕事が続きます。草刈り、倒木対策、排水、崖や擁壁(斜面の崩れを防ぐ壁)の点検、近隣からの苦情対応、事故防止、売却手続などです。無料で取得できることと、無料で管理できることは別です。
「固定資産税の収入が減るから断られる」と説明されることもあります。しかし、自治体が公開している基準を見ると、主な判断材料は、公共で使う必要があるか、換価しやすいか、境界や権利がはっきりしているか、安全か、管理にどれだけ手間と費用がかかるかです。税収だけで受け入れ結果を判断することはできません。
寄付を相談する自治体の窓口は、土地の状況で変わる
窓口は、土地の使い道がどこまで見えているかで決まります。次の3つは全国共通の制度名ではなく、どこから確認するかを決めるための目安です。
| 土地の手がかり | 最初の相談先 | 主な確認点 |
|---|---|---|
| 道路・公園・緑地・防災など、使い道がはっきりしている | 道路管理、公園・緑地、都市計画、防災などの担当課 | 対象区域、面積 道路との接し方 既存施設との位置関係 事業計画 |
| 使い道は未定だが、自治体の事業や売却に回せそう | 管財、財産管理、資産経営などの担当課 | 利用を希望する部署があるか 売却を前提に受け入れる制度があるか 権利・境界・管理の負担 |
| 使い道も買い手も見つけにくく、管理の負担が大きい | 管財担当に一度確認したうえで、不動産会社や法務局にも相談 | 売却 隣地への譲渡 空き地バンク 相続土地国庫帰属制度の可能性 |
新潟市や名古屋市は、市の事業に使えるかだけでなく、売却や貸付けなどで換価しやすいかも判断材料にしています。世田谷区には、寄付者が換金処分に応じ、売却代金を申し出た寄付目的に充てられる見込みがある不動産を、受け入れ候補とする仕組みがあります。
一方、この扱いは全国共通ではありません。精華町は、住民福祉に役立つ活用が見込めず、維持管理費が町民の負担になる土地は受け入れられないと案内しています。
自治体が土地の寄付を断る理由は、大きく2種類に分かれる
断られても、「価値のない土地だ」と決まったわけではありません。分かれ目は、お金をかければ解消できる問題なのか、土地をどう整えても変わりにくい問題なのかです。
公共の使い道がない土地は、測量や解体をしても結果が変わりにくい
次の理由は、測量や解体では解消できません。
- 自治体の事業や計画に、その土地を使う予定がない
- 道路、公園、防災などの制度の対象区域や条件に当てはまらない
- 庁内に、引き取りを希望する部署がない
- 自治体が売りに出しても、買い手が見つかりにくい
- 公共の役に立つ度合いに比べて、維持管理や安全対策の負担が重い
- 寄付者が用途を厳しく限定するため、自治体が必要な利用や売却をできない
下妻市の受け入れ基準は、行政財産として使う予定があることなどを前提に、維持管理費が大きな財政負担にならないこと、争いの原因にならないことなどを挙げています。新潟市も、市役所・区役所で利用できず、市が売却する財産としても受けない場合は、不受理としています。
この理由で断られたのなら、土地を整える前に、売却、隣地の所有者への打診、空き地バンク、相続土地国庫帰属制度などへ切り替えたほうが現実的です。
\ 使い道がないなら、まず売却の可能性を /
相続登記・境界・建物の撤去は、直せば自治体が再検討する場合がある
自治体に使い道の見込みがあるなら、次の問題を解消すれば再検討される場合があります。ただし、着手する前に「直せば受け入れの検討対象になるのか」を必ず確かめてください。
| 断られる主な理由 | 自治体が判断できないこと | 費用をかける前に確認すること |
|---|---|---|
| 登記名義が亡くなった人のまま | 誰と寄付契約を結べばよいか決まらない | 相続人と、土地を取得する人を整理し、司法書士に相続登記を相談する |
| 共有者の一部が同意していない | 土地全体を確実に取得できない | 共有者全員の意向を確認する 持分だけの寄付を受けてもらえるとは限らない |
| 抵当権・賃借権・差押えなどがある | 自由に使ったり売ったりできない | 登記事項証明書と契約書を確認し、権利を消せる条件を専門家に聞く |
| 境界がわからない、隣地と争いがある | 引き取る範囲と管理する範囲を決められない | 地積測量図(面積と境界を示す図面)、境界確認書、境界標があるかを確認し、測量まで必要か聞く |
| 建物・塀・埋設物・廃棄物がある | 撤去費や、事故・環境上のリスクを見積もれない | 何を撤去すればよいか、撤去後に再審査の対象となるかを確認し、回答を記録する |
| 崖・擁壁・倒木・排水・土壌汚染の心配がある | 点検や工事、近隣対応の負担を見通せない | 必要な調査の範囲と判断基準を聞き、専門調査を先走らない |
| 一つの土地の一部だけを寄付したい | 寄付を受ける範囲を登記できない | 土地を分けて登記する「分筆」が必要か、費用は誰が負担するか、順序はどうなるかを確認する |
名古屋市は、受け入れが難しい土地の例を公開しています。境界が決まっていない土地、抵当権などの権利がついた土地、維持管理が難しい土地、土壌汚染や不法投棄、崖崩れのおそれがある土地などです。市に費用を負担させることを条件とした寄付も挙げられています。
順序は、まず「自治体に使い道があるか」「売却を前提に受け入れる制度があるか」を確かめ、そのあとで権利や土地の状態を整えることです。
自治体への寄付に向く土地かを、8項目のチェックリストで確かめる
先に確かめるのは1と2です。自治体に使う目的がなく、売却を前提に受け入れる制度もなければ、境界や土地の状態を整えても結果はほとんど変わりません。「不明」の欄は、相談で聞くことのメモになります。
| 確認項目 | 「はい」の場合 | 「いいえ・不明」の場合 |
|---|---|---|
| 1.道路・公園・緑地・防災など、具体的な用途とのつながりがある | その事業の担当課に相談する | 管財担当に、一般の土地寄付や、売却を前提とする制度がないか聞く |
| 2.寄付したあと、自治体が売却したり、希望と違う使い方をしても構わない | 該当する制度があれば候補になり得る | 用途の制限を外せるか考え、外せない理由も伝える |
| 3.登記上の所有者と、現在の所有者が一致している | 権利の確認を進めやすい | 相続や住所・氏名変更など、必要な登記を確認する |
| 4.共有者全員が寄付に同意している | 土地全体の申し出を検討できる | 同意がないまま、正式な申請や支出へ進まない |
| 5.抵当権・賃借権など、第三者の権利や使用がない | 利用や処分の障害が少ない | 権利を消せるか、権利者と専門家に確認する |
| 6.境界の資料があり、隣地との争いがない | 土地の範囲を確認しやすい | 手元の資料を見せ、測量まで必要か聞く |
| 7.建物・廃棄物・危険な崖など、大きな管理負担がない | 土地の状態に関する条件を満たす可能性が上がる | 自治体が求める改善内容と再検討の条件を、先に確認する |
| 8.道路や通路があり、引き取ったあとも土地に入れる | 管理しやすい土地として説明できる | 用途ごとの基準や、売れる見込みを個別に確認する |
私道や緑地には、一般の土地寄付とは別の基準があります。新座市の私道の寄付では、所有者全員の意思、公道への接続、境界、道路の幅、舗装、排水などが審査されます。
横浜市の公園緑地の寄付では、おおむね500平方メートル以上、公道への接続または管理用の通路、境界、安全性などが目安です。すでにある公園緑地の隣なら、面積などの目安に届かなくても受け入れられる可能性があるとされています。
\ チェックで「いいえ」が多かった方へ /
土地を自治体へ寄付する手続きは、担当課への事前相談から始まる
寄付の実務は、事前相談、受入審査、条件の整備、契約、所有権移転登記という順で進むのが一般的です。法律上の所有権移転日は契約内容で決まるため、契約日、移転日、引渡日、登記完了日を同じものとして扱わないでください。どこまで進める見込みがあるかは、最初の事前相談で大枠がわかります。
土地の寄付を受け付ける自治体の担当課を探す
まず自治体のサイトで「土地 寄附」「不動産 寄附」「寄附採納(自治体が寄付を受け取ること)」と検索します。案内が見つからないときは、次を目安にしてください。
- 道路・水路・道路後退部分:道路管理、土木、建築指導
- 公園・緑地・樹林:公園、みどり、環境
- 防災用の空地:都市計画、まちづくり、防災
- 公共施設に隣接する土地:その施設の担当課
- 使い道が決まっていない土地:管財、財産管理、資産経営
統一の窓口を指定している自治体なら、その案内が優先です。一般の窓口で断られても、道路後退用地(道路を広げるために後退させた部分)などの専用制度に当てはまることがあります。
逆に、いま道路として使われている土地でも、市道として必ず受け入れられるわけではありません。
登記事項証明書や公図など、手元にある書類をそろえる
用意するのは、地番、位置図、現地写真です。次の資料は、手元にある分でかまいません。
- 登記事項証明書:所有者、面積、抵当権などがわかる書類
- 公図:土地のおおまかな位置と形を示す図面
- 写真:土地全体、道路との接し方、隣地との境、建物や塀がわかるもの
- 地積測量図や境界確認書があれば、その写し
- 固定資産税の納税通知書・課税明細書
- 購入や相続の経緯、共有者、抵当権、賃貸借がわかる資料
- 草刈り、伐採、補修など、いま管理にかかっている費用の記録
新潟市は、位置図、更正図、実測図、登記事項証明書を申込書類として案内しています。
名古屋市は、登記簿謄本、公図、地積測量図、写真などです。必要な書類は自治体ごとに違います。手数料を払って取り寄せる前に、相談の段階で本当に必要か確認しましょう。
登記識別情報通知は、以前の権利証に当たる重要な書類です。事前相談で求められていない原本や、記載された符号を自己判断で送らないでください。自治体か、手続きを担当する司法書士から、安全な渡し方を確認しましょう。
土地の情報を一枚にまとめ、自治体が判断できる形にする
「不要なので無料で差し上げます」だけでは、自治体は使い道や将来の管理負担を判断できません。次の項目を一枚にまとめておくと、担当課が土地の状況を確認しやすくなります。
| 項目 | まとめる内容 |
|---|---|
| 土地の基本情報 | 所在地・地番、登記上の地目、面積、現在の利用状況 |
| 所有関係 | 単独所有か共有か、登記名義が現在の所有者と一致しているか |
| 第三者の権利 | 抵当権、賃借権、通行に関する契約などがあるか |
| 境界 | 境界標、地積測量図、境界確認書があるか、隣地との争いがないか |
| 土地の状態 | 道路から入れるか、建物・塀・廃棄物・樹木・崖などがあるか |
| 想定する使い道 | 道路、公園、防災、公共施設との一体利用など、公共用途とのつながり |
| 寄付後の条件 | 自治体が売却したり、希望と異なる用途に使ったりしても構わないか |
| 自治体へ確認したいこと | 受け入れの検討対象になるか、必要な工事や手続き、費用を誰が負担するか |
わからない項目は、推測で埋めずに「不明」と記載します。あわせて位置図や現地写真を添えると、自治体が追加で確認すべき内容を判断しやすくなります。
測量や解体を発注する前に、自治体へ5つの質問をする
- 行政での利用、道路・公園などの専用制度、売却を前提とした受け入れ。このどれかの検討対象になりますか
- いま、受け入れを妨げている問題は何ですか
- 境界確定、分筆、権利の抹消、建物や塀の撤去など、満たせば再検討してもらえる条件はありますか
- その手続きはいつ行い、費用は誰が負担しますか
- 難しい場合、主な理由は利用計画、売れる見込み、権利・境界、土地の状態、維持管理のどれですか
測量・分筆・登記の費用を誰が払うかは、一律ではありません。一般の寄付では寄付者の負担でも、甘楽町の道路後退用地の制度では、測量・分筆・所有権移転登記の費用を町が負担する例があります。ただし、土地分譲やアパート建設など営利目的の場合は、所有権移転登記以外の費用が申請者負担です。
使える専用制度がないか、先に確認しましょう。
現地調査と庁内協議を経て、寄付の受け入れ可否が決まる
自治体は、関係する部署に使う予定があるかを確認し、現地の状態、権利、境界、管理の負担、売れる見込みなどを調べます。受け入れられる場合は、書類の提出、条件の整備、寄付契約、所有権移転登記へ進みます。
回答までの期間も自治体によって違います。名古屋市は申込みからおおむね1か月、世田谷区は受領可否の回答まで1~2か月と案内しています。いずれも各自治体の例で、条件の整備や契約、登記まで終わる期間ではありません。
手続きが終わったら、登記事項証明書で名義が変わったことを確認します。寄付契約書、受領通知、費用の領収書も一緒に保管してください。
\ 測量や解体を発注する前に /
自治体に土地の寄付を断られたら、理由を記録して次の手を決める
断られた直後に確かめたいのは、「何を直すか」より先に、直せば受け入れの検討対象になる理由なのかです。
条件を整えれば、自治体へ再相談できるケース
- 自治体に具体的な利用計画があるか、引き取りを希望する部署がある
- 相続登記、共有者の同意、抵当権の抹消、境界確認などを求められた
- 道路・公園・防災など、別の専用制度を案内された
- 塀や廃棄物の撤去など、条件と確認方法を具体的に示された
指摘された項目ごとに、直した内容と、それを裏づける資料をそろえます。見積額が大きいときは、寄付以外の方法にかかる総額と比べてから決めてください。
寄付をあきらめ、別の方法で土地を手放したほうがよいケース
- 自治体に利用計画がなく、庁内にも引き取りを希望する部署がない
- 自治体が売りに出しても、買い手が見つかりにくい
- 対象区域、最低面積、道路との接続など、土地の位置や形に関する基準を満たさない
- 直しても、大きな維持費や安全対策が残る
- 寄付後の用途や売却に関する制限を外せない
使い道のない土地を測量しても、使い道は生まれません。同じ申し出を繰り返すより、民間の買い手や隣地の所有者を探し、地域のマッチング制度や国庫帰属制度も条件に応じて比較しましょう。
\ 断られたら、次は民間の買い手を探す /
自治体が土地を引き取らないときに比べる、8つの選択肢
自治体が使うのは、公共の用途と公費の負担という物差しです。民間の買い手や隣地の所有者は、別の物差しを持っています。同じ土地でも評価が変わるのは、そのためです。
| 選択肢 | 合いやすい状況 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 自治体へ無償で貸す制度・登録制度 | 公園、防災用地、防災協力農地など、地域の制度に合う | 所有権、利用期間、日常の管理、返還時の状態、税の扱い |
| 不動産会社を通じた売却 | 住宅、事業、資材置場など、民間の需要を探せる | 査定額の種類、想定する買い手、売主が行う工事、概算の手取り |
| 隣地の所有者への売却 | 狭い土地や、単独では使いにくい土地 | 境界、越境、価格、測量、契約の方法 |
| 空き家・空き地バンク | 移住、住宅、事業など、地域の需要と合う | 土地だけでも登録できるか、成約支援の範囲、不動産会社との併用 |
| 個人・法人・公益団体への譲渡 | 相手に具体的な使い道があり、税と管理の負担も理解している | 相手の同意、税金、登記費用、譲渡後の管理 |
| 相続土地国庫帰属制度 | 相続などで取得し、土地の要件を満たす | 申請の資格、土地の状態、審査手数料、承認後の負担金 |
| 民間の有料引取サービス | 売却も公的制度も難しく、契約のリスクを十分に調べられる | 実際の契約相手、総費用、登記と支払いの順序、返金条件、引取後の管理 |
| 当面は持ち続けて管理する | 急いで手放すと、多額の費用や不利な契約につながる | 草刈り、安全点検、近隣への連絡、再査定の時期 |
寄付せずに、自治体へ土地を無償で貸す制度もある
公共の用途に合っていても、自治体が所有権まで必要としているとは限りません。地域限定の制度ですが、大阪市のまちかど広場は、条件に合う民有地について、おおむね20年間の使用貸借を想定しています。船橋市の防災協力農地は、災害時の避難、応急・復旧活動、仮設住宅などに使う農地を、あらかじめ登録しておく制度です。
この種の制度がある自治体は限られます。所有権の扱い、日常の管理は誰がするのか、利用期間、返還時の状態、税や補償の扱いを担当課に確認してください。
不動産会社へ売却するなら、査定額の種類を確かめる
自治体が使わない土地でも、住宅、資材置場、駐車場、農林業、隣地との一体利用など、民間では使い道が見つかることがあります。不動産会社に次の点を聞き、そのまま売る案と、整えてから売る案を比べます。
- 提示額は「売り出す価格」「成約を見込む価格」「不動産会社の買取価格」のどれか
- どんな使い道と買い手を想定しているか
- 売却を難しくしている条件は何か
- 測量、造成、伐採、残置物の撤去を売主が行う必要があるか
- そのまま売る場合と、整えてから売る場合で、概算の手取りはいくら違うか
\ 最短45秒入力・利用無料のリビンマッチ /
狭い土地や接道の悪い土地は、隣地の所有者へ売却・譲渡を打診する
単独では使いにくい土地でも、隣地と一体なら庭、通路、駐車場などに使えることがあります。不動産会社を通すか、手紙で購入や賃借の意向を確認します。
ただし、無償なら受け取ってもらえるとは限りません。個人から土地を無償で受け取ると、原則として受け取った人に贈与税の問題が生じ、不動産取得税や登記費用も考える必要があります。詳しくは国税庁「財産をもらったとき」で確認できます。
価格を下げれば解決するとも限りません。個人の間で時価より著しく低い価格にすると、時価との差額が贈与とみなされる場合があります。「著しく低い」の線引きに、一律の割合はありません。「1円」のような実態に合わない価格を決める前に、国税庁の案内を読み、税理士に相談してください。
空き家・空き地バンクは、寄付ではなく買い手を探す制度
国土交通省の全国版空き家・空き地バンクでは、参加している自治体が登録した物件をまとめて探せます。所有者が全国版サイトへ直接登録するのではなく、原則として土地がある自治体の制度を通して登録します。
土地だけは扱わない自治体や、移住促進などに目的を限る自治体もあります。登録しても成約は保証されません。不動産会社の売却活動と併用できるかも確認しましょう。
公益団体や法人への土地の寄付は、自治体と税の扱いが違う
自然保護、福祉、地域活動など、土地に合う目的があれば、公益団体や法人も候補になります。ただし、相手の同意と、寄付後も維持や処分ができる見通しが必要です。
税の扱いも変わります。個人が法人へ土地を寄付すると、原則として時価で売ったものとみなされ、寄付した側に所得税が生じる可能性があります。一定の公益法人への寄付には非課税の承認制度もありますが、申請期限と条件があります。契約する前に国税庁の案内を読み、税務署か税理士に相談してください。
自治体に寄付できない相続した土地は、相続土地国庫帰属制度を検討する
相続土地国庫帰属制度は、自治体に断られた土地を国が無条件で代わりに引き取る制度ではありません。相続などで取得した土地について審査を受け、承認されたら負担金を納めて、国へ引き渡す制度です。
相続土地国庫帰属制度を使える人と、相続放棄との違い
法務省の制度概要によると、主な対象は次の人です。
- 相続、または相続人への遺贈(遺言による贈与)で、土地の所有権や共有持分を取得した人
- 制度が始まる前に相続した土地の所有者
- 共有地では、相続などで持分を取得した人を含む共有者全員
売買だけで手に入れた土地や、法人が単独で持つ土地は、原則として対象外です。共有地は、少なくとも一人が相続などで持分を取得していれば、別の理由で持分を得た共有者も含めた全員で申請できる場合があります。一人だけでは申請できません。
相続放棄とも違います。裁判所の案内にあるとおり、相続放棄は、土地だけでなく亡くなった人の権利と義務をすべて引き継がない手続きです。すでに相続した人が、不要な土地だけを国へ渡す制度とは意味が異なります。
国庫帰属で引き取ってもらえない土地の要件
法務省の要件一覧は、申請そのものができない土地と、審査で承認されない土地を分けています。
申請の段階で問題になる主な土地
- 建物が建っている
- 抵当権や、他人が土地を使う権利(地上権・賃借権など)がついている
- 通路、墓地、水路などとして、他人の利用が予定されている
- 基準を超える特定有害物質による土壌汚染がある
- 境界が明らかでない、または所有権の範囲に争いがある
審査で承認されない可能性がある主な土地
- 一定の崖があり、管理に大きすぎる費用や手間がかかる
- 管理や処分を妨げる工作物、車両、樹木などが地上にある
- 除かなければ管理できない物が地下にある
- 隣地の所有者などと裁判をしなければ、管理も処分もできない
- そのほか、通常の管理・処分に大きすぎる費用や手間がかかる
建物を壊せば条件の一つは解消できますが、ほかの条件と負担金は残ります。解体費を払う前に、法務局へ相談してください。
審査手数料は1筆1万4,000円、負担金は原則1筆20万円
審査手数料は、土地1筆につき1万4,000円です。「1筆」は、登記上の一つの土地を指します。申請を取り下げても、却下や不承認になっても、返ってきません。
承認されたら、その土地の標準的な10年分の管理費をもとにした負担金を納めます。原則は1筆20万円です。ただし、一部の市街地の宅地、農用地区域などの田畑、森林は、面積に応じて20万円を超えることがあります。隣り合う同じ区分の土地なら、申し出により一つの土地として負担金を計算できる場合があります。
負担金は、通知が到達した日の翌日から30日以内に納めます。納めた時点で、所有権が国へ移ります。申請の前に、法務省の負担金の案内で金額と計算方法を確認してください。
申請前に、土地がある都道府県の法務局本局へ相談する
相談先は、原則として土地がある都道府県の法務局・地方法務局の本局です。
対面、電話、ウェブでの相談があり、予約が必要です。法務省の案内では、登記事項証明書、登記所が備える地図の写し、境界の資料、土地全体がわかる写真などを準備するよう勧めています。
相談での見解が、承認を保証するわけではありません。それでも先に相談すれば、返ってこない審査手数料を払ったり、不要な工事を発注したりする失敗を減らせます。
\ 負担金を払う前に、売れるかどうかを確かめる /
自治体へ土地を寄付するときにかかる税金と費用
売買代金はありませんが、税金や手続きの費用まですべて0円になるわけではありません。
国や自治体への寄付なら、寄付者の譲渡所得は課税されない
個人が法人へ土地を無償で渡すと、原則として時価で売ったものとみなし、譲渡所得(売却などで得た利益)を計算します。
ただし、国や地方公共団体へ財産を寄付した場合は、その寄付がなかったものとみなされ、寄付者の譲渡所得は課税されません。国税庁は、この非課税について特別な要件や手続きはないと案内しています。詳しくは国税庁「国や地方公共団体又は公益を目的とする事業を行う法人に財産を寄附したとき」で確認できます。
これは、自治体が土地を受け入れ、実際に土地が移転したあとの話です。断られた段階では、土地の移転自体が起きていません。
土地の寄附金控除は、時価ではなく取得費が基準になる
自治体へ土地を寄付しても、時価の全額が所得から差し引かれるわけではありません。国税庁のQ&Aによると、「特定寄附金」の額になるのは、その土地の取得費と、土地を寄付するために支出した金額の合計です。
「その年の特定寄附金の合計額」と「総所得金額等(税法上の所得の合計)の40%」のうち低い金額 - 2,000円
これは所得から差し引く金額で、同じ額が戻ってくるわけではありません。また、寄付によって施設を自分だけが使えるなど、寄付者に特別な利益がある場合は、特定寄附金に当たらないことがあります。
寄附金控除は自動では適用されません。自治体が交付する受領証などを保管し、国税庁の案内に従って確定申告します。相続した土地で取得費がわからない場合や、ほかにも寄付がある場合は、契約書、相続の資料、測量・登記費用の資料をそろえて、税務署か税理士に相談してください。
相続や遺贈で取得した土地を、相続税の申告期限までに国や自治体などへ寄付した場合、一定の条件を満たせば相続税の非課税財産になることがあります。期限までに寄付そのものを終える必要があるため、相続税の申告が必要な人は、国税庁の案内を確認し、早めに税理士へ相談してください。
固定資産税は、年の途中で寄付しても月割りにならない
固定資産税・都市計画税は、原則として毎年1月1日に固定資産課税台帳へ所有者として登録されている人に、その年度分が課税されます。小平市の2026年度の案内でも、2月に売却して名義変更を終えた場合、その年度分は1月1日時点の売主に課税されると説明しています。
寄付でも、申し出た日が税の区切りになるわけではありません。納付書が届いたら自己判断で支払いを止めず、寄付を受け入れた部署と固定資産税の担当に、所有権移転日、登記日、課税の扱いを確認してください。
測量・分筆・解体の費用は、寄付以外の方法と総額で比べる
費用は、書類の取得から、権利の整理、土地の物理的な整備、専門家への報酬まで幅があります。
- 登記事項証明書、公図、印鑑証明書などの取得費
- 境界確認、測量、分筆登記
- 相続登記、住所・氏名の変更登記
- 抵当権などを消す手続き
- 建物の解体と、建物を登記から消す手続き
- 塀、樹木、残置物、地下の埋設物の撤去
- 土壌、地盤、擁壁などの調査・対策
- 司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁護士などへの報酬
正式に受け入れが決まる前に大きな費用を払うなら、次の3案を並べて比べます。
- いまの状態のまま売却・譲渡する
- 必要な条件だけ整えて自治体へ寄付する
- 相続土地国庫帰属制度など、別の制度に必要な費用を払う
比べるのは金額だけではありません。費用をかけても受け入れられない可能性まで含めて判断します。
\ 費用をかける前に、総額で比べる /
農地・森林の寄付には、農業委員会の許可や取得後の届出が加わる
農地を農地のまま売買・贈与・貸借する場合は、原則として農地法3条にもとづく農業委員会の許可が関係します。ただし、国や自治体による取得など、取引の目的や当事者によって例外があるため、寄付を申し出る前に農業委員会へ確認してください。
許可が必要な取引を無許可で行っても、権利移転の効力は生じません。農地を宅地や駐車場などへ変える場合は、所有者自身が転用するなら原則として農地法4条、売買・贈与・貸借などの権利移転や設定を伴う転用なら原則として5条の許可が関係します。市街化区域では、許可ではなく届出となる場合があります。農林水産省の案内と、土地がある市町村の農業委員会で確認してください。
森林では、地域森林計画の対象となる土地を新たに取得した人に、原則として所有者となった日から90日以内の届出が必要です。2026年4月から届出書の様式と記載事項が変わっています。対象かどうかは、林野庁の案内と、市町村の林務担当で確認できます。
土地の寄付を急ぐときに、してはいけない5つのこと
急ぐときほど、取り消しのきかない順番で手を打ちがちです。次の5つは、いずれも元に戻せないか、費用だけが残るおそれがあります。
自治体の受け入れ見込みを確かめずに、建物を解体して更地にしない
壊した建物は元に戻せません。住宅用地に対する固定資産税の特例や、建物付きで売る選択肢にも影響します。自治体への寄付、民間への売却、国庫帰属制度の見通しを比べてから決めます。
事前相談での「検討できます」を、寄付の受け入れ決定と思わない
事前相談は正式な承認ではありません。庁内の確認、現地調査、予算、条件の整備を経て、受け入れ不可になることもあります。費用を払う前に、何を満たせば次の審査へ進むのかを記録に残しましょう。
寄付を申し出ている間も、固定資産税の納付と土地の管理を止めない
事前相談や申し出だけでは、所有権は移りません。とはいえ、所有権が移る日は寄付契約の内容で決まるため、「登記が終わるまでは必ず自分の土地」とも限りません。
自治体から管理の引き継ぎを確認できるまでは管理を続け、契約上の移転日と登記の完了を、それぞれ書面で確かめます。
贈与税や登記費用を説明せずに、個人・法人へ名義を移さない
個人への贈与では、受け取る人の贈与税、不動産取得税、登記費用が問題になります。
法人への寄付では、渡した側に「時価で売ったものとみなす税金」が生じる場合があります。受け取る側が将来の管理と税の負担まで理解したうえで、書面による契約と登記を行ってください。
土地の有料引取サービスでは、所有権移転登記より先に引取料を払わない
有料の引取サービスは、法律で決まった公的な制度ではありません。売買、贈与、業務委託など、契約の中身によって、適用されるルールが変わります。
国土交通省の注意資料は、金銭を支払う前に所有権移転登記が行われたことを確認し、費用や条件、通常の売却を含むほかの方法、引き取ったあとの管理方針まで確かめるよう案内しています。一部の事業者団体による自主規制でも、引取料金の支払いは所有権移転登記の申請時以降とし、前金を原則求めない考え方が示されています。
- 広告を出している会社と、実際の契約相手は同じか
- 引取料のほかに、測量・登記・管理などの費用がかからないか
- 所有権移転登記と支払いは、どちらが先か
- 引き取ったあと、誰が管理し、再販売する予定があるか
- 契約できなかった場合の返金条件は何か
契約の前に、その事業者と利害関係のない司法書士・弁護士・税理士へ契約書を確認してもらうことも検討してください。
\ 引取料を払う前に、まず売却査定を /
土地の寄付は、自治体の使い道と管理負担で決まる!
土地を自治体へ寄付できるのは、自治体が受け入れたときだけです。見られているのは評価額だけではなく、公共利用または換価の見込みがあるか、権利と境界がはっきりしているか、引き取ったあとの管理負担が重すぎないかです。
まず、地番、位置図、現地写真と手元の資料をそろえ、使い道に合う担当課へ相談します。受け入れの検討対象になるのか、条件は何かがわかるまで、測量、分筆、解体、伐採は発注しません。
断られたら、理由を「条件を整えれば再相談できるもの」と「使い道がなく、整えても変わりにくいもの」に分けます。後者なら、売却や隣地への打診を先に行い、空き地バンクや相続土地国庫帰属制度も条件に応じて比較しましょう。見込みと総費用を比べてから動けば、結果につながらない工事へ先にお金を使うリスクを減らせます。
\ 査定額と売却条件は、複数社で比較 /
出典
e-Gov法令検索「民法」
新潟市「土地の寄附について」
名古屋市「不動産の寄附(遺贈を含む)について」
世田谷区「不動産の寄附について(土地・建物)」
精華町「土地の寄附について」
下妻市「土地等の寄附の受入れに関する基準を定める要綱」
新座市「私道の寄附採納について」
横浜市「公園緑地の寄附受納制度について」
甘楽町「道路後退用地等の寄附受け入れについて」
国税庁「国や地方公共団体又は公益を目的とする事業を行う法人に財産を寄附したとき」
国税庁「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」
国税庁「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」Q&A
国税庁「相続税がかからない財産」
国税庁「個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき」
国税庁「財産をもらったとき」
小平市「年の途中に土地や家屋の売買があったときは」
法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」
法務省「相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件」
法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」
法務省「相続土地国庫帰属制度の相談対応について」
裁判所「相続の放棄の申述」
国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」
国土交通省「不動産の『引取サービス』について」
大阪市「まちかど広場整備事業」
船橋市「防災協力農地の登録にご協力ください」
農林水産省「農地をめぐる事情について」
農林水産省「農地転用許可制度について」
林野庁「森林の土地の所有者届出制度」
リビン・テクノロジーズ「『リビンマッチ』が全国認知度・今後利用したい不動産査定サイト 6年連続No.1に輝きました!」

