MENU

不動産買取を断られたら?理由の見分け方と売却につなげる対処法

不動産会社に買取を断られても、その物件に価値がないと決まったわけではありません。断られた理由が、物件そのものではなく、その会社の対応エリアや再販売の方針に合わなかっただけ、という場合もあるからです。

ただし、理由を確かめないまま査定先だけを増やすのは遠回りです。敷地が道路に接する幅(接道)、相続登記、共有者との調整といった問題は、買主を替えても残ります。

最初に確認するのは「どの段階で、なぜ断られたか」です。理由がわかるまでは、解体・修繕・測量・残置物(家具や荷物)の撤去を発注せず、新しい書面にも署名しないでください。

目次

断られた直後にする3つのこと

  1. 記録を残す
    査定書、メール、メッセージ、署名済みの書類を保存します。
  2. 理由を聞く
    何を確認し、どの条件が合わなかったのかを尋ねます。メールで聞けば、回答がそのまま記録として残ります。
  3. 次の進め方を決める
    別の買取会社、仲介、問題の整理のうち、理由に合うものを選びます。

この記事でいう「買取」は、不動産会社が自ら買主になる取引です。買主を探してもらう「仲介」とは、契約の相手も費用も違います。断られたのが買取なのか仲介なのか、まず確認しましょう。

売買契約を結んだ後に「買えない」と言われた場合は、査定を断られたケースとは別です。

解除書や変更合意書へすぐに署名せず、売買契約書、重要事項説明書、メールなどをそろえてください。仲介会社が入っているなら経緯を確認し、解除できるのか、損害を誰が負うのかで意見が対立しているなら弁護士に相談します。

1社に断られても「売れない物件」とは限らない

買取会社は、買った物件を改修したり別の人へ売ったりして収益を得ます。そのため、判断材料になるのは物件の立地や状態だけではありません。その地域に売り先や管理の体制があるか、得意な改修かどうか、在庫をどれだけ抱えているか、どんな物件を買うと決めているか。こうした会社側の事情も影響します。

国土交通政策研究所の調査でも、家具や荷物を残したまま買い取る会社がある一方で、建物の工法や耐震基準、建て替えできるかどうかに独自の条件を設けている会社が紹介されています。同じ物件でも、会社によって答えが変わるということです。

つまり、1社の「買えません」は市場全体の答えではありません。ただし、現地や役所を調べたうえで断られたなら、物件そのものに課題が見つかった可能性があります。この違いを見分ける手がかりが、断られた段階です。

まずは「いつ断られたか」で原因を絞る

問い合わせの直後に断られたのか、現地や役所を調べた後に断られたのかで、疑うべき原因は変わります。まず、自分がどこで止まったのかを確かめてください。

  1. 問い合わせ・簡易査定の段階
    対応エリア外、扱っていない物件種別など、会社の取扱条件が理由のことが多いです。何が対象外だったのかを聞き、条件の合う会社を探します。
  2. 訪問査定・現地確認の後
    老朽化、雨漏り、傾き、残置物など、建物・土地の状態から費用を読み切れなかった可能性があります。問題箇所を聞き、「現状のまま」と「売主が対応した後」の2通りで査定を比べます。
  3. 登記・役所・境界の調査後
    接道、農地、相続、共有、境界など、法令・権利関係に未整理の点が見つかった可能性があります。何が売却を止めているのかを特定し、該当する窓口へ確認します。
  4. 金額提示後・契約前
    追加調査、社内承認、引渡し条件で折り合わなかったケースです。金額が確定していたのか、何を条件に変わったのかを書面で確認します。
  5. 売買契約後
    契約上の条件を満たさない、買主側の事情、契約トラブルなどが考えられます。新しい書面へ署名する前に、契約書を持って専門家へ相談します。

金額を示されていたなら、それが査定額、条件付きの金額、最終買取価格のどれだったかも確認しましょう。査定額は価格の見込みであり、その金額で買う約束とは限りません。

不動産適正取引推進機構の「不動産売買の手引」でも、価格査定、条件交渉、売買契約、代金の決済・引渡しは別の段階として説明されています。どの段階まで進んでいたかで、次にできることが変わります。

不動産会社が買取を断る5つの理由

1.会社の取扱条件に合わない

問い合わせの段階で断られたなら、物件ではなく会社側の条件が理由かもしれません。

  • 対応エリアから外れている
  • 戸建て、土地、区分マンションなど、扱う物件の種類が違う
  • 建て替えが難しい物件、共有持分(共有している不動産の一部の権利)、借地権(他人の土地を借りて使う権利)、賃貸中の物件などを扱う体制がない
  • 会社が扱う価格帯や物件の規模から外れる
  • その地域に売り先や管理の体制を持っていない

この場合は、値下げや工事をしても結果が変わりません。対応エリアと物件種別が合う会社へ、同じ資料で相談し直しましょう。

2.買った後にかかる費用やリスクが大きい

買取会社は、改修費や管理費だけでなく、売れるまでの期間や値下がりの可能性まで見込んで価格を決めます。

買取価格の考え方

想定する再販売価格
− 改修・解体・撤去・測量などの費用
− 取得・保有・販売にかかる費用
− 想定外の修繕や値下がりへの備え
− 会社の利益

これは法律で決まった計算式でも、全国共通の相場でもありません。必要な工事も、買った後の売り方も会社ごとに違います。「買取価格は市場価格の一律○割」と決めつけず、何をどれくらい見込んだ金額なのかを聞いてみましょう。

3.建物や土地の状態を確認しきれない

現地確認の後に断られたなら、雨漏り、傾き、腐食、設備の故障などが見つかり、修繕の範囲を読み切れなかった可能性があります。土地の高低差を支える壁(擁壁)、境界、地中に埋まったもの、塀や配管が隣地にはみ出す「越境」も同じです。

ここで先に工事を発注すると、かけた費用を回収できないおそれがあります。まず問題箇所と見込みの費用を聞き、現状のまま売る場合売主が対応してから売る場合の2通りで査定を取りましょう。

4.法令・登記・権利関係に未整理の点がある

役所や登記を調べた後に断られたなら、買主を替えるだけでは解決しない問題が見つかった可能性があります。確認されるのは、たとえば次のような点です。

  • 敷地が、建築基準法上の道路に必要な幅で接しているか
  • 市街化調整区域(建物を建てることを原則として抑える区域)や農地など、建築や用途変更に制限がないか
  • 未登記の建物や増築部分があり、現況と登記が食い違っていないか
  • 相続登記が終わり、売主から買主へ名義を移せる状態か
  • 共有者全員の売却意思がそろっているか
  • 抵当権(ローンの担保)、差押え、賃借権(借主が物件を使う権利)、借地権をどう処理するか
  • 境界や越境をめぐって、隣地の所有者と争いになっていないか

接道と建て替え

都市計画区域などにある敷地は、原則として幅4m以上の道路に2m以上接している必要があります。ただし、目の前の道路が法律上どう扱われるか、建築基準法43条2項の認定・許可を受けられるかによって、建て替えできるかどうかは変わります。

以前に許可を得ていても、将来も同じ条件で建て替えられるとは限りません。公図、測量図、建築計画概要書、過去の許可資料を持って、所在地の建築指導担当窓口で確認してください。原則と例外は、国土交通省の接道規制に関する資料でも確認できます。

農地と市街化調整区域

農地かどうかは、登記簿上の種類(地目)だけでなく、今どう使われているかも見て判断されます。農地のまま売る場合と、宅地などへ転用して売る場合では手続きが異なり、区域によって許可が必要か届出で済むかも変わります。現況、予定している用途、所在地を農業委員会へ伝えて確認しましょう。市街化調整区域なら、自治体の開発許可担当窓口にも確認します。手続きの入口は農林水産省の案内で確認できます。

相続登記

「相続人申告登記」は、相続人であることを申し出る簡易な制度です。これだけでは、売却に必要な所有権の移転登記を済ませたことになりません。違いは法務省のQ&Aで確認し、司法書士や法務局へ相談しましょう。

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。原則として、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請します。2024年4月1日より前の相続も対象です。同日時点ですでに相続と取得を知っていた場合、原則の期限は2027年3月31日です。個別の期限は法務省の案内で確認してください。

住宅ローンと抵当権

抵当権が残っていても、売却代金などでローンを完済し、引渡しと同時に抵当権を抹消できるなら売却できる場合があります。売却代金と自己資金で完済できない見込みなら、契約前に借入先へ相談してください。

ローン残高が売却代金を上回るときなどに、借入先の同意を得て売る方法を「任意売却」といいます。住宅金融支援機構の融資で任意売却をする場合は、同機構の承諾が必要です。

接道、農地、相続、抵当権をすべて調べる必要はありません。断った会社に「どの問題が買取を止めているのか」を聞き、該当する窓口だけへ確認します。

5.価格・引渡し条件が合わない、または資料が足りない

物件を買える状態でも、希望価格、引渡し日、残置物、測量、修繕などの負担で合意できなければ契約には進みません。必要な資料が足りず、会社が最終判断をできないこともあります。

価格を下げる前に、「どの条件を変えれば再検討できるか」を聞いてください。会社が負担を引き受ける代わりに価格が下がる案と、売主が対応して価格を上げる案を、最終的な手取りで比べます。

断られた理由を確かめる質問文

「総合的に難しい」「社内基準です」としか言われないこともあります。その場合は、次の4点に分けて聞きましょう。

  • 直接の理由:何が買取不可の決め手になったか
  • 判断の根拠:現地、役所、登記、境界、収支のどれを確認したか
  • 再検討の条件:価格や引渡し条件を変えれば再検討できるか
  • 売主に必要な対応:追加資料、登記、測量、撤去、修繕などが必要か

そのまま使える確認文

今回、買取不可となった直接の理由を教えてください。

①御社の取扱条件(対応エリア・物件種別・社内基準)
②再販売の採算
③建物・土地の状態
④法令・登記・権利関係
⑤価格・引渡し条件

このうち、どれが主な理由でしょうか。

あわせて、現地、役所、登記、境界、収支のうち何を確認して判断されたのか、条件を変えれば再検討の余地があるか、売主側で必要な対応があるかについても、可能な範囲でメールにてご回答いただけると助かります。

金額をご提示いただいている場合は、それが査定額、条件付きの金額、最終買取価格のどれに当たるかも教えてください。

社内基準の細部まで教えてもらえるとは限りません。それでも、理由・根拠・再検討の条件がわかれば、次に相談すべき相手を選べます。

別の会社へ相談する前にそろえる資料

会社ごとに渡す情報が違うと、提示額や条件を同じ土俵で比べられません。まずは手元にある資料を整理し、取得に費用がかかるものは、査定先に必要かどうかを確かめてから用意します。

多くの物件で確認される資料

  • 登記事項証明書(登記の内容を証明する書類)
  • 固定資産税の納税通知書など、評価額がわかる資料
  • 購入時の売買契約書、重要事項説明書
  • 間取り図、現況写真、修繕・増改築の履歴
  • 住宅ローン残高と抵当権の状況がわかる資料
  • 雨漏り、設備の故障、越境など、把握している問題の記録

物件に応じて追加する資料

  • 戸建て・土地:公図、地積測量図、境界確認書、私道関係資料、建築確認済証・検査済証
  • マンション:管理規約、長期修繕計画、総会議事録、管理費・修繕積立金、滞納や一時金の資料
  • 賃貸中:賃貸借契約書、賃料表、敷金、滞納や入居状況がわかる資料
  • 相続・共有・借地:相続関係資料、共有者の意向、借地契約書、関係者との合意書

登記識別情報通知の原本や12桁の符号は、初期査定で送らないでください。

これは、従来の権利証に代わる重要な情報です。契約相手が決まった後、司法書士から必要性と安全な提示方法の説明を受けてから扱います。詳しくは法務省のQ&Aで確認できます。マイナンバー、口座番号、入居者や親族の氏名など、査定に不要な情報も黒塗りにするか、提出を保留しましょう。

理由別に選ぶ、次の進め方

同じ「断られた」でも、理由が違えば次に当たるべき相手も変わります。

断られた主な理由最初に検討する進め方
会社の取扱条件対象が合う別の買取会社
再販売の採算買取と仲介を比較
法令・登記・権利該当する窓口・専門家へ確認
建物・土地の状態現状のままと対応後を比較
価格・引渡し条件条件変更後の手取りを比較
断られた理由から、次に検討する進め方を選ぶ早見表

会社の取扱条件が理由なら、対象が合う買取会社へ相談する

気をつけたいのは「どんな物件でも買います」という広告です。難しい条件の物件を扱う会社でも、すべてを買い取れるわけではありません。対象エリア、実際に買主となる法人、過去に扱った物件、最終価格が決まる時期を確認しましょう。

相談先は、一般的な買取会社、地域に詳しい会社、その課題を扱う会社など、役割の違う2〜3社が目安です。同じ資料を渡せば、1社だけの基準なのか、物件に共通する課題なのかを見分けやすくなります。

再販売の採算が理由なら、買取と仲介を比べる

買取会社の収支に合わなくても、自分で住む人や長期保有する投資家を仲介で探せば、売却できる場合があります。

買取

売却時期と条件を固めやすい一方、会社が負う費用やリスク、利益を見込んだ価格になります。

仲介

広く買主を探せる一方、売れる時期と価格は確定せず、内覧や条件交渉が必要です。

仲介会社の査定額も、その金額で売れることを約束するものではありません。売出価格、査定額、実際の成約価格は別のものとして考え、一定期間で反響がなければ何を見直すのかまで決めておきます。

法令・登記・権利関係が理由なら、売却を止めている部分だけ整理する

相談先を間違えると、売却に関係のない手続きへ費用をかけてしまいます。問題ごとの窓口は次のとおりです。

  • 相続登記、所有権、抵当権の登記:司法書士。一般的な手続案内は法務局
  • 境界確認、土地・建物の表示登記:土地家屋調査士
  • 共有者との紛争、契約解除、差押え:弁護士
  • 接道、用途、建て替え、開発許可:自治体の建築・都市計画担当窓口
  • 農地の売買・転用:農業委員会
  • ローンを完済できない売却:借入先の金融機関、任意売却を扱う不動産会社(宅地建物取引業者)。法的な交渉や紛争は弁護士

専門家へ依頼する前に、「何を解決すれば買取を再検討できるのか」「その費用をかけても手取りが増える見込みがあるのか」を確認してください。

建物・土地の状態が理由なら、現状のままと対応後を比べる

たとえば、残置物の撤去に30万円かけても買取価格が20万円しか上がらなければ、先に撤去するほど手取りは10万円減ります。反対に、境界確認が終わることで買主候補が増え、費用以上に条件がよくなることもあります。

判断材料は価格差だけではありません。その金額が確定する条件と、売買契約に進めなかった場合の費用負担も確かめてから決めます。

提示額ではなく「手元に残るお金」で比べる

高い金額を示されても、売主負担の工事や後から減額される条件が多ければ、手元に残るお金は少なくなります。

手元に残るお金の概算(税金は別に計算)

最終買取価格
− 売主が負担する費用
− 決済時に返済するローン残高
± 固定資産税・管理費・賃料などの精算金

ローンの返済は売却費用ではありませんが、決済日に手元に残る金額を知るために差し引きます。売って利益が出たときの税金(譲渡所得税)は、取得費や所有期間などで変わるため、この概算とは分けて確認してください。

架空の条件でA社とB社を比べる

次は、比べ方を示すための架空例です。実際の相場や費用を示すものではありません。

比較項目A社B社
提示額800万円760万円
売主負担80万円0円
概算手取り720万円760万円
価格が決まる時期測量後契約前
A社とB社の提示額・売主負担・概算手取り・価格が決まる時期の比較。金額は架空例

A社の売主負担80万円は、境界測量50万円と残置物撤去30万円の合計です。B社は、境界と残置物を買主負担とする条件です。A社の価格は測量後に決まり、追加で減額される範囲と決済日は未確認。B社は資料と現地の確認を終えていて、契約前に価格が決まり、契約から21日後に決済する想定です。

提示額だけならA社が40万円高く見えます。ところが、売主負担を差し引くとB社の手取りが40万円多くなります。とはいえ、これだけでA社が不利と決まるわけではありません。A社には、測量後にどこまで減額されるのか、契約に進めなかった場合は誰が費用を負うのかを確認する必要があります。

最低限そろえて比べる10項目

  1. 売買契約の買主となる法人名、紹介会社や仲介会社の役割、仲介手数料の有無
  2. 査定額、条件付きの金額、最終買取価格のどれか
  3. 最終価格が決まる時点と、提示の有効期限
  4. 契約前に金額が変わる条件と、契約後の価格変更・解除に関する条項
  5. 測量、登記、残置物、解体、修繕などの売主負担
  6. 境界、越境、登記面積と実測面積の扱い
  7. 抵当権、賃貸借、敷金などの処理
  8. 契約不適合責任の範囲と期間
  9. 手付金、決済日、買主の資金調達に関する条件
  10. 解除できる条件、違約金、費用の返還条件

契約後に買主から減額を求められても、それだけで価格が変わるわけではありません。

契約書の条項に基づくのか、新たな合意が必要なのかを確認します。変更合意書や解除書へ署名する前に、何が判明し、どの条項に基づく提案なのかを書面で確かめてください。

契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約で約束した状態と違っていた場合に、売主が負う責任です。買取では責任を限定・免除する特約が置かれることもありますが、内容は会社や契約によって異なります。

把握している雨漏り、設備の不良、越境、権利関係は先に伝え、「現状のまま買うのか」「減額、撤去、調査を条件にするのか」を書面にします。民法572条では、売主が知りながら告げなかった事実について、免責の合意だけで責任を免れることはできないとされています。

買取を断られた直後にしてはいけないこと

  • 理由を確認せず、大幅に値下げする
  • 買取の約束を信じて、先に工事や調査の代金を払う
  • 知っている問題を隠す
  • 「今日だけ」と迫られて、その場で署名する
  • 費用を払う「有償引取」を、通常の買取と同じだと考える

理由を確認せず、大幅に値下げする

対応エリア外や物件種別の不一致が理由なら、値下げしてもその会社の基準には入りません。複数の会社が同じ理由で採算が合わないと判断したときに、初めて希望価格や売り方の見直しを検討します。

買取の約束を信じて、先に工事や調査の代金を払う

解体した建物は元に戻せず、その後の売り方も変わります。指定の業者へ測量、造成、撤去などの費用を払えば買い取ると言われたら、売買契約の相手、買取価格、費用、契約できなかった場合の返金条件を確認してください。不動産適正取引推進機構の手引でも、土地の測量や整地などの費用を支払わせる取引に注意を促しています。

知っている問題を隠す

雨漏り、傾き、越境、設備の故障、権利の問題など、把握している事実は書面で伝えます。「いつ、誰から、どの範囲を指摘されたか」まで分けて書き、わからないことは断定しないようにしましょう。

国土交通省の人の死の告知に関するガイドラインでは、自然死や日常生活上の不慮の死は原則として告知不要とされています。ただし、特殊清掃をした場合、買主から質問された場合、社会的な影響が大きい場合などは扱いが変わります。売買に一律の「3年ルール」はありません。売主だけで判断せず、知っている事実を買取会社や仲介会社へ伝えてください。

「今日だけ」と迫られて、その場で署名する

個人が売主、不動産会社が買主となる不動産売却には、売主向けのクーリング・オフ制度はありません。国民生活センターも、不動産業者から勧誘されて自宅を売る場合はクーリング・オフできないと注意を促しています。

契約書はその場で署名せず、事前に受け取って価格、解除条件、違約金を確認してください。だまされた、契約内容を重大に思い違いしていたなど、別の法的問題がある場合は扱いが異なるため、早めに弁護士などへ相談します。

費用を払う「有償引取」を、通常の買取と同じだと考える

売却代金を受け取る「買取」と、所有者がお金を払って引き取ってもらう「有償引取」は別の取引です。国土交通省の「不動産の引取サービス」に関する資料でも、通常の売却を含むほかの方法と比べたうえで、すべての費用、契約条件、引取後の管理方針を確認するよう示されています。

費用を払う前に、所有権が事業者へ移ったことを登記で確認できる契約になっているかを確かめ、その事業者と利害関係のない司法書士にも相談してください。

会社情報も確認しましょう。国土交通省の宅地建物取引業者検索で免許情報を、ネガティブ情報等検索サイトで行政処分歴を確認できます。ただし、免許や処分歴だけで安全性を判断することはできません。広告の会社名と契約相手が一致するかを確かめる入口として使ってください。

それでも買取先が見つからない場合の選択肢

売り先や得意分野の違う複数の会社が、同じ資料を見て同じ問題を挙げたなら、会社探しを続けるより、原因を整理するか売り方を変える段階です。

仲介で一般の買主や投資家を探す

買取会社の再販売基準には合わなくても、自分で使いたい人や長期保有できる投資家には合う可能性があります。ただし、売却の時期は確定せず、物件の状態や契約条件の説明も必要です。問い合わせ数、内覧数、価格交渉の内容を記録し、売り方を見直します。

自治体の空き家バンクを確認する

買い手が少ない地域では、空き家バンクが地域内外の利用希望者と出会うきっかけになります。ただし、自治体が買い取る制度ではなく、登録しても成約は保証されません。登録条件、契約への関わり方、改修補助の有無は自治体ごとに異なります。全国版空き家・空き地バンクで参加自治体を調べ、物件所在地の自治体へ確認してください。

隣地の所有者や地域の事業者へ相談する

単独では使いにくい狭い土地や、接道に条件がある土地でも、隣地と一体なら使い道が生まれることがあります。個人間で売買する場合も、売買条件は不動産会社、登記は司法書士、税務は税理士へ、必要に応じて相談しましょう。

保有・賃貸・管理を続ける

安全に使えて、修繕費、固定資産税、保険、管理費、空室リスクまで含めて収支が合うなら、急いで売らずに保有・賃貸する選択肢もあります。老朽化して周囲へ危険を及ぼすおそれがある物件は放置せず、自治体の空き家相談窓口などへ相談してください。

相続土地国庫帰属制度を最後に検討する

相続、または相続人として遺言で受け取った土地は、一定の条件を満たせば国へ引き渡せる場合があります。共有地は共有者全員で申請します。建物がある土地、担保権や使用権が設定された土地、境界や所有権の争いがある土地などは申請できません。

審査手数料は土地1筆につき1万4,000円で、申請を取り下げた場合や、却下・不承認となった場合も返還されません。承認後は、原則20万円を基本とし、土地の種類(地目)・区域・面積などで変わる負担金が必要です。通知が届いた日の翌日から30日以内に納付しないと、承認は失効します。

売却制度ではなく、誰でも無料で土地を手放せる制度でもありません。法務省の制度案内と負担金の案内で対象条件を確認し、ほかの方法と比べてから検討してください。

不動産買取を断られたときのよくある質問

何社に断られたら「売れない物件」だと判断すべきですか?

社数だけで判断する基準はありません。問い合わせ段階で断られたなら、会社の対応エリアや物件種別が理由かもしれません。売り先や改修方法の違う複数の会社が、同じ資料を見て同じ具体的な問題を挙げたときは、査定依頼を繰り返すより、その問題を整理するか、仲介など別の売り方へ切り替えます。

売買契約後に買取会社から断られたら、解除に応じるしかありませんか?

すぐに応じる必要があるとは限りません。融資利用、調査、社内承認などが契約上の解除条件になっているか、期限内か、手付金や違約金をどう定めたかで扱いが変わります。口頭の説明だけで判断せず、契約書、重要事項説明書、メール、録音などをそろえてください。解除できるのか、損害を誰が負うのかで意見が対立している場合は、弁護士へ相談します。

買取を断った理由を、不動産会社が教えてくれない場合はどうしますか?

社内基準の詳細まで開示してもらえるとは限りません。「会社の取扱条件」「再販売の採算」「建物・土地の状態」「法令・登記・権利関係」「価格・引渡し条件」のどれに近いかだけでも確認しましょう。回答が得られなければ、同じ資料を役割の違う2〜3社へ渡し、各社の確認結果を比べます。

まとめ

不動産買取を1社に断られても、物件が売れないと決まったわけではありません。まず、断られた段階・直接の理由・判断の根拠・再検討の条件を書面で確認してください。

  • 会社の取扱条件が理由なら、対象が合う別の買取会社へ相談する
  • 再販売の採算が理由なら、買取と仲介を同じ条件で比べる
  • 建物・土地の状態が理由なら、現状のままと対応後の査定を比べる
  • 法令や権利が理由なら、該当する問題だけを窓口や専門家へ確認する
  • 提示額ではなく、売主負担を引いた手取りと、減額・解除の条件で選ぶ

迷ったら、費用を払う前、署名する前に一度止まる。

そのうえで理由を確かめ、同じ資料と条件で次の選択肢を比べることが、不利な出費や契約を避ける近道です。

参考資料

情報確認日:2026年7月24日

目次