- どの段階で断られたかを特定し、疑うべき原因を絞れる
- 断られた理由を5つに整理し、値下げすべきか資料を足すべきか判断できる
- 理由を確かめる質問メールを、そのまま送れる文面で用意できる
- 提示額ではなく手取り額で、複数社の条件を比べられる
- 買取先が見つからないときの売却・処分の選択肢を比較できる
不動産会社に買取を断られても、その物件に価値がないと決まったわけではありません。断られた理由が、物件そのものではなく、その会社の対応エリアや再販売の方針に合わなかっただけ、という場合もあるからです。
ただし、理由を確かめないまま査定先だけを増やすのは遠回りです。敷地が道路に接する幅(接道)、相続登記、共有者との調整といった問題は、買主を替えても残ります。
理由がわかるまでは、解体・修繕・測量・残置物(家具や荷物)の撤去を発注せず、内容を確認できていない新しい書面にも署名しないでください。
\ 会社を替えれば、答えが変わることもあります /
不動産買取を断られた直後にする3つのこと
ここでいう「買取」は、不動産会社が自ら買主になる取引です。不動産会社が直接買い取る場合、通常は仲介手数料がかかりません。ただし、紹介会社や仲介会社が取引に入る場合は、手数料が発生することがあります。断られたのが買取なのか、仲介による売却依頼なのかをまず確認しましょう。
査定書、メール、メッセージ、署名済みの書類を保存します。
何を確認し、どの条件が合わなかったのかを尋ねます。メールで聞けば、回答がそのまま記録として残ります。
別の買取会社、仲介、問題の整理のうち、理由に合うものを選びます。
査定を断られたケースとは別です。解除書や変更合意書へすぐに署名せず、売買契約書、重要事項説明書、メールなどをそろえてください。
仲介会社が入っているなら経緯を確認し、解除できるのか、損害を誰が負うのかで意見が対立しているなら弁護士に相談します。
不動産買取を1社に断られても「売れない物件」とは限らない
買取会社は、買った物件を改修したり別の人へ売ったりして収益を得ます。そのため、判断材料になるのは物件の立地や状態だけではありません。
その地域に売り先や管理の体制があるか、得意な改修かどうか、在庫をどれだけ抱えているか、どんな物件を買うと決めているか。こうした会社側の事情も影響します。
国土交通政策研究所の調査でも、家具や荷物を残したまま買い取る会社がある一方で、接道や越境、建物の工法、耐震基準、建て替えできるかどうかに独自の条件を設けている会社が紹介されています。同じ物件でも、会社によって答えが変わるということです。
つまり、1社の「買えません」は市場全体の答えではありません。
ただし、現地や役所を調べたうえで断られたなら、物件そのものに課題が見つかった可能性があります。この違いを見分ける手がかりが、断られた段階です。
\ 1社の「買えません」が全社の答えとは限りません /
買取を断られた5つの段階で原因を絞る|簡易査定から売買契約後まで
問い合わせの直後に断られたのか、現地や役所を調べた後に断られたのかで、疑うべき原因は変わります。まず、自分がどこで止まったのかを確かめてください。
- 問い合わせ・簡易査定の段階
対応エリア外、扱っていない物件種別など、会社の取扱条件が理由のことが多いです。何が対象外だったのかを聞き、条件の合う会社を探します。 - 訪問査定・現地確認の後
老朽化、雨漏り、傾き、残置物など、建物・土地の状態から費用を読み切れなかった可能性があります。問題箇所を聞き、「現状のまま」と「売主が対応した後」の2通りで査定を比べます。 - 登記・役所・境界の調査後
接道、農地、相続、共有、境界など、法令・権利関係に未整理の点が見つかった可能性があります。何が売却を止めているのかを特定し、該当する窓口へ確認します。 - 金額提示後・契約前
追加調査、社内承認、引渡し条件で折り合わなかったケースです。金額が確定していたのか、何を条件に変わったのかを書面で確認します。 - 売買契約後
契約上の条件を満たさない、買主側の事情、契約トラブルなどが考えられます。新しい書面へ署名する前に、契約書を持って専門家へ相談します。
金額を示されていたなら、それが査定額、条件付きの金額、最終買取価格のどれだったかも確認しましょう。呼び方は会社ごとに異なります。査定額は価格の見込みであり、その金額で買う約束とは限りません。
不動産適正取引推進機構の「不動産売買の手引」でも、価格査定、条件交渉、売買契約、代金の決済・引渡しは別の段階として説明されています。どの段階まで進んでいたかで、次にできることが変わります。
\ 止まった段階がわかったら、次の会社へ /
不動産会社が買取を断る5つの理由
断り文句は会社ごとに違って見えても、理由は大きく5つに整理できます。どれに当たるかで、値下げすべきか、資料を足すべきか、相談先を替えるべきかが分かれます。
買取会社の取扱条件(対応エリア・物件種別)に合わない
問い合わせの段階で断られたなら、物件ではなく会社側の条件が理由かもしれません。
- 対応エリアから外れている
- 戸建て、土地、区分マンションなど、扱う物件の種類が違う
- 建て替えが難しい物件、共有持分(共有している不動産の一部の権利)、借地権(他人の土地を借りて使う権利)、賃貸中の物件などを扱う体制がない
- 会社が扱う価格帯や物件の規模から外れる
- その地域に売り先や管理の体制を持っていない
この場合は、多くの場合、値下げや工事だけでは結果は変わりません。対応エリアと物件種別が合う会社へ、同じ資料で相談し直しましょう。
\ 対応エリアと物件種別が合う会社を探す /
改修費や保有リスクが大きく、再販売の採算に合わない
買取会社は、改修費や管理費だけでなく、売れるまでの期間や値下がりの可能性まで見込んで価格を決めます。
想定する再販売価格
− 改修・解体・撤去・測量などの費用
− 取得・保有・販売にかかる費用
− 想定外の修繕や値下がりへの備え
− 会社の利益
この内訳は、会社ごとに組み立てるものです。必要な工事も、買った後の売り方も会社ごとに違います。「買取価格は市場価格の一律○割」と決めつけず、何をどれくらい見込んだ金額なのかを聞いてみましょう。
雨漏り・傾き・越境など、建物と土地の状態を確認しきれない
現地確認の後に断られたなら、雨漏り、傾き、腐食、設備の故障などが見つかり、修繕の範囲を読み切れなかった可能性があります。土地の高低差を支える壁(擁壁)、境界、地中に埋まったもの、塀や配管が隣地にはみ出す「越境」も同じです。
ここで先に工事を発注すると、かけた費用を回収できないおそれがあります。まず問題箇所と見込みの費用を聞き、現状のまま売る場合と売主が対応してから売る場合の2通りで査定を取りましょう。
接道・農地・相続登記など、法令と権利関係が未整理
役所や登記を調べた後に断られたなら、買主を替えるだけでは解決しない問題が見つかった可能性があります。買取会社が見ているのは、おおむね次の点です。
- 敷地が、建築基準法上の道路に必要な幅で接しているか
- 市街化調整区域(建物を建てることを原則として抑える区域)や農地など、建築や用途変更に制限がないか
- 未登記の建物や増築部分があり、現況と登記が食い違っていないか
- 相続登記が終わり、売主から買主へ名義を移せる状態か
- 共有者全員の売却意思がそろっているか
- 抵当権(ローンの担保)、差押え、賃借権(借主が物件を使う権利)、借地権をどう処理するか
- 境界や越境をめぐって、隣地の所有者と争いになっていないか
接道義務(原則:幅4m以上の道路に2m以上接道)と建て替えの可否
都市計画区域・準都市計画区域内で建築物を建てる敷地は、原則として幅4m以上の道路に2m以上接している必要があります。ただし、目の前の道路が法律上どのように扱われるか、建築基準法43条2項の認定・許可を受けられるかによって、建て替えできるかどうかは変わります。
過去に認定や許可を受けていても、将来の建て替えは計画内容や周辺状況に応じて個別に判断されます。公図、測量図、建築計画概要書、過去の認定・許可資料を持って、所在地の建築指導担当窓口で確認してください。
原則と例外は、国土交通省の接道規制に関する資料でも確認できます。
農地転用と市街化調整区域の制限
農地かどうかは、登記簿上の種類(地目)だけでなく、現在どのように使われているかも踏まえて判断されます。
農地のまま売る場合と、宅地などへ転用して売る場合では手続きが異なります。転用の許可が必要か、市街化区域内の届出で進められるかなども、所在地と予定する用途によって変わります。現況、予定している用途、所在地を農業委員会へ伝えて確認しましょう。
市街化調整区域なら、自治体の開発許可担当窓口にも確認します。手続きの全体像は農林水産省の案内で確認できます。
相続登記の義務化と「相続人申告登記」との違い
「相続人申告登記」は、自分が相続人であることを申し出て、相続登記の申請義務を簡易に履行するための制度です。相続登記そのものではなく、申出だけで売却できる名義になるわけではありません。違いは法務省のQ&Aで確認し、司法書士や法務局へ相談しましょう。
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。原則として、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請します。2024年4月1日より前の相続も対象です。
2024年4月1日時点ですでに相続と不動産の取得を知っていた場合、原則の期限は2027年3月31日です。個別の期限は法務省の案内で確認してください。
住宅ローン残債・抵当権の抹消と任意売却
抵当権が残っていても、売却代金などでローンを完済し、引渡しと同時に抵当権を抹消できるなら売却できる場合があります。売却代金と自己資金で完済できない見込みなら、契約前に借入先へ相談してください。
ローン残高が売却代金を上回るときなどに、借入先の同意を得て売る方法を「任意売却」といいます。住宅金融支援機構の融資で任意売却をする場合は、同機構の確認と承諾を受けて手続きを進めます。
接道、農地、相続、抵当権をすべて調べる必要はありません。断った会社に「どの問題が買取を止めているのか」を聞き、該当する窓口だけへ確認します。
希望価格や引渡し条件が折り合わない、査定資料が足りない
物件を買える状態でも、希望価格、引渡し日、残置物、測量、修繕などの負担で合意できなければ契約には進みません。必要な資料が足りず、会社が最終判断をできないこともあります。
価格を下げる前に、「どの条件を変えれば再検討できるか」を聞いてください。会社が負担を引き受ける代わりに価格が下がる案と、売主が対応して価格を上げる案を、最終的な手取りで比べます。
\ 値下げの前に、他社の査定額を確かめる /
買取を断られた理由を確かめる質問メールの文例
「総合的に難しい」「社内基準です」としか言われないこともあります。そのときは、直接の理由、判断の根拠、再検討の条件、売主に必要な対応の4点に分けて尋ねます。
- 直接の理由:何が買取不可の決め手になったか
- 判断の根拠:現地、役所、登記、境界、収支のどれを確認したか
- 再検討の条件:価格や引渡し条件を変えれば再検討できるか
- 売主に必要な対応:追加資料、登記、測量、撤去、修繕などが必要か
今回、買取不可となった直接の理由を教えてください。
- 御社の取扱条件(対応エリア・物件種別・社内基準)
- 再販売の採算
- 建物・土地の状態
- 法令・登記・権利関係
- 価格・引渡し条件
このうち、どれが主な理由でしょうか。
あわせて、現地、役所、登記、境界、収支のうち何を確認して判断されたのか、条件を変えれば再検討の余地があるか、売主側で必要な対応があるかについても、可能な範囲でメールにてご回答いただけると助かります。
金額をご提示いただいている場合は、それが査定額、条件付きの金額、最終買取価格のどれに当たるか、いつ確定するのかも教えてください。
社内基準の細部まで教えてもらえるとは限りません。それでも、理由・根拠・再検討の条件がわかれば、次に相談すべき相手を選べます。
\ 理由がわかったら、次の相談先を探しましょう /
別の買取会社へ相談する前にそろえる査定資料
会社ごとに渡す情報が違うと、提示額や条件を同じ条件で比べられません。まずは手元にある資料を整理し、取得に費用がかかるものは、査定先に必要かどうかを確かめてから用意します。
戸建て・マンション共通で確認される査定資料
- 登記事項証明書(登記の内容を証明する書類)
- 固定資産税の納税通知書など、評価額がわかる資料
- 購入時の売買契約書、重要事項説明書
- 間取り図、現況写真、修繕・増改築の履歴
- 住宅ローン残高と抵当権の状況がわかる資料
- 雨漏り、設備の故障、越境など、把握している問題の記録
戸建て・マンション・賃貸中・相続物件で追加する資料
| 戸建て・土地 | 公図、地積測量図、境界確認書、私道関係資料、建築確認済証・検査済証 |
|---|---|
| マンション | 管理規約、長期修繕計画、総会議事録、管理費・修繕積立金、滞納や一時金の資料 |
| 賃貸中 | 賃貸借契約書、賃料表、敷金、滞納や入居状況がわかる資料 |
| 相続・共有・借地 | 相続関係資料、共有者の意向、借地契約書、関係者との合意書 |
登記識別情報は、従来の権利証に代わる重要な情報です。契約相手が決まった後、司法書士から必要性と安全な提示方法の説明を受けてから扱います。
詳しくは法務省のQ&Aで確認できます。マイナンバー、口座番号、入居者や親族の氏名など、査定に不要な情報も黒塗りにするか、提出を保留しましょう。
\ 資料がそろったら、同じ内容で複数社へ /
買取を断られた理由別の対処法と相談先
同じ「断られた」でも、理由が違えば次に当たるべき相手も変わります。
| 断られた主な理由 | 最初に検討する進め方 |
|---|---|
| 会社の取扱条件 | 対象が合う別の買取会社 |
| 再販売の採算 | 買取と仲介を比較 |
| 法令・登記・権利 | 該当する窓口・専門家へ確認 |
| 建物・土地の状態 | 現状のままと対応後を比較 |
| 価格・引渡し条件 | 条件変更後の手取りを比較 |
取扱条件が理由なら、対象が合う別の買取会社へ相談する
「どんな物件でも買います」という広告には注意してください。難しい条件の物件を扱う会社でも、すべてを買い取れるわけではありません。対象エリア、実際に買主となる法人、過去に扱った物件、最終価格が決まる時期を確認しましょう。
相談先は、一般的な買取会社、地域に詳しい会社、その課題を扱う会社など、役割の違う2〜3社が目安です。同じ資料を渡せば、1社だけの基準なのか、物件に共通する課題なのかを見分けやすくなります。
\ 役割の違う会社へ、一度にまとめて相談できます /
再販売の採算が理由なら、買取と仲介を同じ条件で比べる
買取会社の収支に合わなくても、自分で住む人や長期保有する投資家を仲介で探せば、売却できる場合があります。
売却時期と条件を固めやすい一方、会社が負う費用やリスク、利益を見込んだ価格になります。
広く買主を探せる一方、売れる時期と価格は確定せず、内覧や条件交渉が必要です。
仲介会社の査定額も、その金額で売れることを約束するものではありません。売出価格、査定額、実際の成約価格は別のものとして考え、一定期間で反響がなければ何を見直すのかまで決めておきます。
\ 買取と仲介、どちらも査定して比べられます /
法令・登記・権利が理由なら、司法書士や土地家屋調査士など窓口を分ける
相談先を間違えると、売却に関係のない手続きへ費用をかけてしまいます。登記の問題か、境界の問題か、当事者間の紛争かで、頼るべき相手は変わります。
| 相続登記、所有権、抵当権の登記 | 司法書士 一般的な手続案内は法務局 |
|---|---|
| 境界確認、土地・建物の表示登記 | 土地家屋調査士 |
| 共有者との紛争、契約解除、差押え | 弁護士 |
| 接道、用途、建て替え、開発許可 | 自治体の建築・都市計画担当窓口 |
| 農地の売買・転用 | 農業委員会 |
| ローンを完済できない売却 | 借入先の金融機関、任意売却を扱う不動産会社(宅地建物取引業者) 法的な交渉や紛争は弁護士 |
専門家へ依頼する前に、「何を解決すれば買取を再検討できるのか」「その費用をかけても手取りが増える見込みがあるのか」を確認してください。
建物・土地の状態が理由なら、現状渡しと修繕・撤去後を比べる
たとえば、残置物の撤去に30万円かけても買取価格が20万円しか上がらなければ、先に撤去するほど手取りは10万円減ります。反対に、境界確認が終わることで買主候補が増え、費用以上に条件がよくなることもあります。
判断材料は価格差だけではありません。その金額が確定する条件と、売買契約に進めなかった場合の費用負担も確かめてから決めます。
買取価格の提示額ではなく「手取り額」で比べる
高い金額を示されても、売主負担の工事や後から減額される条件が多ければ、手元に残るお金は少なくなります。
最終買取価格
− 売主が負担する費用
− 決済時に返済するローン残高
± 固定資産税・管理費・賃料などの精算金
ローンの返済は売却費用ではありませんが、決済日に手元に残る金額を知るために差し引きます。売って利益が出たときの税金(譲渡所得税)は、取得費や所有期間などで変わるため、この概算とは分けて確認してください。
A社とB社の買取条件を手取り額で比べる(架空例)
次は、比べ方を示すための架空例です。実際の相場や費用を示すものではありません。
| 比較項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 提示額 | 800万円 | 760万円 |
| 売主負担 | 80万円 | 0円 |
| 概算手取り | 720万円 | 760万円 |
| 価格が決まる時期 | 測量後 | 契約前 |
A社の売主負担80万円は、境界測量50万円と残置物撤去30万円の合計です。B社は、境界と残置物を買主負担とする条件です。
A社の価格は測量後に決まり、追加で減額される範囲と決済日は未確認。B社は資料と現地の確認を終えていて、契約前に価格が決まり、契約から21日後に決済する想定です。
提示額だけならA社が40万円高く見えます。ところが、売主負担を差し引くとB社の手取りが40万円多くなります。とはいえ、これだけでA社が不利と決まるわけではありません。
A社には、測量後にどこまで減額されるのか、契約に進めなかった場合は誰が費用を負うのかを確認する必要があります。
\ 手取りで比べるには、まず複数の提示額から /
買取会社を比べるときに確認する10項目
- 売買契約の買主となる法人名、紹介会社や仲介会社の役割、仲介手数料の有無
- 査定額、条件付きの金額、最終買取価格のどれか
- 最終価格が決まる時点と、提示の有効期限
- 契約前に金額が変わる条件と、契約後の価格変更・解除に関する条項
- 測量、登記、残置物、解体、修繕などの売主負担
- 境界、越境、登記面積と実測面積の扱い
- 抵当権、賃貸借、敷金などの処理
- 契約不適合責任の範囲と期間
- 手付金、決済日、買主の資金調達に関する条件
- 解除できる条件、違約金、費用の返還条件
契約書の条項に基づくのか、新たな合意が必要なのかを確認します。変更合意書や解除書へ署名する前に、何が判明し、どの条項に基づく提案なのかを書面で確かめてください。
契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約で約束した状態と違っていた場合に、売主が負う責任です。買取では責任を限定・免除する特約が置かれることもありますが、内容は会社や契約によって異なります。
把握している雨漏り、設備の不良、越境、権利関係は先に伝えてください。そのうえで「現状のまま買うのか」「減額、撤去、調査を条件にするのか」を書面にします。
民法572条では、売主が知りながら告げなかった事実について、責任を負わない旨の特約だけで責任を免れることはできないとされています。
不動産買取を断られた後にしてはいけない5つのこと
断られた直後は、早く手放したい気持ちから判断を急ぎがちです。次の5つは、損失や契約トラブルにつながりやすいため避けましょう。
- 理由を確認せず、大幅に値下げする
- 買取の約束を信じて、先に工事や調査の代金を払う
- 知っている問題を隠す
- 「今日だけ」と迫られて、その場で署名する
- 費用を払う「有償引取」を、通常の買取と同じだと考える
断られた理由を確認せず、大幅に値下げする
対応エリア外や物件種別の不一致が理由なら、値下げだけでその会社の基準に入るとは限りません。複数の会社が同じ理由で採算が合わないと判断したときに、希望価格や売り方の見直しを検討します。
買取の口約束を信じて、測量や解体の費用を先払いする
解体した建物は元に戻せず、その後の売り方も変わります。指定の業者へ測量、造成、撤去などの費用を払えば買い取ると言われたら、売買契約の相手、買取価格、費用、契約できなかった場合の返金条件を確認してください。
不動産適正取引推進機構の手引でも、売却を持ちかけて測量費や造成費などの名目で金銭を支払わせる「原野商法の二次・三次被害」に注意を促しています。
雨漏りや越境など、知っている問題を隠す
雨漏り、傾き、越境、設備の故障、権利の問題など、把握している事実は書面で伝えます。「いつ、誰から、どの範囲を指摘されたか」まで分けて書き、わからないことは断定しないようにしましょう。
国土交通省の人の死の告知に関するガイドラインでは、自然死や日常生活上の不慮の死は原則として告知不要とされています。
ただし、特殊清掃をした場合、買主から質問された場合、社会的な影響が大きい場合などは扱いが変わります。また、売買取引には、経過年数だけで一律に告知不要となる「3年ルール」は示されていません。売主だけで判断せず、知っている事実を買取会社や仲介会社へ伝えてください。
「今日だけ」と迫られて、売買契約書へその場で署名する
個人が売主、不動産会社が買主となる不動産売却には、売主向けのクーリング・オフ制度はありません。国民生活センターも、不動産業者から勧誘されて自宅を売る場合はクーリング・オフできないと注意を促しています。
契約書はその場で署名せず、事前に受け取って価格、解除条件、違約金を確認してください。だまされた、契約内容を重大に思い違いしていたなど、別の法的問題がある場合は扱いが異なるため、早めに弁護士などへ相談します。
費用を払う「有償引取」を、通常の不動産買取と同じだと考える
売却代金を受け取る「買取」と、所有者がお金を払って引き取ってもらう「有償引取」は別の取引です。
国土交通省の「不動産の引取サービス」に関する資料では、所有権移転登記が行われないトラブル、適正な価格で売却する機会を失うこと、引取後の管理などが課題として挙げられています。
費用を払う前に、通常の売却などほかの方法と比べ、契約相手、費用総額と支払時期、所有権移転登記の時期、引取後の管理方針を確認してください。契約内容に不安がある場合は、その事業者と利害関係のない司法書士や弁護士にも相談しましょう。
国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で免許情報を、「ネガティブ情報等検索サイト」で行政処分歴を確認できます。ただし、免許や処分歴だけで安全性を判断することはできません。
広告の会社名と契約相手が一致するかを確かめるために使ってください。
\ その場で署名する前に、他社の条件も見てみる /
買取先が見つからない不動産の売却・処分の選択肢
売り先や得意分野の違う複数の会社が、同じ資料を見て同じ問題を挙げたなら、会社探しを続けるより、原因を整理するか売り方を変える段階です。
仲介で一般の買主や投資家を探す
買取会社の再販売基準には合わなくても、自分で使いたい人や長期保有できる投資家には合う可能性があります。
ただし、売却の時期は確定せず、物件の状態や契約条件の説明も必要です。問い合わせ数、内覧数、価格交渉の内容を記録し、売り方を見直します。
自治体の空き家バンクに登録できるか確認する
買い手が少ない地域では、空き家バンクが地域内外の利用希望者と出会うきっかけになります。ただし、自治体が買い取る制度ではなく、登録しても成約は保証されません。
登録条件、契約への関わり方、改修補助の有無は自治体ごとに異なります。全国版空き家・空き地バンクで参加自治体を調べ、物件所在地の自治体へ確認してください。
隣地の所有者や地域の事業者へ売却を打診する
単独では使いにくい狭い土地や、接道に条件がある土地でも、隣地と一体なら使い道が生まれることがあります。個人間で売買する場合も、売買条件は不動産会社、登記は司法書士、税務は税理士へ、必要に応じて相談しましょう。
売らずに保有・賃貸して管理を続ける
前提は、安全に使える状態であることです。そのうえで修繕費、固定資産税、保険、管理費、空室リスクまで含めて収支が合うなら、急いで売らずに保有・賃貸する選択肢もあります。
老朽化して周囲へ危険を及ぼすおそれがある物件は放置せず、自治体の空き家相談窓口などへ相談してください。
相続土地国庫帰属制度を最後に検討する
相続、または相続人として遺言で受け取った土地は、一定の条件を満たせば国へ引き渡せる場合があります。
共有地は共有者全員で申請します。建物がある土地、担保権や使用権が設定された土地、境界や所有権の争いがある土地などは申請できません。
審査手数料は土地1筆につき1万4,000円で、申請を取り下げた場合や、却下・不承認となった場合も返還されません。承認後は、原則20万円を基本とし、土地の種類(地目)・区域・面積などで変わる負担金が必要です。通知が届いた日の翌日から30日以内に納付しないと、承認は失効します。
売却制度ではなく、誰でも無料で土地を手放せる制度でもありません。法務省の制度案内と負担金の案内で対象条件を確認し、ほかの方法と比べてから検討してください。
不動産買取を断られたときのよくある質問
社数の目安、契約後に断られた場合、理由を教えてもらえない場合について、質問の多い3点をまとめます。
買取を断られたら「段階」と「理由」から次を決める
不動産買取を1社に断られても、物件が売れないと決まったわけではありません。まず、断られた段階・直接の理由・判断の根拠・再検討の条件を書面で確認してください。
- 会社の取扱条件が理由なら、対象が合う別の買取会社へ相談する
- 再販売の採算が理由なら、買取と仲介を同じ条件で比べる
- 建物・土地の状態が理由なら、現状のままと対応後の査定を比べる
- 法令や権利が理由なら、該当する問題だけを窓口や専門家へ確認する
- 提示額ではなく、売主負担を引いた手取りと、減額・解除の条件で選ぶ
迷ったら、費用を払う前、署名する前に一度止まる。そのうえで理由を確かめ、同じ資料と条件で次の選択肢を比べれば、不利な出費や契約を避けやすくなります。
\ 最短45秒入力!利用料金0円のリビンマッチ /
出典
不動産適正取引推進機構「不動産売買の手引(令和8年度版)」
国土交通政策研究所「戸建て既存住宅の流通・活用の促進等に関する調査研究」
e-Gov法令検索「建築基準法」
国土交通省「接道規制のあり方」
農林水産省「農地をめぐる事情について」
法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」
法務省「登記識別情報に関するQ&A」
e-Gov法令検索「民法」
住宅金融支援機構「任意売却」
国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」
国土交通省「ネガティブ情報等検索サイト」
国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
国民生活センター「不動産業者から自宅を売ってほしいと言われた」(公開日:2021年10月28日)
国土交通省「不動産の『引取サービス』について」
国土交通省「全国版空き家・空き地バンク」
法務省「相続土地国庫帰属制度について」
法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」

