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底地の買取相場は更地の何割?売却先で価格が変わる理由と査定の比べ方

底地の相場を調べると、「更地価格の1〜2割」と「3〜5割」という、まったく違う数字が出てきます。どちらかが間違っているわけではありません。前提になっている売却先が違うのです。

ここでいう更地価格とは、その土地に借地権が付いていない、ふつうの土地として売った場合の価格です。不動産会社などの解説では、底地の買取を専門とする業者へ売る場合を10〜20%前後(1〜2割)、借地人へ売る場合を30〜40%や50%前後としています。前提が違う数字なので、混ぜて「底地は更地の何割」と一つにまとめることはできません。

先に押さえたい3点

  • 専門業者へ直接売る:更地価格の1〜2割前後という民間の目安があります。
  • 借地人へ売る:更地価格の3〜5割前後という民間の目安があります。
  • 最後に見るべき数字:割合ではなく、地代から手元に残る金額と、決済日に実際に受け取れる金額です。

ただし、この割合は底地の取引に関わる企業や専門家が公開している目安です(2026年7月24日確認)。全国の成約価格を集めた公的な統計ではありません。国土交通省が公開している取引データにも、底地だけを取り出せる項目はありません。2026年に公開された民間アンケートも、売却価格の回答は大きく分かれており、回答者の集め方や取引書面と照らし合わせたかどうかまでは確認できません。複数の記事に同じ数字が載っていても、それだけで全国相場の裏づけにはならないのです。

実際、ある相続税の訴訟で、納税者側は「第三者市場では更地価額の10〜15%程度」と主張しました。しかし裁判所は、その割合を裏づける的確な証拠はないと判断しています。1〜2割という目安だけで、適正な売却価格を決めることはできません。

では、同じ土地なのに、売る相手が変わるだけで目安がここまで開くのはなぜでしょうか。変わっているのは土地ではありません。買った人が使える権利と、引き受ける負担です。

図解|売却先によって変わる底地の価値

専門業者が買う場合

手に入るのは、地代を受け取る権利と土地の所有権です。同時に、借地契約の管理と、いつ土地を自由に使えるようになるか読めない状態も引き継ぎます。

借地人が買う場合

借地権と底地が一人にまとまり、土地を売る、建て替えるといった選択肢が広がります。国土交通省の不動産鑑定評価基準も、借地人が底地を買う場合は、この価値の増加を考えるとしています。

目次

底地を売る5つの方法と、それぞれの相場

売り先は専門業者だけではありません。仲介で投資家に売る、借地人に売る、借地人と一緒に売る、売らずに持ち続ける、という道もあります。同じ土地でも、どれを選ぶかで受け取る金額と手間が変わります。

売却先価格の目安向いている状況
底地専門の買取業者更地価格の10〜20%前後早く売りたい。管理の手間を減らしたい
仲介で投資家・第三者個別に査定(公開相場なし)地代が安定し、契約資料がそろっている
借地人更地価格の30〜40%、または50%前後借地人に買う意思と資金の見通しがある
借地権と底地を同時に売る完全な所有権の価格に近づく余地あり借地人も売却を望んでいる
売らずに持ち続ける地代の累計と今の受取額を比べる管理、相続、資金面で困っていない
底地の売却先と価格の目安

表を見比べると、はっきりした割合を示せるのは専門業者と借地人へ売る場合だけです。残りの3つは、地代から残る収益と土地の使いやすさをもとに、一件ずつ計算するしかありません。

注意点も売却先ごとに違います。専門業者なら最終価格・売主負担・減額条件までそろえて比べること。仲介なら買い手が少なく売却期間が読みにくいこと。借地人へ売るなら、高値を前提に購入を迫らないこと。借地権と同時に売る場合は、総額に建物価格が含まれることがあり、更地価格と単純には比べられないことです。

価格の話より先に片づけたいこと

地代の滞納、共有者の意見の不一致、相続登記の未了、契約書の欠落、借地人との対立。このどれかがあるなら、価格交渉より先に権利関係を整理します。順番を逆にすると、まとまりかけた話が契約直前で崩れます。

底地と借地権の違いと、買い手が限られる理由

底地とは、借地権が付いている土地の所有権です。借地人が土地を借りて自分の建物を持ち、地主は地代を受け取ります。国土交通省の不動産鑑定評価基準では、借地権などの負担がない宅地を「更地」、借地権が付いた宅地の所有権を「底地」と呼び分けています。

地主が一人で持っている底地は、原則として借地人の承諾がなくても売れます。ただし借地契約や覚書に、事前に知らせる、先に交渉する、優先して買えるといった取り決めがあれば、その内容に従います。

では、売った後の借地人はどうなるのでしょうか。借地人が自分の名義で建物を登記しているなど法律上の要件を満たしていれば、新しい土地所有者に対しても借地権を主張できます。この場合、地主としての契約上の立場も、預かった敷金を返す義務も、原則として買主へ移ります。

買主が「自分が新しい地主だ」と借地人に主張するには、土地の所有権移転登記が必要です。売主に地主の立場を残す特別な合意がある場合などは、扱いが変わります。

つまり専門業者が買うのは、すぐ自由に使える更地ではありません。地代収入と契約を引き継ぎ、将来の契約調整まで担う土地です。この違いが買える相手を限り、買取価格にも影響します。

底地の買取価格は「4種類の数字」を分けて考える

底地の価格を調べると、似た数字がいくつも出てきます。混ぜてしまうと、相場を高く見誤ったり、根拠のない低い査定をそのまま受け入れたりします。

図解|底地価格を判断する4種類の数字

更地の実勢価格

割合を掛ける前の、市場価格の基準です。

税務上の底地評価

相続税・贈与税を計算するための評価です。

収益から見た価格

地代から税・管理費を引き、将来まで見て求めます。

実際の査定額

売主負担や減額条件まで含めて比べる金額です。

1.更地の実勢価格は、割合を掛ける前の基準

必要なのは、この土地に借地権の負担がないと仮定したとき、実際の市場でいくらなら売れそうかという価格です。これを実勢価格といいます。路線価や固定資産税評価額ではありません。周辺の取引価格や地価公示に、面積、道路への接し方、形、用途地域などを加えて見積もります。

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、取引した人へのアンケートに基づく取引価格、地価公示、都道府県地価調査を確認できます。ただし町・大字までの情報なので、これだけで個別の土地の価格は決まりません。底地を見分ける項目もないため、周辺のふつうの土地がいくらで動いているかをつかむ材料として使います。

2.路線価の底地割合は、相続税・贈与税のための数字

普通借地権が付いた貸宅地は、税務上、原則として次の式で評価します。

貸宅地の相続税評価額 = 土地を自分で使う場合の相続税評価額 ×(1 − 借地権割合)

国税庁の路線価図で借地権割合が60%なら、税務上の底地割合は40%です。ただしこれは相続税・贈与税を計算するための財産評価であり、買取業者が市場価格を出すための式ではありません。

「底地割合40%」と「40%で売れる」は別の話です

借地権の取引慣行がない地域では、借地権の価額を、土地を自分で使う場合の価額の20%として差し引く税務上の扱いがあります。定期借地権などは評価方法そのものが異なります。

3.収益から見た価格は、地代から税・管理費を引いて考える

買主が見ているのは年間地代の総額ではありません。税や管理費を払ったあと、実際に手元へ残る金額です。

簡易的な年間純収益 = 年間地代 − 固定資産税・都市計画税 − 管理・集金など毎年かかる費用

測量費や弁護士費用のように毎年は出ない支出、将来受け取る一時金、契約が終わって土地を自由に使えるようになる価値は、いつ発生するかを見込んで別に計算します。年間地代を一律の利率で割るだけでは、判断材料になりません。国土交通省の鑑定評価基準も、地代から得る収益や将来の土地価値から求めた価格と、似た取引の価格を関連づけるとしています。

そこで査定会社には、将来の収益を今の価値に置き換えるために使った利率、年間純収益、将来の土地価値、想定した保有期間を示してもらいます。地域や契約期間が違えば、使う利率も変わるからです。

4.最終的な買取価格は、査定条件まで含めて決まる

同じ700万円の査定でも、「境界を確定しないまま現状で買い取る」場合と、「売主が確定測量を終えたあとの価格」では、売主の負担がまるで違います。確かめるのは、契約後に価格が変わる条件、仲介手数料の有無、測量費、登記の修正、土地に残す物、土地や契約に問題があったときの売主の責任、そして決済日です。そこまでそろえて、はじめて各社を並べて比べられます。

比べる数字は査定額ではなく、決済日に手元へ入る見込み額です。

決済時の概算受取額 = 売買代金 − 売主が負担する費用 − ローンなどの返済額 − 敷金などの精算金

譲渡所得税などは、取得費や所有期間で変わるため別に試算します。ローンの元本や、売却時に払ったすべての費用が、税務上の「譲渡費用」になるわけではありません。

更地価格の何割になるか、仮想例で確かめる

数字を置いてみると、割合の目安、税務評価、収益がどれくらいずれるのかが見えてきます。以下は説明用の仮想例であり、実在する土地の査定・成約事例ではありません。

項目仮定した数字
更地の実勢価格(借地権がない状態)4,000万円
相続税評価額(自分で使う場合)3,000万円
借地権割合60%
年間地代36万円
固定資産税・都市計画税年15万円
管理・集金などの費用年3万円
専門買取業者の査定額700万円
仮想例の前提条件

割合の目安と税務評価を計算する

計算結果|割合目安と税務評価を分けて比べる

専門業者への売却目安

400万〜800万円

4,000万円 × 10〜20%

借地人への売却目安

1,200万〜2,000万円

4,000万円 × 30〜50%

税務上の貸宅地評価

1,200万円

3,000万円 ×(1 − 60%)

専門業者の査定700万円は、割合の目安から機械的に出した400万〜800万円の範囲に収まっています。一方で、税務上の貸宅地評価1,200万円は大きく下回ります。

それでは、700万円は安すぎるのでしょうか。この差だけでは判断できません。4,000万円は市場で売る場合の価格、3,000万円は相続税を計算するための評価額であり、もとになる金額も目的も違うからです。

地代から残る収益と700万円を比べる

年間純収益:36万円 − 15万円 − 3万円 = 18万円

計算結果|査定額700万円と年間純収益を比べる

年間純収益

18万円

地代から税・管理費を控除

700万円で買った場合の利回り

約2.57%

18万円 ÷ 700万円 × 100

700万円は純収益の何年分か

約38.9年分

700万円 ÷ 18万円

「38.9年で元が取れる」という意味ではありません

持ち続ければ土地の所有権は残り、将来の売却価格も、地代も、税金も変わります。約38.9年という数字が示すのは、査定額700万円が今の年間純収益18万円の約38.9年分にあたる、ということだけです。

今売る場合と持ち続ける場合を本格的に比べるなら、将来の売却価格、保有中の純収益、毎年は出ない費用、税金を同じ期間でそろえます。

底地の買取価格を動かす7つの条件

査定額の差は、土地の立地だけでは説明できません。地代から残る収益、契約の種類、借地人の状況、売主が負う条件まで見ると、その金額になった理由を確かめられます。

1.地代から税・管理費を引いたあとに利益が残るか

年間地代が高くても、固定資産税・都市計画税、管理費、集金の費用を引いてほとんど残らなければ、買主から見た投資価値は上がりません。先の仮想例でも、地代36万円のうち手元に残るのは18万円でした。将来の測量や契約整理のように毎年は出ない費用は、別に見積もります。査定書では「地代の総額」ではなく、年間純収益の内訳を見ます。

2.普通借地権・定期借地権・旧法契約のどれか

普通借地権は更新が続く可能性があり、買主が土地を自由に使える時期を読みにくい傾向があります。定期借地権では、契約があと何年残っているか、満了時に土地がどんな状態で返ってくるかが価格に強く影響します。

1992年8月1日より前に設定された借地権では、更新などに旧借地法の扱いが残る場合があります。契約書の名前だけで判断せず、借地が始まった日と更新の経過を確認します。なお、借地人名義の建物登記があるかどうかは、新しい土地所有者にも借地権を主張できるかという別の論点です。

3.借地契約と金銭の記録がそろっているか

契約書が見つからなくても、それだけで長年の借地関係が消えるわけではありません。ただし買主は、地代、契約期間、更新、建て替えや増改築、借地権を譲るときの承諾、敷金・保証金の条件を確かめにくくなります。通帳、領収書、更新時の覚書、手紙やメールを時系列に並べるだけでも、査定時の不確実さは減らせます。

4.借地人の人数、支払状況、関係性

借地人が一人で支払いも安定している底地と、複数の借地人がいて契約や境界が区画ごとに違う底地では、管理の手間がまるで違います。滞納や紛争がある場合は、自己判断で「すぐ契約を解除できる」と見込まず、弁護士に契約の経過を確認してもらいます。

5.借地人が購入や同時売却を望んでいるか

借地人が底地を買えば土地と建物の権利がまとまり、売却や建て替えの選択肢が広がります。ただし、借地人が住み続けたいのか、建て替えたいのか、土地と建物を一緒に売りたいのかによって、払える価格は変わります。

意向を聞く前に価格を押しつけると、話し合いそのものが難しくなります。まずは「購入」「土地と建物の同時売却」「現状維持」のどれを望むかを確認します。第三者に交渉を任せる場合は、その人が誰の代理人で、誰から報酬を受け取るのかを先に確かめてください。法的な助言が必要なときは、取引相手から独立した弁護士に相談します。

6.土地そのものに売りやすさ・使いやすさがあるか

駅からの距離、道路への接し方、形、面積、用途地域、建ぺい率・容積率、災害リスクは、更地価格だけでなく、将来の売却先や使い方にも影響します。借地権がなくなっても単独では使いにくい土地なら、将来の土地価値を高く見積もることはできません。

7.査定条件のうち、売主が何を負担するか

確定測量、境界確認、登記上の住所変更、抵当権の抹消、契約書の整理、借地人への通知、土地や契約に問題があったときの責任。これを誰が負うかで、決済時の受取額は変わります。「現状のまま買い取る」と書かれていても、その対象から外れる条件を売買契約書で確認します。

底地買取の査定は「最高額」より「同じ条件」で比べる

複数社に査定を頼むときは、同じ資料と同じ質問をそろえます。会社ごとに前提が違うままでは、価格差が査定方法によるものか、売主負担の押しつけによるものか見分けられません。

まず手元の資料をそろえる

手元にある資料から集めれば十分です。足りない資料は、費用をかけて新しく作る前に、査定や契約へどこまで影響するかを確かめます。

  • 土地の権利資料:登記事項証明書、相続登記に関する書類
  • 土地の範囲を示す資料:公図、地積測量図、確定測量図、境界確認書のうち手元にあるもの
  • 借地契約の資料:最初の契約書、更新契約書、覚書、建て替え・増改築・譲渡などの承諾書
  • 地代の資料:入金履歴、領収書の控え、滞納や地代改定の記録
  • 預り金の資料:敷金、返す義務のある保証金。保証金は返還条件や差し引く金額の条項も確認
  • その他の金銭資料:更新料、承諾料、名義書換料などの受領記録
  • 税・費用の資料:固定資産税・都市計画税の納税通知書、管理費、測量費など
  • 借地人との連絡記録:重要な合意、要望、紛争の経過

これだけそろえば、「誰が、どの範囲を、いくらで、いつまで借りているか」が一目で見えるようになります。

初回査定で、重要情報を渡しすぎない

借地人の氏名、連絡先、口座情報などは、必要以上に複数社へ渡さない配慮が必要です。まずは氏名などを伏せた賃料表や契約条件で机上査定を受け、候補を絞ってから必要な範囲を開示します。

登記識別情報は、従来の権利証にあたる重要な情報で、査定には不要です。決済時に司法書士などから求められるまで、写しや番号を第三者へ渡さないでください。

価格の根拠を比べる

確認すること確認できた状態
査定の種類(机上/現地確認後/最終買取価格)価格が確定する時点が分かる
更地価格の根拠(参照した取引・地価と、面積や道路づけの調整)税務評価額を市場価格として扱っていない
地代収益の評価(年間地代・税・管理費・使った利率)年間純収益と利率の根拠が書かれている
将来の土地価値(残り契約期間・更新・借地人への売却の見込み)まだ実現していない売却を、確定した利益として扱っていない
減額の条件(現地調査・契約確認・境界・借地人の状況)契約後に価格を変えられる条件が限られている
査定価格の根拠をそろえる確認表

右側の欄が一つでも埋まらない会社は、金額の高さではなく、根拠が説明できていないと判断できます。

売主の負担と責任を比べる

確認すること確認できた状態
売主が負担する費用(測量・登記の修正・土地に残す物・専門家費用)負担する人と金額の上限が書面で分かる
土地や契約に問題があったときの責任(免責の範囲・売主が事前に伝える事項)分かっている事実を開示し、責任の範囲を理解できる
決済時の概算受取額(売主負担・ローン返済・敷金などの精算後)各社を同じ計算式で比べられる
売主負担と責任の確認表

査定額が高いのに受取額が低くなる会社は、この3行のどこかで売主に負担を寄せています。

契約相手と決済条件を比べる

確認すること確認できた状態
契約上の買主(正式な法人名・所在地・査定窓口との関係)売買契約書に署名する法人と一致している
地主の立場と預り金の引継ぎ(地代・敷金・借地人への通知・個人情報)引渡し日を基準に、誰がいつ引き継ぐかが決まっている
決済条件(手付金・残代金・所有権移転・解除できる条件)入金と登記の順序が契約書で確認できる
契約相手と決済条件の確認表

ウェブサイトの名前、相談窓口、仲介会社、最終的な買主は、同じとは限りません。宅地建物取引業者を名乗る会社なら、国土交通省の企業情報検索で、免許を受けた事業者名と照合できます。免許の有無だけで底地売買への適性は決まりませんが、契約相手を確かめる最低限の手がかりになります。

比べたあと、どこを残すか

  1. 所有者、借地人、契約、地代、敷金・保証金を一枚に整理する
  2. 更地の実勢価格、税務上の評価額、年間純収益を別々の欄に置く
  3. 複数社へ同じ資料を渡し、最終価格、売主負担、減額条件を同じ表で比べる
  4. 契約上の買主、地主の立場と敷金などの引継ぎ、決済条件が書面にそろうまで契約しない

残すべきなのは、いちばん高い査定を出した会社ではありません。価格の根拠と、価格が確定する条件を説明できる会社です。

底地の買取代金から差し引かれる費用と税金

買取価格と、決済時に手元へ入る金額は同じではありません。測量、登記、契約整理、専門家報酬を誰が負担するのかを、査定条件書で確かめます。

専門業者が直接買主になり、仲介会社が入らなければ、通常の仲介手数料はかかりません。仲介を使う場合、売買価格が400万円を超える通常の取引で、売主側から受け取れる仲介手数料の上限は、税込で「売買価格 × 3.3% + 6万6,000円」です。800万円以下の宅地には別の上限特例があります。いずれも上限であり、必ずこの金額になるわけではありません。

個人が底地を売って利益が出た場合、その利益は、給与などとは分けて税額を計算する土地の譲渡所得になります。

課税譲渡所得 = 売却代金 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除

個人の通常例では、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」の税率は20.315%、5年以下の「短期譲渡所得」は39.63%です。相続した土地は、原則として亡くなった人の取得時期と取得費を引き継ぎます。

取得費が分からない場合などは、売却額の5%を取得費とみなす「概算取得費」を使えます。ただし、実際の取得費が5%より大きいのに資料を見つけられないと、税額を高く計算してしまうことがあります。古い売買契約書、領収書、通帳、相続資料を探し、売買契約を結ぶ前に税理士へ試算を依頼してください。

底地の買取に関するよくある質問

底地割合が40%なら、更地価格の40%で売れますか

40%で売れるとは限りません。借地権割合60%、底地割合40%という計算は、原則として相続税・贈与税の貸宅地評価に使うものです。実際の買取価格は、更地の実勢価格、年間純収益、契約期間、借地人の意向、売却条件によって変わります。

借地契約書が見つかりません。それでも売れますか

契約書がないことで、長年続いてきた借地関係が消えるわけではありません。ただし買主は、地代、契約期間、更新、増改築や譲渡の承諾、敷金・保証金の条件を確かめにくくなり、その不確実さが査定に影響します。通帳の入金履歴、領収書の控え、更新時の覚書、借地人とのやり取りを時系列に並べて、分かる範囲を示してください。

買取業者の査定は何社比べればよいですか

一律に何社とは言えませんが、一社だけでは査定差の理由を確かめられません。複数社へ同じ資料を渡し、価格だけでなく、売主負担、減額条件、契約上の買主、決済条件まで同じ表で比べてください。査定差が大きい場合は、更地価格、年間純収益、将来の土地価値のどの前提が違うのかを質問します。

底地の買取価格は、割合より売却先と条件で比べる

同じ底地でも、専門業者への直接売却では更地価格の1〜2割前後、借地人への売却では3〜5割前後という民間の目安があります。差が生まれるのは、借地人が底地を取得すると権利が一つにまとまり、土地を売る、建て替えるといった選択肢が広がるからです。ただし、どちらも公的な全国相場ではありません。

割合を調べた後にすること

  1. 借地契約、地代、税、土地の権利資料を整理する
  2. 借地人への売却、土地と建物の同時売却、専門業者への買取、保有継続を同じ条件で比べる
  3. 査定額ではなく、売主負担と減額条件を引いた受取見込み額で判断する

地代の滞納、共有、相続登記の未了、複数の借地人、契約書の欠落、借地人との対立。このどれかがあるなら、価格交渉より先に、弁護士や司法書士へ権利関係を確認してください。

参考資料

  1. 相続会議「底地を売却する5つの方法と相場 高く売るための方法を専門家が解説」(2026年7月24日確認)。民間の公開目安であり、公的な成約統計ではありません。
  2. イエコン「底地の買取相場はいくら?価格を左右する要素や計算方法など徹底解説」(2026年7月24日確認)。2026年実施のインターネットアンケートを掲載していますが、実施元は底地買取業者を紹介する商用媒体です。
  3. 新誠不動産「底地売却」(2026年7月24日確認)。借地人への売却を更地価額の30〜40%とする民間解説です。
  4. 国税庁「税務訴訟資料 第267号-153(東京高等裁判所判決)」4頁。個別の相続税評価をめぐる判決であり、すべての売買価格を決める判例ではありません。
  5. 国土交通省「不動産鑑定評価基準」8頁、48〜49頁。底地の定義、地代などから求める価格、将来の土地価値、類似取引との比較、借地人取得時の価値増加を確認しました。
  6. e-Gov法令検索「借地借家法」第5・6・10・11条、附則第6条。更新拒絶、借地権を新所有者へ主張するための要件、地代増減、旧法契約の経過措置を確認しました。
  7. e-Gov法令検索「民法」第206条、第605条の2・3。所有権の処分、地主の立場、所有権移転登記、敷金返還義務などの引継ぎと例外を確認しました。
  8. 国土交通省「不動産取引価格情報提供制度」および「不動産情報ライブラリ」。
  9. 国税庁「No.4613 貸宅地の評価」。普通借地権と定期借地権などでは評価方法が異なります。
  10. 国土交通省「宅地建物取引業者 検索」。
  11. 法務省「登記識別情報に関するQ&A」。登記識別情報は本人だけが知る情報として厳重に管理するよう案内しています。
  12. 国土交通省「不動産売買の媒介契約について」。仲介手数料の上限と、低廉な空き家などに関する特例を確認しました。
  13. 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」。課税譲渡所得の式、長期譲渡所得の税率などを確認しました。
  14. 国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」。
  15. 国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」。
  16. 国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」。
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